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2017年12月4日月曜日

「POLO The King of Sports 写真展」(日本外国特派員協会)のレセプションに出席(2017年12月4日)-日本人の認識の盲点になっているポロという競技

(会場に展示されている写真パネル ©photo by Mika Mori)

「POLO The King of Sports 写真展」(会場:公益社団法人 日本外国特派員協会)のレセプションに出席してきた(2017年12月4日)。ポロ・ジャーナリストの森美香さんからの招待だ。「ポロ写真展」の開催期間は、2017年12月2日~2018年1月5日。

ポロ・ジャーナリストとは、馬上のフィールドホッケーともいうべきポロを専門に取材執筆するジャーナリストである。記事を書くだけでなく、みずから写真も撮影して情報発信を行っている。

このブログで森さんの著書 『ポロ-その歴史と精神-』(森 美香、朝日新聞社、1997)を取り上げて高く評価をしたことがきっけになって以来の友人である。ただし、直接お会いしたのは今回が初めてのことになる。ネットが発達した時代ならではの交友関係といえよう。

著書そのものは、出版から20年たったいまも再刊には至っていないが、日本では競技人口が数人しかいないポロが、じつは日本以外ではひじょうに人気の高いスポーツであることに変わりはない。その事実を日本人は知る必要がある。

(ポロで使用されるマレット(=スティック)と球を握る筆者の左手) 

当日会場で森さんにお聞きした話によれば、世界のポロの中心は、かつての英国ではなく、いまや米国であり、選手はポロを国技とするアルゼンチン(・・アルゼンチンはフットボールだけじゃない!)が多いそうだ。つまるところ、世界経済の中心である米国の大富豪がスポンサーとなってチームを所有している。今回の写真展で展示されている写真は、米国のフロリダで開催された「2016年ワールドカップ」のものである。

面白いことに、世界の経済覇権が米中二大大国に移行するなか、中国が台頭してきているのだという。もともとポロはペルシア帝国が発祥の地であり、ユーラシアに起源をもつ競技なのだが、近代スポーツ化したのは英国である。

その英国では貴族が斜陽化して、財力のある米国にシフトし、新興の中国は発祥の地は中国だ(!)とさえ主張する始末。フットボール(=サッカー)だけでなく、ポロもまた国際政治経済情勢を反映するスポーツなのだ。


会場は、東京・有楽町の有楽町電気ビル北館20階にある公益社団法人日本外国特派員協会のザ・メインバー。会員用のバーに写真パネルが展示されている。

日本外国特派員協会(FCCJ)は、日本に派遣されている外国報道機関の特派員やジャーナリスト、報道写真家のために運営されている社団法人の会員制クラブのことだ。1945年の日本の敗戦にともなう占領期から続くものである。TVやネットでよく目にする日本外国特派員協会だが、訪れたのは今回が初めてだ。

日本外国特派員協会に行く機会があれば、ぜひ「ポロ写真展」を鑑賞していただきたい。その機会がないとしても、ポロが日本以外ではよく知られたスポーツであることを認識してほしいと思う。





<関連サイト>

Photography exhibition by Mika Mori (FCCJ:日本外国特派員協会)
・・「POLO The Sport of Kings」を取り上げた記事
開催期間は、2017年12月2日~2018年1月5日

国際ポロ連盟(英語)

ポロにのめり込む世界の大富豪たち-全米オープンポロ選手権観戦記(森美香、新潮45 2016年7月号)





<ブログ内関連記事>

書評 『ポロ-その歴史と精神-』(森 美香、朝日新聞社、1997)-エピソード満載で、埋もれさせてしまうには惜しい本

麹町ワールドスタジオ 「原麻里子のグローバルビレッジ」(インターネットTV 生放送) に出演します(2012年6月13日 21時から放送)-テーマは、『「近代スポーツ」からみたイギリスとイギリス連邦』

書評 『馬の世界史』(本村凌二、中公文庫、2013、講談社現代新書 2001)-ユーラシア大陸を馬で東西に駆け巡る壮大な人類史




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2012年10月19日金曜日

「秋季雅楽演奏会」(宮内庁式部職楽部)にいってきた(2012年10月19日)




秋晴れの金曜日午後、宮内庁式部職楽部による「雅楽演奏会」を観賞するために皇居にいってきた。ありがたいことに抽選でチケットが当たったからである。

たまたま、人馬一体で行う貴族のスポーツであるポロについて調べていたときに、なんと日本にも打毬(だきゅう、うちまり)という名称でポロが伝来していたことや、宮内庁でいまでも保存されていることを知った。

そのまま宮内庁のウェブサイトをみているうちに、雅楽演奏会が開催されていることを知ったの存在を知った。そして申し込んだら当選したとうわけ。

雅楽というと、神前結婚式や正月番組などおめでたい席で流れている音楽だが、規範となるのは千年以上のにわたって伝承されてきた宮内庁式部職楽部のものである。その演奏をライブで観賞することができたのは今回がはじめてだ。

開催要項は以下のとおりである。http://www.kunaicho.go.jp/event/ensokai.html

来る10月19日(金)から3日間,宮内庁楽部において,雅楽演奏会を下記のとおり開催します。
開催日時: 10月19日(金),20日(土)及び21日(日)
午前の部:午前9時30分開場,午前10時30分開演
午後の部:午後1時30分開場,午後2時30分開演
(演奏所要時間は,約1時間30分)


演奏曲目は以下のとおり。

【管絃】
太食調音取(たいしきちょうのねとり)
合歓塩(がっかえん)
朗詠(ろうえい)
嘉辰(かしん)
還城楽(げんじょうらく)

【舞楽】
打球楽(たぎゅうらく)
古鳥蘇(ことりそ)

わたしが会場に到着したときにはすでに舞台正面の席は満席で、仕方なく左側の席に座ることにした。桟敷は玉砂利が敷かれており、そのうえに木製の椅子に腰掛けることになる。



演奏中の写真撮影は禁止なのでご了承いただきたい。まあ、舞台ものはみな撮影禁止ではある。




当日は、皇族としては高円宮妃(たかまどのみやひ)様がご臨席された。二階のバルコニーにある特別席である。

演奏時間は休憩をはさんで1時間半。

前半の「管絃」パートは、正直いって猛烈に眠気を催された。宇宙的な旋律が、限りなく眠りに誘われるのは、インドネシアのガムランも同様だ。同じ旋律が繰り返され、微妙に変化をつけながら、ゆったりとしたリズムで続いてゆくというのは、本来のアジア共通のものだ。

休憩をはさんで後半の「舞楽」は、前半の「管絃」に舞が加わるので、ややダイナミックなものとなる。もちろん、ゆったりとした動きは激しいというのとはほど遠いが、それでも様式美を感じさせる舞である。

とくに「打球楽」(たぎゅうらく)という演目がよかった。ホッケーか、ゴルフか、ポロのものかよくわからないが、打球用のスティックをもって4人が舞う。写真撮影できないのでお見せできないのが残念だ。

冒頭にも書いたが、打毬(だきゅう、うちまり)という名称で平安時代からポロが伝来していいたらしい。馬に乗るか乗らないかの違いはあっても、ボールを打つという基本は共通している。それが、雅楽の演目となっているというのは面白い。

雅楽の舞人は、基本的に武官の装束なので、スポーツとは親和性が高いのだろうか。

神社での演奏やお神楽は見ることがあっても、雅楽を見ることはなかなかない。みなさんもぜひ宮内庁のウェブサイトをチェックして、ぜひ次回の雅楽講演に参加してみてはいかがだろうか。






PS 雅楽師の東儀秀樹氏も宮内庁式部職楽部である

今回の演奏会にも、東儀という名字をおもちの方が二人参加しておられた。東儀という家は、雅楽の家系であることは比較的よう知られていることだと思う。

以前、『雅楽-僕の好奇心-』(東儀秀樹、集英社新書、2001)という本の書評を書いたことがあるので再録しておく。いまは亡きbk1に書いたものである。


『雅楽-僕の好奇心』(東儀秀樹、集英社新書、2001)
2001/03/28 21:46

■e-ラーニングの時代においても本当に重要な教育とは何か、を考えるヒントがある
 
著者はTVにもよく出演している雅楽界の異端児である。この本に書かれている内容はTVでもしゃべっているので、特に目新しい(耳新しい?)ことが書かれているわけではない。
ただ、雅楽という千年以上にわたって伝承されてきた技芸がいかに教育されているかについて語っている部分は、e-ラーニングの時代においても本当に重要な教育とは何か、を考えるヒントになる。
「譜面に頼らず、師から弟子へ、体にたたみこみ、かみくだいて習慣化しておくのは、音と音の間の伸び、縮み、あるいは音程の微妙なカーブといった記号化できない要素を正確に伝えるためなのだ」(P.53)、というくだりは、デジタル化できない、リアル世界の対面教育の重要性を指摘している。
なにせ千年以上これでやってきたのだから、説得力はあり過ぎだ。



<関連サイト>

雅楽(宮内庁)


<ブログ内関連記事>

書評 『ポロ-その歴史と精神-』(森 美香、朝日新聞社、1997)-エピソード満載で、埋もれさせてしまうには惜しい本
「・・インドで生まれたポロは、西に広がってポロとなり、東にも広まって中国大陸から朝鮮半島を経て日本にも伝わる。日本でもポロは、打毬(だきゅう)という形で宮内庁によって伝承されているのである!宮内庁が伝承しているのは雅楽だけではないのだ」

書評 『狂言サイボーグ』(野村萬斎、文春文庫、2013 単行本初版 2001)-「型」が人をつくる。「型」こそ日本人にとっての「教養」だ!

第12回 東京大薪能(たきぎ・のう)を見てきた(2009年8月13日)

お神楽(かぐら)を見に行ってきた(船橋市 高根神明社)(2009年10月15日)

(2014年8月26日 情報追加)



(2021年11月19日発売の拙著です)


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2012年6月15日金曜日

書評 『ポロ-その歴史と精神-』(森 美香、朝日新聞社、1997)-エピソード満載で、埋もれさせてしまうには惜しい本


「ポロ」(Polo)というと、多くの人は、英国のチャールズ皇太子がプレイしている姿を想起するのではないだろうか。わたしもそうだ。だから、この本を読むまで、てっきりポロは英国で生まれた貴族のスポーツだと思い込んでいた。

ところが、ポロというスポーツは英国生まれではない。インド(あるいはチベット)で生まれた「伝統スポーツ」なのだった。馬にのって球を道具で打つポロは、人馬一体となる狩猟民族の戦闘模擬訓練でもあったのだ。疑似戦争としてポロの試合が行われたわけである。

インドで生まれたポロは、西に広がってポロとなり、東にも広まって中国大陸から朝鮮半島を経て日本にも伝わる。日本でもポロは、打毬(だきゅう)という形で宮内庁によって伝承されているのである!宮内庁が伝承しているのは雅楽だけではないのだ。

こんな知られざるエピソードが満載の 『ポロ-その歴史と精神-』(森 美香、朝日新聞社、1997)は、いまから15年に出版された本だ。当時、スポーツ関連の仕事にかかわっていたわたしはすぐに買い求めたが、読まないまま15年もたってしまった。今回、ようやく機会をみつけて読んでみた。

日本に伝わった打毬(だきゅう)について補足しておこう。平安時代にさかんになったが、武士の時代には流鏑馬など、より実戦に近いものが好まれた結果、廃れてしまったらしい。だいぶ後の世になるが、将軍吉宗の時代に復活し、現在は宮内庁で伝承されているとのことだ。天皇陛下も若い頃はポロをなされたらしい。

さて、西に拡がったポロだが、英国が深くかかわっていたことは確かなのである。

英国は19世紀になってインドを植民地にしたのだが、英国人とは切っても切れない関係となったお茶をなんとか中国から輸入せずにすませたいと思っていたお茶の原木がインド高地のアッサムで発見された。アッサム・ティーの原産地である。

その同じアッサムのポニー馬をつかって行われたインドの「伝統スポーツ」が、インド駐留の英国陸軍将校のあいだでさかんに行われるようになり、競技スポーツとして近代化されたのが現在のポロなのである、と。

紅茶とポロというスポーツには接点があったわけだ。

英国で「近代スポーツ化」されたポロだが、まずはインド駐留の英国陸軍将校のあいだで拡がったのは、英国と比べてインドのほうがコストが低かったというのも大きな理由であるらしい。

その後、英国本土でもポロクラブの開設ラッシュがつづき、貴族と上流階級の社交場として機能するようになった。ブレア政権時代に禁止となったが、おなじく馬をつかうスポーツである、貴族の趣味であるキツネ狩りとポロは、シーズンが異なるので、貴族のあいだではたいへん好まれたそうだ。

そして世界に普及したのは、陸軍ではなく海軍のおかげであるらしい。海軍の寄港地で、積極的にポロを普及させたらしい。チャールズ皇太子の人生の指南役であった叔父のマウントバッテン伯爵も海軍士官であった。

マウントバッテンは英国の最後のインド総督をつとめた人であるが、インドのマハラジャ(藩王)たちとは積極的にポロをつうじて交友関係をつくっていたおかげで、インド独立に際してマハラジャたちの説得をスムーズに行うことができたのだという。その後の英国とインドとの関係は、クリケットだけでなくポロもあずかって大きかったわけなのだ。

この他、本書には、1920年代アメリカの『グレート・ギャツビー』や、ポロシャツトラルフローレン、アルゼンチンの国技となったポロなど、ポロの愛好家ではなくても面白い話題が満載である。

冒頭にも書いたように、ポロというとチャールズ皇太子を思い浮かべるのは、戦後になってから、うまくイメージを作り上げることができたということだろう。その意味では、ポロは著者が書いているように「英国王室のショーウィンドー」であるだけでなく「貴族の最後の砦」でもあるのだろう。

現在でも、英連邦においては、オーストラリアでも、マレーシアでも、シンガポールでもポロは行われている。1997年に中国に返還された香港では、本書が出版された時点(1997年ではすでになくなっっていたらしい。ちょっと残念な気がしなくもない。

いまから15年前に出版された本だが、類書がまったくない好著なので、そのまま忘れ去られてしまうのはじつに惜しい本である。ますは、古本でいいのでぜひ一読してほしいと思う次第だ。



目 次  
第1章 ポロの誕生
第2章 血塗られた中国の撃毬
第3章 日本で花開いた打毬
第4章 大英帝国の歩みとともに
第5章 アメリカで結実した貴族のスポーツ
第6章 ポロの心
第7章 現状と展望
あとがき
参考文献

著者プロフィール
   
森 美香(もり・みか)
1957年、東京都生まれ。1981年、慶應義塾大学文学部(西洋史専攻)卒業。その後、スタンフォード、ジュネーブ両大学留学。1985年より米英でポロの取材を始め、新聞、雑誌等に執筆。現在、米国の Museum of Polo and Hall of Fame の国際委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


PS ぜひ「復刊リクエスト」に投票を!

良書が埋もれたままになっているのはじつに惜しいこと。
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http://www.fukkan.com/list/rsearch?search%5Bname%5D=%E3%83%9D%E3%83%AD%E3%80%80%E3%81%9D%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E3%81%A8%E7%B2%BE%E7%A5%9E&x=0&y=0

(2014年12月29日 記す)



<関連サイト>

国際ポロ連盟(Federation of International Polo) 公式サイト 

宮内庁 打毬(だきゅう)・・皇室に伝わる文化。将軍吉宗が復活させたもの


(ロイヤル香港ポロ・クラブ 『続エマニュエル夫人』(1977年)のシーンから)


<ブログ内関連記事>

麹町ワールドスタジオ 「原麻里子のグローバルビレッジ」(インターネットTV 生放送) に出演します(2012年6月13日 21時から放送)-テーマは、『「近代スポーツ」からみたイギリスとイギリス連邦』

麹町ワールドスタジオ 「原麻里子のグローバルビレッジ」(Ustream 生放送) 「ビジネスマンが語るタイ王国のいま」(2012年2月15日放送) 
・・わたしの話につづいて後半は、「プロが伝授する紅茶の世界」というテーマで、一緒に出演した藤井敬子さんが語っています

ボリウッドのクリケット映画 Dil Bole Hadippa ! (2009年、インド)-クリケットを知らずして英国も英連邦も理解できない!
・・ポロとクリケットはともに打球という「点で共通。この2つの球技抜きに英印関係は語れない

「下野牧」の跡をたずねて(東葉健康ウォーク)に参加-習志野大地はかつて野馬の放牧地であった
・・日本における「馬の文化」について、千葉県の習志野を中心にややくわしく書いておいた

書評 『馬の世界史』(本村凌二、中公文庫、2013、講談社現代新書 2001)-ユーラシア大陸を馬で東西に駆け巡る壮大な人類史
・・「英国ではイタリアの馬術書の影響が深まるにつれて management(マネジメント)というコトバが生まれたという事実だ。英語の management はイタリア語の maneggiare から派生したそうだが、もともとはラテン語の manus(手)に由来するという。management とは馬を手で扱うことを意味したのだそうだ。経営は馬の世話から始まったのだ!」

(2014年5月11日、2017年11月26日 情報追加)



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