『「若者の読書離れ」というウソ 中高生はどのくらい、どんな本を読んでいるのか』(飯田一史、平凡社新書、2023)を読了。興味深い内容だった。
統計データによれば、1990年代にさかんに叫ばれた「若者の読書離れ」は実態とは違うことが示されている。
「若者の読書離れ」という危機感が背景にあったからこそ、官民挙げての取り組みで小中校生の読書率は2000年台以降にV字回復とのことだ。
しかも、日本人の平均読書時間は1日に30分、冊数で1~2冊という傾向に大きな変化はないようだ。つまり、読む人間は読み、読まない人間はまったく読まないという状態に変化はない。 これが日本人の読書にかんする実態だ。
問題は、中高生が「読みたい本」と、大人が中高生に「読ませたい本」にギャップがあること。この前提を抜きにして、いくら施策を実行しようが効果がでないのは当たり前。
というわけで、よくよく考えてみれば当たり前の現実が浮かび上がってくる。
本書は、基本的に中高生が「読みたい本」、つまり実際に「読んでいる本」を具体的に分析して、「3大ニーズ」と「4つの型」を抽出し、具体的なタイトルと、なぜその本が読まれているかを詳細に記述している。
「「若者の読書離れ」というウソ」にかんして、読み応えのある好著であった。「Z世代」の消費動向に関心のある人は読んでみるといいと思う。
目 次
はじめに
第1章 10代の読書に関する調査第2章 読まれる本の「三大ニーズ」と「四つの型」第3章 カテゴリー、ジャンル別に見た中高生が読む本第4章 10代の読書はこれからどうなるのか
あとがき
巻末資料 今の学年になってから読んだ本
主要参考文献
著者プロフィール
飯田一史(いいだ・ただし)
1982年青森県むつ市生まれ。中央大学法学部法律学科卒。グロービス経営大学院経営研究科経営専攻修了(MBA)。出版社にてカルチャー誌や小説の編集に携わったのち、独立。マーケティング的視点と批評的観点からウェブカルチャー、出版産業、子どもの本、マンガ等について取材、調査、執筆している。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)
<ブログ内関連記事>
(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!)
(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!)
(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!)
(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!)
(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!)
(2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!)
(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!)
end