「アタマの引き出し」は「雑学」ときわめて近い・・日本マクドナルド創業者・藤田田(ふじた・でん)に学ぶものとは?

◆「アタマの引き出し」つくりは "掛け算" だ : 「引き出し」 = Σ 「仕事」 × 「遊び」
◆酒は飲んでも飲まれるな! 本は読んでも読まれるな!◆ 
◆一に体験、二に読書、その体験を書いてみる、しゃべってみる!◆
◆「好きこそものの上手なれ!」◆

<旅先や出張先で本を読む。人を読む、モノを読む、自然を読む>
トについてのブログ
●「内向きバンザイ!」-「この国」日本こそ、もっとよく知ろう!●

■■ 「むかし富士山八号目の山小屋で働いていた」全5回 ■■
 総目次はここをクリック!
■■ 「成田山新勝寺 断食参籠(さんろう)修行(三泊四日)体験記 」全7回 ■■ 
 総目次はここをクリック!
■■ 「庄内平野と出羽三山への旅」 全12回+α - 「山伏修行体験塾」(二泊三日)を中心に ■■
 総目次はここをクリック!


「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!

「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!
ビジネス寄りでマネジメント関連の記事はこちら。その他の活動報告も。最新投稿は画像をクリック!



ご意見・ご感想・ご質問 ken@kensatoken.com にどうぞ。
お手数ですが、コピー&ペーストでお願いします。

© 2009~2026 禁無断転載!



ラベル 愛国主義 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 愛国主義 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2022年4月10日日曜日

書評『ポストプーチン論序説 「チェチェン化」するロシア』(真野森作、東洋書店新社、2021)―「チェチェン」はプーチン体制のロシアを解くカギである

 

2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナへの軍事侵攻の行く末は現時点では確実なことは言えないが、来る5月9日の「独ソ戦戦勝記念日」にロシアが「勝利宣言」するであろうことは十分に想定される。 

その日までに、プーチンは、なんらかの形で戦果を「見える化」しなくてはならないのである。 なぜなら、プーチン体制のロシアにとってきわめて重要な記念日だからだ。



■「愛国主義」×「チェチェン化」のプーチン体制

そんなプーチン体制のロシアにとって、「愛国主義」とならんで大きな意味をもつのが「チェチェン」だ。 

『ポストプーチン論序説 「チェチェン化」するロシア』(真野森作、東洋書店新社、2021)は、「チェチェン化」という切り口で「プーチン後」について考えるためのヒントを与えてくれる。  

「第2次チェチェン紛争」(2000年)を武力で鎮圧し、連邦からの離脱を阻止してチェチェンをロシア連邦にとどめることに成功したのがプーチン体制の原点であり、それ以後チェチェンはプーチンにとっては要(かなめ)ともいうべき存在になっている。 

チェチェン共和国は、プーチンに絶対的な忠誠を誓うカディロフによって統治されている。プーチンとカディロフの関係は、父子関係にも似た、きわめて属人的なものである。イスラームのチェチェンは、いわばロシア連邦内で「藩王国」のような形で、治外法権的な存在となっているのである。 


■「チェチェン共和国のいま」と「ロシア連邦におけるチェチェン」の意味

この本を読むと、チェチェン紛争から20年後の「チェチェンのいま」を知ることができると同時に、チェチェンがロシアにおいていかなる意味をもつようになったかが、じつによく理解できるのである。 

ロシア連邦内にとどまりながらも、治外法権的な存在となっているチェチェンは、プーチンに個人的に絶対的忠誠を誓うカディロフによる強権支配が行われており、カディロフはミニ・プーチンとも呼ぶべき存在となっている。 チェチェンにおいては、強権体制は増幅している。

そして、正規軍に属していながらもカディロフの私兵的存在の「カディロフツィ」は、プーチンの別働隊としてロシア国内外で暴れまくっている。「シリア紛争」はもちろん、「ウクライナ戦争」にも投入されていることは報道されているとおりだ。 

メディアをつうじて、暴力的な強権体制が当たり前となっているチェチェンの実態を知ることで、ロシア国民は、ロシアの強権体制はチェチェンよりかはまだましだと思い、強権支配が強まるロシアでは物言わぬ状態となっている。

ロシア国民の多くは、なによりもソ連崩壊後のような混乱状態は避けたいのだ。安定こそ意味をもつのであり、だからこそ、たとえ強権体制であろうとプーチンが支持されているのが実態だ。


■プーチン体制のゆくえとプーチン後はどうなるのか?

 「ウクライナ戦争」が長期化するなかでも、プーチンの支持率が落ちないどころか上昇しているのは、「愛国主義」によって培われた「戦時体制」という認識がそのためであろう。

もちろん、「ウクライナ戦争」に対する欧米が主導する経済制裁の影響は、いったん上昇した支持率を、じわじわと低下する方向に影響を与えていくことが予想される。すでに1万人を越える戦死者(!)の影響もまちがいなくでてくるはずだ。

とはいえ、人口爆発で若年人口の多い中東世界と違って、少子高齢化の進むロシアでは「アラブの春」は期待しがたい。著者のこの指摘は重要だ。 

ソ連時代の KGB の後継機関である FSB(=ロシア連邦保安庁) SVR(=ロシア対外情報庁)、ソ連時代以来の軍の情報機関である GRU(=ロシア連邦軍参謀本部情報総局)と複数の組織にまたがるシロヴィキ(=情報機関者)、そしてオリガルヒ(=スーパーリッチ)がプーチン体制を支える支配層だが、かれらのあいだは激しい利害対立がある。

そうでありながらも、なんとか崩壊せずにもっているのは、束ねる力として、求心力としてのプーチンが存在するからだ。
 
もちろん、プーチン自身が。自分が権力の座にとどまり続けないと、自分自身に身の危険が迫ることを懸念しているということもあろうし、利害が対立する支配層もまたプーチンを必要としているという構図が存在する。ある意味では、プーチンとカディロフの関係にも似た「共依存関係」にあるというべきであろう。

だが、プーチンも生身の肉体をもった人間だ。いかなる形であれ、彼が政権中枢から消えることになれば、ロシアは混乱状態に陥ることは避けられない。 

2020年7月には「ロシア憲法改正」によって、プーチン大統領が2024年の任期切れ後にも改めて大統領選に出馬して(・・そのときプーチンは71歳)、最長で2036年までその座に留まることが可能とった(・・そのときプーチンは84歳!)。

とはいえ、たとえ事実上の「終身大統領」だとしても、安定を重視する国内の現状維持政策は、中長期の問題を先送りするに過ぎないのである。問題はマグマのようにたまりつづけている。

問題は、爆発する時期がいつになるのかだけだろう。 今回の「ウクライナへ戦争」がその時期を早めた可能性は高い。

はたしてプーチンは持ちこたえるのか、利害対立がプーチンを権力の座から引きずり下ろすことになるのか、国内外にきわめて大きな問題を抱えていることを前提にして、ロシア情勢を注視していく必要がある。 


ロシアにとっての中東、中東からみるロシア

著者は毎日新聞の記者。現在はカイロに特派員として駐在して、中東・北アフリカ情勢をフォローしながら、中東からの視点でロシア情勢を見ている

コーカサスのチェチェンもまた、広い意味では中東イスラーム圏につらなる存在だ。 中東イスラーム圏の動向に大国ロシアが与える影響は大きい

中東視点で世界をみる著者の次作には大いに期待している。 


画像をクリック!


目 次
序章 プーチンとチェチェン
第一部 カディロフのチェチェン
 第1章 カディロフの「藩王国」 
 第2章 異境化するチェチェン 
 第3章 紛争からの復興 
第二部 「越境」するチェチェン 
 第4章 やまぬ暗殺とテロ
 第5章 チェチェンの新たな紛争
 第6章 「チェチェン化」するロシ 
終章 ポスト・プーチンと「火薬庫」チェチェン 
あとがき 
主要参考・引用文献

著者プロフィール
真野森作(まの・しんさく)
1979年、東京都生まれ。一橋大学法学部卒業。2001年、毎日新聞入社。北海道報道部、東京社会部、外信部、ロシア留学を経て、2013~17年にモスクワ特派員。大阪経済部記者などを経て、2020年4月からカイロ特派員として中東・北アフリカを担当。著書に『ルポ プーチンの戦争-「皇帝」はなぜウクライナを狙ったのか』(筑摩選書、2018)-足で稼いだ現地取材で描いた「ウクライナ危機」のルポルタージュは貴重な現代史の証言(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)


<ブログ内関連記事>





(2022年4月14日 情報追加)


(2025年1月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!

 (2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!

(2020年5月28日発売の拙著です 画像をクリック!

(2019年4月27日発売の拙著です 画像をクリック!

(2017年5月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどう
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!







end

2021年5月1日土曜日

書評『ロシアの愛国主義 ー プーチンが進める国民統合(サピエンティア52)』(西山美久、法政大学出版局、2018)ー なぜ「対独戦勝記念日」(毎年5月9日)がいまなおロシアで大きな意味をもつのか?

(カバーは「独ソ戦勝記念日」のパレード) 

『ロシア愛国主義-プーチンが進める国民統合』(西山美久、法政大学出版局、2018)を読了。1985年生まれの新進気鋭のロシア研究者による、博士論文をもとにした研究書である。 

多民族で多宗教のロシアを統治するのは、並大抵のことではない。比較的に同質性の高い島国の日本人の想像の範囲を大きく超えている。 

かつて「民族の牢獄」とよばれていたソ連であるが、「民族」を超えた「ソ連」というメタレベルのフレームワーク(枠組み)をもっていたため、「民族」も「宗教」も前面に出ることはなかった。つまるところ、「民族問題」はなんとかコントロールされていたのである。 

だが、ソ連崩壊によって「民族問題」が噴出、バルト三国をはじめ中央アジア諸国が分離独立した後のロシアは、ソ連時代より縮小したとはいえ、依然として多民族国家であり多宗教国家であることに変わりはない。周辺地域ではどうしても遠心力が働きがちである。ユーゴスラビア解体のような最悪の事態は避けなくてはならない。 

こんな状態のロシアをバラバラにさせずに「国民統合」を維持するためには、「国家」と「国民」を前面に打ち出す必要がある。ロシアにおいては、けっして排外主義的な「民族」主義が前面に出てはいけないのだ。この点は誤解がなされがちなので強調しておく必要がある。 

そこでエリツィン政権末期に浮上してきたのが「愛国主義」であり、そのためのさまざまなシンボル操作であった。国旗と国歌はその最たるものである。

「愛国主義」はプーチン政権のもとで全面的に展開されることになる。ロシア国歌は、エリツィン時代のグリンカ作曲のものから、 プーチン時代には歌詞を変更したうえでソ連時代の曲に戻している。

国旗や国歌は、「国民統合」の求心力をつくりだすためのシンボルとしてあげられるが、もっとも重要なものは毎年5月9日に行われる「対独戦勝記念日」というイベントにまつわるものであろう。 


第2次世界大戦の地獄の「独ソ戦」を戦い抜くためにスターリンが打ち出したのは、「大祖国戦争」というスローガンであった。このスローガンのもとにソ連全土で総動員がかけられ、
多大な犠牲者を出しながらも、最終的に侵略者であるナチスドイツを打ち負かした。

戦勝を祝う軍事パレードをともなうこの「対独戦勝記念日」は、スターリン時代のソ連で誕生し、その後スターリン色が薄れながらもソ連時代に定着した。「対独戦勝記念日」は、ソ連崩壊後も「民族」や「宗教」を超えた連帯感をロシア全体で生み出す重要な行事となっているのである。 

(本書カバーより 戦勝記念日のバナーに描かれた「聖ゲオルギー勲章」)

ロシアとドイツは歴史的にみても、切っても切り離せない密接な関係にあるが、たとえそうであっても「対独戦勝記念日」はロシアで重視されているのであり、その意味にについて知ることが重要なのだ。 

プーチン政権は、このソ連時代の遺産をフルに活用しているのだが、けっして上からの政策ではないというのが著者の主張だ。 独ソ戦の退役軍人とその家族を中心とした下からの突き上げが地方政府を動かし、ひいては連邦政府を動かす要因になっていることを実証している。 

このほか官製の青年組織である「ナーシ」の盛衰など、さまざまな事象を見ていくことで、現代ロシアの「愛国主義」の実態がいかなるものか、いかに「国民統合」のために機能してきたかが分析されている。 

「愛国主義」などというと、敬遠したくなる人も少なくないだろう。だが、少数民族を抱えているものの、国家と民族がほぼ一致している日本のような国は世界的にみてきわめて例外なのである。ロシアを考えるにあたって、留意しなければならないポイントがそこにある。 

いかに「国民統合」を図っていくか、その課題解決のための「愛国主義」は現代ロシアを考えるために重要な事象なのである。音楽や映画など、現代ロシアにおける「愛国主義」を支える大衆文化状況についての言及があれば、さらに内容豊富なものとなったことであろう。

 


目 次
序章 国家の崩壊と構築
第1章 プーチン政権の思惑
第2章 連邦構成主体の取り組み
第3章 戦勝記念のダイナミズム
第4章 民族共和国の動向-タタルスタンと連邦中央
第5章 青年層の台頭と政策の転換
第6章 官製青年組織の設立
第7章 ナーシの再編
終章 ロシアの愛国主義
初出一覧
あとがき
参考文献・索引


著者プロフィール
西山美久(にしやま・よしひさ)
1985年長崎県生まれ。九州大学大学院比較社会文化学府博士後期課程単位修得退学。博士(比較社会文化,九州大学,2016年)。サンクトペテルブルグ国立大学留学、日本学術振興会特別研究員(DC2)、筑紫女学園大学、北九州市立大学、長崎県立大学の非常勤講師を務める。


<ブログ内関連記事>


・・2019年度の新書本ベストセラー『独ソ戦-絶滅戦争の戦慄-』(大木毅、岩波新書、2019)を紹介


・・「財政基盤の弱体化したロシア正教会に優遇措置を与えることによってビジネスに積極関与させ、すでに財閥の一角として成長したロシア正教会」





(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!

 (2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!

(2020年5月28日発売の拙著です 画像をクリック!

(2019年4月27日発売の拙著です 画像をクリック!

(2017年5月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!








end