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2023年8月17日木曜日

書評『「若者の読書離れ」というウソ ー 中高生はどのくらい、どんな本を読んでいるのか』(飯田一史、平凡社新書、2023)

 

統計データによれば、1990年代にさかんに叫ばれた「若者の読書離れ」は実態とは違うことが示されている。 

「若者の読書離れ」という危機感が背景にあったからこそ、官民挙げての取り組みで小中校生の読書率は2000年台以降にV字回復とのことだ。 

しかも、日本人の平均読書時間は1日に30分、冊数で1~2冊という傾向に大きな変化はないようだ。つまり、読む人間は読み、読まない人間はまったく読まないという状態に変化はない。 これが日本人の読書にかんする実態だ。

問題は、中高生が「読みたい本」と、大人が中高生に「読ませたい本」にギャップがあること。この前提を抜きにして、いくら施策を実行しようが効果がでないのは当たり前。 

というわけで、よくよく考えてみれば当たり前の現実が浮かび上がってくる。 

本書は、基本的に中高生が「読みたい本」、つまり実際に「読んでいる本」を具体的に分析して、「3大ニーズ」と「4つの型」を抽出し、具体的なタイトルと、なぜその本が読まれているかを詳細に記述している。 

「「若者の読書離れ」というウソ」にかんして、読み応えのある好著であった。「Z世代」の消費動向に関心のある人は読んでみるといいと思う。 





目 次 
はじめに 
第1章 10代の読書に関する調査
第2章 読まれる本の「三大ニーズ」と「四つの型」
第3章 カテゴリー、ジャンル別に見た中高生が読む本
第4章 10代の読書はこれからどうなるのか
あとがき
巻末資料 今の学年になってから読んだ本
主要参考文献
 

著者プロフィール 
飯田一史(いいだ・ただし)
1982年青森県むつ市生まれ。中央大学法学部法律学科卒。グロービス経営大学院経営研究科経営専攻修了(MBA)。出版社にてカルチャー誌や小説の編集に携わったのち、独立。マーケティング的視点と批評的観点からウェブカルチャー、出版産業、子どもの本、マンガ等について取材、調査、執筆している。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)


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