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2019年11月7日木曜日

なんと、こんな季節に千葉県北西部で「野生化」したスイカを発見!(2019年11月7日)


昨日(2019年11月6日)のことだが、仕事で移動中、昼食時間帯に千葉県北西部でとあるコンビニで休憩していたら、同行者が駐車場に隣接する空き地にスイカを発見した。

「ほら、あそこにスイカがあるよ!」
「スイカ? どこに?」
「あそこ、あそこ!」
「ああ、ほんとだ。スイカだねえ。でも、なんでここにスイカが?」



枯れ草がからまっていたので、取り除くと、スイカの形がはっきりと現れた。

小玉スイカくらいの大きさだ(写真参照)。 



スイカは蔓(つる)につながったまま。豚のしっぽのようなというか、カボチャの蔓にも似たスイカの蔓だ。右側にたどっていくと茎にたどりつきた。


まさか栽培目的で、こんな砂利場にわざわざ植えるはずがない。誰かが夏のあいだにスイカを食べて、飛ばしたタネが自然に発芽して実をつけたのだろう、と結論。 ある意味、野生化したわけだ。日本で栽培されているスイカは、タネが「FI」(雑種交配1代)にもかかわらず、発芽して生育した固体があったわけだ。



いやあ、それにしても、スイカには生命力あるなあ! 11月のこんな季節に、こんな場所でスイカに遭遇するとは! スイカの原産地の1つはアフリカ南部のカラハリ砂漠のはずなのだが・・・。今年の日本は(すくなくとも関東地方は)秋でも温暖な天気が続いていたからかな。


(カラハリ砂漠の野生スイカ Wikipediaより)

栽培目的の場合、スイカは病虫害に弱いので、通常はカボチャやカンピョウなど、おなじウリ科の植物の苗に接ぎ木する。このスイカが、病虫害の被害にあってないのはなぜだか
わからない。もともとスイカは強いのだろうか。現在は庭付きの家に住んでないので残念だが、スイカのタネを蒔いて自分でも実験してみたい。

もちろん、このスイカはそのままの状態で放置しておきました。もし熟したら、鳥がついばむのではないかな? その前に初霜が降りるようなことがあったら、完熟する前に枯死してしまうだろうが・・・。









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タイのホテルの朝食はオールシーズン「フルーツ三点セット」-タイのあれこれ(番外編)
・・スイカ、パパイヤ、パイナップル。タイではスイカは小玉サイズかラグビーボール型。地方では道路沿いに積み上げられて販売されえている。

万病に効く!-パパイヤ健康法のススメ

「世界のヒョウタン展-人類の原器-」(国立科学博物館)にいってきた(2015年12月2日)-アフリカが起源のヒョウタンは人類の移動とともに世界に拡がった
・・ヒョウタンもウリ科。スイカもウリ科。ともにアフリカ原産。ヒョウタンは道具として、スイカは水がめとして人類にとって欠かせない。

冬瓜は夏から秋にかけてが収穫期-次から次へと花が咲き実がなるが冬には枯れる

カンボジアのかぼちゃ

ゴーヤ棚はすでに日本の夏の風物詩

ひさびさにカラスウリを見つけた-晩秋になるとオレンジ色に熟したカラスウリが目に入る

『農業全書』に代表される江戸時代の「農書」は、実用書をこえた思想書でもある
・・元禄年間に出版された『農業全書』には、西瓜(すいか)の栽培方法が記載されている。「西瓜、水の多き物なる故、水瓜と云ふにあらず。是もと西域より出たる物也。故に西瓜(てんぢく)の号あり。以下略」。

(2019年11月14日、16日 情報追加)



 
(2019年4月27日発売の拙著です)



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2016年4月9日土曜日

書評『銃・病原菌・鉄 ー 1万3000年にわたる人類史の謎(上・下)』(ジャレド・ダイアモンド、倉骨彰訳、草思社、2000)ー タイトルのうまさに思わず脱帽するロングセラーの文明論


『銃・病原菌・鉄』(ジャレド・ダイアモンド、倉骨彰訳、草思社、2000)は、横断的な領域で活躍する理系の研究者による総合的な歴史「科学」の試みであり、謎解きの書である。人文社会系の歴史書にはない、動植物の生態も含めた「環境」という切り口からの人類史が、日本でも出版以来賞賛されてきたことは周知のとおり。

すでに2000年に日本語訳が出版されてから16年。原著が1997年に出版されてから約20年。わたし自身いつ購入したのか記憶がないが、2000年出版の単行本をずっと積ん読のままにしていたのだった。やっと今回、はじめて通読してみた次第だ。

日本語訳の単行本の上下で600ページを超えるこの本は、最初から最後まで「謎解き」に費やされる。その謎とは具体的な歴史的事実に出現したものだ。ユーラシア大陸の西欧文明と、アメリカ大陸のインカ文明との具体的な接触にまつわる謎である。

1492年にコロンブスが「新大陸」を「発見」してから始まった西欧の爆発的な拡大期、1532年にスペインの征服者ピサロが、インカ帝国の皇帝アタワルパをいとも簡単に捕虜にしてしまった。インカ帝国皇帝は4万人に守られていたのにもかかわらず、ピサロの軍勢はわずか168人(!)だったのだ。その理由は、ピサロがもちこんだ「銃と軍馬」のおかげであった。この事実じたいは比較的よく知られていることだろう。

だが、なぜいとも簡単にインカ帝国は滅亡するに至ったのか? なぜヨーロッパとインカ帝国の立場は逆にならなかったのか?

スペイン人が持ち込んだのは、じつは「銃と軍馬」だけではないインカ帝国を滅亡させたのは「病原菌」であった。ヨーロッパ人が「新大陸」に持ち込んだ天然痘など感染症は、「新大陸」の住民にはまったく免疫がなかったのだ。だから、きわめて短期間のうちに人口の大半が死滅してしまったのである。戦闘における死者よりも、感染症による死亡のほうがはるかに多かったのだ。

だから『銃・病原菌・鉄』というタイトルなのである。「銃・病原菌・鉄」の3つが、ヨーロッパ人が他民族と接触したときに「武器」になったのだ。

タイトルのうまさにはうならされる。タイトルのうまさで売ってきた草思社だが、このタイトルは原著の Guns, Germs, and Steel の直訳である。あまりにもうますぎるタイトルなので、そのまま日本語訳でも活かすことにしたのだろう。翻訳書のタイトルは原著とは似ても似つかないものが多いのにもかかわらず。

(上下のカバーをあわせると一幅の絵画になる)

だがむしろ、副題の「1万3000年にわたる人類史の謎」(原著では The Fate of Human Societies :「人類の諸社会の運命」)のほうが本書の「究極の問い」にかかわるものである。16世紀のピサロ以前の1万3千年を考慮に入れなくてはならないのだ。

「銃・病原菌・鉄」が「直接の要因」であるとしても、その背後にある「究極の要因」を見極めない限り、それを一般化して人類史の謎を解明したことにはならないからだ。特殊事例の説明は可能であっても、それがそのまま一般解にはならない。

「銃と鉄」をさらにパラフレーズすると以下のようになる。銃器や金属加工技術農耕による栽培植物の収穫家畜の飼育、とくに外洋船という海上の運搬・移動手段、そして情報を伝達し保持するためのツールである文字など。「狩猟採集文明」との違いである。

農耕による栽培植物の収穫は「定住」を促し、余剰収穫物が人口拡大を可能とし、生産には直接従事しない権力者と政治機構、さらにはパワーを行使する軍人や、精神活動を規定しお墨付きを与える宗教者など、さまざまな派生分野の活動の経済的基礎となった。これはいわゆる「定住革命」と呼ばれているものの発展形態だ。

「病原菌」は、家畜の飼育という動物と人間との接触と共存から生まれたものだ。ヒトの感染症の大半は家畜由来
のものである。家畜化する動物の種類にめぐまれたユーラシア大陸で感染症の多くが生まれ、その地にする人々に免疫がついていたのはそのためだ。

これらの多岐にわたる要素のいずれにかんしても、ユーラシア大陸の西欧文明は有していたが、アメリカ大陸のインカ文明もアステカ文明も高度文明であったにもかかわらず、有していなかったのだ。


「直接の要因」と「究極の要因」の因果連鎖

以上は、「直接の要因」である。だが、「究極の要因」を押さえておかなければ「謎」が解明したとはえいえない。「なぜユーラシア大陸に発生した文明に優位性が生じたのか?」という究極の問いにかんするものである。


(『銃・病原菌・鉄』単行本上巻のP.125のフローチャート)

ユーラシア大陸がその他の大陸と違うのは、ユーラシア大陸は「東西に拡がった大陸」であるということだ。アフリカ大陸やアメリカ大陸のように、「南北に拡がった大陸」は異なる緯度にまたがっているのだが、「東西に拡がった大陸」は同緯度の地帯が長く続くということを意味している。

緯度のもつ生態系的意味に注目すれば、「肥沃な三日月地帯」という中近東の特定の場所から始まった栽培植物の農耕と家畜飼育が、西はヨーロッパ、東はアジアへと東西方向に伝播したことの意味と、なぜそれが可能だったかが理解できる。「肥沃な三日月地帯」と呼ばれた地帯は、現在の砂漠化した姿とは違って、かつては文字通り緑あふれる肥沃な地帯だった。

栽培できる植物が存在したから、家畜化できる動物が存在したから、そして農耕や家畜にかかわる技術が同緯度の地帯で東西間で伝播が可能だったからこそ、ユーラシア大陸に優位性が生まれたのである。

結論は要約してしまえば、このようにきわめて簡潔なものとなる。

だが、本書は謎解きに重点が置かれた本だ。だから、正直言って冗長な印象をもたざるをえない。同じ話が何度も何度も繰り返されるためだ。一般的に英語のノンフィクションは長いものが多いが、結論を説明するための叙述であれば、半分のページ数で足りることだろう。

個人的な感想を記せば、単行本の上巻の内容はひじょうに刺激的で面白いのだが、下巻の内容はイマイチなのだ。分量的な観点から第3部の途中で上下に分割されているのだが、どうしても下巻の内容には見劣りがある。

下巻でも、ニューギニアでの豊富なフィールドワーク経験をもとにした、太平洋の海域島嶼文明を大きくクローズアップした内容は興味深い。だが、文字や技術、政治機構などにかんする説明はあまり面白くない。この分野にかんするものなら、ほかにも面白い本はいくらでもある。

中国について1章が割かれているが、正直いってあまり面白くないだけでなく、誤った記述も散見される。北方で生まれた同じ文字、すなわち漢字を共有していたが、同じコトバをしゃべっていたわけではないという事実を著者は理解していないようだ。中国大陸の周辺にあって、中国文明との接触の深い日本人からみれば、イマイチわかってないな、と。

これは著者自身の問題設定ではないのだが、「なぜ西欧とはじめて接したインカ帝国はあっという間に滅びたのに、西欧とはじめて接したその他の文明は滅亡しなかったのか?」という問いには必ずしも答えきっているとはいえない。日本人読者の立場からいえば、「なぜ日本はインカ帝国のように滅亡しなかっただけでなく、生き延びることができたのか?」という問いである。

おそらくその理由は、日本の地政学上のポジションがユーラシア大陸の周辺部にあるということに求められるだろうが、それだけでは説明しきれないものがある。著者の議論も含めて、さらに多面的に考察する必要があろう。日本人の研究者による日本語での研究蓄積は、ダイアモンド氏の目には触れていないのだろうが。

本書は著者自身が意図しているように、西欧中心主義からの脱却を目指した内容なのだが、世の中の現実は、西欧文明の影響は依然として圧倒的な存在感をもっていることは否定しようがない。西欧じたいは衰退過程にあるとはいえ、西欧文明の影響を受けた文明が支配的になっているのである。それは日本文明だけでない。現代のイスラーム文明もまた西欧文明の成果を大いに享受している。

ともあれ、この本は冗長な側面もあるが、きわめて面白い内容であることには間違いない。あとは読者が自分なりの問題関心にしたがってどう活用するかにかかっているといえよう。





目 次

日本語版への序文-東アジア・太平洋域から見た人類史

プロローグ ニューギニア人ヤリの問いかけるもの
  ヤリの素朴な疑問
  現代世界の不均衡を生み出したもの
  この考察への反対意見
  人種による優劣という幻想
  人類史研究における重大な欠落
  さまざまな学問成果を援用する
  本書の概略について

第1部 勝者と敗者をめぐる謎
 第1章 1万3000年前のスタートライン
 第2章 平和の民と戦う民との分かれ道
 第3章 スペイン人とインカ帝国の激突

第2部 食料生産にまつわる謎
 第4章 食料生産と征服戦争
  食料生産と植民
  馬の家畜化と征服戦争
  病原菌と征服戦争
 第5章 持てるものと持たざるものの歴史  食料生産の地域差
  食料生産の年代を推定する
  野生種と飼育栽培種
  一歩の差が大きな差へ
 第6章 農耕を始めた人と始めなかった人  農耕民の登場
  食料生産の発祥
  時間と労力の配分
  農耕を始めた人と始めなかった人
  食料生産への移行をうながしたもの
 第7章 毒のないアーモンドのつくり方  なぜ「栽培」を思いついたか
  排泄場は栽培実験場
  毒のあるアーモンドの栽培化
  突然変異種の選択
  栽培化された植物とされなかった植物
  食料生産システム
  オークが栽培化されなかった理由
  自然淘汰と人為的な淘汰
 第8章 リンゴのせいか、インディアンのせいか
  人間の問題なのか、植物の問題なのか
  栽培化の地域差
  肥沃三日月地帯での食料生産
  8種の「起源作物」
  動植物にかんする知識
  ニューギニアの食料生産
  アメリカ東部の食料生産
  食料生産の開始を遅らせたもの
 第9章 なぜシマウマは家畜にならなかったのか
  アンナ・カレーニナの原則
  大型哺乳類と小型哺乳類
  「由緒ある家畜」
  家畜化可能な哺乳類の地域差
  他の地域からの家畜の受け入れ
  家畜の初期段階としてのペット
  すみやかな家畜化
  繰り返し家畜化された動物
  家畜化にしっぱいした動物
  家畜化されなかった6つの理由
  地理的分布、進化、生態系
 第10章 大地の広がる方向と住民の運命
  各大陸の地理的な広がり
  食料生産の伝播の速度
  西南アジアからの食料生産の広がり
  東西方向の伝播はなぜ速かったか
  南北方向の伝播はなぜ遅かったか
  技術・発明の伝播

第3部 銃・病原菌・鉄の謎
 第11章 家畜がくれた死の贈り物  動物由来の感染症
  進化の産物としての病原菌
  症状は病原菌の策略
  流行病とその周期
  集団病と人口密度
  農業・都市の勃興と集団病
  家畜と人間の共通感染症
  病原菌の巧みな適応
  旧大陸からやってきた病原菌
  新大陸特有の集団感染症がなかった理由
  ヨーロッパ人のとんでもない贈り物
    (以上、上巻)
    (以下、下巻)
 第12章 文字をつくった人と借りた人
 第13章 発明は必要の母である
 第14章 平等な社会から集権的な社会へ

第4部 世界に横たわる謎 第15章 オーストラリアとニューギニアのミステリー
 第16章 中国はいかにして中国になったのか
 第17章 太平洋に広がっていった人びと
 第18章 旧世界と新世界の遭遇
  アメリカ先住民はなぜ旧世界を征服できなかったのか
  アメリカ先住民の食料生産
  免疫・技術のちがい
  政治機構のちがい
  主要な発明・技術の登場
  地理的分断の影響
  旧世界と新世界の遭遇
  アメリカ大陸への入植の結末
 第19章 アフリカはいかにして黒人の世界になったのか
エピローグ 科学としての人類史
  環境上の4つの要因
  考察すべき今後の課題
  なぜ中国ではなくヨーロッパだったのか
  文化の特異性が果たす役割
  歴史に影響を与える「個人」とは
  科学としての人類史
訳者あとがき
索引
(*なお、文庫版には「参考文献」がついているとのこと)


著者プロフィール

ジャレド・ダイアモンド(Jared Diamond)
1937年ボストン生まれ。生理学者、進化生物学者、生物地理学者。ハーバード大学で生物学、ケンブリッジ大学で生理学を修めるが、やがてその研究領域は進化生物学、生物地理学、鳥類学、人類生態学へと発展していく。『銃・病原菌・鉄(上)(下)』(倉骨彰訳、小社刊)はそれらの広範な知見を統合し、文明がなぜ多様かつ不均衡な発展を遂げたのかを解明して世界的なベストセラーとなった。カリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部生理学教授を経て、現在は同校地理学教授。アメリカ科学アカデミー、アメリカ芸術科学アカデミー、アメリカ哲学協会の会員にも選ばれている。アメリカ国家科学賞、タイラー賞、コスモス国際賞など受賞は多く、『銃・病原菌・鉄』ではピュリッツァ-賞を受賞している。邦訳書は上記のほかに『セックスはなぜ楽しいか』(長谷川寿一訳、小社刊)『人間はどこまでチンパンジーか?』(長谷川真理子・長谷川寿一訳、新曜社刊)がある。長年にわたってニューギニアでフィールドワークを続けている。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものを再編集したもの)

訳者プロフィール
倉骨彰(くらほね・あきら)
数理言語学博士。専門は自動翻訳システムのR&D。テキサス大学オースチン校大学院言語学研究科博士課程修了。同校で数学的手法による自然言語の統語論と意味論を研究。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)






<関連サイト>

ダイアモンド『銃、病原菌、鉄』2005年版追加章について銃、病原菌、鉄 (山形浩生)

Jared Diamond "Guns, Germs and Steel" Further Readings
・・単行本初版(2000年)に収録されなかった「参考文献」の山形裕生チーム訳、文庫版(2012年?)には参考文献は収録されているとのこと

ダイアモンド『銃、病原菌、鉄』2005年版追加章 (山形浩生訳)
 日本人とは何者だろう?
 2003年版エピローグ
 訳者コメント


<ブログ内関連記事>

「世界の英知」をまとめ読み-米国を中心とした世界の英知を 『知の逆転』『知の英断』『知の最先端』『変革の知』に収録されたインタビューで読む
・・「『知の逆転』(吉成真由美=インタビュー・編、NHK出版新書、2012) の「第一章 文明の崩壊―ジャレド・ダイアモンド」


太平洋の島々

書評 『私は魔境に生きた-終戦も知らずニューギニアの山奥で原始生活十年-』(島田覚夫、光人社NF文庫、2007 単行本初版 1986)-日本人のサバイバル本能が発揮された記録

書評 『南の島の日本人-もうひとつの戦後史-』(小林泉、産経新聞社、2010)-ミクロネシアにおける知られざる日本民族史の一コマ

映画 『コン・ティキ』(2012年 ノルウェー他)をみてきた-ヴァイキングの末裔たちの海洋学術探検から得ることのできる教訓はじつに多い

水木しげるの「戦記物マンガ」を読む(2010年8月15日)
・・ニューギニア・ラバウル線線で視線をさまよった経験をもつマンガ家の水木しげる。爆撃で左腕を失った水木氏は、原住民と深いレベルでの交流をもった人でもある

書評 『学問の春-<知と遊び>の10講義-』(山口昌男、平凡社新書、2009)-最後の著作は若い学生たちに直接語りかけた名講義
・・文化人類学者の山口昌男は、アフリカのつぎにインドネシアの島々で本格的なフィールドワークを行っている


家畜と栽培植物

書評 『馬の世界史』(本村凌二、中公文庫、2013、講談社現代新書 2001)-ユーラシア大陸を馬で東西に駆け巡る壮大な人類史

『新版 河童駒引考-比較民族学的研究-』(石田英一郎、岩波文庫、1994)は、日本人がユーラシア視点でものを見るための視野を提供してくれる本

「近代化=西欧化」であった日本と日本人にとって、ヒツジのイメージはキリスト教からギリシア・ローマ神話にまでさかのぼって知る必要がある

書評 『思想としての動物と植物』(山下正男、八坂書房、1994 原著 1974・1976)-具体的な動植物イメージに即して「西欧文明」と「西欧文化」の違いに注目する「教養」読み物

書評 『あなたのTシャツはどこから来たのか?-誰も書かなかったグローバリゼーションの真実-』(ピエトラ・リボリ、雨宮 寛/今井章子訳、東洋経済新報社、2007)-「市場と政治の確執」のグローバル経済をストーリーで描く
・・商品作物としての綿花(コットン)

「世界のヒョウタン展-人類の原器-」(国立科学博物館)にいってきた(2015年12月2日)-アフリカが起源のヒョウタンは人類の移動とともに世界に拡がった

秋が深まり「どんぐり」の季節に
・・人間にとっての有用植物でありながら栽培植物化されrていないオーク(樫)


■病原菌と感染症

映画 『レイルウェイ 運命の旅路』(オ-ストラリア・英国、2013)をみてきた-「泰緬鉄道」をめぐる元捕虜の英国将校と日本人通訳との「和解」を描いたヒューマンドラマは日本人必見!
・・捕虜の多くは熱帯特有の病原菌のため倒れていった

スワイン・フルー-パンデミック、すなわち感染症の爆発的拡大における「コトバ狩り」について


ユーラシア大陸の特性

梅棹忠夫の『文明の生態史観』は日本人必読の現代の古典である!
・・ユーラシア大陸は東西軸で見る

書評 『「東洋的専制主義」論の今日性-還ってきたウィットフォーゲル-』(湯浅赳男、新評論、2007)-奇しくも同じ1957年に梅棹忠夫とほぼ同じ結論に達したウィットフォーゲルの理論が重要だ

はじけるザクロ-イラン原産のザクロは東に西に
・・栽培植物のザクロはユーラシア大陸の東西軸で伝播


■西欧文明とアメリカ大陸

レヴィ=ストロースの 『悲しき熱帯』(川田順造訳、中央公論社、1977)-原著が書かれてから60年、購入してから30年以上の時を経てはじめて読んでみた

書評 『現代世界と人類学-第三のユマニスムを求めて-』(レヴィ=ストロース、川田順造・渡辺公三訳、サイマル出版会、1986)-人類学的思考に現代がかかえる問題を解決するヒントを探る
・・「文化相対主義」をもたらした人類学的認識が、西洋文明至上主義の終焉に果たした役割は大きい。」

書評 『1492 西欧文明の世界支配 』(ジャック・アタリ、斎藤広信訳、ちくま学芸文庫、2009 原著1991)-「西欧主導のグローバリゼーション」の「最初の500年」を振り返り、未来を考察するために
・・ヨーロッパによる中南米の征服に重点を置いた

(2016年5月3日 情報追加)


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end

2015年6月30日火曜日

西欧中世の聖女ヒルデガルド・フォン・ビンゲンはニンニクを礼賛していた


近所のスーパーでスペイン産のニンニクを売っていたので購入した。闘牛のイラストがなんだか妙に説得力があるね。パワー全開!(笑)  

日本国内で流通している格安ニンニクは中国産が多いが、スペイン産はめずらしい。基本的に国内産愛用の立場から、いつもは青森産を買っているのだが、珍しさもあってスペイン産を試してみることにした。日本国内で流通している塩漬けタネ抜きオリーブは大半がスペイン産だが、ニンニクにもスペイン産があるわけだ。

ニンニクを包んだ網についているタグには San Isidoro  Ajo Santo とある。スペイン語なので、「サン・イシドロ アホ・サント」と読む。

ニンニクはスペイン語でアホ(ajo)。「j」はスペイン語では「x」音。完全に一致ではないが、日本語のハ行の音で代用可能。英語だとガーリック(garlic)なので、ずいぶんと違う印象を受ける。

さらにいえば、雌牛はスペイン語でバカ(vaca)。スペイン語の「v」音は「b」音に同じなので、めずらしく日本人にも発音しやすい。雌牛の群れはバカだ(vacada)というのも、日本語人としては笑ってしまう。

奇しくもこの「スペイン産ニンニク」のタグにはアホとバカが共存している。もちろん、このイラストは雌牛ではなく雄牛っぽいので、バカ(vaca)ではなくトロ(toro)というべきだろうが・・・。

「サン・イシドロ アホ・サント」は、スペインのニンニク生産農家の協同組合のものらしい。

サン・イシドロ(San Isidoro)は、正確には San Isidoro de Sevilla とあるように、スペインのセビーリャの聖イシドールスのことだ。5世紀から6世紀にかけて活躍した「後期ラテン教父」なかで最も重要な神学者の一人。 30年以上セビーリャ大司教を務めた人で、カトリックでは「インターネット利用者およびプログラマー」の守護聖人となっている。

だが、この聖イシドールスとニンニクには直接の関係はなさそうだ。関係があるのは、サン・イシドロという地名だけである。

カトリックの聖者でニンニクと関係があるのは、11世紀から12世紀にかけてのドイツの聖女ヒルデガルド・フォン・ビンゲン(Hildegard von Bingen)である。

(聖ヒルデガルド・フォン・ビンゲン wikipediaより)


『ニンニクと健康』(フルダー/ブラックウッド、寺西のぶ子訳、晶文社、1995)という本には、鉱物学や医学や薬草学など、さまざまな実用的な学問に通じていた神秘家の聖ヒルデガルドによるニンニクの効用が引用されているので、ここに孫引きしておこう。

ニンニクは、健やかな人にも病める人にも健康を与えてくれる。ニンニクは生で食べる方がよい。調理すると効き目が弱くなるからだ。ニンニクを食べても目が痛くなったり、目の周辺の血管が強い刺激を受けたりはしない。むしろ、ニンニクによって目はすっきりする。
身体の血液が暖まりすぎるといけないので、ニンニクは適度に摂るのが望ましい。実際のところ、もしニンニクを食べることを禁止されたら、人の健康と力は失われていく。だが、食品と混ぜて適当な量だけ食べれば、力をとりもどせる。

日本の禅寺には、「不許葷酒入山門」(=葷酒、山門に入るを許さず)と彫られた石柱が立っていることが多い。ニンニクなどの刺激物は摂取が禁じられていたのは、男子出家僧中心の僧坊が女人禁制であったことと関係がある。刺激物は修行の妨げとなるからだ。ベネディクト会系の女子修道院長であった聖ヒルデガルドの発言とは真逆なのが興味深い。しかもナマで食べる方が良い、だとは。

ニンニクといえは吸血鬼ドラキュラという連想があるが、ドラキュラはバルカン半島のルーマニア地方の伝説である。ニンニクはドラキュラの天敵だが、じつは栽培にあたっては、コンパニオン・プランツ(companion plants)として、どんな植物とも相性がいいようだ。

もともと和食ではネギ以外の薬味はあまり使用されず、ニンニクを食べる習慣はなかった。中国人や韓国人との大きな違いである。肉食民族と魚食民族の違いというべきか。いまでは中華料理や韓国料理の普及、食の洋風化、とくにイタリア料理の普及にともなって、家庭でもニンニクは常用されるようになっている。

いまでも匂いがきつい、口臭が心配だという日本人が多いが、ニンニクを食べないのはもったいない。「もしニンニクを食べることを禁止されたら、人の健康と力は失われていく」という聖ヒルデガルドの発言を想起したいものだ。へんなサプリなんかより、はるかに効くはずだ。






<関連サイト>

天才レシピ「バカのアホ炒め」
・・料理研究家・平野レミ氏のレシピ 「スペイン語でバカは牛。アホはニンニク。バカみたいに簡単にできるのに、アホみたいに美味しい、天才的なレシピです。ごはんにのっけてもよし。パスタにのっけてもよし。平野レミの大ヒット・レシピのひとつです。」

(2015年7月15日 項目新設)


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邱永漢のグルメ本は戦後日本の古典である-追悼・邱永漢

『檀流クッキング』(檀一雄、中公文庫、1975 単行本初版 1970 現在は文庫が改版で 2002) もまた明確な思想のある料理本だ
・・「この全篇をつらぬく主張が、「あるものは何でも使い」「ないものはないですませるに限る」調理思想だという、そのことの重大さが、次に問題にされなければならない。 檀氏は、少なくとも「食」に関して、われわれに身近な民族でいえば、中国人にこそ最も近い人物であるだろう。・・(中略)・・本書を通じて、味の引き出し方の基本が、ニンニクとショウガ、そしてしばしばネギでおこなわれるのも檀氏の「中国」的ホンネをほうふつさせるが、「ない材料(もの)はなくて済ませるに限る」たくましい思想を根強く生ませたのかもしれない、とかんがえることは大事だと思う。」(荻政弘氏による解説より)


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2015年6月29日月曜日

ネギ坊主はネギの花


ネギ坊主はネギの花だ。5月から6月にかけてネギ畑で見ることができる。

ネギ坊主ができてしまうと、そのネギは食用できなくなるのだが、ネギの花はやがて実をむすぶ。ネギ農家がタネを取るために、あえて放置させたからネギ坊主が出現するのである。

ネギの学名は Allium fistulosum、原産地は中国西部や中央アジアとあるが、日本では古来から薬味として使用されてきた。

ネギ坊主というと、ロシア正教の寺院を想起するが、あながち無縁でもないようだ。

先に中国西部や中央アジア原産と書いたが、文豪ゲーテが訪れたこともある、かの有名なイタリアのパドヴァ植物園の一角にはネギも栽培されており、そこにはシベリア原産と書いてある。この写真は、わたしがパドヴァ植物園を訪れた際に撮影しておいたものだ(下掲の写真)。

(パドヴァ植物園のネギ)

薬味として日本人の食事に欠かせないネギ。新鮮なネギを切るとネバネバしていることからわかるように、滋養強壮の精力材でもある。

この季節に咲く花は多々あるが、ネギもまた生命をつないでいくために花を咲かせ実をつけることにも関心を払っておきたいものだ。

ネギは、タネから栽培するのである。




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2015年6月10日水曜日

花菖蒲(ハナショウブ)は日本人が育ててきた美しい梅雨時の花

(花菖蒲 個人宅の庭先にて)

6月の花といえばハナショウブ。漢字で書くと「花菖蒲」。すでに5月から咲いていますが、梅雨時の花といっていいでしょう。

「菖蒲湯」というと、5月5日の端午の節句がらみのものですが、こちらは花ではなく、菖蒲の根や葉をいれて沸かしたお風呂のこと。わたし自身は、菖蒲湯につかったことはありませんが、菖蒲というとこちらを想起する人が少なくないかもしれません。

首都圏で「花菖蒲」を楽しめる場所といえば潮来(いたこ)の水郷がありますが、東京都内であればなんといっても堀切菖蒲園でしょう。東京の下町・葛飾区にある菖蒲園です。京成電鉄の駅の名前にもなっています。寅さんで有名な柴又にも近い。

(堀切菖蒲園にて 筆者撮影)

堀切菖蒲園には7年前の6月に訪れたことがあります。現在では周りを高速道路や建物に囲まれた一角に菖蒲園がありますが、花菖蒲の種類の多さにはほんとうに驚かされます。日本に自生する菖蒲ですが、日本人が長い年月をかけて品種改良を重ねてきたわけです。

花をめでる気持ちには共通するものがある、というよりも、やはり日本人の美に対するあくなき追求が、美しい花菖蒲を育ててきたのと思います。『江戸のガーデニング』(青木宏一郎、平凡社コロナブックス、1999)によれば、花菖蒲はとくに幕末以降に一般的な流行が始まったようです。

ハナショウブが広く庶民の支持を得たのは、何といっても幕末に入ってからだ。花の観賞の仕方もそれまでとは一変している。従来は単体の花を眺めて、花自体の美しさを鑑賞していたと思われるが、幕末のハナショウブに関してはまとまった群落をより自然に近い環境の中に置いて、周辺の景色と一書に眺めて楽しむという方向に変化していった。 (出典;『江戸のガーデニング』P.98)

堀切菖蒲園は1844年(弘化元年)頃から人気スポットとなったようだですが、その当時の姿は広重が浮世絵として取り上げられています。周辺の状況は、170年後の現在では一変してしまっていますが・・・

(歌川広重  名所江戸百景「堀切の花菖蒲」)

日本の花菖蒲は、東南アジアの蘭の花と並び称されるものだといっていいのではないかな、と個人的には思っています。なぜなら花の形や色に似ているものがあるから。ともに熱心なファンがいるから。

オーキッド(=蘭)はタイやシンガポールなど熱帯性気候の東南アジアで栽培されています。日本で栽培する場合、温室など特別な施設とケアが必要です。

それに対して、ジャパニーズ・アイリス(=花菖蒲)「の場合は、蘭ほどのケアは必要ではないので栽培は比較的簡単です。そもそも日本には自生している植物です。そのため、蘭にくらべてエキゾチックさがないこともあって、やや軽視されがちなのかな、と残念な気持ちがなくもありません。

温室内ではなく、日本の自然環境のなかで育ち、花を咲かせる花菖蒲。この季節にはぜひ楽しみたいものですね。







<関連サイト>

堀切菖蒲園のご案内 (ほりきり発見伝)


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すでに5月にアジサイの花-梅雨の時期も近い

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2015年6月9日火曜日

「よもぎ」は雑草か?ー 価値観が反映するものの見方について


よもぎ餅の「よもぎ」。植えたわけでもないのに、そこらへんにいくらでも生えている「よもぎ」。みなさんんも身の回りにも、かならず生えているはずですよ。日本に自生している植物です。

「よもぎ」は食用で薬用の植物でもありますが、有用性を感じない人にとっては、雑草以外のなにものでもないでしょう。きわめて繁殖力の強い、生命力の強い植物です。

雑草とそれ以外の違いって、はたしてあるのでしょうか?? 

「自然界には雑草なんて存在しない、人間が勝手に分類しているだけだ」。かつて昭和天皇がこのような趣旨のことを語られていた、どこかで読んだことがあります。

生物学者で、那須の御用邸周辺の植物についてのご著書もある昭和天皇らしい発言です。考えてみれば、当たり前と言えば当たり前の話ですね。とはいえ、なかなか一般の「常識人」からはでてこない発想です。

歴代の天皇には、つぎのような歌を詠まれた方もおられます。

君がため 春の野に出でて 若菜摘む
我が衣手に 雪は降りつつ

『古今集』に集録された光孝天皇御製です。第58代で9世紀の人。じっさいに若菜を摘まれたのかどうか、レトリックに過ぎないのかもしれませんが、山菜採りの光景を歌に詠まれたものです。百人一首にも選択されています。

栽培現場をしらない現代の消費者は、とかく人間の手が入った栽培植物以外は「雑草」とみなしがちです。山菜もまた、自分で採取するよりも、流通経路を通ったものをおカネを出して買うことが大半でしょう。

有用な食用植物か、たんなる雑草か? おなじ植物であっても、それを見る人によって価値が変わってくる。しかしながら、植物自身は人間の考えなど関係なく存在し、生命をつないでいく。雑草かどうかは、あくまでも人間の価値判断の反映でしかありません。

そんなことを考えてみるのも、たまには必要かもしれません。





<関連サイト>

よもぎ研究所のウェブサイト
・・「よもぎ」にかんする情報が満載


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世の中には「雑学」なんて存在しない!-「雑学」の重要性について逆説的に考えてみる

書評 『思想としての動物と植物』(山下正男、八坂書房、1994 原著 1974・1976)-具体的な動植物イメージに即して「西欧文明」と「西欧文化」の違いに注目する「教養」読み物


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