「空海と密教美術展」(東京国立博物館 平成館)にいってきた。「この夏、マンダラのパワーを浴びる」というのがキャッチコピーだ。
東京にいながらにして、密教の仏像や仏具などをみる機会があるのはうれしいことである。
わたしは、これまでも、東京や京都で開催された展覧会だけでなく、高野山にも三度いっているので、密教「美術」には慣れ親しんでいるのだが、それでもあえて足を運ぶのは、機会があれば見てみたいという気持ちがあるためだ。
ただ今回の展覧会も、あくまでも「美術展」という位置づけである。密教「美術」は、密教信仰ぬきでもすばらしいが、やはりほんとうは高野山や、その他の醍醐寺や東寺といった密教寺院で拝観するのが、ほんらいのありかたというものだろう。
会期: 2011年7月20日(水)~9月25日(日)
会場: 東京国立博物館 平成館 (上野公園)
開館時間: 午前9時30分 – 午後5時
※入館は閉館の30分前まで(金曜日は午後8時まで、土・日・祝日は午後6時まで開館)
休館日: 月曜日(ただし8月15日、9月19日は開館)
主催: 東京国立博物館、読売新聞社、NHK、NHKプロモーション
後援: 文化庁
特別協力: 総本山仁和寺、総本山醍醐寺、総本山金剛峯寺、
総本山教王護国寺(東寺)、総本山善通寺、遺迹本山神護寺
協力: 真言宗各派総大本山会、南海電気鉄道
協賛: あいおいニッセイ同和損保、きんでん、大日本印刷、トヨタ自動車、非破壊検査 http://kukai2011.jp
展示品については、公式サイトを参照していただきたいが、大きくわけて、空海関係と密教関係の2つにわかれる。
前者は、三筆のひとりとして賞賛されてきた、書家としての弘法大師空海の達筆ぶりをぞんぶんに味わいたいひとのためには最適だろう。もちろん「弘法も筆の誤り」ということは、展示品にかんしてはいっさいない(笑)。
後者は、もちろん空海が伝来した密教法具からはじまって、日本に定着した真言密教の仏具、仏像、曼荼羅(マンダラ)が所狭しと展示されている。
わたしは書道にはあまり関心がないので、その関係の展示は軽くいなし、密教関連の展示をじっくりと見ることにする。
曼荼羅(マンダラ)については、残念ながら色あせがはなはだしく、すごく近くに寄ってみなければ、班別もむずかしいようなものが多い。ただし、巨大な曼荼羅も展示されており、彩色が鮮やかだった頃の壮麗さを想像してみるのもいい。
圧巻は、京都の醍醐寺とおなじく京都の東寺の、「仏像マンダラ」を再現した展示だろう。それぞれの仏像の細部をすぐ近くに寄ってみることができる。もちろん、マンダラとは世界観の表明であるから、近くによって細部を見るよりも、やや離れた距離から、いわば「立体マンダラ」として体験するのが、ほんらいのありかたであろう。
2009年の「阿修羅展」と同じ博物館の同じ会場(・・スロープのある部屋)での展示である。
しかし、思うには、やはり仏像というものは、仏教信仰のあるなしにかかわらず、お寺でみるべきものであって、美術品として見るのは、あくまでも近代人の眼なのだなとつよく思ったのであった。
江戸時代に盛んであった「出開帳」(でかいちょう)という、移動展示会の要素をもっと全面にだしたほうが、仏像ブーム、仏教ブームの再来といわれる現在にはふさわしかったのではないだろうか。たしか、京都国立博物館での展示のキャッチコピーは、「霊峰(おやま)がまるごと降(お)りてきた!」というもので、内容も豪華絢爛なもlのであった記憶がある。ここでいう「霊峰」(おやま)とは高野山のことである。
今回の「空海と密教美術展」(東京国立博物館 平成館)は、その意味では密教世界の展示というよりも、まだまだ美術品の展示という色彩の強い展覧会であったような気がしてならないのが残念であった。
むしろグッズの販売のほうが楽しみというのは、じつは仏教がらみの展示会では、ほんらいのあり方かもしれないなとも思う。
ミュージアムショップ以外に、展示会のためだけに出店されるさまざまなお店で売られている展示会関連グッズや、その他の仏教関連グッズのもろもろがまた楽しい。
今回、わたしはマンダラ・クロース(布)を 1,500円で購入した。下の写真である。
いつも思うのだが、なぜマンダラ柄のネクタイがないのだろうか? あれば買いたいと思っているのだが、柄が派手すぎてみな敬遠してしまうのか? どなたか製造していただけないものだろうか?
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