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2018年1月16日火曜日

JBPress連載コラム17回目は、「アル中だったブッシュと、一滴も飲まないトランプ-新年会シーズンにあえて「禁酒」について考えてみる」(2018年1月16日)


JBPress連載コラム17回目は、「アル中だったブッシュと、一滴も飲まないトランプ-新年会シーズンにあえて「禁酒」について考えてみる」(2018年1月16日)
⇒ http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52058

本日(1月16日)は「禁酒の日」です。

といっても、日本は「新年会シーズン」の真っ盛りであり、飲酒の機会も多い。そう考えると、あまりにもタイミングが悪い。日本での認知度がきわめて低いのも当然でしょう。

そこで今回は、あえてこの時期に「禁酒」について、米国を中心に歴史を踏まえながら考えてみたいと思います。

悪名高い「禁酒法」がなぜ米国で断行されたのかアルコール依存症を克服したブッシュ(ジュニア)大統領とアルコールは一滴も飲まないトランプ大統領、といったエピソードを踏まえて、「禁酒」について考えます。

新年会で飲むことになっている人も、少しは酔いを醒ますことになる内容かも知れません。

次回の公開は、2週間後の1月30日(火)です。お楽しみに!







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2015年12月3日木曜日

「ワイン展-ぶどうから生まれた奇跡-」(国立科学博物館にいってきた(2015年12月2日)-ワインの全体像を知る「博物誌」



国立科学博物館で開催中の「ワイン展-ぶどうから生まれた奇跡-」にいってきた(2015年12月2日)。日本でもワインが日常化したいま、ワインの全体像を知るためには格好の企画展といえるだろう。

この企画展は、国立科学博物館での開催ということに意味がある。ワインの文化や歴史だけでなく、ブドウの栽培やワイン醸造といった面まで含めたものだからだ。いわば「ワインの博物誌」的な展示時内容となっている。

会場構成は三部構成である。「Zone 01 ワイナリーに行ってみよう」、「Zone 02 ワインをもっと楽しむ」、「Zone 03 ワインの歴史」である。

まずは、原料としてのブドウとその栽培から始まる。博物館の内部でワイナリーを体験してみるコーナーでは、ワインづくりの各プロセスを知る。ブドウを破砕するブドウ踏みの体験コーナー(・・ただしゴム製のブドウ)、ブドウ果汁を発酵させるための酵母についてなど、ワイン醸造にかかわる自然科学的なアプローチが興味深い。

(ブドウ踏みの体験コーナーにて 足は筆者)

ワインの歴史コーナーでは、コーカサス地方で誕生したワインが、西は地中海世界を中心に拡がり、東へはシルクロードをつうじて拡がったことが示される。

古代ギリシアの壷絵やオリエントの酒盃、シルクロードを経由しての東洋への普及などに関する展示は興味深いが、ワインを飲んでいるシーンが描かれている絵画作品の展示などがあってもよかったのではないかな、と思う。美術館とのコラボである。

ワインを楽しむコーナーでは、ワインの香りを構成するさまざまな香りを成分ごとに嗅ぐことのできるコーナーなど五感をつうじた体験ができるようになっている。

(ポスター裏面の会場案内図)

ただ、じっさいにワイナリーを訪問し、醸造プロセスを見学した経験のある人にとっては物足りないのではないかな、と思う。五感をつうじた体験を目指しているのだが、子どもも入場可能な博物館である以上、アルコール臭があってはまずいだろうし、ワイナリー内にあわせた室内気温設定も難しいだろうから。

さらにいえば、「パンとぶどう酒」を重視するキリスト教についてのくわしい解説がほしかったところだ。キリスト教とワイン、とくに赤ワインは、切っても切り離せない関係にあるからだ。

企画展としてなかなか工夫されていると思うが、こういう展示は企業博物館の常設展示のほうがふさわしいのではないかな、という気もする。

とはいえ、会場で販売している「ワイン展公式ガイドブック」は、展示内容を縦長のおしゃれな装丁のガイドブックにまとめたものでよくできている。このガイドブック(1500円)は、「ワインの博物誌」として購入しておくとよいと思う。


わたしとワイン(つけたし)

生まれていちばん最初に飲んだのは、「ワイン展」にポスターが展示されていたが、かつての日本人の多くがそうであったように、子どもの頃クリスマスの日に家族で飲んだ「赤玉ポートワイン」である。

それからしばらくは飲んでいなかったが、社会人になってから、1980年代後半から本格的に飲むようになった。

社会人になってから入った会社で販売実習があったとき、百貨店の地下食品売り場(・・いまっではデパ地下という)のワイン売り場に配属となったわたしは、1週間の研修が終わる際にベテラン販売員さんにワイン入門として1ダース分のワインをセレクトしてもらった。それからわたしのワイン人生が始まる。

その後は、世界各地で生活のなかに溶け込んでいるワインを味わってきたし、ワイナリーもいくつか見学し、試飲も楽しんできた。日本の甲府や小諸だけでなく、カリフォルニアのナパバレー、オーストラリアはシドニー郊外など。とくに、欧州のスロヴェニアでは日本の輸入業者の方と一緒にワイナリーめぐりをしている。

ワインといえば赤と決めている。もともと赤ワインばかり飲んできたのだが、あるとき健康診断結果の説明をする医者から、「善玉コレステロール不足なので、赤ワインを飲んだらよい」と薦められたワインは飲み物であり、クスリでもあるわけだ。まさに、「酒は百薬の長」でありますね。

プリン体を気にしなくてはならないビールよりも、ポリフェノールが豊富な赤ワインのほうがよいのだ。「ワイン展」でも「フレンチ・パラドックス」の説明がボードで掲載されていたが、濃厚な食事を好むフランス人に健康な人が多いのは赤ワインのおかげだというのは、実証されていないとはいえ説得力がある。

最近では、コストパフォーマンスを考えれば、ビールよりも南米のチリ産を中心とした、いわゆる「新世界ワイン」のほうがよい。円安であるのにもかかわらず、つまり安くてうまいワインが日本でもおおいに普及している。家飲みワインは格好つける必要はないので、「ハウスワイン」とすればよい。

もちろん、ワイン以外の酒も飲みますよ。かつてに比べたら、飲む量は減っているとはいえ。





<関連サイト>

ワイン展-ぶどうから生まれた奇跡-」(国立科学博物館)開催概要


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2010年7月19日月曜日

「泥酔文化圏」日本! ― ルイス・フロイスの『ヨーロッパ文化と日本文化』で知る、昔から変わらぬ日本人

 
                                      
 日本人はかつてのようにあまり酒を飲まなくなったようだが、それでも酒の席での無礼講が黙認される傾向がなくなったわけではない。

 私はこれを指して「泥酔文化圏」といっているのだが、これは日本から、朝鮮半島を経由して、モンゴル、そしてロシアと連続して分布している。

 いわゆる「ドリンキング・リレーション」(drinking relations)を重視する「文化圏」である。酒飲んでホンネで語ってはじめて人間は仲良くなれるという文化圏。

 イスラーム文明圏では周知のとおり、酒を飲むことは禁止されているし、上座仏教文明圏では酒をのむことはよろしくないとされている。インドも基本的にあまり飲まない。


 西欧と中国が、「泥酔文化圏」とは対極にあることは知っておいた方がよい。
 
 中国では宴席で強い酒を薦められるが、絶対に醜態をさらしていはいけない

 この点にかんしては西欧社会と同じである。中国では、配偶者は結婚後も姓は変わらないが、「妻もまた敵なり」として、中国人は基本的に配偶者を信用していないと主張する学者もいる。

 西欧の市民生活においては、泥酔者は社会的落伍者というレッテルが簡単に張られるのである。

 もちろん西欧社会でも若者がハメをがはずして乱痴気騒ぎをやらかすのはよくあることだが、それはクローズドな集団内部のなかでの話である。

 ドイツでもオッサン連中がジョッキのビールでグイグイやりながら、怪気炎を上げていることもあるが、キリスト教普及以前の名残が、ときどき浮上して噴き出してくるのであろうか。

*******

 
 「前近代」の日本人がいかなる存在であったかを知るのは興味深いものがある。

 西欧人の眼に映った日本人について知るには、戦国時代末期の16世紀に、「第一次グローバリゼーション」の波に乗って、日本にやってきたカトリックの宣教師たちの記録を読むのが面白い。

 なかでも文庫本で手軽に読むことができるのが、『ヨーロッパ文化と日本文化』(ルイス・フロイス、岡田章雄訳注、岩波文庫、1991)である。原本は1585年刊。

 
 「第6章 日本人の食事と飲酒の仕方」から、いくつか引用しておこう。

「われわれの間では誰も自分の欲する以上に酒を飲まず、人からしつこくすすめられることもない。日本では非常にしつこくすすめ合うので、あるものは嘔吐し、また他のものは酔っ払う」(6-31)

「われわれの間では酒を飲んで前後不覚に陥ることは大きな恥辱であり、不名誉である。日本ではそれを誇りとして語り、「殿はいかがなされた」と尋ねると、「酔っ払ったのだ」と答える」(6-38)

「われわれは食卓についている時に、談話はするけれども唄ったり踊ったりはしない。日本人は食事がほとんど終わるころまで話をしない。しかし暖まってくると踊ったり唄ったりする」(6-45)

「ヨーロッパでは女性が葡萄酒を飲むことは礼を失するものと考えられている。日本ではそれはごく普通のことで、祭りの時にはしばしば酔っ払うまで飲む」(2-54)


 いかがでしょうか?

 比較による観察法の成果であるが、西欧社会との対比が重点に置かれているので、ことさら違いが強調されていなくもない。

 もっとも、16世紀当時の西欧社会も、現在と比べるとマナーの点にかんしては、まだまだ発展途上であったことには留意しておきたいものである。

 ルイス・フロイス(1532-1597)は、ポルトガルのリスボン生まれのイエズス会宣教師、日本での布教の記録をまとめるように命じられ、有名な『フロイス日本史』を完成して、長崎で生涯を閉じている。

 日本語訳は『完訳フロイス日本史』として、松田毅一と川崎桃太の翻訳で、中央公論社から出版されている。私は文庫本で全巻もっているが、ところどころ見ただけで全部は読んでいない。


*******


 せっかくの機会なので『コリャード懺悔録』(大塚光信校注、岩波文庫、1986)もぜひ薦めたい。

 ディエゴ・コリャード(1589年?-1641)は、スペイン生まれのドミニコ会に属する宣教師。ドミニコ会は中世以来異端撲滅で有名な修道会で学問を重視してきたが、当時の日本においては、イエズス会とはカトリック布教をめぐって競争敵対関係にあった。

 イエズス会、ドミニコ会に、フランシスコ会もからんだカトリック内の宗派間の三つどもえの争いが、日本でのキリスト教禁教を招いた原因の一つともされている。

 内容は、告解の場において、日本人信者から聴き取った懺悔内容を記録したものだが、当時の日本人のセックスにかんする奔放ぶりが、これでもかこれでもかと当時の口語体で語られるので圧倒される。ここに書くにははばかれるような内容が満載だ。

 本来は、聴聞司祭は告解(confession)で聴いた内容は、絶対に外部に漏らしてはいけないはずなのだが、布教戦略の基礎資料のため、日本人研究の資料としてまとめられたようだ。

 ぜひフロイスの『ヨーロッパ文化と日本文化』とあわせて読んでみて欲しいと思います。面白さバツグンで太鼓判を押します。

 
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<ブログ内参考記事>

イエズス会士ヴァリリャーノの布教戦略-異文化への「創造的適応」

「500年単位」で歴史を考える-『クアトロ・ラガッツィ』(若桑みどり)を読む

「免罪符」は、ほんとうは「免罪符」じゃない!?

書評 『お馬ひんひん-語源を探る愉しみ-』(亀井孝、小出昌洋=編、朝日選書、1998)-日本語の単語を音韻をもとに歴史的にさかのぼる
・・イエズス会宣教師が日本で布教していた時代の日本語

書評 『幻の帝国-南米イエズス会士の夢と挫折-』(伊藤滋子、同成社、2001)-日本人の認識の空白地帯となっている17世紀と18世紀のイエズス会の動きを知る


酒文化

in vino veritas (酒に真理あり)-酒にまつわるブログ記事 <総集編>

『izakaya: The Japanese Pub Cookbook』(=『英文版 居酒屋料理帖』)は、英語で見て・読んで・楽しむ「居酒屋写真集」+「居酒屋レシピ集」

味噌を肴に酒を飲む

タイのあれこれ(5)-ドイツ風ビアガーデン

タイのあれこれ (13) タイのワイン

『ベルギービール大全』(三輪一記 / 石黒謙吾、アートン、2006) を眺めて知る、ベルギービールの多様で豊穣な世界
・・カトリックの修道院におけるビール醸造

西川恵の「饗宴外交」三部作を読む-国際政治と飲食の密接な関係。「ワインと料理で世界はまわる」!

(2013年12月20日、2014年7月29日 情報追加)


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2009年7月9日木曜日

書評 『ボルドー・バブル崩壊-高騰する「液体資産」の行方-』 (山本明彦、講談社+α新書、2009)-ボルドー・ワインにみる世界経済のいま




ボルドー・ワインにみる世界経済のいま

 2008年のリーマンショックは、フランスのボルドー・ワインを頂点とするワイン市場も直撃した。

 しかし、ボルドー神話そのものが崩壊したわけではない、そのわけはなぜか?

 この問いに、ワイン市場の経済構造に深く迫ることによって解答を見出そうとているのが本書である。

 著者は、読売新聞社在籍のワイン・ジャーナリスト。長年にわたりワインとシャンパンを愛し、執筆してきた人である。


 副題にもあるように、ワインをただ味わい楽しむ存在としてではなく、「液体資産」として投資対象にしている人たちがいる。

 ヨーロッパやアメリカでは、株式投資や債券投資を行う投資家が、絵画や骨董品などの美術品などと同様、息の長い投資対象としてワイン投資を行っているのだ。

 ワイン投資は長期の投資、投資で利益が得られなくても、熟成したいいワインが手元に残るではないか、というのが投資家の見解だが、日本人にはまだまだ難しいようだ。なんせ奥が深い。


 私にとって非常に興味深かったのは、第4章 香港・中国は「ワインの覇者を目指す」であった。

 2008年8月にスピリッツを除くワインや酒類の関税を一気にゼロにした香港は、「アジアのワイン首都」を目指しているという。すでに3年前の東京に追い付いているというから、この勢いは無視できないものがある。

 香港は地理的には、シンガポール、上海、北京、東京など主要な消費地の中心に位置しており、物流網も完備、金融システムも安定しており、中国本土へのゲイトウェイである香港から関税ゼロでワインが再輸出されるからだ。

 中国はワイン消費だけでなく、ワイン生産国としても大きな将来性があるというレポートがでているらしい。

 まさに中国おそるべし、である。


 ワイン市場のプレイヤーである生産者(シャトーのオーナー)、流通業者、投資家、醸造コンサルタント、格付け評論家、のそれぞれについて、実際にインタビューした経験も踏まえて執筆された本書は、読み応えのある充実した本になっている。

 ワイン好きならいうまでもなく、ワインにあまり関心がない人にも一読を薦めたい。






*この書評は下記のインターネット書店サイトに投稿、すでに掲載済みです。

■bk1掲載:「ボルドー・ワインにみる世界経済のいま」(2009/07/05 掲載)
■amazon.co.jp掲載:「ボルドー・ワインにみる世界経済のいま」(2009/07/09 掲載)
     
           
PS 読みやすくするために改行を増やした。本文には手は入れていない (2014年7月11日 記す)。



<関連サイト>

中国マネーに揺さぶられるワイン ボルドー離れとブルゴーニュ熱の高まり (日経ビジネスオンライン、2014年7月11日)

(2014年7月11日 項目新設)


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映画 『大統領の料理人』(フランス、2012)をみてきた-ミッテラン大統領のプライベート・シェフになったのは女性料理人

(2014年7月11日 項目新設)






(2012年7月3日発売の拙著です)





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