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2024年9月17日火曜日

書評『潜入取材、全手法 ー 調査、記録、ファクトチェック、執筆に訴訟対策まで』(横田増生、角川新書、2024)「潜入ジャーナリスト」が試行錯誤の末に身につけた知恵とノウハウから学ぶべきもの

 


著者の横田増生氏は、アマゾンやユニクロのパート従業員として働きながら、内部事情をノンフィクションとして書くという、いわゆる「潜入ジャーナリスト」ととして名をはせてきた人だ。 

本書は、その「潜入取材」の全容を「メーキング・オブ・●●●」という形でまとめたもの。すでに横田氏のノンフィクション作品を読んできた人には、正直いってそれほど新鮮味があるわけではない。ただし、各社の広報担当者や訴訟の場における企業側弁護士とのやりとりは面白い。また、著者の文章術は参考になる。 

大学卒業後、大手紙への就職活動にのきなみ失敗した著者は、物流専門誌の記者を経て独立することになる。この時代の経験が企業取材には多いに役だったようだ。財務諸表の読み方もこの時代に身につけている。 

ジャーナリズムを勉強するため、米国の大学院で学んだ体験談は興味深い。第4章に書かれた、専門大学院でのきわめて実践的な教育内容は、日本の大学も大いに意識するべきだろう。ジャーナリズムの道を目指す若者なら読むべきだ。 

英国では大手紙も当たり前のように行っている「潜入取材」だが、まだまだ日本では主流になっていない。著者が日本ではまだ数少ない「潜入ジャーナリスト」になったキッカケは、ぶっちゃけカネが底をついてしまったからだという。働きながら取材もする、たしかにこれは一石二鳥だ。 

読んでいて思ったのは、企業で働いている人も、潜入取材中の著者のように熱心に業務に取り組み、働きながら徹底的に「取材」、いや「観察」すべきだろう、ということだ。そうすれば、自分がやっていることの意味が、明確に把握できるようになるはずだ。 

そのために必要なのは、「現場」という内側からみたミクロの視点と、企業全体を外側から見渡すマクロの視点を両立させることである。どちらが欠けても、企業組織で働くということの意味は見えてこない。 

著者自身はとくに意識はしていないようだが、やっていることは企業組織を「現場」にした「フィールドワーク」であり、その手法は人類学や社会学では当たり前になっている「参与観察法」そのものである。

この手法はビジネスパーソンであれば、ぜひ身につけたいものだ。ただし、ビジネスパーソンの場合は、公表を前提とはしない点が「潜入取材」とは異なることは言うまでもない。 

全体的に面白い内容なのだが、AI時代の現在においては、手法としてはややオールドスタイルだという印象を受ける。 とはいえ、この手法もまた取材方法のひとつと捉え、著者を手本にして、この道を目指す若者が増えてほしいと思う。日本では「潜入取材」がメジャーになっていないから。

企業活動とジャーナリストとの緊張関係とせめぎ合いは、日本の企業社会が健全化するために絶対に必要なことだ。 上場企業であればもちろん、たとえ非上場企業であっても、「企業は公器」であり、営利活動であっても「公益性」を意識しなくてはならないのである。 



目 次  
まえがき 
第1章 いかに潜入するか 
第2章 いかに記録をとるか 
第3章 いかに裏をとるか 
第4章 いかに売り込むか 
第5章 いかに身を守るか 
第6章 いかに文章力をつけるか 
あとがき 
参考文献一覧

著者プロフィール
横田増生(よこた・ますお)
1965年福岡県生まれ。関西学院大学を卒業後、予備校講師を経て、アメリカ・アイオワ大学ジャーナリズム学部で修士号を取得。1993年に帰国後、物流業界紙『輸送経済』の記者、編集長を務める。1999年よりフリーランスとして活躍。2020年、『潜入ルポ amazon帝国』で第19回新潮ドキュメント賞を受賞。著書多数。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)


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