『加藤隼戦闘隊』(1944年、日本)という映画がある。実在の人物であった加藤隊長を主人公にした戦争映画だ。
1944年(昭和19年)という大東亜戦争後半に製作され公開されたこの映画は、それから42年後の1986年に製作され、世界的な大ヒットとなったハリウッド『トップガン』を先取りしているといっていいのではないか?
主人公が、『加藤隼戦闘隊』の実在の実物と、『トップガン』の架空の人物という違いがある。帝国陸軍の航空隊と米海軍の航空隊という違いはある。
だが、精鋭中の精鋭が集められた戦闘機部隊であり、しかも実際の戦闘機を使用した撮影されたという点での共通性がある。
『加藤隼戦闘隊』では隼(はやぶさ)、『トップガン』では F-14 トムキャットとF-14ファントムだ。
『加藤隼戦闘隊』の主題歌の2番は、つぎのようなものだ。
過ぎし幾多の 空中戦銃弾うなる その中で
必ず勝つの 信念と死なば共にと 団結の心で握る 操縦桿
どれだけテクノロジーが進歩しようと、戦闘機パイロットのマインドセットは変わらない。高度な個人技とチームワークの組み合わせである。
『加藤隼戦闘隊』のクライマックスは、加藤隊長が「空中戦」で敵に撃墜されて「インド洋」にて墜落死するシーンである。『トップガン』では、「インド洋」に展開した航空母艦から発進した戦闘機の「空中戦」である。
こうやって比較してみると、なかなか興味深いではないか。 われわれ日本人は、すでに78年前に日本版の『トップガン』を製作していたのだということを、誇りにもつべきなのだ。
そんな国であったからこそ、当時の敵国の米英からも敬意のまなざしでみられていたのだ。
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