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2022年12月19日月曜日

書評『日本共産党ー「革命」を夢見た100年』(中北浩爾、中公新書、2022)-名前を変えることなく環境変化に対応してきた組織

 
 日本の政党で名前を変えることなく100年の歴史をもつものは、1922年に結党された日本共産党のほかにはないようだ。自由民主党は自由党と民主党が1955年に合併してできたもので、歴史は70年もない。 

外部環境の激変のなか、とくにソ連崩壊という激変をくぐりながらも生き残ってきたのはなぜか? 「日本共産党」という名称をいっさい変えることなく現在に至るのはなぜか? 

部外者であれば当然抱く疑問であろう。わたしもその一人だ。 

『日本共産党ー「革命」を夢見た100年』(中北浩爾、中公新書、2022)は、政治学者による分析である。日本共産党を世界の左翼政党になかに位置づけ、誕生から現在に至るまでの歴史を跡づける。最近の新書本は分厚いのが多いが、本書もまた400ページを超えるボリュームのものだ。  

戦前の誕生以来、ソ連主導の「国際共産主義運動」(=コミンテルン)の指示とカネによって活動してきた日本共産党が、第二次大戦後には合法化されたものの、ソ連とも中国共産党とも袂を分かち、政策的も財政的にも自主独立路線をとって「国民政党化」したからこそ、東欧革命とソ連崩壊という激変に巻き込まれることなく乗り切れたわけである。この件について詳細な分析が行われている。 

わたし自身は、まったくの部外者であり、しかも日本共産党どころか共産主義や共産党そのものに対しては、生まれてからこのかた親近感を抱いたことなどただの一度もない。 

にもかかわらず、日本共産党という組織に知的好奇心をそそられるのは、「民主集中制」という独特の組織原理や、名前を変えることなく環境変化にあわせて実体を変化させてきた点であるとくに後者は、ブランド戦略そのものといっていい。 

100年前、50年前、30年前の日本共産党と現在の日本共産党は、名前はおなじだが中身はだいぶ変化している。イメージと実体のあいだでズレが生じているのはそのためだ。これは自戒を込めてだが、昔のイメージのままで、現在を考えてはいけないのである。

さすがに政治学者の著者は、世間一般のイメージに惑わされることなく、冷静沈着な分析をおこなっている。 

政党という政治組織は企業組織とは異なるし、その他の宗教組織などとも異なる。とはいえ、生き物としての組織としては共通性も多い。本書は政治学による分析なので「組織論」といった点からの関心は著者自身にはないようだが、読者としてはミッション・ビジョン・バリュー、そしてパーパスといった点から、ケーススタディとして日本共産党という組織を考えることは可能だろう。 

もちろん、日本共産党の是非はさておき、環境変化に対応して変えていくべきこと、変えてはいけないコアを守っていくこと、この点をはっきりさせることは、ブランド戦略においてはきわめて重要である。

日本全体が人口減少で縮小傾向にあるなか、日本共産党もまた党勢は右肩下がりの状態にある。はたして今後も、名前を変えることなく、環境変化にあわせてポジショニングを変え、実体も変えていくのだろうか。生き残ることは可能なのであろうか。 

あくまでも部外者であるわたしは、組織の生き残りという観点から、距離を置いて今後も見ていきたいと思う。 




目 次
はじめに 
序章 国際比較のなかの日本共産党 
第1章 大日本帝国下の結党と弾圧 ― ロシア革命~1945年 
第2章 戦後の合法化から武装闘争へ ― 1945~55年 
第3章 宮本路線と躍進の時代 ― 1955~70年代 
第4章 停滞と孤立からの脱却を求めて ― 1980年代~現在 
終章 日本共産党と日本政治の今後 
あとがき 
註記/付録 日本共産党各種データ/日本共産党 関連年表


著者プロフィール
中北浩爾(なかきた・こうじ)
1968(昭和43)年三重県生まれ。1991年東京大学法学部卒業。1995年東京大学大学院法学政治学研究科博士課程中途退学。東京大学博士(法学)。大阪市立大学法学部助教授、立教大学法学部教授などを経て、2011年より一橋大学大学院社会学研究科教授。専門は日本政治外交史、現代日本政治論。著書に『自民党ー「一強」の実像』(中公新書、2017)など。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)


<関連記事>

・・共産党が大きな勢力をもってきたイタリア。そのイタリアの宗教学者による共産主義批判。日本共産党による統一教会への「最終戦争」を批判的にとあり上げている。
(引用)
In fact, the Communist Party’s plans to destroy the Unification Church had started much earlier. In 1968, Reverend Moon founded the International Federation for Victory Over Communism (IFVOC). It played a key role in containing the Japanese Communist Party and its Socialist allies.・・・・・以下略・・・

(2022年12月24日 項目新設)


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・・かつて学生時代に日本共産党の党員だったナベツネ氏




(2023年8月28日 情報追加)


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