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2010年10月9日土曜日

書評 『この国を出よ』(大前研一/柳井 正、小学館、2010)-「やる気のある若者たち」への応援歌!




この本は、「やる気のある若者たち」への応援歌だ!

 経営コンサルタントで事業経営者の大前研一と、いまや日本のグローバル展開をリードするユニクロの経営者・柳井正の共著である。

 この二人が交互に見解を発展させていく形で進行していくスタイルをとった本だが、二人とも「老大国日本」の「若者のふがいなさ」を叱っている。

 おそらく叱られる対象である「ふがいない若者」が、この本を手にすることもないだろうし、もし手に取ったとしても、ともに 60歳を過ぎた(!)エネルギッシュな熱いオッサンたちの勢いに、この本を放り出してしまうだろう。

 しかし、それはこの国しか知らないからなのだ。この国のなかに引きこもっているからなのだ。一歩でもこの国を出てみたらいい。仕事を求めてハングリーな人間たちであふれかえっているのである。この熱気、この厳しさ、この激しい生存競争を肌で感じよ、というのがこの本のメッセージなのだ。

 日本の外を自分の足で歩いて、自分の目で見て、さらに自分で稼ぐならいうことはない。

 海外進出で失敗するのは当たり前、ユニクロの柳井会長だって、第一回目の海外進出では失敗している。人材が育ってなかったからだ。しかし、チャレンジしなければ失敗もない、失敗しなければ肌身をつうじて教訓を学び取ることもできないではないか。

 どんな形であれ、この国を出て海外で暮らすこと、しかも同じ社会貢献するなら柳井氏もいうように、ビジネスをつうじてやるべきだ、そしてこれは何よりも本人にとって肥やしになるだけでなく、近江商人のいわゆる「三方よし」の精神にもかなったものとなるのだ。

 私は40歳台の人間だが、自分の経験からいっても、海外で過ごす一年は日本国内で暮らす三年分に該当すると確信している。

 この二人も、なにも海外に行ったきりになれ、「華僑」になれといっているわけではない。海外で揉まれて、たくましくなって帰ってこい、といっているわけだ。

 大前氏が「エピローグ」でいうように、「裸になった日本人」、「開き直った日本人」は非常に強い。これには、まったくもって同感だ。

 この二人の熱いオッサンたちのいうことをそのまま実践してみたらいい。間違いなく、またあらたに、一人の新しい「グローバル・ジャパニーズ」が誕生することになるだろう。

 「この国を出よ」というメッセージは、若者だけでなくすべての日本人に向けてのメッセージであると捉えたい。



<初出情報>

■bk1書評「この本はやる気のある若者への応援歌だ!」投稿掲載(2010年10月10日)

*再録にあたって加筆した。




目 次

第1章 現状分析-絶望的状況なのに能天気な日本人
第2章 政治家と官僚の罪-誰がこの国をダメにしたのか?
第3章 企業と個人の“失敗”-変化を嫌う若者だらけの国を「日本病」と呼ぶ
第4章 ビジネスマンの「稼ぐ力」-「理想の仕事」探しより「自力で食える」人間になれ
第5章 企業の「稼ぐ力」-21世紀のビジネスに「ホーム」も「アウェー」もない
第6章 国家の「稼ぐ力」-日本再生のための“経営改革案”を提示する


著者プロフィール

大前研一(おおまえ・けんいち)

1943年福岡県生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号を、マサチューセッツ工科大学(MIT)大学院原子力工学科で博士号を取得。日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年に経営コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社。本社ディレクター、日本支社長、アジア太平洋地区会長を歴任し、1994年に退社。以後、世界の大企業や国家レベルのアドバイザーとして幅広く活躍。「ボーダレス経済学」と「地域国家論」の提唱者としてグローバルな視点と大胆な発想で活発な提言を行なっている。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)

柳井 正(やない・ただし)

1949年山口県宇部市生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、ジャスコを経て、1972年に父親の経営する小郡商事に入社。1984年にカジュアルウェアの小売店「ユニクロ」第1号店を広島市内に出店。同年社長に就任。1991年、社名をファーストリテイリングに変更。1994年、広島証券取引所に上場。1997年には東京証券取引所2部に上場し、1999年に東証1部に上場。2001年、代表取締役会長に就任。いったん社長を退くも、2005年に社長に復帰。ファーストリテイリングは「2020年に売上高5兆円」という目標を打ち出し、2001年のロンドンを皮切りに、グローバル化に乗り出す。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)



<書評への付記>

「ドラッカー・ブーム」について

 ユニクロの柳井会長の愛読書はドラッカ-、折に触れて何度も何度も読み返しては、あらたな気づきを得ているという。
 大前研一はドラッカーについては、かつて講演会でともにしたことが何度もあるといい、敬意を表しつつも、1980年以降なぜ米国でドラッカーが読まれなくなったかについて、貴重なコメントを行っている。

ただし、ドラッカー哲学は1980年代に入ると、アメリカの経営トレンドのなかでは次第に人気がなくなりました。なぜなら、実際の経営者は彼が定義する優れた経営者像からはほど遠く、それでいてアップルのスティーブ・ジョブスやマイクロソフトのビル・ゲイツら、ドラッカーの法則に当てはまらない "自由奔放" な経営者が続々と登場したからです。・・(中略)・・ところが賢明なドラッカーはそれをいち早く察知して、経営哲学でお説教するスタイルからイノベーションに方向転換し・・・(後略) (P.106)

 この二人がいうように、ドラッカーブームは結構なことであるが、もし『もしドラ』で興味をもったなら、そこで終わりにせずにドラッカーの著書そのものに取り組むべしという点においては共通している。

 なによりも本質的に思考するすることが、さらに複雑化しているこの世の中でビジネスをするうえでは避けて通れないからだ。本質的な議論をする能力が鍛えられなければならないのである。

 そのための古典として、柳井会長のようにドラッカーの著作を読み込むことや、大前氏がいうように、彼自身の著書『企業参謀』などじっくり読む必用があることに異論はない。後者については手前味噌な感がなくはないが、私もこの本を熟読した経験があるので否定はしない。すでに古典といっていいかもしれない。



<ブログ内関連記事>

『BBT on DVD 大前研一LIVE』(トライアル版)を視聴してみた
・・『企業参謀』は、この分野ではロングセラー

シンポジウム:「BOPビジネスに向けた企業戦略と官民連携 “Creating a World without Poverty” 」に参加してきた
・・ユニクロがソーシャルビジネスとしてバングラデシュでグラミンと合弁した記事について触れている

レビュー 『これを見ればドラッカーが60分で分かるDVD』(アップリンク、2010)
・・米国におけるドラッカーの位置づけがわかるDVD。日本での捉え方とは異なる

書評 『知の巨人ドラッカー自伝』(ピーター・F.ドラッカー、牧野 洋訳・解説、日経ビジネス人文庫、2009 単行本初版 2005)
・・ドラッカーを経営学者と狭く捉えないこと!

書評 『江戸時代のロビンソン-七つの漂流譚-』(岩尾龍太郎、新潮文庫、2009)







(2012年7月3日発売の拙著です)








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