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2022年1月26日水曜日

ドイツ表現主義の画家フランツ・マルクの「タイガー」(1912年)



ドイツ表現主義の画家フランツ・マルクといえばタイガー。彼の作品をたくさん所蔵しているミュンヘンの「レンバッハハウス美術館」で買い求めたマグネット3点です。この美術館にはカンディンスキーの作品も多数あります。




フランツ・マルクといっても、日本ではそれほど知名度の高い画家ではありませんが、以前このブログでフランツ・マルクの「青い馬」を紹介しました。

作品数でいえば、「青い馬」のほうが「タイガー」よりも多いのは事実です。とはいえ、インパクトの強さからいえば、原色を巧みにつかったこのタイガーは、見る人に大きな印象を与えることは間違いないでしょう。




タイガーは1912年の作品現在からちょうど110年前のものです。1914年に「世界大戦」が勃発したとき、ドイツ人のランツ・マルクは戦争に志願しますが、1916年3月4日にフランス戦線で戦死しました。

フランツ・マルクの作品を見る際にも、ヨーロッパ全体に壊滅的打撃をもたらした第一次大戦戦場における36歳での戦死という事実。時代が生み出した「ドイツ表現主義」。精神的な不安感を漂わせながらも大胆な色使いが特徴の画家。戦死しなければ大戦後の世界でも活躍したであろうに・・・

フランツ・マルクの美術展が、日本で開催されないものかな、と切に願う。


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<関連サイト>

Franz Marc (wikipediaドイツ語版)
・・画像ふくめた情報が充実している

レンバッハ邸美術館(Lenbachhus) (公式サイト ドイツ語)




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2014年11月26日水曜日

「チューリヒ美術館展 ― 印象派からシュルレアリスムまで」(国立新美術館)にいってきた(2014年11月26日)― チューリヒ美術館は、もっている!



「チューリヒ美術館展」(国立新美術館)にいってきた。「フェルディナント・ホドラー展」 と同時開催のこの美術展は、日本とスイスの国交樹立150年を記念するイベントの一環として開催されているものだ。

この美術展の感想を一言で言えば、「チューリヒ美術館は、もっている!」、とでもなるだろうか。

ポスターに掲示されているモネ、セザンヌ、ゴーギャン、ドガ、シャガールといった日本人好みの印象派とポスト印象派の画家たちや、ピカソ、ミロ、ダリ、ムンクといった20世紀の大物カンディンスキー、モンドリアン、キリコ、ジャコメッティといった現代美術まで網羅しているからだ。


(モネの「睡蓮の池、夕暮れ」がデザインされたチケット)


ポスターには登場していないが、スイスの国民画家ホドラーの作品も展示スペース一つ分が確保されている。ホドラー展とあわせて鑑賞すべきだろう。半券があれば互いの美術展は100円引きになる。スイス出身の画家ではこのほか、パウル・クレーやセガンティーニの作品も展示がある。

さらにいえば、わたしの好きなドイツ表現主義ではベックマン、さらにウィーン分離派のオスカー・ココシュカの展示もある。さすが、ドイツ語圏のなかでも特筆されるべき文化都市チューリヒの美術館ならではだな、と思わされるのだ。


(会場図面 水色が「巨匠の部屋」 黄色は「時代の部屋」)


ドイツ世界の文化都市といえば、ドイツのベルリンとオーストリアのウィーンはまず誰もが想起することだろう。そして南ドイツのミュンヘン、ミュンヘンから近いザルツブルクといったところだろうか。

だが、「ドイツ語」世界ということでいえば、チェコのプラハやスイスのチューリヒも入ってくるようだ。国書刊行会から1987年に出版された『ドイツの世紀末』というシリーズがあるが、全五巻の内容は、①ウィーン、②プラハ、③ミュンヘン、④ベルリン、⑤チューリヒ、となっている。

たまたま内容紹介のパンフレットがあるので、スキャンして掲載しておこう。『ドイツの世紀末Ⅴ チューリヒ-予兆の十字路-』(土肥美夫編、国書刊行会、1987)の紹介文には、ドイツ語圏におけるスイスとチューリヒの意味が書かれている。




スイスは、そもそもドイツ語圏とフランス語圏を中心に盟約で結成された連邦国家であり、しかも永世中立国である。民族主義(=ナショナリズム)の色合いの強いドイツやオーストリアとは異なるインターナショナルな風土がある。さらにチューヒりはスイスの他の都市と異なる性格があるという。

静かな湖畔にあるスイス最大の都市チューリヒとその周辺には、世紀末以来国内はもとより国外からも、圧政に追われ、ナショナリズムに病んだ思想家や芸術家たちが往来し、寄留し、あるいはまた転進していった。人文主義の伝統を背負うバーゼルと異なり、ここには重荷になるほどの伝統もなく、あらゆる文化の国際的な普遍主義が形づくられる。(*太字ゴチックは引用者=さとう)

チューリヒとはそういう都市なのである。芸術分野でみてもダダイズムを生み出した都市でもあるのだ。ダダというとパリという連想があるが、じつは第一次大戦中のチューリヒから生まれたものである。

チューリヒは、ビジネスパーソンにとっては、まず第一に「チューリヒの小鬼(=グノーム)たち」というフレーズで象徴されるファイナンシャル・シティー(=金融都市)だが、同時に芸術都市でもある。この関係は、英国のロンドン、米国のニューヨークは当然、イタリアの金融都市ミラノも同様だ。もちろん日本の東京もそうだ。資本が集中する都市に美術品が集積し、芸術都市としてのインフラも形成されるのだ。

チューリヒといえば国際金融都市チューリヒといえばレーニンの亡命地チューリヒといえばユング派心理学など、それぞれ連想するものは異なるだろうが、美術館もまたチューリヒを代表する施設のようだ。




「のようだ」と書いたのは、チューリヒには国際列車の乗り換え時間の数時間を利用して英語の市内ウォーキングツアーに参加しただけなので、残念ながらチューリヒ美術館には一度も行ったことがないからだ。

その意味でも、チューリヒ美術館の収蔵品の粋を鑑賞できる今回の企画展は、わたしにとってはありがたい企画であった。

ざっと駆け足で見るだけでもいい。行く価値のある美術展である。




<関連サイト>

「チューリヒ美術館展」
 ●東京展: 2014年11月26日~12月15日 国立新美術館(東京・六本木)
 ●神戸展: 2015年1月31日~5月10日 神戸市立博物館(神戸)


<ブログ内関連記事>

「フェルディナント・ホドラー展」(国立西洋美術館)にいってきた(2014年11月11日)-知られざる「スイスの国民画家」と「近代舞踊」の関係について知る

「カンディンスキーと青騎士」展(三菱一号館美術館) にいってきた

「ドイツ表現主義」の画家フランツ・マルクの「青い馬」


スイス関連

「小国」スイスは「小国」日本のモデルとなりうるか?-スイスについて考えるために

書評 『ブランド王国スイスの秘密』(磯山友幸、日経BP社、2006)-「欧州の小国スイス」から、「迷走する経済大国・日本」は何を教訓として読み取るべきか

書評 『マネーの公理-スイスの銀行家に学ぶ儲けのルール-』(マックス・ギュンター、マックス・ギュンター、林 康史=監訳、石川由美子訳、日経BP社、2005)

ペスタロッチは52歳で「教育」という天命に目覚めた


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2014年1月13日月曜日

「ドイツ表現主義」の画家フランツ・マルクの「青い馬」

(ミュンヘンのレンバッハ邸美術館で購入したマグネット)


「ドイツ表現主義」の画家フランツ・マルクの「青い馬」。デフォルメした動物を大胆な色彩で描いた画家。

フランツ・マルクはわたしがもっとも好きな画家の一人。「ドイツ表現主義」(German "Expressionism")は「フランス印象派」(French "Impressionism")と対をなす芸術流派。英語で表記するとこの二つが対(つい)の関係にあることがわかるでしょう。日本語訳の限界ですね。

日本の浮世絵の影響を受けた「フランス印象派」の作品が日本で人気が高いのは、ある意味では当たり前といえば当たり前ですが(・・わたしも好きです)、「ドイツ表現派」の愛好者がもっと増えてほしいものと思います。

ドイツ表現主義というと『メトロポリス』や『カリガリ博士』といった映画を連想する人も少なくないと思いますが、映画だけではありません。絵画作品にもすばらしいものが多数あります。

もっとも有名なのがロシア出身のカンディンスキー。そして彼を中心とする「青騎士」(Der Blaue Reiter)という美術グループに参加したいたのがフランツ・マルク(Franz Marc  1880~1916)。芸術を愛し動物を愛した彼が第一次大戦で戦死したのはまことにもって不幸としかいいようがありません。


(Blaues_Pferd 1911 wikipediaドイツ語版より)


フランツ・マルクは「青い馬」を何点も描いてますが、これがもっとも有名な作品。冒頭に掲載したのは、彼の作品をたくさん所蔵しているミュンヘンの「レンバッハハウス美術館」で買い求めたマグネットです。この美術館にはカンディンスキーの作品も多数あります。


(Blaues Pferd 1911 wikipediaドイツ語版より)


このほか「青い馬」を描いた作品は多数ありますが、wikipediaドイツ語版に掲載されている作品を紹介しておきましょう。



(Der Turm der blauen Pferde, 1912/1913 wikipediaドイツ語版より)


2010年に開催された 「カンディンスキーと青騎士」展(三菱一号館美術館)について書いたブログ記事でフランツ・マルクとミュンヘンのレンバッハ邸美術館に触れています。この美術展で私がもっとも見たかったのはフランツ・マルクの「虎」でした。

「青い馬」に「黄色い牛」、そして「虎」。フランツ・マルクの原色を大胆に使った動物画は、何度見てもあきることがない強い印象をもっています。

ことしは第一次大戦が勃発して100年にあたります。1914年7月28日に勃発した世界大戦。この戦争に志願したランツ・マルクは、先にもふれたように1916年3月4日にフランス戦線で戦死します。

「青い馬」は1911年から1913年にかけての作品ですが、その意味では画家としての「晩年」に到達した境地を表しているといえるかもしれません。

日本にも第二次大戦で戦没した画学生たちの作品を集めた「無言館」という美術館が長野県上田市にあります。わたしも一度訪れたことがありますが、戦争のため絵筆を折らざるを得なかった画家たちの無念は筆舌に尽くしがたいものがあります。

フランツ・マルクの作品を見る際にも、ヨーロッパ全体に壊滅的打撃をもたらした第一次大戦における36歳での戦死という事実をアタマの片隅にでも置いてほしいものと思います。


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<関連サイト>

Franz Marc (wikipediaドイツ語版)
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レンバッハ邸美術館(Lenbachhus) (公式サイト ドイツ語)

戦没画学生慰霊美術館「無言館」(長野県上田市)

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