6月19日は「ジューンティーンス」(Juneteenth)、米国では翌日の20日もふくめて連邦レベルでの祝祭日である。1865年6月19日の「黒人解放」を記念したものである。
なにやら耳慣れないことばだなと思っていたら、2021年から連邦レベルで祝日となったらしい。トランプ政権下で発生した白人警察官による黒人のジョージ・フロイド氏の殺害事件、その他の黒人差別問題への反対が全米レベルの大運動となった BLM(Black Lives Matter)運動が、バイデン政権での制定を後押ししたのである。
「ジューンティーンス」が第2の「独立記念日」とされるのは、1776年7月4日の「独立記念日」には黒人が含まれていなかったからだ。。
そんな「ジューンティーン」に『ブラック・クランズマン』という映画を amazon prime Video で視聴。2018年製作のスパイク・リー監督の作品。「BLM」が世界的に知られるようになったトランプ大統領時代に製作された映画だ。その内容には圧倒されっぱなしだった。135分が短く思えた。
この映画のことは、『白人ナショナリズム-アメリカを揺るがす「文化的反動」』(渡辺靖、中公新書、2020)を読んでいて知った。
いやあ、こんなスゴイ映画もなかなかないのではないか?
潜入捜査もので、サスペンスもののアクション映画。実話にもとづいているというのも、また驚きだ。この映画には、俳優が演じているとはいえ、生存中の実在の人物が主要な役割を演じているのである。 Wikipedia情報を引用すれば、こんな内容だ。
1970年代のアメリカ・コロラド州コロラドスプリングスで、アフリカ系アメリカ人(黒人)初の市警察巡査となったロンが、白人至上主義団体クー・クラックス・クランの地方支部への潜入捜査に着手し、活動内容や極秘計画を暴くまでを描く。・・・
もちろん、黒人が白人至上主義者組織の「kkk」(クークラックスクラン)に潜入捜査などできるわけがない。そこで採用されたのが白人のダブルである。電話では黒人の捜査官が話し、集会にはその名前で白人が参加するのだが、なんとかれは白人ではあるがユダヤ系であった。白人至上主義者の攻撃対象になっていたのは黒人だけでなく、ユダヤ人もまたそうなのである。じつに根の深い話である。
ブラックパワー活動家の集会と、白人至上主義者 KKKの集会。このまったく対極ともいうべき異世界が、パラレルワールドとして存在するという非現実的な現実。これがアメリカなのである。1970年代が舞台設定だが、2020年代もまた状況が解消されているわけではない。
オリジナルのタイトル「BlacKkKlansman」の「Klansman」は「KKK」のメンバーのこと。「K」を挟みこんだことで「KKK」という文字が浮かび上がる。なかなか凝ったタイトルである。
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