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2018年9月15日土曜日

喉元過ぎれば熱さを忘れる?-「リーマンショック」から10年(2018年9月15日)


2018年9月15日は、その後「リーマンショック」と呼ばれることになった「世界金融危機」が勃発してから10年になる。1998年のこの日、アメリカの大手証券会社リーマンブラザースが破綻したのだ。

もうすっかり忘れているかもしれないが、「リーマンショック」は、その日突然というよりも、その後じわじわと世界中に拡がっていく性格をもった金融危機であった。日本もまた例外ではなく、そのなかに巻き込まれたのであり、気がついたときには不況のまっただ中に放り出されていた。

日本では、さらにさかのぼること、その10年前、すなわち1998年には長銀が破綻している。長銀とは、いまは亡き日本長期信用銀行のことだ。ことしはリーマンショックから10年の年であるとともに、長銀破綻から20年の年でもある。私自身その渦中にいただけに、記憶はナマナマしい。

1997年から始まった日本の金融危機が、三洋証券、山一証券と波及し、その翌年には長銀、日債銀が破綻して国有化、金融業界も再編と集約化が一気に進むことになった。今は昔の物語である。その当時はまだ生まれていなかった大学生1年生にとっては、すでに日本近現代経済史の一コマかもしれない。

このように振り返ってみると、ことし2018年が金融危機の年と連想されてもおかしくないのだ。はたしてどうなるかはわからないが、リーマンショック級の金融危機が発生しないことを祈りたい。

すくなくとも、2008年の「世界金融危機」の発生源となったアメリカ経済について、とくに金融という側面から考えるうえで読むことを勧めたいのが『超・格差社会アメリカの真実』(小林由美、文春文庫、2009)だ。これは2006年の日経BP版の増補版。資本主義の総本山であるビジネス国家アメリカを理解するためには、必読書といっていい。

同著者の第2弾である超一極集中社会アメリカの暴走』(新潮社、2017)は、もう格差が止まらないどころか、勝者総取り(The winner takes it all)状態のアメリカに絶望さえ感じさせる内容になっている。

こういった本を読んだから、どうなるというものではないが、人間はイヤなことはすぐに忘れていまうことで精神的均衡を保っている面もあることを考えれば、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」とならないよう、あえてイヤなことを思い出すことも必要ではないだろうか。

つぎの金融危機が、いつになるかは現時点ではわからないが・・。備えあれば憂いなし!?






<ブログ内関連記事>

書評 『マネー資本主義-暴走から崩壊への真相-』(NHKスペシャル取材班、新潮文庫、2012 単行本初版 2009)-金融危機後に存在した「内省的な雰囲気」を伝える貴重なドキュメントの活字版

書評 『世紀の空売り-世界経済の破綻に賭けた男たち-』(マイケル・ルイス、東江一紀訳、文芸春秋社)-アメリカ金融業界の周辺部からリーマンショックに迫る人間ドラマ

書評 『ブーメラン-欧州から恐慌が返ってくる-』(マイケル・ルイス、東江一紀訳、文藝春秋社、2012)-欧州「メルトダウン・ツアー」で知る「欧州比較国民性論」とその教訓

書評 『超・格差社会アメリカの真実』(小林由美、文春文庫、2009)-アメリカの本質を知りたいという人には、私はこの一冊をイチオシとして推薦したい

CAPITALISM: A LOVE STORY 
・・ムーア監督2009年の作品『キャピタリズム-マネーは踊る』

『資本主義崩壊の首謀者たち』(広瀬 隆、集英社新書、2009)という本の活用法について

「宗教と経済の関係」についての入門書でもある 『金融恐慌とユダヤ・キリスト教』(島田裕巳、文春新書、2009) を読む




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(2012年7月3日発売の拙著です)


 






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