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2025年3月15日土曜日

書評『ドゥテルテ 強権大統領はいかに国を変えたか』(石山永一郎、角川新書、2022)ー「法と秩序」の回復を実現した元大統領は、フィリピン国民の熱烈な支持を受けていた

 

ICC(国際刑事裁判所)から召喚状がでていたフィリピンの元大統領ロドリゴ・ドゥテルテ氏がフィリピンで逮捕された、そんなニュースが流れてきて驚いた。3月9日のことだ。 すっかり過去の人となりかけていたドゥテルテ氏の名前を聞くのはひさびさのことだ。 

ロドリゴ・ドゥテルテ氏は、すでに ICC本部のあるオランダのハーグに移送され裁判にかけられることになっている。判決次第では長期間の禁固刑が科される可能性もある。 

2016年から6年間にわたって大統領職にあったドゥテルテ氏だが、「麻薬撲滅戦争」においては「超法規的」に麻薬売人の殺害を指示したためだろいう。固く見積もっても6000人、関係者を含めたら3万人にもなるという推計もある。 

そんなドゥテルテ氏は、率直なものいいと口の悪さ、強権的だが庶民的で清廉潔白、公約はかならず実行するという毅然たる態度から、「フィリピンのトランプ」とよばれることもあったが、わたしはむしろ「フィリピンの石原慎太郎」というべきだったと思う。反米愛国という点で共通しているからだ。

出版直後に買ったまま積ん読になっていた、『ドゥテルテ 強権大統領はいかに国を変えたか』(石山永一郎、角川新書、2022)を取り出して読んでみることにした。共同通信の元記者でフィリピンに長く関わってきたジャーナリストによるものだ。  




ドゥテルテ氏がふたたび「時の人」になった現在、フィリピンのいまを考えるうえで重要なことになる
からだ。フィリピンに関心のある人なら一気読みできる、面白くて内容の濃い1冊だった。 

ドゥテルテ氏について知ることは、そのままフィリピンとその現代史を知ることになる。

なぜ圧倒的な国民的支持があったのか? 
いまなおドゥテルテ氏の影響力が強いのはなぜか? 

米中のはざまに生きるフィリピンの地政学的状況、その他もろもろについて。 

「目次」を紹介しておこう。 


序章 いままでにない大統領 
第1章 ドゥテルテの町ダバオ 
第2章 麻薬戦争 
第3章 左派的だった国内政策 
第4章 親中に転換させた外交
第5章 高度経済成長と新型コロナ 
第6章 ドゥテルテ・ナショナリズム 
第7章 ドゥテルテ後のフィリピン 
おわりに 
主な参考文献 


ミンダナオ島のダバオ市長を長年にわたって務めたドゥテルテ氏は、政治的には反米ナショナリストといってよいが、ダバオという土地柄ゆえ親日である。かつて東南アジアが南洋とよばれていた時代、日本人が多く入植して開発した歴史があるからだ。

経済の面からは中国を重視したが、内政面では貧困層への目配りがやさしく、国民皆保険を実行に移している。 

わたし自身は、群島国家であるフィリピンには仕事の関係で2回いっているが、マニラとその周辺、セブ島にしかいってない。インドネシアにも近く、ムスリムがマジョリティであるミンダナオ島にはいったことはない。 

そのミンダナオ島のダバオ市は、ドゥテルテ氏が市長だったあいだに、みちがえるほど治安が回復したという。さらにドゥテルテ氏が大統領職にあったあいだに、フィリピン全体の治安も大きく回復させている。 

「法と秩序」が確保されれば、経済は発展するという信念の持ち主で、まさに有言実行の人であったといえよう。国民をひとつにまとめるナショナリズムが確立すれば、高度経済成長も不可能ではない。 

ドゥテルテ氏は「マジェラン上陸500年」に批判的で、マジェランに敵対してセブ島でマジェランを殺害した英雄ラプラプを称揚、スペインからの独立運動を指導したホセ・リサールを尊敬している。

だが、アメリカの統治下で独立が準備されたフィリピンは、自力で独立を勝ち取ったわけではないという負い目が残る。「未完の革命」だからこそ、あえてナショナリズムを強く打ち出す必要があるのだ。

ドゥテルテ氏の評価にかんしては、意識高い系の先進国のリベラル派と、発展途上国の現実を知っている人では大きく異なることは当然であり、フィリピン国内でも評価が分かれるのも当然だろう。 

たしかに超法規的に麻薬売人6000人の殺害を指示というのは問題ではあろう。だが、ICC(国際刑事裁判所)に代表される 意識高い系の先進国のリベラル派の評価でもって、ドゥテルテ氏の業績を一刀両断的に批判するのは筋違いではあるまいか?

「マズローの欲求5段階説」の下から2番目が「安全の欲求」であったことを想起すればよい。人間が生きるうえの最低ラインが維持できてこそ、意識高い系の発言も生まれる余地があるというものだ。

 著者によれば、「法と秩序」を維持している疑似民主主義体制のシンガポールと比べたら、東南アジアではフィリピンのほうがはるかに「表現の自由」にかんしても保証されており、ドゥテルテ氏もまた反対派を弾圧などしていない。フィリピンは「人権意識」もまた高いという。 東南アジアを熟知しているジャーナリストの発言だけに説得力がある。 

そんなフィリピンの現在と、今後の方向性について考えるためには、ぜひ読むべき本だと思った次第。人口大国のフィリピンの将来性は、インドネシアとならんで高いのだ。 


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<関連記事>

〈解説〉ドゥテルテ逮捕の衝撃 フィリピン・マルコス政権との政争、事実上の国外追放、しかしさらなるカリスマ化の懸念も (久末亮一 日本貿易振興機構(JETRO)アジア経済研究所 副主任研究員、Wedge ONLINE、2025年3月18日)



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