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2018年8月17日金曜日

書評 『五色の虹-満洲建国大学卒業生たちの戦後-』(三浦英之、集英社文庫、2017 単行本初版 2014)-わずか8年の歴史しかなかった「満洲建国大学」という実験とその後


『五色の虹-満洲建国大学卒業生たちの戦後-』(三浦英之、集英社文庫、2017)を読んだ。いわゆる満洲ものであり、日本を含めたアジア現代史でもある。単行本は2014年の出版。 

建国大学とは、建国後に「五族協和」をうたった満洲国を支えていく人材を育成するために作られた高等教育機関のことだ。満洲事変の立役者で関東軍の陸軍参謀だった石原莞爾の強い思いが実現したものだ。構想をプランに落とし込んだのは、石原完爾の部下でかつ熱烈信奉者であった辻政信である。 

「五族」とは、日・漢・朝・満・蒙を指す。この五族から選抜されたエリートが入学し、濃密な人間関係のなかで青春時代の6年間を過ごしたのが建国大学であった。 

そこで保証されていたのは、徹底的な「言論の自由」毎日のように学生同士で激論が行われていたという。まさに満洲ならではの「実験教育」であった。あまりにも時代を先駆けすぎていたのかもしれない。 

建国大学は8年でその歴史を閉じることを余儀なくされる。日本の敗戦により満洲国も崩壊、大学もその短い歴史に幕を閉じることになった。 

本書は、そんな建国大学に学んだ日本人、中国人、朝鮮人(=韓国人)、モンゴル人、ロシア人の「その後」を追ったノンフィクションだ。 

著者は、1974年生まれの朝日新聞の記者で、取材当時は35歳。取材対象は90歳前後。孫と祖父のような関係にあたるからこそ、素直に話を聞き取ることができ、かつ話をしてくれたのだろう。知らないからこそ聞ける孫世代、知らないだろうから話しておきたい祖父世代。 

取材の苦労とその後の出版に至るまでは「あとがき」に書かれているが、取材対象が老齢であること、いまだ「脱共産化」がなされていない中国在住の卒業生が置かれた立場の困難など、事実関係の裏付けの確認に手間取ったことが記されている。一度は出版は断念したらしい。

それにしても激動のアジア現代史である。敗戦後の日本人のその後もさることながら、「共産化」された大陸に生きることを余儀なくされた中国人とモンゴル人、ロシア人のその後は、運命に翻弄され、まさに波瀾万丈としかいいようがない。

「8月15日」にどこにいたかによって、その後の運命が決まってしまったのである。ただし、韓国では建国大学卒業生はエリートとして遇されたようだ。それぞれの国家が必要とした人材の違いである。 

そんな建国大学出身者たちの絆は深い全寮制で寝食を共にし、激論にあけくれるような青春時代の6年間を過ごしたからだ。思想信条を越えた人間どうしの深い絆。これこそ、建国大学という「実験教育」の大きな成果だ。この存在をいまだに越えた大学が生まれていないのは、ある意味では仕方がないかもしれない。だからこそ、建国大学については知る必要があるのだ。 

私が建国大学について初めて知ったのは、安彦良和氏の『虹色のトロツキー』というマンガである。建国大学に入学したモンゴル人を主人公にした大河ドラマのような長編マンガ。このマンガでは、満洲国の建国大学そのものが扱われているので、このマンガはぜひ読むことを勧めたい。わたしのイチオシのマンガである。 

『五色の虹-満洲建国大学卒業生たちの戦後』に戻るが、最後の章は、カザフスタンに移住することになったロシア人卒業生の話である。最後のページまで読み進めたとき、心の奥底から熱い感情がわき上がってきた。日本とは何か、日本人とは何か・・・。 

ぜひ読むことをすすめたい。






目 次  
序  最後の同窓 
第1章  新潟  第2章  武蔵   第3章 東京  第4章 神戸  第5章  大連  第6章 長春  第7章 ウランバートル  第8章 ソウル  第9章 台北  第10  中央アジアの上空で  第11章 アルマトイ   
あとがき 
解説 梯久美子



著者プロフィール 
三浦英之(みうら・ひでゆき) 
1974年、神奈川県生まれ。京都大学大学院卒業後、朝日新聞社に入社。東京社会部、南三陸駐在、アフリカ特派員などを経て、現在は福島総局員。2015年、『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』で第13回開高健ノンフィクション賞を受賞。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)






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(2012年5月18日発売の拙著です)




(2012年7月3日発売の拙著です)










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