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2022年6月7日火曜日

映画『オフィサー・アンド・スパイ』(2019年、フランス)を見てきた(2022年6月3日)-19世紀末のフランスでおきた「ドレフュス事件」を軸にして、組織に生きる個人の精神的葛藤を描いた作品

 
 
さすが巨匠ロマン・ポランスキー監督の作品だけあって、ムダもスキもない、いかにもヨーロッパ映画というべき重厚な作品に仕上がっていた。

音声はフランス語である。世界市場を狙って英語のケースが多いが、フランスが舞台の作品ならフランス語のほうがいい。フランス語圏以外では、どうせ吹き替えされるのだから。 


この映画のことを知ったのは2年前のことだ。日本公開はないのかもしれないとあきらめていたが、コロナ収束期にあわせて公開となったのはありがたい。 

この映画のテーマは、いわゆる「ドレフュス事件」である。19世紀末のフランスをゆるがせた国家レベルの冤罪事件である。 

フランス陸軍将校で砲兵大尉であったアルフレッド・ドレフュスが、ドイツのスパイだという嫌疑をかけられて反逆罪容疑で逮捕、軍法会議で軍籍剥奪と島流しが決定された。映画の冒頭に登場するのは軍人にとっては屈辱的なシーンである。 

(当時の絵入り新聞より。Wikipediaによる。映画ではこのシーンが左右反転で再現)

当時のフランス陸軍では、ごく少数に過ぎなかったユダヤ系将校だったことが、冤罪事件を生む背景の一つとなったのである。

フランス革命時代の1791年に「ユダヤ人解放」が行われてから100年、ユダヤ人のフランス社会への同化と社会進出が活発化してきたなかで起こった事件である。


この映画のオリジナルのフランス語タイトルは J'accuse. (ジャキューズ)である。作家エミール・ゾラによる「わたしは告発する」という、かの有名なフレーズからきている。 

(「オーロール紙」の1面に掲載されたエミール・ゾラの告発状 Wikipediaより)

フランス以外では『オフィサー・アンド・スパイ』というタイトルで配給されているのは、An Officer and a Spy という英語の小説が原作だからのようだ。直訳すれば「士官とスパイ」、つまりドレフュス大尉のことをさしている。 


■「冤罪事件」だけがテーマではない

「ドレフュス事件」の映画化だが、面白いのはドレフュス大尉ではなく、真犯人が別にいる冤罪事件であることを発見した、陸軍情報部長のピカール中佐を主人公にしていることだ。 個人的な情実からではなく真相を究めたいという欲求から。ユダヤ系ではないピカール中佐。彼の精神的葛藤がテーマとなって、冤罪事件解決へと進めていくドラマになっている。 

フランス陸軍という巨大官僚組織でなかで生きる個人の葛藤組織防衛に走る上層部との確執真相を知ってしまったピカール中佐を内部告発に踏み切らせたのは、上層部とは違う意味での組織愛であったのではないだろうか。 わたしはそ思うのである。

虚偽の情報と予断にもとづいた判断が産み出した冤罪だが、事実に蓋をして葬りさってしまうことは、かえって組織を危うくしてしまう。そう確信したからこそ、命がけで告発に踏み切ったのである。ピカール中佐の精神的葛藤については、組織人として生きた経験をもつ人なら理解できることではないだろうか。 

この映画は「冤罪事件」ものであると同時に、「組織に生きる個人と組織との関係」を描いたものであるといえる。だからこそ、見る価値がある。つまり他人事ではないのである。21世紀の現在でも、十分起こりうる事件なのである。 

初日の映画館では、観客はまばらでしかなかったが、「個と組織」の問題にかかわる映画として見るべきだと推奨したい。毀誉褒貶がつきまとう監督のポランスキー氏自身も、ポーランド出身のユダヤ系である。名作『戦場のピアニスト』もユダヤ人を主人公にしたホロコーストものであった。 




PS 字幕監修:内田樹 と記載されていた。『私家版・ユダヤ文化論』 (文春新書、2006)なる著書をもち、フランスのユダヤ人の歴史について詳しい氏は適任というべきだろう。



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■冤罪事件



映画 ホロコースト アタマの引き出し


・・「ドレフュスと柴五郎とは直接の関係はないが、一歳違いでフランス式の砲兵教育を受けた存在である点に、まったくの偶然の一致であるが、不思議な縁を感じる。砲兵科は数理系な術科であり、理知的な性格がそれによって培われるといっていいのだろうか。」 数学が得意なナポレオンもまた砲兵科出身であった。

(2023年1月8日 情報追加)



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