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2016年12月28日水曜日

安倍首相とオバマ大統領がともにハワイの真珠湾(パールハーバー)で戦没者を慰霊(2016年12月27日)

(NHKニュース報道よりキャプチャ)

2016年12月27日、安倍首相とオバマ大統領がともにハワイの真珠湾(パールハーバー)で慰霊した。

現役の首相として発の真珠湾訪問というのは、どうやら誤報だったようだが、それでも現職の日本の首相が、しかも現職の米国の大統領と一緒に慰霊を行ったということには大きな意義があると言うべきだろう。

オバマ大統領が生まれ故郷のハワイで冬期休暇を過ごす機会を捉えたということのようだ。もちろん、入念に準備は行われていたのだろう。記念日である12月7日でないことにも意味はあるかもしれない。オバマ大統領の広島訪問も2016年5月27日と記念日ではなかった

ちなみに複数の首相がじつは訪問しているようだが、吉田茂首相はサンフランシスコ講和条約(1950年)調印の帰国途上でハワイで訪問した際に真珠湾に立ち寄ったようだ。

当時は日本と米本土を結ぶ直行便は燃料キャパの関係から不可能だったので、中間地点のハワイに立ち寄ってで給油するのが当たり前だった。わたしがはじめてサンフランシスコに行った1991年には、残念ながら直行便は当たり前の存在だったので、じつは、いまだにハワイにいっていない。したがって真珠湾も訪問したことがない。

本題に戻るが、日本政府は、オバマ大統領の被爆地広島訪問とは、公式には関係ないとしているというものの、受け取る側としては、返礼に近いものだと考えるのが常識的な見方というべきだろう。つまり解釈は、日米双方の個々人にゆだねるということだ。

わたし個人としては、真珠湾攻撃に対する「謝罪」がなかったのは当然だと考える。日本は米国に追い込まれていたという事情があったことは否定できない。ローズヴェルト大統領としても、日本が攻撃を仕掛けてきたほうが、参戦に踏み切る大義名分を立てやすかったことも確かなことだ。

広島と長崎への非人道的兵器である原爆投下と、結果として宣戦布告通知の1時間前になってしまった真珠湾への奇襲攻撃は、本質において異なる。とても同等(equivalent)なものとは言い難い。

なぜなら、攻撃を仕掛けた側と攻撃を受けた側は非対称的な関係であり、これは真珠湾攻撃も原爆投下も(・・ほんとうは東京や神戸などの都市空爆による一般市民の無差別殺戮についても言及するべきだ)同様である。

とはいえ、日米同盟を継続する限り(・・個人的には、まだまだその必要性は強いと考える)、日米戦争の真相については、公式にはタブーとしなければならない事項は多々ある。

だが真相究明は継続されるべきだろう。時間がたてば、何事も変化する。日米同盟が100年後に存続していると考えるのは、あまりにもナイーブというべきだろう。残念ながら、たとえ「不戦」を誓っても、情勢次第ではわからない

30年前のことだって、もう正確には思い出せないのだから、30年後もまた当然である。すでに戦後70年を過ぎており、日米両首脳ともに戦後世代である。直接に戦争体験はないのだ。

いろいろ思うところもあるが、日米は死闘を繰り広げたからこそ、お互いを知ることができたのは確かなことだ。あとは、戦争体験のない世代がいかに関係継続を維持していくかに注力するかが、「いまそこにある危機」に対応するために必要なことである。





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2016年12月14日水曜日

アニメ映画 『この世界の片隅で』(2016年、日本)を見てきた(2016年12月14日)-ごく普通の一女性の目を通して見た、そして語られた「戦前・戦中・戦後」


アニメ映画 『この世界の片隅で』(2016年、日本)を見てきた(2016年12月14日)。東京テアトル70周年記念企画とのことだ。すばらしい内容なのだが、いかんせん全国的な映画館網での展開でないので、上映中の映画館が限定されているのがちょっと残念だ。

内容は、瀬戸内海に面した広島市の漁村に生まれ育って、その後、広島県の呉市に嫁いだ、ごくごく普通の一女性の目を通して見た、そして語られた、「戦前・戦中・戦後(少し)」を描いた作品。生活範囲は嫁ぎ先の家族と親族に限定される。庶民視点の「近代日本」といえるかもしれない。

NHKの朝の連続テレビ小説のような時代設定である。一人の女性の半生がテーマだが、主人公の「すず」は有名人でも何でもない。知られざる人物というわけでもない。海辺に生きた女性を描いた点は、現代の東北地方『あまちゃん』にも似ている。それが理由というわけではないだろうが、奇しくも主人公の声を担当しているのは、改名後の「のん」(・・本名は能年玲奈)である。主人公の声はこれ以外ありえないという思わされる。



主人公は、絵を描くのが大好きな、やわらかい印象の、のんびりやさん。 だが、嫁いだ先の呉は、瀬戸内海の軍港だ。戦艦大和が建造された海軍の町である。もちろん当時は、住民にとっても軍港は軍事機密であった。

どこにでもあるような近代日本の日本人の生活。それなりに,苦労も伴うが、穏やかな日々がつづいていた。だが、戦争が始まり戦争が長引くにつれ、直接は戦場にはならなかった日常生活にも、だんだんと影響が出始める。物資が不足がちになるだけでなく、戦死者も出るようになってくる。

そして軍港であった呉市にも行われた空爆と機銃掃射、焼夷弾投下。主人公もかけがいのない命を不発弾の炸裂で失い、しかも自分自身も大きな負傷を負ってしまう。空爆される側からの視点で描かれた映像を見ていると、昔の話ではなく、いまもなお世界中で被害にあっている人たちのことを想起してしまう。

原爆もテーマの一つであるが、被爆地の広島ではなく、広島から少し離れた呉で体験したという設定が、独特の距離感を生んでいる。

映画は敗戦では終わらず、しばらく戦後までつづく。日常生活を描いているのだから、人間は未来に向かって現在を生きていくのだから。

映画を見ていてつくづく思うのは、「近代日本」は、じつに無理に無理を重ねていたのだなあ、という感慨だ。人口の大半が農村や漁村に居住していた時代である。高度成長前の日本である。軍事産業もその一つである重工業と、前近代を引きづったままの世界が同時に存在する社会なのであった。

戦争もまた避けることのできない自然災害のようなものであった、というのが当時の庶民の感覚であったのだろうか。これは単純な反戦映画と受け取るべきではない。それはこの映画をじっくり見ればわかることだ。時代考証は徹底的に行われているという。

瀬戸内海を舞台にした、ゆったりとした時間の流れ。もちろん、気候も穏やかな瀬戸内海地方は、冷害による飢饉に苦しんでいた同時代の東北地方とは異なることもアタマには入れておきたい。

こうの史代氏による原作のマンガも、ぜひ読んでみたい。 原作は「漫画アクション」に連載されたものだという。大人向けの媒体である。

上映している映画館がまだ多くないが、ぜひ一度は見て欲しいと思う。かならずや静かな感動を覚えることだろう。見る価値のある映画だ。







<関連サイト>

『この世界の片隅で』 公式サイト


『この世界の片隅に』監督が語る、映画に仕込んだ“パズル”(上) 片渕須直・『この世界の片隅に』(ダイヤモンドオンライン、』

『この世界の片隅に』監督が語る、映画に仕込んだ“パズル”(下) 片渕須直・『この世界の片隅に』監督インタビュー

「この世界の片隅に」は、一次資料の塊だアニメーション映画「この世界の片隅に」片渕須直監督(前編) (日経ビジネスオンライン、2016年12月8日)

「本来は、アニメは1人で作れるものです」アニメーション映画「この世界の片隅に」片渕須直監督(後編) (日経ビジネスオンライン、2016年12月9日)


「この世界の片隅に」北米配給が決定!今夏、劇場公開へ(映画ニュース、2017年2月1日)

「この世界の片隅に」興収20億円突破、14週連続トップ10入り アメリカやフランスでも上映予定(ハフィントンポスト、2017年2月14日)

(2017年2月1日・15日 情報追加)



<ブログ内関連記事>

オバマ大統領が米国の現職大統領として広島の原爆記念館を初めて訪問(2016年5月27日)-この日、歴史はつくられた

鎮魂!戦艦大和- 65年前のきょう4月7日。前野孝則の 『戦艦大和の遺産』 と 『戦艦大和誕生』 を読む

マンガ 『沈黙の艦隊』(かわぐちかいじ、講談社漫画文庫、1998) 全16巻 を一気読み

書評 『高度成長-日本を変えた6000日-』(吉川洋、中公文庫、2012 初版単行本 1997)-1960年代の「高度成長」を境に日本は根底から変化した
・・「高度成長」によって日本近代化は完了した。「高度成長」のビフォア&アフターの違いはきわめて大きい




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2016年12月10日土曜日

アニメ映画 『君の名は。』(2016年、日本)を見てきた(2016年12月9日)-ラストシーンを見たら、またもう一度最初から見たくなる。そしてこの作品について語りたくなる


アニメ映画の『君の名は。』(2016、日本)をTOHOシネマズで見てきた。

流行り物は一度は自分の目で見て確かめておくべきだというビジネスパーソン的な不純(?)な動機からだが、『君の名は。』の観客動員数1500万人超、興行収入200億円(・・8月26日の公開から3ヶ月での実績)は目を見張る数字である。

こういう映画を見るには、週末の東京都心の週末は避けた方がいい。だから、ウィークデーの地方都市のシネコンで見る。

不純な動機から見ることにしたと書いたが、そんな動機の不純さは映画がはじめってからあっという間に消し飛んでしまった。最初のシーンを見た瞬間から、この作品にすっかり魅了されてしまったのだ。あまりにも美しい映像、リアリティあるディテールの細密な描写。CGを使用しているといっても、東京都心のマンションのベランダから見る東京も、地方の自然もまた、あまりにもリアルで美しすぎる。そして最初から最後まで駆け抜けるようなスピード感。

物語は、現代日本に生きる高校生男女の人格(あるいは、意識、または魂?)の入れ替えと、現実と夢そして時間と空間の交錯に翻弄されながらも、自分の「片割れ」を探しつづけるという「自分探し」がテーマなのであるが、現代人の常識から考えたら「ありえない設定」の物語だからこそ、リアル感あるディテールへのこだわりが徹底しているのだろう。

見る人によっていろんな解釈が可能だろうが、それは濃密に構築されて描きこまれた世界であるがゆえのことだ。下敷きになっているのは、男女の入れ替えをテーマにした日本中世の古典 『とりかへばや物語』であり、発想のインスピレーションは、和泉式部の和歌 「覚めでこそ 見るべかりけれ うつつにも あとはかもなき 夢と知りせば」と監督の新海誠氏はインタビューで語っている。1973年生まれの監督は中央大学文学部の出身だそうだ。

なるほど、この映画は、国文学や民俗学(・・とくに折口信夫)の素養があれば、深く楽しめる。主人公の一人である三葉(みつは)が現代に生きる女子高校生だが同時に実家は神社で巫女としての努めもあり(・・巫女はシャマン、魂の依り代であり、現実(うつつ)と夢、覚醒状態と睡眠状態、この世とあの世を「結ぶ」存在でもある)、神道スピリチュアリズム的な要素に充ち満ちている。

巨大隕石の墜落が強力な磁場を生み出し、そこが聖地になるということも、宗教学の素養があれば応用できる常識といっていいだろう。だから、映画のロケ地への「聖地巡礼」も誘発する。

男女の入れ替えも、現代風にいえばSFのテレポテーションが相互に起こった現象ということができるだろうか。自分の肉体に他人の意識が入り込む現象は、『源氏物語』の登場人物に憑依するする生霊(いきりょう)に前例があると考えてもいいかもしれない。

そもそも日本語の「アニメ」は英語の「アニメーション」の略語であり、アニメーションとは複数の静止画像を高速で連続的に動かすことで無生命の画像に生命を与える行為のことである。パラパラマンガがその原型だ。語源としてのラテン語のアニマ(anima)は、精気のことであり、目に見えない魂をさしている。

アニメが、日本的なアニミズムやスピリチュアリズムと親和性が高いのは当然といえば当然である。日本人がアニメ作品にリアルなドラマ以上に感情移入しやすいのもまた当然というべきだろう。だからこの映画のテーマも、まさに日本アニメの王道をいくものだといえるのかもしれない。

まあ、そういう小難しい話は別にして、日本人ならあまり違和感なく感情移入しながら見てしまうんじゃないかな。セリフも最初から日本語だしね。つくづく日本人で良かったと思う。何よりも情緒を重視し、細かいニュアンスや言語外のしぐさも含めて表現する日本型のコミュニケーションが展開されるわけだから、日本人ならすぐに「感じる」ことができるから。

ラストシーンには感動して目頭が熱くなった。ラストシーンを見たら、またもう一度最初からみたくなる。そしてこの作品について語りたくなる。そんな映画だ。

ぜひ一人でも多くの人に見て欲しいと思う。








<関連サイト>

『君の名は。』公式サイト(日本版)

『君の名は。』大ヒットの理由を新海誠監督が自ら読み解く(上)新海誠・映画『君の名は。』監督インタビュー (ダイヤモンドオンライン、2016年9月22日)
・・「『君の名は。』は、昔話の構造ではなく「夢と知りせば」という和歌がインスピレーションを与えてくれました。夢から覚めてなぜかさみしいという感情は、小野小町のいた平安時代から、いやそれ以前から今にいたるまで人の持つ共通の感覚だろうと思ったのです。そこで、「朝、目が覚めると、なぜか泣いている」と物語を始めることで、観客にも「それは分かる」という気持ちになってもらえるのではないかと考えました。」(新海監督の発言)




「君の名は。」、英メディア絶賛の理由は? 「ディズニーにはなしえない領域に……」 (Newspehre、2016年11月25日)

中国の若者は「君の名は。」のどこに共感するか 「金メダル」と「BL」と「村上春樹」と「孤独」と (福島香織、日経ビジネスオンライン、2016年12月14日)
・・日本人の反応と中国人の反応はまったく違うようだが、日本のアニメやマンガに親しんで育った「新世代」の「80后」(バーリンホウ)はそうではないないのかもしれない。

(2016年12月14日 情報追加)


<ブログ内関連記事>

書評 『折口信夫 霊性の思索者』(林浩平、平凡社新書、2009)-キーワードで読み込む、<学者・折口信夫=歌人・釋迢空>のあらたな全体像

書評 『折口信夫-いきどほる心- (再発見 日本の哲学)』(木村純二、講談社、2008)-折口信夫が一生かけて探求した問題の解明

書評 『聖地の想像力-なぜ人は聖地をめざすのか-』(植島啓司、集英社新書、2000)-パワースポット好きな人、聖地巡礼が好きな人に一読をすすめたい
・・「(宗教学者の)著者による「聖地の定義」を掲載しておこう。 01 聖地はわずか一センチたりとも場所を移動しない  02 聖地はきわめてシンプルな石組みをメルクマールとする  03 聖地は「この世に存在しない場所」である  04 聖地は光の記憶をたどる場所である  05 聖地は「もうひとつのネットワーク」を形成する  06 聖地には世界軸 axis mundi が貫通しており、一種のメモリーバンク(記憶装置)として機能する  07 聖地は母体回帰願望と結びつく  08 聖地とは夢見の場所である 09 聖地では感覚の再編成が行われる」

書評 『河合隼雄-心理療法家の誕生-』(大塚信一、トランスビュー、2009)-メイキング・オブ・河合隼雄、そして新しい時代の「岩波文化人」たち・・
・・河合隼雄には『とりかへばや、男と女』という名著がある



「魂」について考えることが必要なのではないか?-「同級生殺害事件」に思うこと
・・「近代合理主義」の舌でうめいている魂の声に耳を傾けるべきだ

書評 『オーラの素顔 美輪明宏のいきかた』(豊田正義、講談社、2008)-「芸能界」と「霊能界」、そして法華経
・・日本的スピリチュアリティの源泉の一つが日蓮関連




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2016年12月4日日曜日

書評 『2020年日本から米軍はいなくなる』(飯柴智亮、聞き手・小峰隆生、講談社+α新書、2014)-在日米軍縮小という外部環境変化を前提に考えなくてはならない


『2020年日本から米軍はいなくなる』(飯柴智亮、聞き手・小峰隆生、講談社+α新書、2014)は、インタビュー形式ですぐに読める本なので、いますぐに読んでおいたほうがいい。
    
2014年に出版された際は、タイトルに対して「まさか!?」というリアクションを感じたが、トランプ次期大統領の誕生でこの動きは不可逆のものとなりそうだオバマ大統領時代からすでに顕在化しているが、米国の財政事情は依然として厳しいのである。
  
なぜ、在日米軍が撤退するのか? 
    
それは、米中関係が悪化すれば、在日米軍基地が危険にさらされるからだ。沖縄の米軍基地だけではない。日本列島はすでに中国から発射されるミサイルの射程内にある。
  
在日米軍撤退には「なんと身勝手な!」、という感じがしなくもないが、在日米軍が日本防衛を主目的としていない(!)以上、当然といえば当然の発想だろう。なんといっても米軍の活動は議会によって左右されるし、つまりところ米国のタックスペイヤーの意志が反映する。
 
著者は、1973年生まれの日本人だが、退役米陸軍大尉で情報担当、すでに米国市民権を取得している。米軍の「中の人」だったわけで、発言には説得力がある。
  
在日米軍の段階的撤退はあくまでも米国の国家意思として行われるものだが、日本に与える影響はメリット・デメリットの両面があることは言うまでもない。
     
すでに「リスク分散」の観点から、グアムやフィリピン、オーストラリアへの移転が始まっている。
    
出版後の2016年にはフィリピンでヂュテルテ大統領が誕生し、情勢に変化はある。2020年というのはデッドラインではない。だが、在日米軍縮小という「外部環境」変化の方向性はアタマのなかに入れたうえで、日本の将来について考えるべきだろう。
  
アメリカという国は、やると決めたら強引なまでに物事を進める国であることは、日本人ならイヤというほど知っているはずだ。希望的観測は禁物である。





2016年9月には同著者による続刊 『金の切れ目で日本から本当に米軍はいなくなる』((講談社+α新書)が出版されている。

(内容紹介)
「次期大統領候補トランプは、選挙活動中に明言した。『日本は在日米軍駐留経費を出せ、出さないならば、撤退だ』。大統領になれば、彼は米軍最高司令官。「日本から撤退する」との命令が出てから、米軍高官が、「いや、その、何の撤退作戦計画もありません」では、許されない。「お前はクビだ!!」とトランプ大統領が、TVで言っていた有名な台詞が発せられるだろう。トランプのこの撤退発言が出た瞬間から、米軍内部では、日本撤退作戦計画が現実に立案されているらしい。軍隊は、如何なる事態への対応を考えておかなければならない。クリントンもまたしかり。就任してからでは遅いのだ。



著者プロフィール

飯柴智亮(いいしば・ともあき)    
1973年東京都生まれ。元アメリカ陸軍大尉、軍『事コンサルタント。16歳で渡豪、米軍に入隊するため19歳で渡米。北ミシガン州立大に入学し、士官候補生コースの訓練を修了。1999年に永住権を得て米陸軍入隊。2002年よりアフガニスタンにおける「不朽の自由作戦」に参加。2003年、米国市民権を取得して2004年に少尉に任官。06年中尉、08年大尉に昇進。S2 情報担当将校として活躍。日米合同演習では連絡将校として自衛隊と折衝にあたる。2009年年除隊。2011年アラバマ州トロイ大学より国際政治学・国家安全保障分野の修士号を取得。 (本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)






<関連サイト>

トランプの大統領就任とNATOの運命 (熊谷 徹、日経ビジネスオンライン、 2016年12月8日)
・・トランプ次期大統領の影響が及ぶのは日本だけではない。欧州もまた

(2016年12月8日 項目新設)



<ブログ内関連記事>

書評 『仮面の日米同盟-米外交機密文書が明らかにする真実-』(春名幹男、文春新書、2015)-地政学にもとづいた米国の外交軍事戦略はペリー提督の黒船以来一貫している・・「
この本のメッセージは一言で要約してしまえば以下のようになる。 ●「米軍は日本本土防衛のため駐留せず」

書評 『「普天間」交渉秘録』(守屋武昌、新潮文庫、2012 単行本初版 2010)-政治家たちのエゴに翻弄され、もてあそばれる国家的イシューの真相を当事者が語る

書評 『日米同盟 v.s. 中国・北朝鮮-アーミテージ・ナイ緊急提言-』(リチャード・アーミテージ / ジョゼフ・ナイ / 春原 剛、文春新書、2010)
・・沖縄本島に米軍将兵が多数駐留していることじたいが抑止力になるのだが

書評 『海洋国家日本の構想』(高坂正堯、中公クラシックス、2008)-国家ビジョンが不透明ないまこそ読むべき「現実主義者」による日本外交論
・・「時代の制約があるのは当然としても、本質においてはまったく古びていないことだ。たとえば日米安保条約について、現在の迷走する状況をあたかも予言しているかのような記述を目にしたとき、その透徹した「現実主義者」のまなざしには思わず恐れ入った。」

『日本がアメリカを赦す日』(岸田秀、文春文庫、2004)-「原爆についての謝罪」があれば、お互いに誤解に充ち満ちたねじれた日米関係のとげの多くは解消するか?
・・「アメリカの「黒船」による強いられた「開国」から始まった「近代日本」、アメリカの「子分」でありながら「親分」に刃向かったために徹底的に叩きつぶされた「近代日本」。原爆を投下されて無条件降伏させられた日本近現代史」

書評 『中国4.0-暴発する中華帝国-』(エドワード・ルトワック、奥山真司訳、文春新書、2016)-中国は「リーマンショック」後の2009年に「3つの間違い」を犯した

書評 『新・台湾の主張』(李登輝、PHP新書、2015)-台湾と日本は運命共同体である!
・・「台湾の価値は空母20隻に該当する」とマッカーサーが言ったとされるが、その間点からいっても日本と台湾の運命は一心同体だ

ノラネコに学ぶ「テリトリー感覚」-自分のシマは自分で守れ!
・・ノラネコですら!!



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