「アタマの引き出し」は「雑学」ときわめて近い・・日本マクドナルド創業者・藤田田(ふじた・でん)に学ぶものとは?

◆「アタマの引き出し」つくりは "掛け算" だ : 「引き出し」 = Σ 「仕事」 × 「遊び」
◆酒は飲んでも飲まれるな! 本は読んでも読まれるな!◆ 
◆一に体験、二に読書、その体験を書いてみる、しゃべってみる!◆
◆「好きこそものの上手なれ!」◆

<旅先や出張先で本を読む。人を読む、モノを読む、自然を読む>
トについてのブログ
●「内向きバンザイ!」-「この国」日本こそ、もっとよく知ろう!●

■■ 「むかし富士山八号目の山小屋で働いていた」全5回 ■■
 総目次はここをクリック!
■■ 「成田山新勝寺 断食参籠(さんろう)修行(三泊四日)体験記 」全7回 ■■ 
 総目次はここをクリック!
■■ 「庄内平野と出羽三山への旅」 全12回+α - 「山伏修行体験塾」(二泊三日)を中心に ■■
 総目次はここをクリック!


「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!

「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!
ビジネス寄りでマネジメント関連の記事はこちら。その他の活動報告も。最新投稿は画像をクリック!



ご意見・ご感想・ご質問 ken@kensatoken.com にどうぞ。
お手数ですが、コピー&ペーストでお願いします。

© 2009~2026 禁無断転載!



ラベル 世界金融危機 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 世界金融危機 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2018年9月15日土曜日

喉元過ぎれば熱さを忘れる?-「リーマンショック」から10年(2018年9月15日)


2018年9月15日は、その後「リーマンショック」と呼ばれることになった「世界金融危機」が勃発してから10年になる。1998年のこの日、アメリカの大手証券会社リーマンブラザースが破綻したのだ。

もうすっかり忘れているかもしれないが、「リーマンショック」は、その日突然というよりも、その後じわじわと世界中に拡がっていく性格をもった金融危機であった。日本もまた例外ではなく、そのなかに巻き込まれたのであり、気がついたときには不況のまっただ中に放り出されていた。

日本では、さらにさかのぼること、その10年前、すなわち1998年には長銀が破綻している。長銀とは、いまは亡き日本長期信用銀行のことだ。ことしはリーマンショックから10年の年であるとともに、長銀破綻から20年の年でもある。私自身その渦中にいただけに、記憶はナマナマしい。

1997年から始まった日本の金融危機が、三洋証券、山一証券と波及し、その翌年には長銀、日債銀が破綻して国有化、金融業界も再編と集約化が一気に進むことになった。今は昔の物語である。その当時はまだ生まれていなかった大学生1年生にとっては、すでに日本近現代経済史の一コマかもしれない。

このように振り返ってみると、ことし2018年が金融危機の年と連想されてもおかしくないのだ。はたしてどうなるかはわからないが、リーマンショック級の金融危機が発生しないことを祈りたい。

すくなくとも、2008年の「世界金融危機」の発生源となったアメリカ経済について、とくに金融という側面から考えるうえで読むことを勧めたいのが『超・格差社会アメリカの真実』(小林由美、文春文庫、2009)だ。これは2006年の日経BP版の増補版。資本主義の総本山であるビジネス国家アメリカを理解するためには、必読書といっていい。

同著者の第2弾である超一極集中社会アメリカの暴走』(新潮社、2017)は、もう格差が止まらないどころか、勝者総取り(The winner takes it all)状態のアメリカに絶望さえ感じさせる内容になっている。

こういった本を読んだから、どうなるというものではないが、人間はイヤなことはすぐに忘れていまうことで精神的均衡を保っている面もあることを考えれば、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」とならないよう、あえてイヤなことを思い出すことも必要ではないだろうか。

つぎの金融危機が、いつになるかは現時点ではわからないが・・。備えあれば憂いなし!?






<ブログ内関連記事>

書評 『マネー資本主義-暴走から崩壊への真相-』(NHKスペシャル取材班、新潮文庫、2012 単行本初版 2009)-金融危機後に存在した「内省的な雰囲気」を伝える貴重なドキュメントの活字版

書評 『世紀の空売り-世界経済の破綻に賭けた男たち-』(マイケル・ルイス、東江一紀訳、文芸春秋社)-アメリカ金融業界の周辺部からリーマンショックに迫る人間ドラマ

書評 『ブーメラン-欧州から恐慌が返ってくる-』(マイケル・ルイス、東江一紀訳、文藝春秋社、2012)-欧州「メルトダウン・ツアー」で知る「欧州比較国民性論」とその教訓

書評 『超・格差社会アメリカの真実』(小林由美、文春文庫、2009)-アメリカの本質を知りたいという人には、私はこの一冊をイチオシとして推薦したい

CAPITALISM: A LOVE STORY 
・・ムーア監督2009年の作品『キャピタリズム-マネーは踊る』

『資本主義崩壊の首謀者たち』(広瀬 隆、集英社新書、2009)という本の活用法について

「宗教と経済の関係」についての入門書でもある 『金融恐慌とユダヤ・キリスト教』(島田裕巳、文春新書、2009) を読む




(2017年5月18日発売の拙著です)




(2012年7月3日発売の拙著です)


 






Clip to Evernote 


ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!






end

2012年12月24日月曜日

書評『世紀の空売り - 世界経済の破綻に賭けた男たち』(マイケル・ルイス、東江一紀訳、文芸春秋社)ー アメリカ金融業界の周辺部からリーマンショックに迫る人間ドラマ


2008年のリーマンショックか4年以上たったが、世界経済はいっこうに回復する兆しもない。

そんななか、 『世紀の空売り ー 世界経済の破綻に賭けた男たち』(マイケル・ルイス、東江一紀訳、文芸春秋社)を読んだ。原著も日本語版も2010年に出版されている。

アメリカ金融破綻を、逆張りで空売りに賭けた少数のアウトサイダーたちから描いた作品だが、読んでいて思ったのはアメリカ資本主義の行き詰まりにほかならない。

フロンティアを失っていたアメリカ資本主義が、ついには国内の低所得者層を巨大なフロンティアとみなして収奪の限りを尽くしたものの、壮大な「虚構」がついに崩壊してしまったという印象だ。

低所得者向けの住宅ローンを小口にして債券化したサブ・プライムローン証券の詳細については本書を読めば理解できるように書かれているが、その仕組みと意味について、金融業界内部のインサイダーたちもほとんど理解していなかったという事実がまた恐ろしいことなのだ。

その虚構に気付いたごく少数のトレーダーたちのアウトサイダーが賭けたのが「空売り」(ショート)であった。逆張りである。そしてその賭けに勝利するまでのドラマが、このノンフィクションの内容だ。

その反対側にいる投資銀行は「買い」(ロング)に賭けていた結果、無残にも惨敗。ベア・スターンズは破綻し買収され、名門投資銀行のリーマン・ブラザーズはこの世から姿を消した。

金融商品の仕組みを理解していない投資銀行、格付け機関のいい加減な格付け、規制し監督する立場にいながらなにも理解していなかった連邦準備制度理事会や財務省。まさに「財務省・ウォールストリート複合体」というインサイダーモラルハザードとしかいいようがない。

金融世界のインサイダーとアウトローの対比は、買い(ロング)と売り(ショート)という対比で、コントラストが鮮やかに描かれている。

1985年に名門投資銀行であるソロモン・ブラザーズが、会社形態を合資会社から株式会社に変換したことから金融世界の暴走が始まったのである。

1985年、これもまたメルクマールとなる年であったのだ。

わたしが金融系コンサルティング会社に入社して社会人となったこの年、著者のマイケル・ルイスは名門投資銀行ソロモン・ブラザーズの社員となっている。そしてその経験をもとに処女作『ライアーズ・ポーカー』を書き上げて世界的ベストセラーとなった。

オリバー・ストーン監督のハリウッド映画 『ウォール街』が製作公開されたのが1987年のことである。

原書のカバーは、釣針がドル札を巻き上げているイラストが描かれている。原書の副題にある Inside the Doomsday Machine は直訳すれば「世界の終わりの日をつくるマシーン内部」ということになる。

「世界の終わり」というドゥームズデイをつくってしまったアメリカの金融世界は、はたして正常化するのであろうかまたあらたなフロンティアをでっちあげるしか生きる道はないのだろうか?

それにしても、よくここまで詳細な取材を行ったうえで、迫真の人間ドラマに仕立て上げることができるものだと、著者マイケル・ルイスのストーリーテラーとしての手腕には驚くばかりだ。

読んでどうなるということもないのだが、読むとじつに面白い物語である。


画像をクリック!



<ブログ内関連記事>

書評 『ブーメラン-欧州から恐慌が返ってくる-』(マイケル・ルイス、東江一紀訳、文藝春秋社、2012)-欧州「メルトダウン・ツアー」で知る「欧州比較国民性論」とその教訓
・・『世紀の空売り』のあと。金融危機はアメリカから欧州へ、そしてアメリカに逆流

書評 『マネー資本主義-暴走から崩壊への真相-』(NHKスペシャル取材班、新潮文庫、2012 単行本初版 2009)-金融危機後に存在した「内省的な雰囲気」を伝える貴重なドキュメントの活字版

CAPITALISM: A LOVE STORY ・・映画 『キャピタリズム マネーは踊る』

マイケル・ムーアの最新作 『キャピタリズム』をみて、資本主義に対するカトリック教会の態度について考える

映画 『ウォール・ストリート』(Wall Street : Money Never Sleeps) を見て、23年ぶりの続編に思うこと

『資本主義崩壊の首謀者たち』(広瀬 隆、集英社新書、2009)という本の活用法について

「宗教と経済の関係」についての入門書でもある 『金融恐慌とユダヤ・キリスト教』(島田裕巳、文春新書、2009) を読む

書評 『ユーロ破綻-そしてドイツだけが残った-』(竹森俊平、日経プレミアシリーズ、2012)-ユーロ存続か崩壊か? すべてはドイツにかかっている

Bloomberg BusinessWeek-知らないうちに BusinessWeek は Bloomberg の傘下に入っていた・・・


(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!

 (2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!

(2020年5月28日発売の拙著です 画像をクリック!

(2019年4月27日発売の拙著です 画像をクリック!

(2017年5月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!








end

2011年11月10日木曜日

書評 『警告-目覚めよ!日本 (大前研一通信特別保存版 Part Ⅴ)』(大前研一、ビジネスブレークスルー出版、2011)-"いま、そこにある危機" にどう対処していくべきか考えるために


What if ~ ? (もし~だったらどうする)から始まる論理思考法の「型」を身につけるために

『目覚めよ!日本(大前研一通信特別保存版 Part Ⅴ)』(大前研一、ビジネスブレークスルー出版、2011)の献本を「R+ レビュープラス」からいただいた。「大前研一 LIVE秘蔵映像~警告編~の DVD一枚がいっしょについている。

本書は、大前研一がさまざまな媒体に書いて、語った最近一年間の発言が再編集されて一冊にまとめられたものの最新版だ。

テーマは大きく分けて5つある。1.世界経済、2.日本社会、3.ビジネス・経営、4.震災復興編、5.教育・生活者である。項目だけ並べると、世界金融危機、債務危機、リーダー論、少子化、防衛問題、成長戦略、“脱日本”現象の危機! となる。

『目覚めよ!日本』というタイトルは、やや預言者めいた響きがなくもないが、この預言者のいうことには虚心坦懐に耳を傾けたほうがいい。

なぜなら、今年2011年は、なんといっても「3-11」を境に日本は激変したからだ。これと同時並行的に世界金融危機の再来がすでに現実のものとなってきている。米欧中のどおが破綻してもおかしくない状況なのだ。

原発事故後に YouTube に無料で公開された大前研一氏の解説映像をご覧になった方も多いのではないかと思う。あらためて、大前氏が原子力工学で博士号を取得した人であったことを、あるいは初めて知った人も多かったのではないだろうか。

その意味でも、他の論者とは大きく異なる独自な視点が、今年度版はより強く押し出されたものとなっているといってよいだろう。


本は目次を精読することから始めるべし

まずは目次をみておこう。目次をじっくりと読むことで、「警告」の内容と意味が明確になってくるだろう。それから、自分の興味にまかせて読み始めればよい。かならずしもすべての文章に目を通す必要はない。

では、さっそく目次を読んでみよう。


第1章:警告:世界経済編

<世界金融危機>
1. 警告!世界経済を吹き飛ばす「四大地雷原」
2. 「世界4000兆円マネーを吸い上げる」3つの処方箋
3. ついに「世界金融危機」の狼煙は上がった 

第2章:警告:日本社会編

 <債務危機>
4. 世界経済を読む知恵がない閉鎖国家日本 
5. 債務危機で日本政府が切れる唯一の「カード」

 <リーダー論>
6. 強力な政治家が出てこない限り、日本のプレゼンスは失われる

 <少子化>
7. 国力も産業も衰退させる「少子化」の破壊力   
8. 人口が激減する日本、どう国土を保全するのか

<防衛問題>
9. サイバー攻撃への対応は防衛省が担うべき

<成長戦略>
10. 大胆に債務削減し、1兆円規模の起業家支援を

<“脱日本”現象の危機!>
11. 海外脱出した日本企業は二度と戻らない  
12. 円高、電力不足、高税率で日本企業は「脱日本」  

第3章:警告:ビジネス・経営編

<経営>
13. もう日本の景気は良くならない。経営者は生き残りの道を探せ

 <サイバー企業の変革>
14. 存在感を強める米西海岸のサイバー企業、スマホ戦争でも優位に立つ
15. アップルは「ジョブズ的天動説」を崩せるか 
16.「暗号化」で油断したソニー       

第4章-警告:震災復興編

 <震災復興>
17. 生まれ変われニッポン!
① 東北を再建せよ!
② 再建資金を作れ!
③ 電力不足を解消せよ!
④ 新生日本を作れ!
18. これが東北復興、日本再生へと導く「最強プラン」だ!  

 <津波プレイン>
19. 被災地復興に「津波プレイン」のコンセプトを
20. 津波プレイン 

 <エネルギー問題>
21.「訣別」 

第5章:警告:教育・生活者編

 <教育>
22. 不景気は関係なし。「ヒット商品」が出ない本当の理由」
23. バカをつくる教育 
24. 混乱のいまを生き残るためにはさらなるブレーク・スルーが必要だ
25. 「構想」「IT」「経営」の三位一体からイノベーションは生まれる

 <ライフプラン>
26. メルトダウン寸前の日本経済-自分の将来をどう守るか 
27. 波乱の時代を生き抜く方法  
28. 投資するなら「肩から上」に。デフレもハイパーインフレも怖くないぜ! 
29. 引退後に住む場所の不動産に先行投資せよ  
30. 自分の楽しみとお金のバランスシートを作りましょう 

あとがき


「いま、そこにある危機」の本質を自分のアタマでシッカリと理解し、自分自身がいかなる方向に進むべきかを熟考し、アクションに移す!

何よりも重要なことは、組織であれ個人であれ、「いま、まさにそこにある危機」の本質を自分のアタマでシッカリと理解し、自分自身がいかなる方向に進むべきかを熟考し、アクションに移すことである。

その際に重要なのは、世界レベルの激変をけっして自分とは関係ない世界の話だとは思わないことだ。

世界レベルの外部環境をしっかりと理解したうえで、自分で企業経営をされている方であれば自社のマネジメントへの影響を考え、ビジネスパーソンとして企業に勤務しているのであれば自分の会社がどうなるのか、自分自身がどうすべきなのかを考え、すでにリタイアされている方や、ビジネス以外の世界にいる方もふくめて、すべての人が、外部環境の激変に備えたライフプランの根幹となるべき考えを理解しなくてはならない。

もちろん、大前さんの言っていることを鵜呑みにしていたのでは、いつまでたっても自分のアタマで考えることにはならないことは言うまでもない。大前氏の意見と事実とは厳密にわけて考える必要がある。

時にうなづき、時にはアタマのなかや、ブツブツいいながら反論してみる。賛成するにせよ、反論するするにせよ、本書で引用されているデータには自分であたってみる、計算してみる、こういった手間をかけながら読むことも必要だ。

かなり以前から大前氏による「警告」はなされているのだが、どうも人間というものはイヤなことはできるだけ考えたくない、先延ばしにしてしまいたいという・・が働きがちである。これは日本人に限った話ではない。

だが、この記事を書いている時点で、ユーロ崩壊の引き金になりかねないギリシア問題は、すでに解決不能状態に近づきつつあり、国家としての経済破綻であるデフォルトも視野に入ってきている。イタリアにも飛び火して国債利回りが上昇し、首相への事実上の不信任が可決し退陣が決まった。

このあとどうなっていくかは、ぜひ本書を読んで自分なりに考えていってほしい。そして同時にさまざまなメディアをクリティカルに読み解いて、自分なりの見解を作り上げていってほしい。

映像メディアはシークエンシャルなメディアなのでスキャンするのは難しいが、クルマを運転しながら音声だけ聴くということも可能。本ならとばし読みも可能だ。メディアの特性をよく考えて、書籍版(+DVD)か DVオンリーか選択すべきでしょう。

『目覚めよ!日本』といっても、日本そのものが目覚めることはないかもしれない。

しかし、個人としての日本人であるあなたがまず目覚めることによって、友人家族、そして「つながり」のある人々の目が覚めていくことになる。

まずは、あなた次第なのだ。



<書籍版>


<DVD版>


<ブログ内関連記事>

What if ~ ? から始まる論理的思考の「型」を身につけ、そして自分なりの「型」をつくること-『慧眼-問題を解決する思考-』(大前研一、ビジネスブレークスルー出版、2010)

『BBT on DVD 大前研一LIVE』(トライアル版)を視聴してみた

「修身斉家治国平天下」(礼記) と 「知彼知己者百戦不殆」(孫子)-「自分」を軸に据えて思考し行動するということ

書評 『進化する教育-あなたの脳力は進化する!-(大前研一通信特別保存版 PART VI』(大前研一、ビジネス・ブレークスルー出版事務局=編集、2012)-実社会との距離感が埋まらない教育界には危機感をもってほしい
・・営利のインターネット大学ビジネスブレークスルー大学の学長である大前研一氏


 



(2012年7月3日発売の拙著です)







Clip to Evernote 


ケン・マネジメントのウェブサイトは
http://kensatoken.com です。

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。



end

2010年3月15日月曜日

月刊誌 「フォーリン・アフェアーズ・リポート」(FOREIGN AFFAIRS 日本語版) 2010年NO.3 を読む




月刊誌「フォーリン・アフェアーズ・リポート」(FOREIGN AFFAIRS 日本語版) 2010年 NO.3 の献本が、「R+ レビュープラス」から届いたので、さっそく目をとおしてみた。

 まず、論文タイトルと筆者、そして論文のサマリーと筆者略歴をじっくり読んでみる。それから、本文を読んでみる。

 とりあえず、ここでは論文タイトルと筆者名を、雑誌掲載順に並べて紹介しておこう。

<CFRミーティング>
ジョセフ・スティグリッツが語る金融危機と規制、経済の不均衡、中国、ドルの将来(ジョセフ・E・スティグリッツ/コロンビア大学教授)
  
日米安全保障条約50周年の足跡と展望-いまも安保はグランドバーゲンか?(ジョージ・パッカード/米日財団会長)
  
<フォーリン・アフェアーズ・アップデート>
「北京コンセンサス」の終わり(姚洋(ヤン・ヤオ)/北京大学国家発展研究院副所長) 
  
<Classic Selection 2007><CFRアップデート>
中国・インド経済が直面する社会格差という開発ジレンマ-農村の貧困と格差社会への対応を
 
<CFRミーティング>
新たな世界経済のシステミックリスクとしての各国の財政赤字 (セバスチャン・マラビー/米外交問題評議会シニア・フェロー 国際経済担当)
 
<CFRインタビュー>
アメリカの財政赤字とドルの運命(ライアン・アベント/Economist.com エディター) 
  
<CFRブリーフィング>
金融規制案は危機の本質を見落としている-システミックリスクの震源は債券保証会社だった(マーク・レビンソン/米外交問題評議会(CFR)国際ビジネス担当シニア・フェロー)
 
<Review Essay>
なぜ援助では貧困を緩和できないのか-中国とインドが援助に依存せずに成長を遂げたのはなぜか
(ジャグディッシュ・バグワティ/コロンビア大学教授)
 
<Review Essay>
女性を助ければ、途上世界が救われる(イソベル・コールマン/CFRシニア・フェロー)
 
  
核武装後のイランにどう対処するか(前編)(ジェームズ・M・リンゼー/米外交問題評議会研究部長、レイ・タキー/米外交問題評議会シニア・フェロー)
 
核不拡散と原子力の平和利用を両立させる道はあるか
(チャールズ・ファーガソン/米科学者連盟会長)
 
<特集 世界は再び食糧不足の時代へと向かっている>

世界は再び食糧不足の時代へ-結局、マルサスは正しかったのか(チャーリスル・フォード・ランゲ/ミネソタ大学教授、チャーリスル・ピエール・ランゲ/イエール大学学生) 
  
<Classic Selection2008
食糧危機の打開を阻む先進国の政治と妄想-貧困国の現実に目を向けよ(ポール・コリアー/オックスフォード大学経済学教授)


  「フォーリン・アフェアーズ」(FOREIGN AFFAIRS)とは、直訳すれば外務省の「外務」(foreign affairs)のことだが、いうまでもなく米国の外交問題の専門雑誌である。各国の現役の政治経済の指導者が寄稿することでも有名な、国際政治における政治的意志決定に大きな影響を及ぼしてきた米国の専門誌である。「国際政治」と「国際経済」は不可分の関係にあるという「国際政治経済学」の立場が一貫しており、その点は今月号にも一貫している。

 国際版は、スペイン語版Foreign Affairs Latinoamérica)、日本語版Foreign Affairs in Japan)、ロシア語版Russia in Global Affairs)がでているようで、国際版の購読者数は総計18,600人と、かなりの数になっている。

 国際版のウェブサイトの記述によれば、日本語版は1990年から1998年までは中央公論社が、1998年から2008年までは朝日新聞社の月刊オピニオン誌『論座』が、2008年以降は Foreign Affairs Report として、印刷媒体での刊行を月刊でつづけているとある。付け加えれば、現在は株式会社フォーリン・アフェアーズ・ジャパンが発行主体となっている。

 私は、日本版はずっと朝日新聞社の傘下にあったものだと思い込んでいたので、なにか「色がついてしまっているな」と敬遠していたのだが、この事実を知って安心した次第だ。

 もちろん発行主体の CFR(Council for Foreign Relations:外交問題評議会)自体の特性をアタマにいれておく必要があるが、日本語版の翻訳記事の選択と編集で、二重のバイアスがかかることに留意しておく必要がある。

 なお、「外交問題評議会」(CFR)は、Wikipedia の簡潔な要約を使えば以下のようになる。
アメリカ合衆国のシンクタンクを含む超党派組織。略称はCFR。「外交関係評議会」と訳されることもある。1921年に設立され、外交問題・世界情勢を分析・研究する非営利の会員制組織であり、アメリカの対外政策決定に対して著しい影響力を持つと言われている。超党派の組織であり、外交誌『フォーリン・アフェアーズ』の刊行などで知られる。本部所在地はニューヨーク。会員はアメリカ政府関係者、公的機関、議会、国際金融機関、大企業、大学、コンサルティング・ファーム等に多数存在する。知名度が高く、影響力が大きいことで知られる。


 実は、日本語版の「Foreign Affairs Report」を通読したのは、今回が初めての経験である。

 私自身の専門は国際政治学ではないので、毎月購読しているわけではないが、必要に応じて個別の論文を英語で読むことは過去にあった。英語版であれ、日本語版であれ、一冊まるごと読むのは今回が初めてだ。非常に新鮮な思いを味わった。

 思ったより日本語の訳文がこなれており、とくに英文を参照することなく、そのままアタマに入ってくるような平明な文章になっているのがありがたい。

 また、各論文に付されたサマリーがまた的確で、本文をざっと読む前と読んだあとにサマリーを読むと、論文の要旨がすうーとアタマのなかに入っていくのを覚える。

 掲載論文を根拠に私自身が論文を書くことがあれば、レファレンス先として日本語訳をあげることが十分に可能な訳文になっているといってよいだろう。

 ただし、「なぜ援助では貧困を緩和できないのか-中国とインドが援助に依存せずに成長を遂げたのはなぜか」(ジャグディッシュ・バグワティ)の原題が Banned Aid (バンド・エイド)なんて、英語のダジャレを、そのまま日本語に移せないのは残念。いっけん堅くみえる論文も、こういう遊びがあるってことを伝えたいものだ。もちろん、論文でも触れているように、これは U2 のボノも参加していた Band Aid にひっかけたものだ(・・さらにさかのぼれば絆創膏の band aid からきている)。論文の著者の立場は直接本文で確かめていただきたい。


 2010年3月号の内容についてだが、論文そのものの中身まで言及しだすと、私自身が Review Essay(評価論文)を書かなくなってしまうので深入りは避けておくが、これは面白いと思った論文に簡単なコメントだけ加えておきたい。

 「ジョセフ・スティグリッツが語る金融危機と規制、経済の不均衡、中国、ドルの将来」(ジョセフ・E・スティグリッツ)については、ノーベル賞受賞の経済学者であり、グローバリズムに対しては批判的な見解を示している論客で日本でも著名な人なので、特に付け加えることはないが、ただ経歴には世界銀行のチーフ・エコノミストであったことを付け加えるのが親切というものだろう。

 米日財団会長ジョージ・パッカードによる、「日米安全保障条約50周年の足跡と展望-いまも安保はグランドバーゲンか?」については、米国でも公平な立場の発言があることを知るためにも、目をとおすことが望ましい。執筆者の立場は国防総省とは異なるし、また米軍内部にも空軍と海兵隊のライバル意識があって問題をややこしくしていることが指摘されている。

 姚洋(ヤン・ヤオ)による「「北京コンセンサス」の終わり」は、かなり突っ込んだ提言を行った論文であるが、北京大学国家発展研究院副所長という肩書きの発言であり、政府も了承している考えの表明と考えて良いのだろう。その意味では面白い。

 このほか、2010年3月号では「国際援助」関係の論文がいくつか収録されており、いずれも興味深く読むことができた。「中国・インド経済が直面する社会格差という開発ジレンマ-農村の貧困と格差社会への対応を」「なぜ援助では貧困を緩和できないのか-中国とインドが援助に依存せずに成長を遂げたのはなぜか」(ジャグディッシュ・バグワティ/コロンビア大学教授)、「女性を助ければ、途上世界が救われる」(イソベル・コールマン/CFRシニア・フェロー)。後者の2本の論文は単行本のレビューであるが、レビュー執筆のあり方としても一つの参考になる。

 「国際経済問題」にかんしては、「新たな世界経済のシステミックリスクとしての各国の財政赤字」(セバスチャン・マラビー/米外交問題評議会シニア・フェロー 国際経済担当)、「アメリカの財政赤字とドルの運命」(ライアン・アベント/Economist.com エディター)、「金融規制案は危機の本質を見落としている-システミックリスクの震源は債券保証会社だった」(マーク・レビンソン/米外交問題評議会(CFR)国際ビジネス担当シニア・フェロー)があるが、一番最後の論文はかなり核心をついた内容の論文で参考になる。米国においては、「債務保証会社」の監督責任が州政府レベルにあって、連邦政府にはない(!)という事実が、サブプライムローン問題の核心にあるという指摘、これは勉強になった。

 「核兵器と原子力問題」については、「核武装後のイランにどう対処するか(前編)」(ジェームズ・M・リンゼー/米外交問題評議会研究部長、レイ・タキー/米外交問題評議会シニア・フェロー)、「核不拡散と原子力の平和利用を両立させる道はあるか」(チャールズ・ファーガソン/米科学者連盟会長)。これらの論文を読むと、問題の整理が容易になる。


 最後に、<特集 世界は再び食糧不足の時代へと向かっている>として論文2本が収録されている。

 「世界は再び食糧不足の時代へ-結局、マルサスは正しかったのか」(チャーリスル・フォード・ランゲ/ミネソタ大学教授、チャーリスル・ピエール・ランゲ/イエール大学学生)、「食糧危機の打開を阻む先進国の政治と妄想-貧困国の現実に目を向けよ」(ポール・コリアー/オックスフォード大学経済学教授)。

 とくに、後者のポール・コリアーについては、主著である最貧国問題解決のための必読書である『最底辺の10億人-最も貧しい国々のために本当はなすべきことは何か?-』(ポール・コリアー、中谷和男訳、日経BP社、2008)は、このブログでも取り上げている

 「食糧問題」については、奇しくも講談社の月刊誌「クーリエ・ジャポン COURRiER Japon」2010年3月号が、「特集 世界の「食糧争奪」戦争-フィレオフィッシュが食べられなくなる日」という特集を組んで取り上げている。
 とくに「食糧問題」は、「エネルギー問題」とならんで日本の生存にためには生命線ともいえる問題であり、対岸の火事と思うことなく自分の問題として真剣に捉える必要がある。あわせて読むことをお薦めしたい。


 「フォーリン・アフェアーズ・リポート」は、最初から最後まですべてのページに目を通すのも良し、必要な論文だけピックアップして読むのも良し、あるいはタイトルとサマリーだけ読むのも良し。読者の目的に応じて読むことができるように、日本語版はよく工夫して編集されている。
 日本語版の公式ウェブサイトとあわせて利用すれば、より実りある活用が可能となるだろう。

 なお、本誌のバックナンバーは基本的に一般書店には配本していないということだが、最新号だけでなくバックナンバーが amazon.co.jp で入手可能であることを付け加えておこう。





PS 読みやすくするために改行を増やし、写真を大判に変更した。内容にはいっさい手は入れていない。あらたに「ブログ内関連記事」の項目を新設した。(2016年7月24日 記す)


<ブログ内参考記事>

月刊誌 「フォーリン・アフェアーズ・リポート」(FOREIGN AFFAIRS 日本語版) 2010年NO.3 を読む

月刊誌 「フォーリン・アフェアーズ・リポート」(FOREIGN AFFAIRS 日本語版) 2010年NO.5 を読む-特集テーマは「大学問題」と「地球工学」-

「フォーリン・アフェアーズ・アンソロジー vol.32 フォーリン・アフェアーズで日本を考える-制度改革か、それとも日本システムからの退出か 1986-2010」(2010年9月)を読んで、この25年間の日米関係について考えてみる
              
月刊誌 「フォーリン・アフェアーズ・リポート」(FOREIGN AFFAIRS 日本語版) 2010年NO.12 を読む-特集テーマは「The World Ahead」 と 「インド、パキスタン、アフガンを考える」


リーマンショックと世界金融危機

書評 『マネー資本主義-暴走から崩壊への真相-』(NHKスペシャル取材班、新潮文庫、2012 単行本初版 2009)-金融危機後に存在した「内省的な雰囲気」を伝える貴重なドキュメントの活字版

書評 『ユーロ破綻-そしてドイツだけが残った-』(竹森俊平、日経プレミアシリーズ、2012)-ユーロ存続か崩壊か? すべてはドイツにかかっている

書評 『国家債務危機-ソブリン・クライシスに、いかに対処すべきか?-』(ジャック・アタリ、林昌宏訳、作品社、2011)-公的債務問題による欧州金融危機は対岸の火事ではない!

(2016年7月24日 項目新設)




(2012年7月3日発売の拙著です)





Clip to Evernote 


ケン・マネジメントのウェブサイトは
http://kensatoken.com です。

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!

 
end