「アタマの引き出し」は「雑学」ときわめて近い・・日本マクドナルド創業者・藤田田(ふじた・でん)に学ぶものとは?

◆「アタマの引き出し」つくりは "掛け算" だ : 「引き出し」 = Σ 「仕事」 × 「遊び」
◆酒は飲んでも飲まれるな! 本は読んでも読まれるな!◆ 
◆一に体験、二に読書、その体験を書いてみる、しゃべってみる!◆
◆「好きこそものの上手なれ!」◆

<旅先や出張先で本を読む。人を読む、モノを読む、自然を読む>
トについてのブログ
●「内向きバンザイ!」-「この国」日本こそ、もっとよく知ろう!●

■■ 「むかし富士山八号目の山小屋で働いていた」全5回 ■■
 総目次はここをクリック!
■■ 「成田山新勝寺 断食参籠(さんろう)修行(三泊四日)体験記 」全7回 ■■ 
 総目次はここをクリック!
■■ 「庄内平野と出羽三山への旅」 全12回+α - 「山伏修行体験塾」(二泊三日)を中心に ■■
 総目次はここをクリック!


「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!

「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!
ビジネス寄りでマネジメント関連の記事はこちら。その他の活動報告も。最新投稿は画像をクリック!



ご意見・ご感想・ご質問 ken@kensatoken.com にどうぞ。
お手数ですが、コピー&ペーストでお願いします。

© 2010~2016 禁無断転載!



2010年2月26日金曜日

書評 『「言語技術」が日本のサッカーを変える』(田嶋幸三、光文社新書、2007)-「論理力」と「言語力」こそ、いま最も日本人に必要なスキル




カタカナ語の「ロジカルシンキング」を一過性の流行に終わらせないために必要なメソッドとは

 日本のサッカーを世界水準に引き上げるには何が必要なのか?

それはずばりいって、選手の個人としての「自己決定力」であり、その基盤となるのが「論理的」に思考し、それを的確に表現できる「言語力」である。

 著者は、自らの現場(フィールド)であるサッカー界を舞台に、「言語技術」や「論理力向上」をともなった「サッカー選手の育成プログラム」の取り組みの実際を具体的に紹介している。


 高校・大学時代そして実業団時代には選手として活躍した著者が、指導者(コーチ)になるため1980年代前半に留学したドイツのケルンで体験したものは、子供たちのサッカーに「バカ蹴り」がない(!)という事実だった。

 「バカ蹴り」とは、監督にいわれるがままに無意味な大蹴りをして、ボールを遠くにクリアすること。ドイツでは10歳の子供たちでも、「バカ蹴り」はせず、自分が出したパスの意図を、コトバによって言い合いをする・・・。著者にはこれは大きなショックだった。これこそが、日本とドイツもその一つである欧州サッカーとの大きな、そして埋めがたいまでのギャップだったのだ。個人として「自己決定」したうえで身体技術を駆使し、自らの行為を「論理」で説明できるプレイ。これが日本のサッカーには欠けているのだ、と。

 なぜなら、「サッカーは、スピーディーなゲームの最中に究極の判断を求められるチームスポーツであり、刻々と変化していく局面に対してその都度、自分の考えを明確にし、それを相手に伝えていく必要性が生じるからです。こうした姿勢や対応能力は、日本人がこれまで最も苦手にしてきた領域だといえるでしょう」(P.15)。


 著者の問題意識をもとに始まった、指導者向けの「ディベート」訓練と「言語技術」訓練。個人としての選手のもてるチカラを最大限に引き出し、チームのチカラを勝利に向けて導いていくのが、「論理的」に説明し、納得させる能力をもつ指導者のチカラなのである、と。そこにあるのは選手どうし、選手と監督、コーチとのあいだで交わされる、論理と論理のぶつかりあいである。

 そしてユース向けの中高一貫コースでの「言語技術」訓練。論理力と言語力を鍛えるためには、中学生から「言語技術」を生活習慣化させることが必要だと、著者は実践をとおして主張している。


 本書は、「言語技術」や「論理力向上」をともなった「サッカー選手の育成プログラム」の取り組みの実際を具体的に紹介しているが、サッカー以外の世界でも、日本人が真剣に取り組むべき方向性を指し示してくれたと受け取りたい。

 全体をとおして繰り返しの表現がやや多いのが気にはなるが、それは著者の情熱のほとばしり捉えるべきだろう。また「エリート養成」という表現が鼻につくという人も多いだろうが、これは真の意味におけるエリート、すなわち一流の人材であってかつ、いずれ人の上に立つことになる指導者(リーダー)と言い換えて理解してもいいだろう。


 「ロジカルシンキング」というカタカナ語を一過性の流行に終わらせないためにも、「言語技術」は生活習慣化していかねばならない。これによって、国際水準で張り合っていける日本人は必ず育成されるはずだ。

 この本はまた、新しい時代に求められる「リーダーシップ」とは何かを示してくれる本でもある。すぐにでも応用可能なメソッドの実例が紹介されており、サッカーだけでなくビジネスでも、またその他どんな世界でも、一流を目指し、指導者(リーダー)を目指す人、そしてその父兄、教育者、そして企業の研修担当者にとっても必読書であるといえよう。

 ぜひ一読を薦めたい。


<初出情報>

■bk1書評「「論理力」と「言語力」こそ、いま最も日本人に必要なスキルである。カタカナ語の「ロジカルシンキング」を一過性の流行に終わらせないために必要なメソッドとは」投稿掲載(2002年2月23日)





<書評への付記>

 つい先日、ひさびさに新古書店のブックオフにいって見つけた本である。こんな重要な本がすでに出版されていたとは知らなかった。まったくもって、お恥ずかしい限りである。

 NHKの「追跡AtoZ」という時事テーマを追跡した報道ドキュメント番組で、「問われる日本人の"言語力"」という番組が放送されたが(2010年1月30日)、この番組で日本サッカー界で「言語力」強化訓練が行われていることを知ったばかりだったからだ。

 この本は、サッカーを知らなくても読むべき本だ。知っていればなおさら面白い。

 「言語力」を高めるために「言語技術」の重要性を十分に認識してほしい。社会人になってから「ロジカル・シンキング」なんて騒いでいるようじゃ、ちょっと遅すぎるのではないか? しかも、「ロジカルシンキング」などとカタカナ語に留まっているかぎり、日本人に「論理的思考能力」は定着しないだろう。
 子どもの頃から、「言語技術」を生活習慣にするべきなのだ。そのためにはとくに母親の役割は大きい。この本には、そのための具体的な方法が紹介されているので、ぜひ直接目を通して欲しいと思う次第である。

 実に簡単なメソッドである。しかし、生活場面で活用しなくては、決して身につかないものである。
 もちろんその意味では、大人がまず目を通すべきなのだ。すでに大人となった人も、遅れを取り戻すべきだ!



PS 「FIFAワールドカップ2014」(ブラジル大会)で、日本代表は一次リーグの最終戦の対コロンビア戦で 4-1 と惨敗し、一勝もすることもなく最下位で敗退、決勝トーナメントに進むことができなかった。あらためてこの事実と意味するものをかみしめるときである (2014年6月25日 記す)



<関連サイト>

JALの現役パイロットが特別指導! 会議が劇的に早く終わるコミュニケーション術 (ダイヤモンド・オンライン編集部、 2015年7月7日)
・・「言語技術」の企業への応用

(2015年7月7日 項目新設)



<ブログ内関連記事>

書評 『外国語を身につけるための日本語レッスン』(三森ゆりか、白水社、2003)
・・田嶋氏と共同作業を行った「言語技術」専門家の本

書評 『言葉でたたかう技術-日本的美質と雄弁力-』(加藤恭子、文藝春秋社、2010)-自らの豊富な滞米体験をもとに説くアリストテレス流「雄弁術」のすすめ

コトバのチカラ-『オシムの言葉-フィールドの向こうに人生が見える-』(木村元彦、集英社インターナショナル、2005)より
・・あらためてかみしめるべき至言のコトバの数々

(2014年6月25日 情報追加)






(2012年7月3日発売の拙著です)







Clip to Evernote 


ケン・マネジメントのウェブサイトは
http://kensatoken.com です。

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!

 

end