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2015年12月3日木曜日

「ワイン展-ぶどうから生まれた奇跡-」(国立科学博物館にいってきた(2015年12月2日)-ワインの全体像を知る「博物誌」



国立科学博物館で開催中の「ワイン展-ぶどうから生まれた奇跡-」にいってきた(2015年12月2日)。日本でもワインが日常化したいま、ワインの全体像を知るためには格好の企画展といえるだろう。

この企画展は、国立科学博物館での開催ということに意味がある。ワインの文化や歴史だけでなく、ブドウの栽培やワイン醸造といった面まで含めたものだからだ。いわば「ワインの博物誌」的な展示時内容となっている。

会場構成は三部構成である。「Zone 01 ワイナリーに行ってみよう」、「Zone 02 ワインをもっと楽しむ」、「Zone 03 ワインの歴史」である。

まずは、原料としてのブドウとその栽培から始まる。博物館の内部でワイナリーを体験してみるコーナーでは、ワインづくりの各プロセスを知る。ブドウを破砕するブドウ踏みの体験コーナー(・・ただしゴム製のブドウ)、ブドウ果汁を発酵させるための酵母についてなど、ワイン醸造にかかわる自然科学的なアプローチが興味深い。

(ブドウ踏みの体験コーナーにて 足は筆者)

ワインの歴史コーナーでは、コーカサス地方で誕生したワインが、西は地中海世界を中心に拡がり、東へはシルクロードをつうじて拡がったことが示される。

古代ギリシアの壷絵やオリエントの酒盃、シルクロードを経由しての東洋への普及などに関する展示は興味深いが、ワインを飲んでいるシーンが描かれている絵画作品の展示などがあってもよかったのではないかな、と思う。美術館とのコラボである。

ワインを楽しむコーナーでは、ワインの香りを構成するさまざまな香りを成分ごとに嗅ぐことのできるコーナーなど五感をつうじた体験ができるようになっている。

(ポスター裏面の会場案内図)

ただ、じっさいにワイナリーを訪問し、醸造プロセスを見学した経験のある人にとっては物足りないのではないかな、と思う。五感をつうじた体験を目指しているのだが、子どもも入場可能な博物館である以上、アルコール臭があってはまずいだろうし、ワイナリー内にあわせた室内気温設定も難しいだろうから。

さらにいえば、「パンとぶどう酒」を重視するキリスト教についてのくわしい解説がほしかったところだ。キリスト教とワイン、とくに赤ワインは、切っても切り離せない関係にあるからだ。

企画展としてなかなか工夫されていると思うが、こういう展示は企業博物館の常設展示のほうがふさわしいのではないかな、という気もする。

とはいえ、会場で販売している「ワイン展公式ガイドブック」は、展示内容を縦長のおしゃれな装丁のガイドブックにまとめたものでよくできている。このガイドブック(1500円)は、「ワインの博物誌」として購入しておくとよいと思う。


わたしとワイン(つけたし)

生まれていちばん最初に飲んだのは、「ワイン展」にポスターが展示されていたが、かつての日本人の多くがそうであったように、子どもの頃クリスマスの日に家族で飲んだ「赤玉ポートワイン」である。

それからしばらくは飲んでいなかったが、社会人になってから、1980年代後半から本格的に飲むようになった。

社会人になってから入った会社で販売実習があったとき、百貨店の地下食品売り場(・・いまっではデパ地下という)のワイン売り場に配属となったわたしは、1週間の研修が終わる際にベテラン販売員さんにワイン入門として1ダース分のワインをセレクトしてもらった。それからわたしのワイン人生が始まる。

その後は、世界各地で生活のなかに溶け込んでいるワインを味わってきたし、ワイナリーもいくつか見学し、試飲も楽しんできた。日本の甲府や小諸だけでなく、カリフォルニアのナパバレー、オーストラリアはシドニー郊外など。とくに、欧州のスロヴェニアでは日本の輸入業者の方と一緒にワイナリーめぐりをしている。

ワインといえば赤と決めている。もともと赤ワインばかり飲んできたのだが、あるとき健康診断結果の説明をする医者から、「善玉コレステロール不足なので、赤ワインを飲んだらよい」と薦められたワインは飲み物であり、クスリでもあるわけだ。まさに、「酒は百薬の長」でありますね。

プリン体を気にしなくてはならないビールよりも、ポリフェノールが豊富な赤ワインのほうがよいのだ。「ワイン展」でも「フレンチ・パラドックス」の説明がボードで掲載されていたが、濃厚な食事を好むフランス人に健康な人が多いのは赤ワインのおかげだというのは、実証されていないとはいえ説得力がある。

最近では、コストパフォーマンスを考えれば、ビールよりも南米のチリ産を中心とした、いわゆる「新世界ワイン」のほうがよい。円安であるのにもかかわらず、つまり安くてうまいワインが日本でもおおいに普及している。家飲みワインは格好つける必要はないので、「ハウスワイン」とすればよい。

もちろん、ワイン以外の酒も飲みますよ。かつてに比べたら、飲む量は減っているとはいえ。





<関連サイト>

ワイン展-ぶどうから生まれた奇跡-」(国立科学博物館)開催概要


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2015年10月4日日曜日

ウニクム(unicum)は、ハンガリーの "養命酒" で "国民酒"

wikipediaドイツ語版より)


ウニクム(unicum)は、ハンガリーの "養命酒"。独特のズングリした丸いボトル。丸いというより球体というべきか。アルコール度数40℃のハーブ酒である。甘苦いというか、苦甘いリキュールである。

ハンガリーといえば、明治天皇にも献上されたという、甘い白ワインのトカーイ(Tokaji)が日本でも知られているが、ウニクムはハンガリーの "国民酒" といってもいいだろう。ボトルの下部にある ZWACK(ツヴァック)とは醸造業者の名前である。

ハンガリーなら、いたるところに「ウニクムあります」という看板(下の写真)がでているし、スーパーマーケットでもひときわ目立つコーナーで当たり前のように販売されている。アペリティフ(=食前酒)として消化促進のためにも飲まれる、という。二日酔い対策にもなるというが、その用途は試したことはない。


(ギリシア料理店の店頭 ハンガリーにて筆者撮影)


滋養強壮を目的とした薬用酒といえば、日本では沖縄のハブ酒がある。猛毒性の蛇ハブを泡盛に漬け込んだもの。ハンガリーのウニクムはハーブ酒。ダジャレというわけではないが、なんとなく味はハブ酒と似ている。

ポーランドのウォッカのズブロッカ(Żubrówka)には薬草のバイソングラスが漬けられているが、ハンガリーのウニクムは薬用のハーブを40種類以上も漬け込んで、オークの樽で熟成されるのだそうだ。もちろん、レシピは秘伝中の秘伝とのことだ。

わたしは前回ハンガリーに行った際にスーパーマーケットで購入したものを、ときどきチビチビやっているが、そんなウニクムが並行輸入品として日本でも購入できることを知った。ありがたい。

みなさんも一度は試してみるといいでしょう。


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<関連サイト>

Unicum (wikipedia英語版)

Zwack Facebook Page (英語版)


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2014年4月5日土曜日

in vino veritas (酒に真理あり)― 酒にまつわるブログ記事 <総集編>

(ブルゴーニュはシャトー・ド・ポマールの日時計 wikipedia英語版より)


in vino veritas (イン・ヴィーノ・ヴェーリタース)という格言がラテン語にある。直訳すれば「酒に真理あり」。意味はあえて解説するまでもないだろう。酔えばホンネが出る、ということだ。

ただし酒といってもワイン(vino)である。だから正確には「ワインのなかに真理あり」、だ。ラテン語世界においては古代ローマ世界も中世カトリック世界も、ワインが酒であったわけだ。だからワインをもって酒を代表させる。

ヴェーリタース(Veritas)はハーバード大学のモットーにもあるので知っている人も少なくないだろう。ラテン語には長母音があるので、ヴェーリタースとなんだか間延びした発音になってしまうのだが。

in vino というフレーズは文字でも音でも in vivo という表現を連想させる。n と v という一字の違いだが。

医学実験用語で「生体」を意味する表現だ。試験管(=実験用ビーカー)を意味する in vitro と対語(ついご)になっている。 in vitro は文字通りの意味は「ガラスのなか」。酒にひきつければ「グラスのなか」でもある。

こじつけというわけではないが、 vino と vivo は深い関係がある。ワイン(=酒)は命、である。

「酒は命」だと叫ぶのは酔っ払いだろうが、じっさいに「命の水」という表現がある。ロシアのウォッカはよせい正確に表記すればヴォートカ(vodka)だが、vod には命の意味がある。北欧のアクアヴィット(aquavit)は文字通り命(vit)の水(aqua)、フランス語の eau de vie(命の水)はブランデーなどの蒸留酒を指している。

木下杢太郎の「五月の詩(うた)」という詩にも「オードヴィー」として登場する。


(カラヴァッジオによるローマ神話の酒の神バッカス wikipedia より)



「酒に真理あり」はもともと古代ギリシアからローマ世界へ

ラテン語の in vino veritas(酒に真理あり)の出典はエラスムスらしい。15世紀から16世紀にかけてのオランダの人文学者当時の大知識人である。『Adagia』(Erasmus Adagiorum Chiliades, Libertas)という本は、1500年にパリで出版された『ギリシア・ラテン格言集』である。その本にギリシア語の格言としてでてくるのだそうだ。  

もともとは古代ギリシアにさかのぼるものであるようだ。エラスムスの『痴愚神礼讃』には、沓掛良彦氏のラテン語原典からの新訳(中公文庫版)にはつぎのような一節がある。

それに真実以上に称賛されているものがほかにありましょか? プラトンに登場するアルキビアデスが引いている諺では、真実が語られるのは酒と子供の口によってである、とされておりますが、この称賛は、なんといってもこの私がそっくり頂戴すべきものです。(P.92) *太字ゴチックは引用者=さとう

語っているのは「痴愚女神」という設定である。沓掛氏の注釈によれば、「アルキビアデスが引いているのは、「酒は子供抜きでも、子供を入れても真実の事を語るもの」、だそうだ(P.263)。ギリシア語の原文は書いてないのでわからないが、アルキビアデスはソクラテスの年若い友人でプラトンの対話編にも登場するイケメン政治家で軍人ある。

『食べるギリシア人-古典文学グルメ紀行-』(丹下和彦、岩波新書、2012)という西洋古典学の研究者が一般向けに執筆した教養書があるが、「Ⅱ 酒のなかに「真」あり-抒情詩人に浮かぶ人の世」には、第4章は「酒の歌、恋の歌-酒仙詩人列伝」と「第5章 二日酔いにはキャベツ-英雄たちも飲んだ水割りワイン」という章が設けられている。酒食はセットでなければならないからね。

同書によれば、「酒に真理あり」は「エン・オイノー・アレーテイア」(Ἐν οἴνῳ  ἀλήθεια) である。ゼノビオス(紀元後二世紀)のことわざ集にあるという。ギリシア語の「アレーテイア」はラテン語の「ヴェリタース」に該当する。ワインはギリシア語で「オイノス」

このフレーズを『ギリシア・ラテン引用句辞典 新増補版』(岩波書店、1963 初版 1937)でみておこう。


(『ギリシア・ラテン引用句辞典』 P.41より)


『ギリシア・ラテン引用句辞典 新増補版』には、別の出典がある。ギリシア語の部に「愛しき子よ、酒と真理 と言はる; 酒に真理あり」(Theokr. Idyllia, ⅩⅩⅠⅩ, 1)とある。テオクリトスの『牧歌』のこと。また、アルカイオスの『断片』にもまったく同じ句がある。


(『ギリシア・ラテン引用句辞典』 P.83より)


「酒が体内に入るとき、言葉は流れ出づ」というフレーズはヘロドトスのもののようだ。歴史学の父ヘロドトスである。

『ギリシア・ラテン引用句辞典 新増補版』のP.83 には古典ギリシア語の「酒」(οἶνος オイノス)にまつわる格言が約1ページまるまる収録されているので面白い。

『ギリシア・ラテン引用句辞典 新増補版』は、旧字旧仮名なので古色蒼然としているが、1937年(昭和12年)の出版物なので味のある辞典である。長期品切れなのが残念だ。西洋社会でも古典語教育が行われなくなったので需要自体が減少しているのだろうか。




わたしは大学時代にの1963年の「増補」を購入したが、増ページによる増補なので、使いにくいのが問題だ。徹底的に改定してデジタル版にしたらよいのではないかと思う。

「酒に真理あり」は、古代ギリシアや古代ローマに限らず、ユダヤ教の『タルムード』、古代ペルシアにも見られるということだ。漢文では「酒後吐真言」というそうだ。なるほど、漢字が読めるとこういうときは助かるな。「真言」というフレーズが興味深い。



「酒に真理あり 水に健康あり」

in vino veritas にはじつは続きがある。 in aqua sanitas.である。「水に健康あり」だ。

英語では In wine there is truth, in water there is health. ドイツ語では Im Wein liegt die Wahrheit, im Wasser liegt die Gesundheit. と英語とまったく同じ意味。というより、もとのラテン語が同じだからだが。

だがフランス語では la vérité est dans le vin と上の句だけだという。ウソかホントか知らないが、なんだかフランスらしい。イタリア語は nel vino è la verità、スペイン語は en el vino está la verdad と、もとのラテン語から俗語への変化を楽しめる。

アルコール度数のきつい蒸留酒にはチェイサー(chaser)が必要。口直しの水のことだ。蒸留酒をチィス(追う)からチェイサー。だから、「酒に真理あり 水に健康あり」。

そうじゃなくても、朝起きたらまずは水を飲む「水に健康あり」ですからね。



<参考文献>

『食べるギリシア人-古典文学グルメ紀行-』(丹下和彦、岩波新書、2012)
『パンとワインを巡り神話が巡る-古代地中海文化の血と肉-』(臼井隆一郎、中公新書、1995)
『ワイン物語(上)-芳醇な香りと世界史』(ヒュー・ジョンソン、小林章夫訳、平凡社ライブラリー、2008) ・・ワインは少なくとも5000年前にグルジアで生まれ黒海ルートでギリシアに伝わた(P.34~37) 




(ブルゴーニュはシャトー・ド・ポマールの日時計 wikipediaイタリア語版より)


<ブログ内関連記事>

ブログに書いた酒にまつわる記事を一覧できるようにしておこう。

それにしても、書きも書いたりという感じだ。これからも、まだまだ書くことだろう。最近はあまり酒は飲まないのだが、うまいもの食ってうまい酒を飲む楽しみは健康である限り、つづけていくことは間違いないからだ。

もちろん、なにも食べない、なにも飲まない断食という究極のぜいたくもまた。


総論

「生命と食」という切り口から、ルドルフ・シュタイナーについて考えてみる
・・英語に You're what you eat. という格言があるが(・・もとはドイツ語)、You're what you drink. と付け加えるべきであろう。飲食は切り離せない。

Παθηματα, Μαθηματα (パテマータ・マテマータ)-人は手痛い失敗経験をつうじて初めて学ぶ


ヨーロッパのワイン・ビール・蒸留酒

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書評 『ボルドー・バブル崩壊-高騰する「液体資産」の行方-』 (山本明彦、講談社+α新書、2009)-ボルドー・ワインにみる世界経済のいま

映画 『大統領の料理人』(フランス、2012)をみてきた-ミッテラン大統領のプライベート・シェフになったのは女性料理人

「リスボン大地震」(1755年11月1日)後のポルトガルのゆるやかな 「衰退」 から何を教訓として学ぶべきか?

「スペイン料理」 の料理本を 3冊紹介

『ベルギービール大全』(三輪一記 / 石黒謙吾、アートン、2006) を眺めて知る、ベルギービールの多様で豊穣な世界

IKEA (イケア) で北欧ライフスタイル気分を楽しむ-デフレ時代の日本に定着したビジネスモデルか?
・・スウェーデンビールとスウェーデン産のじゃが芋焼酎であるアクアヴィット(aquavit:命の水、スピリッツ 40%)

ドイツの「ビール純粋令」(1516年4月23日発布)から本日で500年

書評 『ニシンが築いた国オランダ-海の技術史を読む-』(田口一夫、成山堂書店、2002)-風土と技術の観点から「海洋国家オランダ」成立のメカニズムを探求

ウニクム(unicum)は、ハンガリーの "養命酒" で "国民酒"


日本の酒

味噌を肴に酒を飲む

「泥酔文化圏」日本!-ルイス・フロイスの『ヨーロッパ文化と日本文化』で知る、昔から変わらぬ日本人

秋空の下、BBQを楽しむ joie de vivre(生きる喜び)

ひさびさに隅田川で屋形船を楽しむ-屋形船は東京の夏の楽しみ!

『izakaya: The Japanese Pub Cookbook』(=『英文版 居酒屋料理帖』)は、英語で見て・読んで・楽しむ「居酒屋写真集」+「居酒屋レシピ集」

書評 『ホッピーで HAPPY ! -ヤンチャ娘が跡取り社長になるまで-』(石渡美奈、文春文庫、2010 単行本初版 2007)

"昭和ノスタルジー"な一夜・・・船橋漁港直送 「いわし料理 ふなっ子」にて

幻の芋焼酎・青酎(あおちゅう)を飲んで青ヶ島の苦難の歴史に思いをはせ、福島の苦難について考える

ユダヤ教の「コーシャー」について-イスラームの「ハラール」最大の問題はアルコールが禁止であることだ
・・日本酒の「獺祭」(だっさい)の国際展開とコーシャー認証取得

「馬」年には「馬」肉をナマで食べる-ナマ肉バッシングの風潮のなか、せめて「馬刺し」くらい食わせてくれ!

ルカ・パチョーリ、ゲーテ、与謝野鉄幹に共通するものとは?-共通するコンセプトを「見えざるつながり」として抽出する
・・芋焼酎の銘柄「鉄幹」に名をとどめる与謝野鉄幹は与謝野晶子の配偶者としてだけではなく、、恋と情熱と革命(志向)の詩人として記憶にとどめたい


東南アジア

タイのあれこれ (13) タイのワイン

タイのあれこれ(5)-ドイツ風ビアガーデン

「タイガー・ビア」で乾杯!!

ミャンマー再遊記 (4) ミャンマー・ビアとトロピカルフルーツなどなど


中近東とコーカサス、ロシア

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『イスラエルのハイテクベンチャーから学ぶ会』」に参加-まずはビジネスと食事から関心をもつのがイスラエルを知る近道であろう
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飛んでウラジオストク!-成田とウラジオストクの直行便が2014年7月31日に開設
・・ロシアのウオッカ(=ヴォートカ)


飲み過ぎという「習慣の奴隷」が招くもの

マンガ 『アル中病棟(失踪日記2)』(吾妻ひでお、イーストプレス、2013)は、図らずもアル中病棟で参与観察型のフィールドワークを行うことになったマンガ家によるノンフィクション

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2013年9月11日水曜日

幻の芋焼酎・青酎(あおちゅう)を飲んで青ヶ島の苦難の歴史に思いをはせ、福島の苦難について考える



「青酎」(あおちゅう)はボトルがグリーンですが、名前は「青酎」。芋焼酎ですが鹿児島のものではありません。

青ヶ島の芋焼酎だから「青酎」なのです。アルコール度数は 35度、けっこうきついです。ロックで飲むと、サツマイモの香りが香ばしくててじつにうまい!

青ヶ島は、東京都に所属する離島。伊豆諸島にあります。ずいぶん前になりますが、20数年前に一度だけ訪れたことがあります。

竹芝桟橋からフェリーで三宅島経由で八丈島へ10時間。八丈島からは漁船タイプの小型の高速艇で約2時間半で青ヶ島に到着しますが、晴れていたのにもかかわらずものすごい揺れで船酔いになりそうなのをこらえながらの旅でした。

ところが青ヶ島は港まで断崖絶壁が迫っており、しかも波が高くて接岸がむずかしいので、船に乗り降りするのがじつにたいへんなのです。バランス失うと海に落ちてしまいます。港には荷揚げ用の小さなクレーンも設置されています。

島ではじめて知ったのが、この「青酎」。漁業と農業、そしてお役所と公共事業以外には、これといって産業のない青ヶ島は、正真正銘の離島なのです。緊急用のヘリコプターは設置されていますが。

観光資源といえば、絵に描いたように典型的なカルデラ型の噴火口と温泉くらいでしょうか。噴火口があるといことは火山であることを意味しています。青ヶ島は過去になんども噴火して島民は苦労してきました。

とくにたいへんだったのが江戸時代の安永年間(18世紀末)の噴火による島民の八丈島への全島避難なんと全島避難から39年後(!)に島民の青ヶ島への帰還が実現したのですが、これについては民俗学者の柳田國男が「青ヶ島還住記」という随筆で詳細に語っています。

30年が一世代であるとすれば、39年といえば孫の世代になってしまいますが、それでも青ヶ島の住民は帰還の道を選んだのです。


青ヶ島の旅から戻ったあと図書館で借りてコピーしたものが、先日のことですが偶然のことに書庫のなかからでてきました。『定本 柳田國男集第一巻』(筑摩書房、1963)収録の『島の人生』の一篇です。

その中心になるのは「青ヶ島のモーゼ」と呼ばれた佐々木次郎太夫(ささき・じろだゆう・・・)という人物です。モーゼとは言うまでもなく「モーゼの十戒」のモーゼ、ユダヤ民族をエジプトから約束の地まで導いた実在の人物です。

青ヶ島の「還住」(かんじゅう)については、すぐに読める文章がネットにあります。wikipedia の「還住」の内容を引いておきましょう。

伊豆諸島の青ヶ島で、安永9年(1780年)に始まった噴火活動が天明5年(1785年)になって激しさを増したため、島民が八丈島に避難して無人島になった後、文政7年(1824年)の旧青ヶ島島民全員の帰還、そして島の復興を達成し、天保6年(1835年)に検地を受けるまでの経過・・(以下省略)・・

「3-11」で「集団移住」を強いられた福島の方々。江戸時代には、青ヶ島の歴史という先行例があるのです。「青ヶ島還住記」は柳田國男全集に収録されているので、ぜひ機会をつくって読んでみてほしいと思います。

地震と噴火は火山列島に住む日本人にとっては避けて通ることのできない宿命です。東京都に属する伊豆諸島では、大島や三宅島もまたなんども避難を余儀なくされてきた歴史をもっています。

もちろん原発問題は地震と津波そのものの被害というよりも二次被害に近いものではありますが、青ヶ島の島民が39年(!)かけてでも帰還の道を選択したという事実は心にとめておきたいものです。

福島には「島」というコトバが含まれています。日本には鹿児「島」や広「島」、宇和「島」など陸地にあっても「島」という文字をふくんだ地名が多いのは、「島」というコトバにはもともとテリトリー(=領域)という意味があったためでしょう。

だから福島のみなさんも、おなじ「島」としての青ヶ島の事例をぜひアタマのなかにいれておいていただくとよろしいかもしれません。まだ21万5千人の方々が避難生活を送られているという事実に心が痛みますが、広「島」も復活し、青ヶ「島」も還住に成功したわけです。

「帰還」はあきらめてはならないのです。思い続けていれば必ず実現する日は来るのです。


PS 本日(2013年9月11日)は2011年の「9-11」から12年、かつ2001年の「3-11」から2年半にあたる日ですが、ポジティブな話題を提供したいと思い青ヶ島の「環住」について書いてみました。








<関連サイト>

青ヶ島酒造合資会社 (青ヶ島の「青酎」の製造元)
・・購入先はネットで「青酎」で検索されるといろいろでてきます。下記は一例です。




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矢崎総業がサモア島でワイヤハーネスの現地工場を操業していたとは知らなかった・・・

書評 『平成海防論-国難は海からやってくる-』(富坂 聰、新潮社、2009)-「平成の林子平」による警世の書

書評 『尖閣を獲りに来る中国海軍の実力-自衛隊はいかに立ち向かうか-』(川村純彦 小学館101新書、2012)-軍事戦略の観点から尖閣問題を考える

ルカ・パチョーリ、ゲーテ、与謝野鉄幹に共通するものとは?-共通するコンセプトを「見えざるつながり」として抽出する

ひさびさに隅田川で屋形船を楽しむ-屋形船は東京の夏の楽しみ!

We're in the same boat. 「わたしたちは同じ船に乗っている」

ノラネコに学ぶ「テリトリー感覚」-自分のシマは自分で守れ!

(2014年9月1日 情報追加)


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