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2014年12月31日水曜日

『禁断のレシピ』(多賀正子・枝元なほみ、NHK出版、2014)は、「大人の絵本」。たまにはカロリー気にせず豪快に食べまくりたい!


『禁断のレシピ』は、2014年に出版されて話題になっているレシピ本である。

「禁断の・・・」というタイトルじたいに「そそる」ものがある。飲食の分野で「禁断」というとさまざまな連想もあろうが、この本に秘められた「禁断」の領域とは、ずばりカロリー制限の彼方を指している。

二人の料理研究家それぞれの「わたしの禁断3か条」というのが面白い。

エダモン(=枝元なほみ)
 1. 炭水化物 LOVE
 2.  深夜のエンドレス
 3. 油使いはケチらない

Mako(=多賀正子)
 1. 肉 LOVE
 2. 大きいことはいいことだ!
 3. 食後のデザートはマスト


「カロリー制限なんて、ぶっとばせ!」、「食べたいものを作って食べよ!」というメッセージ性のきわめて明瞭な、カラー写真満載のレシピ集である。まさに「禁断の大人の絵本」というべきだろう。



「目次」をみると、「ボリューム肉レシピ」「エンドレスレシピ」「VIVA!炭水化物」「魔性のスイーツカタログ」というふうに、コトバでもぐいぐい「禁断」領域を快進撃するのが心地よい。

(でっかティラミス 3060kcal VS 丸ごとバナナのリングシュー 4180kcal)

amazon で公開されているカラー写真をここに掲載しておこう。まずはデザート対決、そしておかず対決。

(じゃがいものダブルとうがらし炒め 1770kcal VS フライドチキン悪魔ソース 1670kcal)


わたし的に旨そうなのは、とくに「肉ずし」。このほか、「フライドビーフ」「スパイシースペアリブ」「フランスパン1本サンドイッチ」、デザートでは「アップルシナモンロールケーキパフェ」「ひやあつココナッツしるこ」

自分で作らなくても、食べなくても、見ているだけでなぜか幸せな気持ちになる。美食を意味するグルメではなく、食いしん坊バンザイのグルマンだ。

ふだんは一日二食の「半日断食」で、カロlリーは目分量で制限しているわたしだが、たまには思う存分食べたい!という欲求に突き動かされることもある。そんなときは、食欲全開もまたよし、だ。

もちろん、毎日食べていてはカラダに良くないのでそんなことはしないのだが、まあ、たまにはいいじゃないか、ということで・・・(笑)

肉もスイーツも大好きだからね~。





著者プロフィール

枝元なほみ(えだもと・なほみ) 
料理研究家。劇団の役者兼料理主任、無国籍レストランのシェフを経て、料理研究家に。食材を組み合わせて新しい味をつくり出すことを得意とし、その親しみやすいキャラクターで幅広いファンに支持されている。農業支援活動団体「チームむかご」の代表理事も務め、被災地支援の活動も精力的に行っている。  (本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。
  
多賀正子(たが・まさこ) 
料理研究家。2005年「NHKきょうの料理大賞」でグランプリを受賞し、その後、家庭料理教室を主宰。3男1女と夫の5人の胃袋を満足させてきた、ボリューム&アイデア満点のつくりやすい家庭料理を得意とする。みんなで集まってつくったり食べたりする喜びとその大切さを伝えることに心を尽くしている。 (本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


<関連サイト>

禁断のレシピ 予告編 (YouTube)
・・二人の著者が自著を紹介するビデオ


<ブログ内関連記事>

書評 『食べてはいけない!(地球のカタチ)』(森枝卓士、白水社、2007)-「食文化」の観点からみた「食べてはいけない!」
・・この本でいう「禁断」とは宗教的な「禁忌」のこと

「半日断食」のすすめ-一年つづけたら健康診断結果がパーフェクトになった!

『聡明な女は料理がうまい』(桐島洋子、文春文庫、1990 単行本初版 1976) は、明確な思想をもった実用書だ

映画 『大統領の料理人』(フランス、2012)をみてきた-ミッテラン大統領のプライベート・シェフになったのは女性料理人

映画 『ジュリー&ジュリア』(2009、アメリカ)は、料理をつくり料理本を出版することで人生を変えていった二人のアメリカ女性たちの物語

「スペイン料理」 の料理本を 3冊紹介

グルマン(食いしん坊)で、「料理する男」であった折口信夫

『檀流クッキング』(檀一雄、中公文庫、1975 単行本初版 1970 現在は文庫が改版で 2002) もまた明確な思想のある料理本だ

邱永漢のグルメ本は戦後日本の古典である-追悼・邱永漢

マンガ 『きのう何食べた? ⑨』(よしなが ふみ、講談社、2014)-平凡な(?)人生にも小さなトラブルはつきもの





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2014年12月30日火曜日

『前田建設ファンタジー営業部』(前田建設工業株式会社、幻冬舎、2004)で、ゼネコンの知られざる仕事内容を知る


「前田建設ファンタジー営業部」というのは、準大手ゼネコンの前田建設工業株式会社(MAEDA CORPORATION)の一部門という設定だが、もちろん架空の部署である。前田建設のウェブサイトにのみ存在するバーチャルな部署である。

大型の建設工事現場そのものは目にすることがあっても、「関係者以外立ち入り禁止」になっているので、たいていの人は中で何が行われているか見たことはないだろう。

しかも、建設工事全般を仕切っているゼネコンの仕事じたい、ある種の固定したイメージ(・・それもかならずしも好ましくないもの)がまとわりついている割には一般人にはあまり知られていないのは現在でも変わらないと思う。

その外からはわかりにくいゼネコンの仕事を、アニメの名作に登場する構造物の予算(=工費)と工期にかんする「見積もり」を行う作業をつうじて、理解してもらおうという趣旨の「プロジェクト」である。ただし、「受注」から先の「工事」そのものまで扱われていないのは、残念ながらじっさいに発注した者がいないからだ。

その第一弾が、ロボットアニメの名作「マジンガーZ」に登場する「地下格納庫」建設の見積もりである。結論は、予算72億円、工期6年5ヶ月(ただし機会獣の襲撃期間を除く)というものだが、この見積もりを作成するまでのプロセスが、じっさいに受注して工事を開始するまでのゼネコンの主要な仕事の一つなのである。

キャラ化されマスコット化された社員たちによる、おもしろおかしい会話をつうじて土木と建設にかんするウンチクが語られるという構成になっている。見積もり完成というゴールにむけてのプロセスが面白いのだ。

(前田建設ファンタジー営業部の公式サイトより)

ファンタジー営業部による「プロジェクト」は好評のため、すでにシリーズ化されて「PROJERCT5」まで進展している。プロジェクトのキックオフ以降の歴史を、ウェブサイトに掲載されている年表を引用してみておこう。

2003年
 2月 Project01 昭和47年作品「マジンガーZ」格納庫検討
 10月 Project02 昭和57年作品「銀河鉄道999」地球発進用高架橋検討
2004年
 11月 書籍Project01(日本語版)出版
 11月 Yahoo! Internet Guide主催「Web of the Year 2004」ノミネート
2005年
 6月 Project03 平成17年作品 PS2「グランツーリスモ4」サーキット検討
 7月 日本SF大賞 星雲賞 ノンフィクション部門 受賞
 7月 書籍Project01(韓国語版)出版
2006年
 6月Project04 「世界初!ロボット救助隊を創ろう」(組織実現概略検討)
2007年
 7月 書籍Project02(日本語版)出版
2009年
 5月書籍 Project02(韓国語版)出版
2010年
 4月Project05 昭和54年作品「機動戦士ガンダム」地球連邦軍基地ジャブロー検討
2012年
 3月Project05 出版



すでに、「マジンガーZ」の地下格納庫、「銀河鉄道999」の高架橋、「機動戦士ガンダム」の巨大基地、のプロジェクトが単行本化され、文庫本化されている。しかも韓国語版も出版されているらしい。



わたし自身は、世代的にはガンダム世代にかかっているものの、子ども時代にもっとも心奪われたロボットアニメが「マジンガーZ」だったので、第一弾となった『前田建設ファンタジー営業部』をここでは取り上げることにしたい。なんせ、「マジンガーZ」も「グレート・マジンガー」も、わたしにとっては、カラオケなしのアカペラで歌えるアニソンである!!

さて、本書の内容だが、アニメに描かれた世界を、その当時にじっさいに視聴していた社員もそうでない社員も、真剣にビデオを解析して検討し、現在の技術(・・マジンガーZのケースでは2003年段階)で対応可能なものを徹底的に検証している。その作業を踏まえて「積算」によってコスト計算を行い、「見積書」が最終的に完成するわけだ。

内容については、「目次」をご覧になっていただくのが手っ取り早いだろう。

目 次

まえがき
プロローグ 架空の建造物を思い描いた、すべての方々へ
PART. 1 ファンタジー営業部颯爽登場
PART. 2 汚水処理場の夕陽に咲くマジンガー
 [COLUMN.1] 地下水と建設工事
PART. 3 兜博士の遺産
PART. 4 グシオスβ3の歌が聞こえる
 [COLUMN.2] 東京湾アクアライン 
PART. 5 立坑の掘り方教えます
 [COLUMN.3] 薬液注入 
PART. 6 掘削法面は立っているか
 [COLUMN.4] マジンガーZが前田建設に配備されたら
 ・建設機械図鑑
 [番外編] この人に聞く①
PART. 7 水槽300t の水圧
 [番外編] この人に聞く②
 [COLUMN.5] 大きかったり小さかったり 
PART. 8 ジャッキアップ超特急
 [番外編] この人に聞く③
 [COLUMN.6] 各場面の実現 
 [COLUMN.7] 転倒防止機能 
PART. 9 積算はいかが
 [COLUMN.8] 切り盛りのバランス 
 [番外編] この人に聞く④
PART. 10 ファイルProject01を提出せよ
エピローグ
附録 「マジンガーZ格納庫・模型」
あとがき

もちろん「受注」できるかどうかは、また別の話。金額は大きいが、見積もり段階で終わってしまうプロジェクトはじつに多い。競争入札であればなおさらだ。

「受注」できて「工事」が始まる際には、さまざまな下請け(=サブコントラクター)や外注先をマネジメントするという仕事が待っている。コスト管理しながら、安全第一で工期までにプロジェクトを完成させるという施工管理の仕事である。これはプロジェクト・マネジメントである。

この本は、土木と建設にかんする技術的なウンチク、機械設計にかんする技術などなど、ゼネコン関連で仕事をする人、これからゼネコンを目指している就活生にも、役に立つ内容になっていると思う。下手な就活本よりも面白くてためになるのではないかな。

シリーズのうち好みの一冊を手元においておけば、ゼネコンの仕事ガイドブックとしても役に立つだろう。





<関連サイト>

前田建設ファンタジー営業部 - 前田建設工業
・・「ファンタジー営業部」は、アニメ、マンガ、ゲームといった空想の世界に存在する特徴ある建造物を当社が本当に受注し、現状の技術および材料で建設するとしたらどうなるかについて、工期、工費を公開するコンテンツです」。



<ブログ内関連記事>

書評 『モリナガ・ヨウの土木現場に行ってみた!』(モリナガ・ヨウ、溝渕利明=監修、アスペクト、2011)-独特の細密イラストによる「関係者以外立ち入り禁止」の「現場」探訪記

「サンダーバード博」(東京・科学未来館)にいってきた(2013年7月17日)

解体工事現場は面白い!-人間が操縦する重機に「人機一体」(=マン・マシン一体)を見る
・・あたらしい構造物の建設の前には解体という作業が待っている

マンガ 『いちえふ-福島第一原子力発電所労働記 ①』(竜田一人、講談社、2014)-廃炉作業の現場を作業員として体験したマンガ家による仕事マンガ
・・原子炉関係の建設も、もちろんゼネコンの仕事

タダノの大型クレーンの商品名ピタゴラス-愛称としてのネーミングについて

『新世紀 エヴァンゲリオン Neon Genesis Evangelion』 を14年目にして、はじめて26話すべて通しで視聴した

書評 『大倉喜八郎の豪快なる生涯 』(砂川幸雄、草思社文庫、2012)-渋沢栄一の盟友であった明治時代の大実業家を悪しき左翼史観から解放する ・・ゼネコン大手の大成建設は大倉組の中核事業にさかのぼることができる

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2014年12月29日月曜日

書評『鉄道王たちの近現代史』(小川裕夫、イースト新書、2014)ー「社会インフラ」としての鉄道は日本近代化」の主導役を担ってきた


「乗り鉄」や「撮り鉄」など、鉄道ファンや鉄道マニアの鉄道へのかかわりかたはさまざまな形があるが、日本の鉄道の歴史はきちんと押さえておきたいものだ。

なぜなら、社会インフラとしての鉄道は、戦後のモータリゼーション時代を迎えるまでは、電気・ガス・水道といったライフラインにかかわる社会インフラの中核をなすものであったからだ。

もちろん現在でも鉄道がきわめて重要な位置を占めているが、歴史を振り返ってみれば、幕末から明治維新後の「日本近代化」の140年の歴史しかないことに気がつくのである。

本書『鉄道王たちの近現代史』(小川裕夫、イースト新書、2014)は、現在では当たり前のように張り巡らされた鉄道ネットワークをつくったのが、小林一三、堤康次郎、五島慶太、渋沢栄一など「鉄道王」と呼ばれた民間の実業家たちであったことを、あらためて思い知らせてくれる内容の本である。

近代化に不可欠な鉄道だが、新政府には十分な財源がなく、民間活力をフルに発揮させるしかなかったのだ。

民間主導の鉄道ビジネスに一大変化がもたらされたのは、いまから108年前に成立した「鉄道国有法」である。日清・日露戦争を経て兵員輸送のための鉄道利用という軍事的意味が増大したこともあり、社会主義国家ではなかったのに、鉄道事業の多くが「国有化」された(!)のである。

結果として、統一軌道による全国ネットワークが完成したわけだが、鉄道事業を興した実業家や株主にとっては、事業売却というエクシットによってキャピタルゲインを得ることになったわけだから、かならずしも悪い話ではなかったようだ。

「国有化」される以前の民間主導の鉄道、「国有化」以後に国鉄(・・現在の「民営化」後のJR各社)と棲み分ける形で発展した私鉄の経営者たちと、かれらが展開した鉄道会社のビジネスが、動力源としての「電力」、現在の鉄道ビジネスとは不即不離の「都市計画」・「百貨店」・「リゾート」・「エンタテインメント」・「旅行」といったテーマでまとめられている。鉄道が「主」か、鉄道は「従」か、各社の戦略によってビジネスモデルのあり方は異なるが。

「鉄道王」たちの活躍を人物伝として描いたというよりも、日本の鉄道史にかんする事実を正確にかつ淡々と述べているので、やや無味乾燥のきらいがあるかもしれないが、意外と盲点となっている視点でカバーしている箇所もあり、読んで損はない内容である。

とくに重要だと思われるのは、「第2章 鉄道と原発」である。やや奇をてらったタイトルだが、要は電車は電気で走っているという、当たり前だがふだんはほとんど失念している事実にあらためて喚起していることに意味があるのだ。

電車は電気で走る。その電気のすくなからぬ部分は原子力発電によって担われているのである。本書には、鉄道会社が自社でもつ発電施設から生み出された電力の売電や、発電会社が需要拡大のために鉄道ビジネスに関与したケースなどが記述されている。現在の「9電力会社体制」が確立する以前の姿に、現時点の「常識」でものを考えることの落とし穴に気がつかせてくれるのである。

鉄道ネットワークは「日本近代化」の完成とともに、現在ではすでに確立した「この国のかたち」となっている。「はじめに」で言及されている起業家の孫正義氏は、この上にさらにインターネットという社会インフラの構築に携わったわけである。

日本の鉄道が、社会インフラとして大東亜戦争の敗戦当日(=1945年8月15日)にも動いていた(!)ことを考えれば、たとえ戦争や自然災害によって国土が壊滅的破壊を受けても大きな変化はない。むしろ、高度成長期のモータリゼーションの進展、とくに高速道路ネットワークの完成によって、鉄道の意味合いが縮小したことにこそ注目しなくてはならない。

社会インフラにかかわるビジネスは、歴史の変わり目にしか大規模な新規参入をともなうビジンスチャンスが発生しない事業分野である以上、著者の思いには反するが、日本近代に登場したスケールをもつ「鉄道王」たちが登場することは、もはやないだろう。だが、日本の鉄道を鉄道史というかたちで歴史的に振り返ると、ビジネスパーソンではなくても、いろいろなヒントが見つかることもたしかである。

その意味では、鉄道史を読むという、「読み鉄」という楽しみ方もあっていいのかなと思うのである。




目 次

はじめに
第1章 鉄道王がつくった「この国のかたち」
第2章 鉄道と原発
第3章 鉄道と都市計画
第4章 鉄道と百貨店
第5章 鉄道とリゾート
第6章 鉄道と地方開発
第7章 鉄道とエンタテインメント
第8章 鉄道と旅行ビジネス


著者プロフィール

小川裕夫(おがわ・ひろお)
1977年、静岡市生まれ。行政誌編集者を経てフリーランスライター。取材テーマは地方自治、都市計画、内務省、総務省、鉄道。著書に『踏切天国』(秀和システム)、『全国私鉄特急の旅』(平凡社新書)、『都電跡を歩く』(祥伝社新書)、『封印された鉄道史』『封印された東京の謎』(彩図社)、編著に『日本全国路面電車の旅』(平凡社新書)、監修に『都電が走っていた懐かしの東京』(PHP研究所)がある。



<ブログ内関連記事>

書評 『「鉄学」概論-車窓から眺める日本近現代史-』(原 武史、新潮文庫、2011)-「高度成長期」の 1960年代前後に大きな断絶が生じた
・・「読み鉄」のためのはずせない一冊

書評 『高度成長-日本を変えた6000日-』(吉川洋、中公文庫、2012 初版単行本 1997)-1960年代の「高度成長」を境に日本は根底から変化した

梅棹忠夫の幻の名著 『日本探検』(1960年)が、単行本未収録の作品も含めて 2014年9月 ついに文庫化!
・・高速道路の文明史的意味について名神高速の建設時に指摘

『貨物列車のひみつ』(PHP研究所編、PHP、2013)は、貨物列車好きにはたまらないビジュアル本だ!

書評 『「夢の超特急」、走る!-新幹線を作った男たち-』(碇 義朗、文春文庫、2007 単行本初版 1993)-新幹線開発という巨大プロジェクトの全体像を人物中心に描いた傑作ノンフィクション

祝 新幹線開通から50年!-わが少年時代の愛読書 『スピード物語-夢をひらく技術-(ちくま少年図書館7)』(石山光秋、筑摩書房、1970)を紹介

「私鉄沿線」からアプローチする「日本近現代史」-永江雅和教授による姉妹作 『小田急沿線の近現代史』(2016年)と『京王沿線の近現代史』(2017年)を読む

書評 『京成電鉄-昭和の記憶-』(三好好三、彩流社、2012)-かつて京成には行商専用列車があった!

『新京成電鉄-駅と電車の半世紀-』(白土貞夫=編著、彩流社、2012)で、「戦後史」を振り返る

「企画展 成田へ-江戸の旅・近代の旅-(鉄道歴史展示室 東京・汐留 )にいってみた
・・神社仏閣参詣客の輸送需要に目を付けた鉄道事業者たち

書評 『渋沢栄一 上下』(鹿島茂、文春文庫、2013 初版単行本 2010)-19世紀フランスというキーワードで "日本資本主義の父" 渋沢栄一を読み解いた評伝

西日本に集中している「路面電車の走る城下町」-路面電車関連の新書本を読んで高齢化社会日本の「未来型都市交通」について考える

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2014年12月25日木曜日

500年前のメリー・クリスマス!-ラファエロの『小椅子の聖母』(1514年)制作から500年



イタリア・ルネサンスの画家ラファエロの『小椅子の聖母』(Madonna della Seggiola)。
  
いわゆる「聖母子像」ですね。マドンナ(=聖母マリア)と幼子イエス、そして二人を敬虔な表情で見つめる幼き洗礼者ヨハネとされてます。天使ではありませんよ。
   
ラファエロには『アテネの学堂』という哲学のスーパースターたちが一堂に会した大作もありますが、やはり親しみやすく素晴らしいのは聖母子像の数々。そのなかでもいちばん素晴らしいとわたしが思うのは、この『小椅子の聖母』です。

『小椅子の聖母』は、1514年の制作とされてますので、ちょうど500年前(!)となりますね。

500年前のメリークリスマス!
   
たまには、キリスト教のイエス生誕という、本来のクリスマスにちなんだ名画の鑑賞でもいかが?






<ブログ内関連記事>

「500年単位」で歴史を考える-『クアトロ・ラガッツィ』(若桑みどり)を読む

書評 『1492 西欧文明の世界支配 』(ジャック・アタリ、斎藤広信訳、ちくま学芸文庫、2009 原著1991)

書評 『想いの軌跡 1975-2012』(塩野七生、新潮社、2012)-塩野七生ファンなら必読の単行本未収録エッセイ集
・・ローマ帝国を書く以前はイタリアルネサンスを題材にした作品を多数執筆している塩野七生

『戦場のメリークリスマス』(1983年)の原作は 『影の獄にて』(ローレンス・ヴァン・デル・ポスト)という小説-追悼 大島渚監督

韓国映画 『八月のクリスマス』(1998年)公開から15年



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聖なるイメージ ー ルブリョフのイコン「三位一体」、チベットのブッダ布、ブレイクの版画

     
まったくの個人的な趣味趣向から、聖なるイメージの三点を紹介しておきたいと思う。いずれも黄金色に輝くまばゆいばかりのイメージである。

まずはロシア・イコンから。アンドレイ・ルブリョフの『三位一体』。

(アンドレイ・ルブリョフの『三位一体』)

これはギリシアのとある島で購入したイコン(聖画像)の複製からコピーしたもの。よくできた複製イコンである。

アンドレイ・ルブリョフは14世紀から15世紀にかけてのイコン画家。東方正教会のイコンは西欧のカトリックの聖画とは違って、日本人にもなじみやすいのではないだろうか。中学生のときにイリーン・セガールの『人間の歴史』(岩波書店)のカラー口絵で見て以来、大好きなイコンである。モスクワのトレチャコフ美術館でホンモノをみた時には感激したものだ。

ソ連の映画監督アンドレイ・タルコススキーは『アンドレイ・ルブリョフ』という映画を製作している。全編モノクロの映像だが、最後の最期にカラーとなる。イコンの美しさが燦然と輝くという趣向である。


つぎにチベットの布製のブッダ。チベットで購入した、同じブッダ柄を印刷した布を写真で撮影。

(チベットのブッダ柄の布)

チベット仏教はチベット密教とも呼ばれるが、大乗仏教の最終形態とされる。チベット仏教の僧侶は、ブッダ釈尊から上座仏教、大乗仏教を経て密教に至るまでのすべてが学習する。これは祖師信仰のつよい日本の大乗仏教との大きな違いである。

このブッダ像も黄金である。聖なるイメージと黄金は結びつきやすいのか?


そして最後に英国の象徴派詩人ウィリアム・ブレイク(1757~1827)の描いた創造神。黄金体の創造神はコンパスをもってみずから世界を創造している。

(ウィリアム・ブレイクの『創造神』)

ブレイクはダンテの『神曲』やミルトンの『失楽園』などの装画でも知られている。西洋のものであるが、日本人にも親しみやすいものを感じさせるのは、水彩画などのタッチが活かされた版画作品が多いからだろう。


いずれもゴールドがベースになっている「聖なるイメージ」。ロシア、チベット、英国から一枚づつ選んで掲載してみた。これら三者のあいだにとくに関係はないが、聖なるイメージ=黄金というコンセプトで共通しているのではないか、と。

以上、まったくの個人的な趣味嗜好から三つの聖なるイメージを紹介した。




<ブログ内関連記事>

書評 『ろくでなしのロシア-プーチンとロシア正教-』(中村逸郎、講談社、2013)-「聖なるロシア」と「ろくでなしのロシア」は表裏一体の存在である

チベット・スピリチュアル・フェスティバル 2009

「チベット・フェスティバル・トウキョウ 2013」(大本山 護国寺)にいってきた(2013年5月4日)



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2014年12月24日水曜日

歌人・九條武子による「聖夜」という七五調の「(大乗)仏教讃歌」を知ってますか?

(『九條武子 歌集と無憂華』 のばら社版 より)

「聖夜」という「仏教讃歌」がある。もちろん「きよしこの夜」で始まるクリスマス・キャロルが念頭にあるのだろう。英語の「聖夜」(Silent Night)は、Silent Night, Holy Night ・・・で始まる曲である。

「仏教賛歌」の「聖夜」は、歌人で「大正三美人」の一人と呼ばれていた九條武子(1887~1928)の詩に、「シャボン玉」(作詞:野口雨情)などの童謡や「ゴンドラの唄」(作詞:吉井勇)のなどの歌謡曲で知られる中山晋平(1887~1952)が曲をつけたもの。

明治維新に際して吹き荒れた廃仏毀釈の嵐によって大きなダメージを受けた日本仏教は、再建を果たすなかで「近代化=西欧化」のなかでキリスト教の影響を大幅に取り入れている。とくに日本最大の宗派である浄土真宗は、日本仏教界を先導して「仏教近代化」を推進した。


(九條武子 『近代美人伝』(長谷川時雨)より)


九條武子は、浄土真宗の西本願寺の大谷家に生まれ、「大正三美人」のもう一人とされた同じく歌人の柳原白蓮とともに華族の出身者であった。日本の近代化は、エリート層による「上からの近代化」が主導しているが、仏教界においてもエリート主導の西欧化が行われたのである。

この「聖夜」も、布教(=伝道)にあたってキリスト教の影響を大胆に取り入れていたケースの一つとして考えるべきだろう。

浄土真宗は、早い時期から日本人の海外移民に向けての布教にも力を入れており、そういうった経験がフィードバックされてきたのかもしれない。築地本願寺には、1970年に設置されたという立派なパイプオルガンが本堂にあるが、そういった流れのなかにあるのだろう。

ちなみに、浄土宗から登場した近代の聖者・山崎弁栄(やまざき・べんねい 1859~1920)もまた、アコーディオンを引きながら布教に従事していたらしい。アコーディオンにせよオルガンにせよ、本来の仏教音楽ではなく、西洋音楽を演奏するためのものである。

音楽にかんしては、西欧近代化のなかで日本人の感覚そのものも不可逆的な変化を被ったことに触れておかねばならない。日本の唱歌の旋律の多くは、プロテスタントの讃美歌から生まれたものなのである。仏教もまた現代に生きる以上、音楽にかんするこの流れのなかから出ることはもはや不可能である。

「聖夜」(Holy Night)とは、いうまでもなく「きよしこの夜」ではじまるキリスト教クリスマス・キャロル Silent Night からきているのだろう。だが、九條武子の「聖夜」は、キリスト教の「聖夜」とは違って「聖母子」を歌ったものではない。クリスマスとも関係ない

「聖夜」の歌詞を引用しておこう。


聖夜 (九條武子)

星の夜ぞらの うつくしさ
たれかは知るや 天(あめ)のなぞ
無数のひとみ かゞやけば
歓喜になごむ わがこゝろ

ガンジス河の まさごより
あまたおはする ほとけ達
夜(よる)ひる つねにまもらすと
きくに和(なご)める わがこゝろ


「あまたおはする ほとけ達」というフレーズに見られるように、阿弥陀仏を絶対視する浄土真宗の枠を越えた、大乗仏教そのものを歌いあげた「(大乗)仏教賛歌」といえよう。どういう曲なのか聞いたことがないのでわからないのが残念である(*)。


(*)2014年12月24日の時点ではそう書いていたが、まる9年後の本日(2023年12月24日)にネット検索したところ、仏教讃歌「聖夜」作詞/九条武子 作曲/中山晋平 真宗大谷派合唱連盟制作 大西貴浩(釋琴声)の仏教讃歌と日本の歌」という動画が見つかった。参考のために掲載しておこう。すばらしい声、曲もすばらしい。(2023年12月24日 記す)




仏教聖歌の「聖夜」は、九條武子歌文集の『無憂華』に収録されている。九條武子が亡くなる一年前に出した歌文集である。


(『九條武子 歌集と無憂華』 のばら社版)


九條武子の兄であった大谷光瑞(おおたに・こうずい)はシルクロードの西域探検をプロモートした人物として有名だが、建築家の伊東忠太にエキゾチックなインド風建築で築地本願寺の設計を依頼している。

東京の築地本願寺の境内の片隅に九條武子の歌碑がある。文字がかすれて読みにくいのだが、幸いなことに歌詞を記した看板が立っているので内容がわかる。きわめて宗教的な内容の歌である。

おほいなる
もののちからに
ひかれゆく
わがあしあとの
おぼつかなしや



(九條武子夫人歌碑の左隣にある案内板 築地本願寺境内)


九條武子は、文学史に名を残した歌人というよりも、「仏教歌人」として記憶されるべき存在かもしれない。

そんな九條武子が遺した「聖夜」という七五調の詩を味わってみたいものである。







PS 『無憂華』の原本と「聖夜」

その後、2022年になってから『無憂華』(むゆうげ)の原本を入手した。昭和2年7月5日初版。入手したのは、昭和3年7月5日の169版(!)である。たった1年で169刷である!

いかに当時のベストセラーであったかがわかる。おそらく、著者の九條武子が昭和3年(1928年)2月7日に41歳で亡くなったこともあるのだろう。まさに佳人薄命というべきか。

(本人自身が孔雀を好きだったことがわかる表紙絵)


昭和2年末までは35版だが、昭和3年、ことに著者の逝去直後の2月7日の46版から、7月5日まで169版という驚異的な増刷である。著名人の死がその著書の販売を促進することはよくあることだ。

発行所は實業之日本社。定價壱圓。著者検印に「九條」の朱印が押されているが、著者が死後のことなので、本人によるものではないだろう。


(著者自身による「無憂華の花」による装幀)


『無憂華』の原本は、345ページの箱入りの単行本で、装幀などすべて著者本人によるもの。著者自身による自画像、自作の歌を書いた色紙、無憂樹の花(上掲)のほか、写真が7葉おさめられている。
 
収録されているのは、短いエッセイを集め、もっともボリュームの多い「無憂華」(感想)を冒頭に、「幻の花」(和歌)、「帰命」(感想)、「ちぎれ雲」(感想)、「蔓草」(和歌)、「囁き」(和歌)、「洛北の秋」(戯曲)である。


(自作の「おほいなる・・」の自筆による色紙)


色紙には、先に引用した自作の「おほいなるもののちからにひかれゆくわがあしあとのおぼつかなしや」の歌が自筆で書かれている。九條武子は、国文学者で歌人の佐佐木信綱の門下であった。

「聖夜」はエッセイ集の「無憂華」に収録されている。ただし、いつ、いかなる目的でつくられたのかまではわからない。


(「聖夜」は110ページに収録されているが、説明はまったくない)


九條武子の歌としてよく知られている「百人(ももたり)のわれにそしりの火はふるもひとりの人の涙にぞ足る」は、三回忌を記念して出版された歌集『白孔雀』の冒頭におさめられている。

『白孔雀』は、歌人の吉井勇の編集によるもの。与謝野晶子が「「白孔雀」序歌」として5首寄せている。「光りつつ去りぬ真白き孔雀こそかの流星のたぐいなりけれ」など5首である。

(2023年12月24日 聖夜の日に記す)



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■キリスト教国の米国でユダヤ教徒が歌う「アヴェ・マリア」

バーブラ・ストライサンドの A Christmas Album より Gounod's Ave Maria(グノーのアヴェ・マリア)

(2014年12月28日、2023年12月24日 情報追加)


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