教育諮問会議の委員を務めている玉川学園様より『全人教育の歴史と展望』(小原芳明=監修、玉川大学出版会、2021)を頂いた。受け取ったのは土曜日。土曜日の郵便配達は本年(2021年)10月1日から廃止になったが、ゆうパックの配達はあるようだ。
「"全人教育" といえば玉川」というのが「常識」のはずだが、監修者でもある理事長の「全人教育の100年」によれば、「全人教育」で意匠登録を申請したが却下されたという。すでに「全人教育」は「普通名詞化」してしまっているからというのが、その理由だそうだ。
本書は、そんな玉川学園で先月オンラインで開催された「全人教育提唱100年記念シンポジウム」の関連書籍の論文集である。開催に先立って出版されている。
目次は以下のとおりである。
第1部 小原國芳における全人教育の理論と実践第1章 小原國芳の「全人教育」提唱への軌跡第2章 小原國芳の全人教育論-その提唱と展開第3章 全人教育の普遍妥当性コラム1 歌に始まり歌に終わる-玉川の音楽教育が語るもの第2部 世界的視野から見た全人教育の展望第4章 クルト・ハーンと全人教育-経験の場としての学校第5章 国際バカロレアと全人教育-Lerner Profile に着目して第6章 ラウンドスクエアと全人教育-IDEALS に着目して第7章 全人教育としてのTAP-OBSとの関係でコラム2 玉川学園草創期の教育信条とその実践第3部 資料編1 教育十二信条との親和性2 名句抄(小原國芳『全人教育論』より)後半は、上掲の諸論文の英文版
「全人教育」といわゆる「リベラルアーツ」の関係についてなど、いろいろ興味深い内容だが、「コラム1 歌に始まり歌に終わる-玉川の音楽教育が語るもの」が内容的に知的好奇心をそそられるものがあった。輪唱で歌われる「かえるの歌」が、もともとドイツ民謡だったとは! 幼児教育と初等教育に音楽を導入した先駆者が玉川学園である。
(100年前に「全人教育」を提唱した創設者・小原國芳)
「大正新教育運動」のなかから生まれてきた「全人教育」。「温故知新」の観点から原点を確認し、世界のなかでの「全人教育」の意味を考えていく必要があるだろう。
この場を借りて、頂きもの(書籍+コースター 写真参照)のお礼とさせていただきます。
開催日時:2021(令和3)年9月12日(日)13:30~16:00主催: 学校法人玉川学園共催: 世界新教育学会視聴方法: オンライン
内容: 13:30オープニング 動画「全人教育100年の歩み」小原芳明学校法人玉川学園理事長 挨拶黒柳徹子様ビデオメッセージ14:00 シンポジウム「全人教育の歴史と展望」シンポジスト山名 淳(東京大学教授) :ドイツの田園都市教育舎との比較小原一仁(玉川大学教育学部長):石橋哲成(玉川大学名誉教授) :司会進行 佐久間裕之(玉川大学教育学部全人教育研究センター長)15:55 クロージング 動画「全人教育 未来へ」(卒業生メッセージを含む)16:00 終了
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・・「最大の特徴は「全人教育」という点だろう。すでに触れたことであるが、12年間の教育のうち、最初の8年間の担任が同じ先生であるという点は特筆に価する」
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