『バリー・シール/アメリカをはめた男』(2017年、米国)という映画を amazon prime video で見たが、この映画はめちゃくちゃ面白かった。予想をはるかに超える面白さだ。114分
レーガン政権時代の、いわゆる「イラン・コントラ事件」のうち、中米を舞台にした「コントラ」の実行を担った男の物語だ。「本当のウソにもとづく」(Based on a true lie)とある。「実際の人生にもとづく」(Based on a true life)のもじりだろうが、そんな男が実在していたとはまったく知らなかった。
ストーリーはこんな感じだ。amazon prime video から引用しておこう。当方の判断で多少の加筆を行っている。
天才的な操縦技術を誇り、大手民間航空会社TWAのパイロットとして何不自由ない暮しを送っていたバリー・シール(Barry Seal)の元に、ある日CIAのエージェントがスカウトに現れる。CIAの極秘作戦に、偵察機のパイロットとして加わる事となったバリーは、その過程で伝説的な麻薬王パブロ・エスコバルらと接触し、麻薬の運び屋としてもその才能を見せ始める・・・
主演はトム・クルーズ。なるほど、飛行機の操縦が大好きなかれらしい。まさにツボにはまった演技。先日ひさびさに『トップガン』を見たからだろう、amazonから推薦されたので見たというわけだ。
こんな面白い映画が日本公開されたことも知らなかったのは、まったくもってうかつだったな。
いわゆる痛快なまでのピカレスク・ロマン系だが、爆笑につぐ爆笑。中米とカリブ海は、米国の裏庭なのだなあと、あらためて実感。米国南部のアーカンソーやルイジアナが舞台。カリブ海に面したこれらの地域である。ある意味では、南部映画というべきか。
コントラへの武器、コロンビアのメディジン・カルテルの麻薬の運び屋となったバリー、まさにグリンゴ(gringo)そのもの。だが、その最期は、やがて哀しき・・。
原題のタイトルは "American Made" だが、これではなんの映画かまったくわかならないな。その意味では日本語版の『バリー・シール/アメリカをはめた男』はよくできている。
レーガン政権時代のことをリアルタイムで知っているわたしのような人間には、120%楽しめる内容。副大統領時代のブッシュ(パパ)とその後に大統領となった息子まで。それも皮肉たっぷりの紹介。
姿は見せないがアーカンソー知事時代のビル・クリントンも出てくる。そもそも、クリントン大統領が登場しなかったら、アーカンソーなんてどこにあるかまったく知らなかったわけだ。 Arkansas と書いて「アーカンソー」と読むことも。
レーガン大統領の実写フィルムも使用されているが、役者あがりと当時はバカにされていたかれも、いまでは「グレート・コミュケーター」として歴代大統領のなかでも評価が高い。 なるほど、ポーカーフェースで、ウソも真実だと言いくるめる能力にかんしては、超一流だったな、と。
批判されると、すぐにブチ切れてウソを隠し通せない日本の元首相(・・誰であるか言うまでもないだろう)と比較のしようもないな、と(笑) 人間の出来が違うのである。
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