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2014年6月30日月曜日

書評『「悲しき熱帯」の記憶 ー レヴィ-ストロースから50年』(川田順造、中公文庫、2010 単行本初版 1996)ー『悲しき熱帯』の日本語訳者によるブラジルを多角的、重層的に見つめる人類学的視点


レヴィ=ストロースの名著『悲しき熱帯』の旅が行われた1934年から50年後の1984年、その舞台となったたブラジルを訪れた愛弟子の日本人文化人類学者によるエッセイである。

レヴィ=ストロースが100歳で亡くなったのは2009年、その翌年に文庫化されたわけだが、その際のタイトルはは『「悲しき熱帯」の記憶-レヴィ-ストロースから50年-』となっている。1996年に出版された単行本初版では、『ブラジルの記憶-「悲しき熱帯」は今-』(NTT出版)となっていた。単行本がでたのは旅が行われた1984年から12年後、文庫版はその14年後となる。

レヴィ=ストロースの名著『悲しき熱帯』の旅が行われた1934年から、ことしはすでに80年ということになる。『悲しき熱帯』の執筆が開始されたのは1954年だから、60年前になる。いずれにせよ、もうずいぶん昔の話なのである。

じつはわらたしは1996年の単行本を購入して一部だけ読んでそのままにしていた。肝心要の『悲しき熱帯』は購入しながらもいまだ読んでいなかったからだ。今回ようやく『悲しき熱帯』を読み終え、そのうえでさっそく川田氏の本書を読んでみた。



『悲しき熱帯』に登場する先住民のインディオのなかでもっとも印象的なのがナンビクラワ族である。訳者の川田氏もまた、1984年にナンビクラワ族のもとを訪れている。

「未開民族」は、言うまでもないがすでに50年前そのものではない。とはいえ、インディ保護政策に転じたブラジル政府の保護のもと、物質生活のなかに入っていながらも、従来の生活習慣を無意識のうちに保っていたというのは興味深い。もっとも、「文明社会」への「同化」のための過渡期(=モラトリアム)であったようだが・・・。

文庫版でも単行本初版でもカバーに使用されているナンビクラワ族の女性の写真が圧倒的だ。縄文土器のような大地に根ざした大地母神像のような圧倒的な存在。この写真が撮影されたのは1984年である。

南米大陸は、わたしにとっては、いまに至るまでテッラ・インコグニタ(=未知なる大陸)だ。そのなかでもブラジルはとりわけ「常識」を試される土地のようだ。

二ヶ月足らずだったが、この国を旅してみて、情緒不安定と、感情の両極性の露出にいたるところで出会い、私自身も情緒不安定に陥った。殺戮と贖罪、家父長制と母性憧憬(マザーコンプレックス)、雄性誇示と去勢願望・・・。個人をではなく、社会や歴史を理解するのに、ブラジルほど精神分析の用語を思い出させる国もめったにあるものではないのではないだろうか。(Ⅰ 反世界としてのブラジル)

こんな文章を読んだら、いつかはブラジルに行ってみたくなるではないか!

1996年に単行本を購入して一部だけ読んだ際につよく印象に残っていたのが、リオデジャネイロにおける「人類教」にまつわるエピソードであった。18年ぶりに読み返してもその印象に変化はない。

「人類教」(Église positiviste: 実証主義者教会)とはフランス社会学の始祖ともいうべきオーギュスト・コント(1798~1857)が晩年に唱えた宗教である。

フランスではまったく定着しなかったが、なぜか当時フランスに留学した青年将校たちを大いに感化し、かれらをつうじて「人類教」(Religião da Humanidade ポルトガル語。英語だと Religion of Humanity)としてブラジルに伝えられた。

共和国となったブラジルの国旗が「人類教」の理念のもとに作成されたことを知れば、誰だって驚くに違いない(下図)。緑の背景に黄色の菱形、そのなかに星がちりばめられた地球。帯に書かれている ORDEM E PROGRESSO(秩序と進歩)というポルトガル語のスローガンはコントの著書から取ったものだという。

(リオの人類教教会に残るブラジル国旗の原図 単行本 P.55より)

現在では、ほそぼそと生き残っているにすぎない「人類教」だが、大学では社会学部にいたわたしには感慨深いものがある。経験的事実に基づいた理論構築を目指した「実証主義」(positivism)の提唱者であるコントともあろう人が、なぜ「人類教」などという宗教の開祖になったのか(?)という思いがあったからだ。まるでフランス革命時の「理性崇拝」のようなイメージをもったものだ。

フランスにとって植民地ではなかったブラジルは、ポルトガルにとっての支配/被支配関係ではなく、また英国やオランダのような経済関係でもなく、「人類教」とブラジル国旗のエピソードに端的にあらわれているように、知的交流という側面でのつながりが強かったらしい。

レヴィ=ストロースもまた、ブラジルの新興ブルジョワ層が建学して、フランス流のアカデミズムを祖導入したサンパウロ大学に招聘されたことがキッカケでブラジルに渡ることを決心したらしい。それが1934年のことだ。20世紀最大の歴史学者となったフェルナン・ブローデルもまた、同時期にサンパウロ大学で教鞭をとっている。

ブラジルとフランスといえば、いまの日本なら日産を再建したカルロス・ゴーンという答えが返ってくるだろう。ゴーン氏はレバノン系ブラジル人だが、フランスの超エリート校のグランゼコールの一つエコール・ポリテクニークを卒業している。ゴーン氏の存在そのものにも、フランスと移民社会ブラジルの関係がみてとれるかもしれない。

本書は個のほか、大航海時代のポルトガルを軸にした西アフリカと日本の対比(・・キリスト教(=カトリック)、奴隷貿易、小王国)、奴隷貿易を軸にした「近代」のコースの分岐(・・大規模土地所有者として労働集約型産業から脱却できなかったポルトガルが奴隷制を長く維持したのに対し、産業革命によって工業化し次世代産業への移行に成功した英国はいちはやく奴隷制廃止に踏み切った)など、示唆に富む考察も少なくない。

ブラジルで奴隷制が廃止されたのはなんと1888年(明治21年)、奴隷制廃止後は日本人を含めた移民が大量に流入することになる。

「ポルトガル=西アフリカ=日本=ブラジル=フランスを多面鏡のように立てて照合させながら相互連関的視野で問題を検討すること」(著者)の一つの試みとして、知的好奇心を大いに喚起される好エッセイである。

『悲しき熱帯』を読んでいてもいなくても、ブラジルという存在を多角的に重層的に知ることのできるので、読む価値のある本といえるだろう。人類学者の視点である。




目 次 
Ⅰ 反世界としてのブラジル
Ⅱ 灰まみれのモラトリアム・ピーターパンたち
Ⅲ なぜ熱帯は今も悲しいのか
Ⅳ 「紐文学」と口誦の伝統
Ⅴ 私にとってのブラジル-十二年ののちに(“南蛮時代”の意味
あとがき
参考文献

著者プロフィール

川田順造(かわだ・じゅんぞう)
1934年(昭和9年)東京生まれ。東京大学教養学部教養学科(文化人類学分科卒)、同大学大学院社会学研究科博士課程修了。パリ第5大学民族学博士。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授を経て、現在広島市立大学国際学部教授。著書に『無文字社会の歴史』『口頭伝承論』『声』『ブラジルの記憶』他がある。


「人類教」の開祖で社会学者のオーギュスト・コントについては ⇒




<ブログ内関連記事>

レヴィ=ストロースの 『悲しき熱帯』(川田順造訳、中央公論社、1977)-原著が書かれてから60年、購入してから30年以上の時を経てはじめて読んでみた

書評 『現代世界と人類学-第三のユマニスムを求めて-』(レヴィ=ストロース、川田順造・渡辺公三訳、サイマル出版会、1986)-人類学的思考に現代がかかえる問題を解決するヒントを探る


視点のもちかた

書評 『座右の日本』(プラープダー・ユン、吉岡憲彦訳、タイフーン・ブックス・ジャパン、2008)-タイ人がみた日本、さらに米国という比較軸が加わった三点測量的な視点の面白さ
・・川田順造氏は「三角測量」という表現をつかって日本=フランス=アフリカのフィールドワークを行ってきたと語っている。基本的には同じことをさしている


ブラジル関連

書評 『サッカー狂の社会学-ブラジルの社会とスポーツ-』(ジャネット・リーヴァー、亀山佳明・西山けい子訳、世界思想社、1996)-サッカーという世界スポーツがブラジル社会においてもつ意味とは?

「JICA横浜 海外移住資料館」は、いまだ書かれざる「日本民族史」の一端を知るために絶対に行くべきミュージアムだ!

書評 『ヒクソン・グレイシー 無敗の法則』(ヒクソン・グレイシー、ダイヤモンド社、2010)-「地頭」(ぢあたま)の良さは「自分」を強く意識することから生まれてくる
・・グレイシー柔術の一家に生まれた「400戦無敗の男」は、スコットランド人移民の家に生まれたリオデジャネイロ出身


西欧植民者の奴隷制をめぐる「近代」-英国 vs ポルトガル

書評 『砂糖の世界史』(川北 稔、岩波ジュニア新書、1996)-紅茶と砂糖が出会ったとき、「近代世界システム」が形成された!
・・北米とカリブ海に展開した英国はいちはやく産業革命に成功し奴隷制から足を洗う

かつてコートジボワールが 「象牙海岸」 とよばれていたことを知ってますか?-2014年FIFAワールドカップ一次リーグでの日本の対戦相手
・・象牙海岸、黄金海岸、穀物海岸、胡椒海岸

「リスボン大地震」(1755年11月1日)後のポルトガルのゆるやかな 「衰退」 から何を教訓として学ぶべきか?
・・「未来」の国であるブラジルとは違う、「過去」に生きる本国のポルトガル

「500年単位」で歴史を考える-『クアトロ・ラガッツィ』(若桑みどり)を読む
・・1543年鉄砲伝来、1549年キリスト教伝来。ともにその役割を担ったのは「大航海時代」のポルトガル人であった

書評『1492 西欧文明の世界支配 』(ジャック・アタリ、斎藤広信訳、ちくま学芸文庫、2009 原著1991)


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2014年6月29日日曜日

レヴィ=ストロースの 『悲しき熱帯』(川田順造訳、中央公論社、1977)ー 原著が書かれてから60年、購入してから30年以上の時を経てはじめて読んでみた


フランスを代表する人類学者クロード・レヴィ=ストロース(1908~2009)が、みずからが行った1930年代のブラジル調査旅行を、約20年のちの1954年から翌年にかけて一気呵成に執筆し、出版したものだ。いまからすでに60年前に出版された記録文学である。

「フランスを代表する人類学者」と書いたが、現代の西欧を代表する知識人であるといったほうがより正確だろう。レヴィ=ストロースが100歳(!)で逝ったのはいまから5年前のことだ。日本でも現代思想を代表する一人として圧倒的な影響を与えてきた存在である。「構造主義」という四文字熟語によって。

1934年に受け取った一本の電話から始まった民族学者クロード・レヴィ=ストロースのブラジル調査旅行。20年の時を経て一冊の本として執筆が始まったのが1954年、愛弟子の日本人人類学者・川田順造氏が12年間を費やして日本語訳を刊行したのが1977年、わたしがこの本を単行本で購入したのが1983年。

それは大学時代のことだ。「ニューアカデミズム」ブームで「構造主義」が流行っていた(?)1980年代前半のことである。なぜか読むことなく33年の歳月が流れ、書棚のなかでほこりをかぶりつづけ、シミを発生させてきた・・・。

(1977年版の単行本の帯)

もうこの機会を逃したら読む機会はないかもしれないという思いから読み出したのが、2014年のFIFAワールドカップ・ブラジル大会の開催直前。2016年にオリンピックがブラジルで開催されるとはいえ、2年先だって先のことはわからないからだ。

とにかく、なぜか時間を要求する本のようだ。読み始めたら意外に読み進めてしまう内容の本なのだが・・・。

訳者の川田氏が書いているように、『悲しき熱帯』は「芳醇な馥郁たる香りのする、しかし時に苦渋にも満ちた「大人の読み物」、なのである。33年前、20歳にもならない若造が読んだとて、いったいどこまで理解できただろうかと思う。時間と空間が重層的に交差する世界。ある程度の人生経験を積んでいれば、意外なことにおのずから素直に納得のいく考察の数々。

年を取ることはけっして悪いことではない。若者が背伸びして読んだところで理解には限界がある本なのだ。

この本は、ときおり哲学的な考察や学問的な話もでてくるが、基本的には回想録であり、紀行文学として読んでも、いっこうにかまわないと思う。わたしもすべてが理解できたわけではないと正直に書いておく。翻訳もののにつきまとう晦渋さもあるためだが。

(写真集『ブラジルへの郷愁(サウダージ)』英語版の表紙)

本書には、「二項対立」(バイナリー)な存在として、歴史学と民族学、時間と空間、未開と文明、西洋と東洋、記憶と想起などがテーマとして浮かび上がってくる。未開社会もまた人間社会という点において文明社会と変わりがないことが示される。ある種の文化相対主義というべきであろう。

読んでいてひじょうにうれしく思ったのは、知的自伝を語りながら、レヴィストロースの少年時代からの、地質学と考古学への深い関心が歴史学的思考の基礎にあることを知ったことだ。この歴史学認識は、わたしも共有しているものであり、地層に歴史を読む込む発想をもっていたことにあらためて驚きと感嘆を感じるのである。

時間と空間にかんする認識こそが、歴史学と民族学(=文化人類学)の融合を実り豊かなものとする。直接レヴィ=ストロースとは関係ないが、わたしも大学時代目指していた歴史人類学は、その一つの融合の試みである。

いっけんブラジルのアマゾンのジャングルとは関係ない考察もまた、60年前のものとは思えないアクチュアルな意味をもっている。末尾に近い章で展開される議論が、とりわけ東洋世界の住人である日本人にとっては意味をもつ。

中洋のイスラーム世界をはさんで存在する西洋のキリスト教世界と東洋の仏教世界。現在のパキスタンの地で実現した古代ギリシアと仏教の出会いが、その後の歴史に持ち得たかもしれない可能性について夢想してみること。この考察は西欧知識人からするものだが、おなじく東洋世界の日本人にとっても意味なきものではない。

西欧文明のまっただなかで知的訓練を受けた一人のユダヤ系のフランス知識人が、西欧による植民地支配と植民地主義が終わろうとしていたまさにその時期、西欧文明への深刻な反省を抱えながら、失われる寸前の「未開社会」をフィールドワークしながら認識を深めていくある種の知的自伝でもある。強靱で骨太の知性をそこに感じるのはそのためだ。

ただし、ブラジルはフランスの植民地ではなかった。周知のとおりポルトガルの植民地であったが、独立後のブラジル共和国の理念はフランス由来のものである。フランスとブラジルの関係は、もっぱら知的交流が主であったことはアタマに入れておく必要があろう。

すでに構造主義も、人類学も、かつてそれらがもっていたような輝きも消え、いまでは「既成の知」の一つとしてアカデミズムの世界のなかに確固たる位置を占めるに至っているが、「構造主義の原典」などという堅苦しい観点からではなく、虚心坦懐に読んでみたらいいのではないか。「教典」ではないのだから。

過度に持ち上げる必要もないし、けなす必要もない。すぐれた文学作品だからこそ長い生命力をもつのであろう。

(『悲しき熱帯』のフィールドワーク中の若き日のレヴィ=ストロース ひげ面!)




目 次

上巻
22年ののちに-レヴィストロースにきく-(川田順造)
悲しき熱帯
 日本の読者へのメッセージ
第1部 旅の終り
 1. 出発
 2. 船で
 3. アンティール諸島
 4. 力の探求
第2部 旅の断章
 5. 過去への一瞥
 6. どのようにして人は民族学者になるか
 7. 日没
第3部 新世界
 8. 無風帯
 9. グヮナバラ
 10. 南回帰線を越えて
 11. サン・パウロ
第4部 土地と人間
 12. 都市と田舎
 13. 開拓地帯
 14. 空飛ぶ絨毯
 15. 群衆
 16. 市場
第5部 カデュヴェオ族
 17. パラナ
 18. パンタナル
 19. ナリーケ
 20. 原住民社会とその様式
訳注
口絵 カデュヴェオ族

下巻
第6部 ボロロ族
 21. 金とダイヤモンド
 22. 善い野蛮人
 23. 生者と死者
第7部 ナンビクワラ族
 24. 失われた世界
 25. 荒野(セルタウン)で
 26. 電信線に沿って
 27. 家族生活
 28. 文字の教訓
 29. 男、女、首長
第8部 トゥピ=カワイブ族
 30. カヌーで
 31. ロビンソン
 32. 森で
 33. 蟋蟀(こおろぎ)のいる村
 34. ジャピンの笑劇
 35. アマゾニア
 36. セリンガの林
第9部 回帰
 37. 神にされたアウグストゥス
 38. 一杯のラム
 39. タクシーラ
  40. チャウンを訪ねて
訳注
参考文献一覧
訳者あとがき
口絵 ボロロ族、ナンビクワラ族、トゥピ=カワイブ族
地図



著者プロフィール

クロード・レヴィ=ストロース(Claude Lévi-Strauss)
1908年~2009年。ベルギーのブリュッセル生まれ。フランスの文化人類学者。パリ大学法学部卒業後、リセ(高等中学校)教員を経てブラジル、アメリカで民族学を研究、1949年帰国し、パリの人類博物館、高等研究院、コレージュ・ド・フランスなどで教育と研究に従事。社会人類学研究所を創設。画期的労作『親族の基本構造』などで文化の厳密な構造分析方法たる構造主義の旗手となる(別の書籍から転記)。 

訳者プロフィール

川田順造(かわだ・じゅんぞう)
1934年(昭和9年)東京生まれ。東京大学教養学部教養学科(文化人類学分科卒)、同大学大学院社会学研究科博士課程修了。パリ第5大学民族学博士。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授を経て、現在広島市立大学国際学部教授。著書に『無文字社会の歴史』『口頭伝承論』『声』『ブラジルの記憶』他がある。


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書評 『「悲しき熱帯」の記憶-レヴィ-ストロースから50年-』(川田順造、中公文庫、2010 単行本初版 1996)-『悲しき熱帯』の日本語訳者によるブラジルを多角的、重層的に見つめる人類学的視点

書評 『現代世界と人類学-第三のユマニスムを求めて-』(レヴィ=ストロース、川田順造・渡辺公三訳、サイマル出版会、1986)-人類学的思考に現代がかかえる問題を解決するヒントを探る


人類学的認識

梅棹忠夫の『文明の生態史観』は日本人必読の現代の古典である!
・・梅棹忠夫が提唱した「中洋」という概念をレヴィ=ストロースは使用していないが、『悲しき熱帯』の末尾の章を読むと近い認識をもっていたことがわかる

いまこそ読まれるべき 『「敗者」の精神史』(山口昌男、岩波書店、1995)-文化人類学者・山口昌男氏の死を悼む
・・山口昌男が目指した「歴史人類学」

書評 『向う岸からの世界史-一つの四八年革命史論-』(良知力、ちくま学芸文庫、1993 単行本初版 1978)-「社会史」研究における記念碑的名著
・・訳者の人類学者・川田順造氏は、思想史家の良知力氏、歴史学者の阿部謹也氏と二宮宏之氏と『社会史研究』を立ち上げた同志であった


地質学・考古学と歴史

地層は土地の歴史を「見える化」する-現在はつねに直近の過去の上にある ・・褶曲して上下が反転していても基本は変わらない

書評 『神父と頭蓋骨-北京原人を発見した「異端者」と進化論の発展-』(アミール・アクゼル、林 大訳、早川書房、2010)-科学と信仰の両立をを生涯かけて追求した、科学者でかつイエズス会士の生涯
・・イエズス会士で古生物学者であったフランスの思想家


欧州のユダヤ系知識人にとっての「未開と文明」

『蛇儀礼』 (アビ・ヴァールブルク、三島憲一訳、岩波文庫、2008)-北米大陸の原住民が伝える蛇儀礼に歴史の古層をさぐるヒントをつかむ
・・アビ・ヴァールブルクはドイツのユダヤ系美術史学者。


西洋の植民地支配と南米、移民

映画  『アバター』(AVATAR)は、技術面のアカデミー賞3部門受賞だけでいいのだろうか?

書評『1492 西欧文明の世界支配 』(ジャック・アタリ、斎藤広信訳、ちくま学芸文庫、2009 原著1991)

「自分の庭を耕やせ」と 18世紀フランスの啓蒙思想家ヴォルテールは言った-『カンディード』 を読む
・・ルソーと並ぶ18世紀のフランス啓蒙思想家ヴォルテール

「500年単位」で歴史を考える-『クアトロ・ラガッツィ』(若桑みどり)を読む
・・1543年鉄砲伝来、1549年キリスト教伝来。ともにその役割を担ったのは「大航海時代」のポルトガル人であった

「リスボン大地震」(1755年11月1日)後のポルトガルのゆるやかな 「衰退」 から何を教訓として学ぶべきか?
・・「未来」の国であるブラジルとは違う、「過去」に生きる本国のポルトガル

(2014年8月12日 情報追加)


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2014年6月28日土曜日

「サラエボ事件」(1914年6月28日)から100年 ー この事件をきっかけに未曾有の「世界大戦」が欧州を激変させることになった

(狙撃された皇太子夫妻が乗っていた自動車 筆者撮影)

これまで何度かウィーンに滞在したことがあるが、2006年の滞在の際、秋の日の週末のヒマつぶし(?)のため、たまたま入ってみたのが「ウィーン軍事史博物館」である。もともとアーセナル(武器庫)として使用されていた建築物を博物館に改造したものだ。

そして博物館のなかで出会った「サラエボ事件」関連の展示の数々。

「サラエボ事件」とは、いまから100年前(!)の1914年6月28日、当時のオーストリア=ハンガリー帝国(・・いわゆるハプスブルク帝国)の皇太子夫妻が、あたらしく領土に編入されたボスニア・ヘルツェゴヴィアのサラエボでテロリストによって狙撃され殺害された事件のことだ。

この事件をきっかけに未曾有の「世界大戦」が欧州を激変させることになった事件のことである。「世界大戦」は1週間後の7月5日に勃発することになる。

(フェルディナント皇太子が着ていた衣服 筆者撮影)

まさか、ふらりと入った博物館のなかで、「セルビア事件」関連の展示に出会うとは思わなかった。まったくの偶然なのだが、直観に導かれて(?)行動することは重要だ。

展示品の皇太子の遺品の衣服を見ればわかるように、衣服は血で汚れていない。心臓ではなく頭が狙撃されたのだ。

(フェルディナント皇太子が着ていた衣服 筆者撮影)

事件のあったボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボは、1990年代前半にふたたび全世界の脚光を浴びることになる。冷戦構造崩壊後のユーゴスラビア解体にともなう「民族浄化」の舞台としてである。

いわゆる「ボスニア紛争」とよばれた民族間の激しい内戦は、1992年から1995年までつづいた。「冷戦構造」の崩壊は、このような形で激しい紛争を引き起こしたのであった。

オーストリアの首都ウィーンじたい、中欧の主要都市として西欧と東欧の交差する位置にある。ゲルマン民族とスラブ民族の交差する位置であり、かつてのハプスブルク帝国はドイツ語を母語とするゲルマン民族を中核としながらも、スラブ民族やハンガリー民族、ユダヤ民族などさまざまな民族で構成された多民族国家であった。

(軍事史博物館の前に展示されているオーストリア軍の戦車 筆者撮影)

「世界大戦」の引き金となった「サラエボ事件」は、ハプスブルク帝国の領土内で起こった事件であり、世界大戦の結果、ハプスブルク帝国は崩壊し、「民族自決」の時代にバラバラとなる。

未曾有の「世界大戦」が欧州を激変させることになったのだ。第二次世界大戦は第一次世界大戦で未解決のままとなった問題の処理という側面をもつ。

日本では「先の大戦」(=第二次世界大戦、大東亜戦争)がいまでも大きな意味をもっているが、ヨーロッパにとっては「第一次世界大戦」のインパクトはきわめて大きなものであった。

「サラエボ事件」と「第一次世界大戦」から100年。21世紀のいまもなお世界を悩ませている「民族問題」とナショナリズムについて考える機会としたいものだ。


(軍事史博物館の正門 筆者撮影)



<関連サイト>

ウィーン軍事史博物館(Heeresgeschichtliches Museum) 公式サイト(英語版) ・・もちろんドイツ語版サイトもある

From the archive The Serbs and the Hapsburgs (The Economist, Jun 27th 2014)
・・On July 4th 1914 The Economist published this article in response to the assassination on June 28th of Archduke Franz Ferdinand(英国の「エコノミスト」誌の1914年7月4日付け(!)の記事をアーカイブから。その翌日、戦争が勃発し「世界大戦」にエスカレートしていった)






<ブログ内関連記事>

書評 『向う岸からの世界史-一つの四八年革命史論-』(良知力、ちくま学芸文庫、1993 単行本初版 1978)
・・ゲルマン世界とスラブ世界の接点であるハプスブルク帝国の首都ウィーンを舞台に「挫折した1848年革命」を描いた社会史の記念碑的名著

書評 『ヨーロッパとは何か』(増田四郎、岩波新書、1967)-日本人にとって「ヨーロッパとは何か」を根本的に探求した古典的名著
・・ヨーロッパにおいては国境とはつねに動くものであるという事実を教えてくれる古典的名著

書評 『知の巨人ドラッカー自伝』(ピーター・F.ドラッカー、牧野 洋訳・解説、日経ビジネス人文庫、2009 単行本初版 2005)
・・1909年ウィーンに生まれたドラッカーは、第一次大戦に敗戦し帝国が崩壊した都市ウィーンの状況に嫌気がさして17歳のとき(1926年)、商都ハンブルクに移っている

書評 『ヒトラーのウィーン』(中島義道、新潮社、2012)-独裁者ヒトラーにとっての「ウィーン愛憎」

・・ナチスを払拭しなかったオーストリアの戦後

・・第一次大戦後の1923年から1925年までウィーンに留学した西洋史家・上原専禄

コトバのチカラ-『オシムの言葉-フィールドの向こうに人生が見える-』(木村元彦、集英社インターナショナル、2005)より
・・ボスニア・ヘルツェゴヴィアの首都サラエボ生まれのイビチャ・オシムは「ボスニア紛争」の体験社である

書評 『未完のファシズム-「持たざる国」日本の運命-』(片山杜秀、新潮選書、2012)-陸軍軍人たちの合理的思考が行き着いた先の「逆説」とは
・・日本国民にとって「第一次世界大戦」は直接の関係はなかったが、陸軍軍人たちにとっては必ずしもそうではなかったという事実


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2014年6月24日火曜日

書評『追跡・アメリカの思想家たち』(会田弘継、新潮選書、2008)ー アメリカの知られざる「政治思想家」たち


1980年代のレーガン大統領以降の「保守革命」が定着し、リベラリズムが退潮傾向になって久しいアメリカだが、アメリカにも「反近代」の立場に立脚する、ヨーロッパ型の「保守主義」が存在することがまず冒頭であきらかにされる。

本書は、その担い手であったラッセル・カークという在野の思想家に共鳴を示しつつ「保守主義」にフォーカスを合わせ、アメリカの政治思想を、保守からリベラルまで、人物とその思想のスケッチによって浮かび上がらせたものだ。だから正確なタイトルは、「アメリカの思想家」というよりも「アメリカの政治思想家」とすべきなのである。

月刊情報誌『フォーサイト』に連載されていたとき(2003年)にリアルタイムで読んでいたが、あらためて一冊になったものを、さらに出版から一定の時間をおいて読むことで、冷静にアメリカの政治思想を把握することが可能になった。冷却期間という時間は人をして冷静にさせる。

なによりもジョージ・ブッシュ政権時代前期のネオコン(=ネオ・コンサヴァティズム)の狂躁の日々が去ってから久しい現在、かれらがいったい何であったのかを冷静に捉えることができるのは意味があることだ。

すでに当時から、その本質は保守主義ではなく「リベラル左派」が「リベラル右派」に変身した、理想実現志向の社会変革思想であることは明らかになっていたが、本書ではその思想の根源がニューヨークのユダヤ人移民社会から生まれたものであることなど、思想が生まれる背景としての地域性も明らかにされている。経営用語でいえば「クラスター」というべきであろう。

このほか本書で取り上げられた「政治思想」には、キリスト教ファンダメンタリズム(=原理主義)や極限の自由を追求するリバタリアン、おなじく自由を希求しながらも大きな政府志向であるリベラリズムも、「思想地図」ともいうべき色分けが可能なほど、地域性が明確であることも明らかにされている。

それぞれ、キリスト教ファンダメンタリズム(=原理主義)は南部のいわゆる「バイブル・ベルト」リバタリアニズムはカリフォルニアリベラリズムは東部から西部にかけての北部地域に分布している。

特定の「思想」と「地域」を結びつけて考えることで、アメリカをより立体的に捉えることが可能となる。

(会田弘継氏作成の「地域別に見たアメリカの思想傾向」 P.222より)

著者自身、「アメリカに思想なんてあるのか?」という問いをなんどもされていると本書のなかで触れているが、たしかにアメリカにも「思想」は存在するのである。政治思想に限らず、経済思想や宗教思想などにも範囲を拡張すれば、明らかに思想は存在することがわかる。その担い手たちの知名度が世界レベルの高さがないとしても。

だが、本書では政治思想に関連する部分だけにしか言及されないのが残念なところだ。宗教思想でいえば原理主義もさることながら、「自己啓発」の思想である「ニューソート」(New Thought)への言及もまた必要だろう。

「思想」(thought)とは過去形で表現される「思考されたもの」であり、現在形で表現される「思考」(thinking)そのものとはイコールではないが、経営者の思想、エンジニアの思想、活動家の思想など、取り上げるべきものは多い。TED などでアイデアを披露している、「思想家と名乗っていない思想家」の思索や実践活動もまた、きわめてアメリカ的なものも少なくないことは指摘しておくべきだろう。

『フォーサイト』の連載にはなく単行本化にあたって加えられたのが、「エピローグ 戦後アメリカ思想史を貫いた漱石の「こころ」」である。人と人との「つながり」のなかで思想は生まれ、後代に継承されていくという経緯を物語としてつづったものだ。

著者が敬愛してやまないヨーロッパ型保守思想の大物ラッセル・カークというアメリカ人、経済学者でリバタリアン思想のフリードリッヒ・フォン・ハイエクというオーストリア人、『こころ』の英訳者エドウィン・マクレランといいうスコットランド出身の英国人、そして文芸評論家であった江藤淳という日本人。

漱石の『こゝろ』の英訳本がつないだ意外な「つながり」と「きずな」。これは思想のドラマの背後にあるものを鮮やかにみせてくれるものであった。著者によって初めて掘り起こされたこの「物語」は、静かな感動をもたらしてくれる。

ことし2014年は、漱石の『こゝろ』が出版されてからちょうど100年。明治大帝の崩御から2年後の2014年は第一次世界大戦が勃発した年でもあった。

アメリカの政治思想を語るには、ヨーロッパや日本もまた欠かすことのできない重要な要素なのである。古代ギリシアに始まるヨーロッパの政治思想を研究した、ネオコン思想家の日系人フランシス・フクヤマと徳富蘇峰との関係についての「追記」を読むと、さらにその感を強くする。


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目 次

プロローグ メコスタ村へ
第1章 戦後保守思想の源流-ラッセル・カーク(1918~94)
第2章 ネオコンの始祖-ノーマン・ポドレッツ(1930~)
第3章 キリスト教原理主義-J・グレシャム・メイチェン(1881~1937)
第4章 南部農本主義-リチャード・ウィーバー(1910~63)
第5章 ネオコンが利用した思想-レオ・シュトラウス(1899~1973)
第6章 ジャーナリズムの思想と機能-H.L.メンケン(1880~1956)
第7章 リベラリズム-ジョン・ロールズ(1921~2002)
第8章 リバタリアン-ロバート・ノジック(1938~2002)
第9章 共同体主義-ロバート・ニスベット(1913~96)
第10章 保守論壇の創設者-ウィリアム・バックリー(1925~2008)
第11章 「近代」への飽くなき執念-フランシス・フクヤマ(1952~)
追記 フランシス・フクヤマと徳富蘇峰
エピローグ 戦後アメリカ思想史を貫いた漱石の「こころ」
あとがき
参考・引用文献一覧
関連図表

著者プロフィール 
会田弘継(あいだ・ひろつぐ) 
1951年埼玉県生まれ。東京外国語大学英米語学科卒業後、共同通信社に入社。ワシン著書に『戦争を始めるのは誰か』、訳書に『アメリカの終わり』(フランシス・フクヤマ著)などがある。 (本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


PS 本書の増補改訂版が、『増補改訂版 追跡・アメリカの思想家たち』として、中公文庫から出版れた。増補されたのは、「第13章 「トランプ現象」とラディカル・ポリティクス」である。(2016年8月14日 記す)


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<関連サイト>

蘇った米国のネオコン 混沌とした世界がブッシュ時代の保守派に息吹(JBPress、 2014年6月24日)
・・Financial Timesの翻訳記事。「ネオコン(新保守主義者)たちは何度も息を吹き返す。電流は一定の間隔でやって来る。シリアによる化学兵器の使用、ロシアによるクリミア併合、中国が海上で強めている攻撃的な姿勢、そしてイラクにおけるスンニ派の過激派の再来といったものだ」  「新」保守派が「リベラル右派」であることを念頭に読むべき


<ブログ内関連記事>

アメリカの思想家

自分のアタマで考え抜いて、自分のコトバで語るということ-『エリック・ホッファー自伝-構想された真実-』(中本義彦訳、作品社、2002)
・・わたしにとっては、 『追跡・アメリカの思想家たち』(に取り上げられたどの政治思想家よりも、ホッファーのほうがアメリカの哲学者・政治思想家としてはるかに重要だ

映画 『ハンナ・アーレント』(ドイツ他、2012年)を見て考えたこと-ひさびさに岩波ホールで映画を見た
・・アーレントもまたニューヨークの亡命ユダヤ系知識人の一人で政治思想家


アメリカのビジネス文明とキリスト教・ユダヤ教

書評 『アメリカ精神の源-「神のもとにあるこの国」-』(ハロラン芙美子、中公新書、1998)-アメリカ人の精神の内部を探求したフィールドワークの記録
・・アメリカの一般人の深層にあるものを押さえておかないと、表層の思想を追っても意味はない

「宗教と経済の関係」についての入門書でもある 『金融恐慌とユダヤ・キリスト教』(島田裕巳、文春新書、2009) を読む
・・ユダヤ教、キリスト教と資本主義ビジネスの関係について、ユダヤ教とキリスト教を区分して考えるべきことを私が解説。「ユダヤ・キリスト教」という表現は、誤解を生みやすい。


オカルトと宗教テロリズム

書評 『現代オカルトの根源-霊性進化論の光と闇-』(大田俊寛、ちくま新書、2013)-宗教と科学とのあいだの亀裂を埋めつづけてきた「妄想の系譜」
・・アメリカを中心とした英語圏に特有のオカルト思想について

スティーブ・ジョブズの「読書リスト」-ジョブズの「引き出し」の中身をのぞいてみよう!
・・いわゆる「ニューエイジ」宗教の影響の濃厚なジョブズとカリフォルニア

『エコ・テロリズム-過激化する環境運動とアメリカの内なるテロ-』(浜野喬士、洋泉社新書y、2009)を手がかりに「シー・シェパード」について考えてみる
限りなく宗教的といってもいい英語圏に特有の環境運動の根底にある思想



「ビジネス文明」国アメリカの「思想」

書評 『超・格差社会アメリカの真実』(小林由美、文春文庫、2009)-アメリカの本質を知りたいという人には、私はこの一冊をイチオシとして推薦したい

The Greatest Salesman In the World (『地上最強の商人』) -英語の原書をさがしてよむとアタマを使った節約になる!


「変革思想」としての右・左

書評 『近代日本の右翼思想』(片山杜秀、講談社選書メチエ、2007)-「変革思想」としての「右翼思想」の変容とその終焉のストーリー
・・右も左も変革思想であることは本質的に共通

「ユートピア」は挫折する運命にある-「未来」に魅力なく、「過去」も美化できない時代を生きるということ
・・右であれ左であれ、政治上の「社会変革思想」は確率的にその大多数が挫折する運命にある。ビジネスによる「社会変革」も成功したのはほんとうに一握りにすぎない


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