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2022年2月1日火曜日

書評『「メイド・イン・イタリー」はなぜ強いのか?-世界を魅了する<意味>の戦略的デザイン』(安西洋之、晶文社、2020)-「2020年代のイタリアの中小企業」に学ぶべきこととは?

 
今年1月に日本公開された映画『ハウス・オブ・グッチ』を見てから、ふたたびイタリアの中小企業への関心が蘇ってきた。


かつて1990年代には「イタリアの中小企業」が大いに注目されたことがあった。『中小企業白書』でも「イタリアの中小企業」が取り上げられているのを読んだ記憶がある。 

ところが、2000年代以降には「世界の工場」となった中国企業との競争で敗れ去ったり、中国企業によってファミリービジネスが買収されているといった話題を耳にするようになった。グローバル資本主義が猛威を振るうなか、イタリアの中小企業の存在がメディアからかき消されてしまったのだ。 

そんなこともあって、自分のなかでは「イタリアの中小企業」への関心が薄れ去っていたのだが、ミラノ在住でデザイン戦略研究家である安西洋之氏の『「メイド・イン・イタリー」はなぜ強いのか?』を読んでみると、この印象が間違っていることを教えられる。 

なによりも、amazon には「MADE in ITALY ストア」が開設されているのだ。食とファッション、家具やインテリアなどの生活製品が中心だが、イタリアならではの機能とデザインを兼ね備えた製品が扱われている。  

安西氏のこの本によれば、もともとイタリアの amazon で始まった取り組みが、グループ内でヨコ展開され、全世界に共有されるようになったのだという。自前でDXできなければ、プラットフォームに乗っかって商売すればいい。中小企業ならではの取り組みだ。イタリアもまたおなじである。

「MADE in ITALY」が世界中で受け入れられているのは、安西氏の整理によれば「意味のイノベーション」と「アルティジャナーレ」によるものだという。 

わたし流に平たく言い換えれば、技術だけに頼らずにイノベーションを実行し、アタマで考えるだけでなく職人的に手を使って動かしてみる、ということだ。 

「意味のイノベーション」という概念は、やや難しく感じるかもしれない。 

機能はおなじ製品でも、それを取り巻くコンテクストが変われば、あらたな意味が見いだされる。忘れ去られていた意味が蘇ってくる。そんな「意味の読み替え」を指していると考えたらいいのだろう。それもまたイノベーションなのだ、と。機能はおなじでも、あらたに見いだした「意味」を、製品に付与して売り出すのである。 

アタマで考えるだけでなく職人的に手を使って動かしてみる、これはもともと日本人にとっては不得意な分野ではないはずだ。デジタル時代だからこそ、デジタルの恩恵は存分に受けながらも、機械にできない部分、すなわち手仕事を活かすべき部分を残すこと。これはひじょうに重要だ。 

また、イタリアの中小企業の製品開発においては、経営者個人の「思い」が濃厚に反映されるのだという。市場調査にもとづいた最大公約数的な量産品では、競争に勝てるはずがないのだ。 

だから、個人的な「好き」や自分が「美しいと感じるもの」にこだわるのである。広く浅くではなく、狭く深く掘る。 

たしかに、「オタク」発祥の地である日本では、個々人の日本人にかんしては消費者としてのこだわりが強いのに、製品開発ということになると、どうも市場規模が比較的大きな国なので、量産思考の安全策をとりがちの傾向がある。これでは、とがった製品は生まれてくるハズがないではないか。 

製品開発にあたっては、日本人はもっと自分にこだわったほうがいい。それは、生き方の問題でもある自分の人生そのものと、仕事以外の趣味や教養がかかわってくる問題だ。 

2020年2月に出版されたこの本は、新型コロナ感染症(COVID-19)が猛威を振るう以前のことであった。コロナ下の2年間で、中小企業の経営が大きな影響を被っているだけでなく、世界的に消費者のマインドも変化している。この日本でも、消費者のあいだで「手作り志向」が復活する傾向がみられるようになってきた。 

消費者のマインドが変われば、ビジネスの世界も当然のことながら変化を受けることになる。「手作り志向」がどう製品開発に反映していくのか、させていくか、自分自身の問題として考えつづけていきたい。 




目 次
序章 意味を問う「メイド・イン・イタリー」 
第1部 「メイド・イン・イタリー」を再定義する
 第1章 「意味のイノベーション」という戦略的デザイン
 第2章 「アルティジャナーレ」が語ること
 第3章 世界における「メイド・イン・イタリー」の存在感
 *コラム1 「カシミアの帝王」はなぜ哲学書を読むのか? 
第2部 衣食住にみる「メイド・イン・イタリー」
 第4章 イタリアファッション産業の底力--紳士服とテキスタイル
 第5章 食のグローバルとローカル--プロセッコとスローフード
 第6章 日常空間を彩るモノたち--ファツィオリとモレスキン 
 *コラム2 審美眼は継承されるのか?
第3部 「メイド・イン・イタリー」のこれから
 第7章 スタートアップ企業は何を考えるか?--「テクノロジー」から「意味」へのシフト
 第8章 アルティジャーノ2.0--デジタルとモノのあいだで
 第9章 幼児教育が鍛える審美性--レッジョ・エミリア教育
 第10章 EUで磨かれる「メイド・イン・イタリー」--セラミックを介した文化交流
 *コラム3 三つ子の手遊び、百まで
終章 日本のビジネスパーソンが「メイド・イン・イタリー」から学べること
おわりにかえて

著者プロフィール
安西洋之(あんざい・ひろゆき)
モバイルクルーズ株式会社代表取締役。De-Tales Ltd.ディレクター。 日本の自動車メーカーで欧州自動車メーカーへのエンジンなどのOEM供給ビジネスを担当後、独立。1990年よりミラノと東京を拠点としたビジネスプランナーとして欧州とアジアの企業間提携の提案、商品企画や販売戦略等に多数参画している。また、2009年より海外市場攻略に役立つ異文化理解アプローチ「ローカリゼーションマップ」を考案して執筆・講演活動も行ってきたが、2017年にロベルト・ベルガンティ『突破するデザイン』の監修に関与して以降、「ローカリゼーションマップと「意味のイノベーション」の融合を探索中。 
著書に、『世界の伸びている中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』、『イタリアで、福島は。』(以上、クロスメディア・パブリッシング)、『ヨーロッパの目、日本の目』(日本評論社)。共著に、『デザインの次に来るもの』(クロスメディア・パブリッシング)、『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか?』(日経BP社)。監修に、ベルガンティ『突破するデザイン』(日経BP社)。(amazonの書籍ページより)
 

<関連サイト>

・・「食品、インテリア、服・ファッション小物、ビューティなどのカテゴリーにおいて、イタリアの企業や職人によって生み出されたさまざまな商品をご紹介します。下記のカテゴリーより伝統的なイタリアの製法を堪能できる厳選された商品をご覧ください。 Amazonおよびイタリア貿易促進機構(Italian Trade Agency)は、イタリア製品の海外販売を支援しています。」

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