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2023年1月14日土曜日

書評『米中対立-アメリカの戦略転換と分断される世界』(佐橋亮、中公新書、2021)ー 米中対立を米国の政策転換という観点から考える


「米中対立」は、経済だけでなく価値観をめぐる対立関係になっている。すでに「新冷戦」時代に突入している。 

では、なぜ米中は対立関係になっているのか? この疑問は誰もが抱くものであり、その理由もすでに「常識」となっていると思う。 

関与政策をつづけていけば中国が民主化するという、「信頼」にもとづく米国の「期待」が裏切られたこと。そして、米国が中国の追い上げに危機感を抱くようになったことだ。いったん失われた「信頼」が元に戻ることはきわめて難しい。国家間の関係も似たようなものがある。 

『米中対立-アメリカの戦略転換と分断される世界』(佐橋亮、中公新書、2021)は、米中関係を米国の側から、米国の政策決定に立場から研究している政治学者によるものだ。読み応えのある1冊である。  

本来は米中双方の立場を徹底的につきあわせて考えることが必要だが、一人の研究者でそれを実行することは難しい。著者は、米中関係が対立関係になったのは、米国の政策転換が原因だとする立場から、対立に至った経緯をきちんと押さえている。 

冷戦時代に米中の接近が始まったのは、対ソ戦略の観点からだが、この時代の米中関係は双方にとってウィン=ウィンの関係であった。毛沢東時代に疲弊した中国と、対ソ牽制の立場の米国の利害が一致していたからだ。 

カーター政権時代に米中国交正常化が実現し、その後もレーガン政権以降も良好な関係がつづいた。米国の基本的立場は、関与することによって、中国は米国が期待する方向に変化していくであろうというものであった。 

だが、この期待は「希望的観測」に過ぎなかったことが明らかになっていく。中国は強大化し、米国を覇権を脅かす存在になっていったのだ。 その政策転換が見える化されたのが、オバマ政権末期であり、そのつぎのトランプ時代を経て、バイデン政権ではさらに強硬な姿勢へとなって現在に至っている。 

米国の政策転換の背後には、ただ政治関係者だけではなく、経済界や国防関係、NGO、宗教界、メディアなど、さまざまなアクターが織りなす世論形成のプロセスがあったのである。 

とはいえ、米国においてもなお、依然としてウォール街を中心とした経済界と政治の世界では対中関係の温度差が存在することに目をむける必要があるだろう。けっして一枚岩ではないのだ。経済と政治・国防のコンフリクトは、日本や欧州、インドや豪州、東南アジアだけではないのである。 

今後の米中関係がどうなるか、将来予測をさらに難しくしているのは、本書の出版後の2022年に勃発したウクライナ戦争である。だが、それにもかかわらず、中国との対決姿勢をつづける米国の基本方針に変更はないようだ。今後の世界情勢は、この観点から見ていく必要がある。 

著者は、米中関係を中華人民共和国成立以降の現代史の枠組みのなかで見ている。この点は、おそらく歴史を長期的な観点から見ている中国人の発想とは異なるのではないか? 

米中関係は、中国の体制のいかんにかかわらず、本来は18世紀末のアメリカ建国時代から見ていくべきだろう。1776年の建国以来、米国人は「中国幻想」を抱いては裏切られるということを繰り返しているからだ。 

この点にかんしては、本書には物足りなさを感じている。「米中関係前史」とでも題して、簡単に述べておくべきではなかったか。




目 次
はしがき 
序章 米中対立とは何か 
第1章 関与と支援 ― 対中政策における主流派の形成 
第2章 不確かなものへの恐怖 ― 中国警戒論の胎動 
第3章 高まる違和感 ― 台頭する中国と出会ったオバマ政権 
第4章 関与政策の否定へ ― トランプ政権と中国 
第5章 アメリカのなかの中国 ― 関与と強硬姿勢、それぞれの原動力 
第6章 米中対立をみつめる世界 
第7章 今後の展望 ― 米中対立はどこに向かうのか 
おわりに ー バイデンと習近平、そして日本の立ち位置 
あとがき 
主要参考文献
索引

著者プロフィール
佐橋亮(さはし・りょう)
1978年(昭和53年)、東京都に生まれる。国際基督教大学卒業、東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。東京大学特任助教、オーストラリア国立大学博士研究員、スタンフォード大学客員准教授、神奈川大学教授を経て、2019年より東京大学東洋文化研究所准教授。専攻、国際政治学、東アジアの国際関係。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)
 

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