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2024年1月27日土曜日

「特別展 本阿弥光悦の大宇宙」(東京国立博物館平成館)に行ってきた(2024年1月26日)ー 戦国時代末期から江戸時代初期の激動期に生きた美の巨匠・本阿弥光悦。その全体像を知る

 


本阿弥光悦(ほんあみ・こうえつ 1558~1637)は、戦国時代末期から江戸時代初期の京都に生きた美の巨匠である。本人が美術家であるだけでなく、目利きでもあり、美術プロデューサーの元祖的存在でもある。


(本阿弥光悦 Wikipediaより)


刀剣の鑑定を行う家に生まれ、みずからもその家業を行っただけでなく、豪華絢爛な漆器(上掲のポスターの「舟橋蒔絵硯箱」)や、茶人として味のある陶器を残しており、なによりも書家として名を残した人物だ。 「寛永三筆」の一人とされている。

今回の展示は、そんな本阿弥光悦の全体像がわかる企画であった。 




俵屋宗達とのコラボレーション
などもある。俵屋宗達の画に、本阿弥光悦の書。今回はめずらしくマグネットも各種販売されていたので「鶴図下絵和歌巻」を購入した(上掲の写真)。

展示の重点が置かれているのは、本阿弥光悦と日蓮宗との関係だ。本阿弥と「阿弥」が含まれているので、「阿弥号」の連想から念仏系だと思い込んでいたが、それはまったくの間違いであったわけだ。
 
(『蓮下絵和歌巻』(部分)本阿弥光悦書、俵屋宗達画 Wikipediaより)


光悦は熱心な法華衆であったらしい。日蓮の著作や法華経も書写しており、これらの展示品も興味深い。たしかに「蓮」をモチーフにした作品は、日蓮宗信仰の反映と考えるべきかもしれない。



(市川市指定文化財の「光悦筆扁額」


ところで、おなじ上野公園で開催されている「モネ展」は入場に列ができていたが、「本阿弥光悦展」のほうはそうでもなかった

まあ、現代日本の一般ピープルには、モネのほうがポピュラーなのかもしれない。モネは浮世絵の影響を受けていることは別にしても、モネのほうがいかにも現代人好みであるのは当然といえば当然かかももしれないが・・・ 

とはいえ、「特別展 本阿弥光悦の大宇宙」がれほど混雑していないのは、ありがたいことではあった。 

本阿弥光悦がいかなる存在であり、近世の日本美術にあたえた多大な影響を知り、しかも日蓮宗と法華経の大きな影響下にあったことを知るうえで、ぜひ足を運んでみるべき美術展である。

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2018年3月11日日曜日

書評『日本やきもの史入門(とんぼの本)』(矢部良明、新潮社、1992)ー この入門書はわかりやすくて、しかも質が高い



別に骨董好きではないのだが、陶器の技術史的側面に関心があって『日本やきもの史入門(とんぼの本)』(矢部良明、新潮社、1992)を読んでみた。amazonで類書を探していて、この本が良さそうだったからだ。

この本は、面白くてじつに理解しやすいスグレ本だ。ビジュアル本で豊富なカラー写真と問答体スタイルなので読みやすい。 陶磁器は三次元構造物なので、ほんとうは二次元の画像ではリアルさに欠けるが、それは仕方がないこと。ホンモノを見るだけでなく、触って使い込んでみないと陶器は理解できないことは重々承知している。

著者は、東京国立博物館陶磁室長(出版当時)。いきなり「第一部 世界最古の土器は日本製!」という章で縄文土器の話から始まるが、その後の弥生時代以降は、先進技術文明である中国の陶磁器製作技術の影響などもからめた技術史的アプローチがよい。

 「第4部 世界が驚く桃山のやきものオブジェ」という章も読んでいて気持ちいい。技術もさることながら、茶の湯とのからみで美意識を重視した作品の数々抽象芸術としては西欧社会よりも400年早い!というのは、日本人としてはうれしいではないか!

秀吉の朝鮮出兵後に朝鮮の陶工たちが大量に日本に来たのは、技術者を必要としていた九州の諸大名が誘致したからだという説明には納得。技術移転は人間の移動をともなうものであり、来日した陶工たちにとっても歓迎される土地の方がよかったのだろう。

そのほか、さりげなく知見の数々が紹介されており、入門書にしては質が高い

 一読して、なんとなく日本の陶器の歴史がわかったような気持ちになった。現在は「品切れ重版未定」のようだが・・・。ぜひ重版するか、あるいはサイズを小さくして文庫版で復刊するべきだ。


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『ドラッカー・コレクション 珠玉の水墨画- 「マネジメントの父」が愛した日本の美-』(千葉市美術館)に行ってきた(2015年5月28日)-水墨画を中心としたコレクションにドラッカーの知的創造の源泉を読む 
・・「青年期まで過ごしたウィーンやフランクフルトなどで接していた、第一次世界大戦と同時代の「ドイツ表現主義」が実現できず終わったことを、すでに江戸時代の日本人が禅画で実現していたというドラッカーの発言」

書評 『若冲になったアメリカ人-ジョー・D・プライス物語-』(ジョー・D・プライス、 山下裕二=インタビュアー、小学館、2007) 
・・テーマ性で収集したドラッカーとは異なり、埋もれていた一人の絵師の作品に惚れ込んだアメリカ人コレクターによるコレクション

「縄文多空間 船橋市飛ノ台史跡公園博物館」(船橋市海神)にはじめていってみた(2016年5月21日)-海辺の小高い丘に居住していた縄文人たちの痕跡。7000年前の「縄文早期」に思いをめぐらす

書評 『ニシンが築いた国オランダ-海の技術史を読む-』(田口一夫、成山堂書店、2002)-風土と技術の観点から「海洋国家オランダ」成立のメカニズムを探求


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