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2010年12月30日木曜日

いまあらためて「T型人間」、「Π(パイ)型人間」のすすめ-浅く幅広い知識に支えられた「専門プラスワン」という生き方で複眼的な視点をもつ




 私が20歳台の頃、「T型人間」になれ、いやもっと上を目指して「Π(パイ)型人間」になれ、あるいは「クシ型人間」になれなどといわれていたものである。

 「T型人間」ってなに? 「Π(パイ)型人間」ってなに? はあ?、というとこだろう。先日、ある30歳台後半のマスコミ出身者にこの話をしたところぜんぜん知らないようだったので、現在ではもうあまり話題にならないのかもしれない。

 とりあえず、まずはこの「T型人間」と「Π(パイ)型人間」について、簡単に説明を行っておこう。


「I型人間」、「T型人間」、そして「Π(パイ)型人間」

 まず「T型人間」とは何かというと、Tの字は分解すると、タテ串の「I」とヨコ串の「-」で構成されていることがわかる。タテ串の「I」が専門性だとすると、ヨコ串の「-」は専門以外のバックグラウンドを意味していると説明されていた。

 つまり一言でいうと、狭い専門性しかもたない「I型人間」ではなく、「T型人間」という、浅くても幅広い知識をもった専門家になれということだ。この重要性については、このブログでは "try to know something about everything, everything about something" に学ぶべきこと で説明したとおりである。  「T型人間という表現は、少なくとも1980年代後半には、企業社会でよく使われていた。

 次に「Π(パイ)型人間」とは何かというと、Π(パイ)はギリシア文字 π の大文字 Π である。小文字でも問題はないのだが、「T型」と対比するために大文字の Π を使って説明する。
 「Π型」とは「T型」のタテ串が一本増えたものである。つまりヨコ串であらわされる幅広い知識をもつ専門家であることは共通だが、専門の軸がもう一本あるということを示している。つまり幅広いバックグラウンド知識をもった専門家だが、二つの専門性をもつということだ。

 「クシ型」とは何かということだが、これは髪の毛をとかす櫛(くし)を櫛の歯が下にむくように置くと、一本のヨコ串にタテ串が複数ついているような形になる。つまり3つ以上の複数の専門をもっているということになる。

 「I型」ではなく「T型」、さらには「Π型」を目指せというのは、いいかえれば「専門プラスワン」という生き方で、問題発見と問題解決に際して、重層化、複眼化を目指せということになる。


学問の世界では二つ以上の専門分野をもつことをインターディシプリナリー(学際的)という

 いまは亡き東南アジア政治の専門家・矢野暢教授は、地域研究を目指す研究者の卵に向かって、ある特定の地域の専門家ではこれからは通用しない、経済学なり政治学なりというディシプリン(学問の専門領域)をもったうえで、地域研究を行うスタイルでないと、研究者としてはやっていけないだろうと、1970年代(?)の著作ですでに述べていた。

 具体的な組み合わせでいうと、言語学とモンゴル研究を専門にする田中克彦教授や、経済思想と民族学を専門にする住谷一彦教授などがその典型的な例にあたるだろう。
 人文社会科学系統の学問の世界では、専門をはっきりさせろという声が強いようだが、あえて二つ以上の複数の専門領域をもつことで、実り豊かな成果を出してきた研究者は実際に多数存在する。

 理工系でも、 島津製作所の田中耕一氏のように、大学時代の専攻は電気だが、会社に入ってから化学に転じ、化学分野でノーベル賞を受賞した研究者や、糸川英夫氏のように航空工学から宇宙工学を経て、組織工学を開拓したような人もいる。

 総じて理工系の研究開発分野のほうが、「Π型人間」が多いような印象を受ける。現在のバイオテクノロジーのなかでも、とくに遺伝子工学(ジェネティック・エンジニアリング)は、物理学の生物学への応用から始まった学問である。このように二つ以上の専門分野から、あらたな研究分野が生まれることは理工系ではよくあることだ。

 こういうことをさして、学問の世界では「インター・ディシプリナリー」という。日本語では学際的。inter-disciplinary つまりディシプリン(専門研究分野)をまたいだという意味である。

 米国の大学では、意欲的な学生は大学院で「ダブル・メイジャー」を行う。ダブル・メイジャー(double major)とは、たとえば経営学と中国研究などの異なる専門分野の組み合わせで学位を同時に二つ取得する制度のことだ。地域研究の分野でいえば、東南アジア研究で有名なコーネル大学では、M.B.A.と地域研究の M.A.が同時に取得できるコースが設定されている。
 
 ちなみに、私はといえば、大学時代はヨーロッパ中世史など専攻したが、現時点では経営学を主専攻とし、日本研究を副専攻としているようなものだろう。これは結果としてそうなっているというだけの話であって、最初から意図してそうなったわけではけっしてない。


ビジネスの世界におけるインターディシプリナリーな「Π(パイ)型人間」

 学問世界の話をしたが、ビジネスの世界でも二つ以上の専門をもつことから、新しい知見が生まれてくる。これは研究開発の世界と同じことだ。

 たとえば、新卒で入社して最初の配属先が人事管理から出発して、その後はマーケティングに異動したり、営業の現場にでるケースもある。
 大企業の場合は、人事異動の一環として、多くの職務を体験させながらジェネラリスト養成を行うことがこれまで多かったが、自らの意思で複数の専門分野を経験することも不可能ではない。これは戦略的なキャリア開発の観点から行うものである。

 また、研究開発の世界に長くいた人が、マネジメントに転身するケースもある。研究者の能力に見切りをつける場合と、研究者としてのキャリアを活かして同時にマネジメント能力を身につけることで、ワンランク上に向かうのと二つのケースがある。

 自分がもっとも得意とする専門以外に、異なる専門分野を開拓する。
 理想は二つ以上の専門分野のハイブリッドを自分の身のなかで実現することだが、ハイブリッドまでいかなくても専門どうしのクロスオーバーのもたらす意味は非常に大きい。
 重層的、複眼的な視点をもつことができるようになるからだ。

 自分のなかに第一の専門とは異なる専門分野をもつことで、異なる切り口でモノをみる視点が、単なる足し算としてだけでなく、掛け算として、自分のなかに養われる。こっれは複眼的なものの見方といってもいい。これがクロスオーバーの意味である。

 二つ以上の複数のものの見方を身につけていると、自分のなかで異なるものの見方がせめぎ合いをすることもある。これが複眼的というものだ。

 しかもそれぞれの専門の背後には広大な地平が拡がっている。"try to know something about everything, everything about something" に学ぶべきこと にも書いたように、ある専門の背後には膨大な知識があり、別々の専門の背後にある、別々の背景知識がせめぎ合い、融合することで、さらに広くかつ深く、自分の「引き出し」世界が広大なものとなっていく。

 「Π(パイ)型人間」を目指せということは、このように複数のものの見方を身につけることで、問題発見と問題解決に際して、無限の組み合わせを、自らのうちにもつことを意味しているのである。



<ブログ内関連記事>

書評 『知的複眼思考法-誰でも持っている創造力のスイッチ-』(苅谷剛彦、講談社+α文庫、2002 単行本初版 1996)

"try to know something about everything, everything about something" に学ぶべきこと 

Two in One, Three in One ・・・ All in One ! -英語本は耳で聴くのが一石二鳥の勉強法

『近代の超克ー世紀末日本の「明日」を問う-』(矢野暢、光文社カッパサイエンス、1994)を読み直す-出版から20年後のいま、日本人は「近代」と「近代化」の意味をどこまで理解しているといえるのだろうか?
・・いまは亡き東南アジア政治の専門家・矢野暢教授の専門は、政治学×東南アジア

(2014年8月17日、12月13日 情報追加)




(2012年7月3日発売の拙著です)





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