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2021年2月7日日曜日

映画『Vフォー・ヴェンデッタ』(2005年、米国・英国・ドイツ)-世界全体が「監視社会」化するディストピア状況の現在、この映画のアピール力は衰えることはない

 
映画『Vフォー・ヴェンデッタ』(2005年、米国・英国・ドイツ)をはじめて視聴。充実した内容の傑作エンターテインメントだ。132分。  

原題は "V for Vendetta" と日本版とまったくおなじだ。イタリア語から英語になった vendetta は「復讐」の意味だ。マフィア用語としてよくしられているのではないだろうか。 

ストーリーは、独裁政権が支配する近未来の英国の首都ロンドンを舞台に、ハッカー集団のアノニマスで有名になったガイ・フォークスの仮面をかぶった主人公Vが先導する、自由を取り戻すための戦い。ディストピア世界を舞台にしたアクション映画である。 勧善懲悪ものといっていいかもしれない。




ここでまず、映画の話に入る前に、ガイ・フォークス(Guy Fawkes)とは何者かについて簡単に触れておこう。映画の冒頭に出てくる "Remember, remember, the fifth of November, Gunpowder Treason and Plot". というフレーズの意味を知らなくては、この映画の楽しみは半減する。
  
いまから400年以上前の1605年11月5日、イングランド王国を震撼させた「火薬陰謀事件」(Gunpowder Plot)で逮捕され処刑されたのが、ガイ・フォークスを含めたカトリック過激派たちであった。 

「火薬陰謀事件」とは、上院(=貴族院)の開会日に、国王ジェームズ1世夫妻以下すべての議員が集まる機会を利用して、議場ごと爆殺する計画であった。 強権的に「反カトリック政策」を遂行する政府への反抗の一環として計画されたものだ。当時は、大陸からイングランドに潜入してくるイエズス会士たちが処刑されている。

前日に密告のため情報が漏洩したため未遂に終わったが、もし実行に移されていたら、火薬の量からいって、議場である建築物の半分は吹き飛んだであろうと推定されている。史上初の大規模爆破テロ事件となった可能性もあったのだ。 

「火薬陰謀事件」の実行日の前日に、議場の地下室に大量に持ち込んだ火薬の見張りを行っていたガイ・フォークスが逮捕され、激しい拷問の末に関係者が発覚、彼を含めた首謀者たちが処刑された。

ガイ・フォークスが計画の立案者だったわけではないが、シンボリックな役割を与えられることになったのはそのためだ。イングランドでは、その後、毎年11月5日が「ガイ・フォークス・ナイト」(Guy Fawkes Night)として年中行事となっているらしい。もちろん、カトリック教徒のあいだでは、ガイフォークスの評価は真逆になることは言うまでもない。


(DVD特別版にガイ・フォークスについての詳しい解説がある)

そんなガイ・フォークスの仮面をかぶったVが主人公となった この映画は、「火薬陰謀事件」からちょうど400年にあたる2005年に製作・公開されている。その意味は、イングランド国民であれば、あえて説明するまでもないのであろう。日本でいえば、だいぶ性格が異なるとはいえ、佐倉宗吾あたりが該当するのだろうか。

その意味で、この映画は、400年の時空を往復する濃厚な内容なのだ。『マクベス』や『十二夜』などシェイクスピアの引用や言及があったりなど、セリフもなかなか濃厚で凝ったものとなっている。 

(原作のブリティッシュ・コミック)

だが、もともとは、英国の劇画(=グラフィック・ノベル)が原作なのだという。アメコミ(=アメリカン・コミックス)ではなく、ブリティッシュ・コミックス英国にも固有のコミックス文化があるわけだ。マンガ王国の日本に生まれ育つと、日本以外のコミックス事情にうとくなるのは仕方あるまい。 

この原作マンガがはじめて登場したのが1980年代というのが、時代の空気を反映しているようだ。サッチャー政権の時代である。 

日本など外部からは、当時「英国病」と呼ばれた停滞する英国経済を復興した存在としてリスペクトされているサッチャー氏だが、強権的な政策には英国国内で賛否両論であっただけでなく、現在でも否定的に見る人たちが少なくないのである。民衆想像力を体現したサブカルとしてのコミックスが、政治的なメッセージを込めているのそのためだ。

そんな1980年代の原作は、イングランドでは本来「アンチヒーロー」であったはずのガイ・ォークスを、権力に反抗する「ヒーロー」に仕立て直したものである。 それも超人的な能力をもつ「スーパーヒーロー」として。

(英国版ポスター)

全世界が監視社会化というディストピア状況に向かっている2020年代では、さらにアピール力が高まっているように思われる。ハッカー集団のアノニマス(=匿名という意味)たちがかぶって有名になったのが、ガイ・フォークスの仮面である。

もちろん、歴史的な背景を知らなくても十分に楽しめる映画だが、知っていればさらに十二分に楽しむことのできる内容の映画だ。




PS. 「火薬陰謀事件」とガイ・フォークス

「火薬陰謀事件」とガイ・フォークスについては、拙著『世界史で読み解く「コロナ後」の世界』(P.262)でもとりあげているのだが、この映画について言及できなかったのが残念だ。改訂する機会があれば、ぜひ書き換えたいものである。



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