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「冬来たりなば春遠からじ」 という日本語の表現がある。
これとほぼまったく同じ意味をもつ英語の表現がある。
When Winter comes, can Spring be far behind ?
日本語と英語でほとんど同じ意味をもつ格言があるのか、といっけんすると思いがちだが、実はぜんぜん違う。
このフレーズは、実は英国の詩人シェリーの詩の一節である。パーシー・B・シェリー(Percy Bysshe Shelley)は、18世紀の人。1792年に生まれて1822に亡くなった。30歳の若さで夭折した詩人である。
When Winter comes... この一節は中学生レベルの英語で十分に理解できるもの。「冬が来るとき・・・」。
そして、can Spring be far behind ? これも単語だけみれば中学生でも理解できるはずだが、いわゆる修辞的疑問文というやつだ。英語だと rhetorical question という。
字面だけみれば、「春がはるか遠くにありうるだろうか?」。だが実際は、「いや、そんなことはないはずだ」という含みをもった表現である。
だから、When Winter comes, can Spring be far behind ?(冬来たりなば春遠からじ)は、「冬が来たからといって、春がはるか遠いものであるはずはないのだ。冬のあとにはかならず春がくるのだ」という意味になる。
似たような表現に 「明けない夜はない」 というものもある。
これも出典は英文学である。シェイクスピア 『マクベス』 第4幕第3場ラストのセリフである。
The night is long that never finds the day.
いまはたとえ苦しくても、かならず苦労が報われる日が来る、という意味だ。
「冬来たりなば春遠からじ」そして「明けない夜はない」。ともに、元気を鼓舞する内容の表現だが、これには確実な理由がある。
それは、地球が自転しており、かつ 23.4度 地軸が傾いているからなのである。
日照時間の長さ、月の満ち欠けといった天体現象と地球上におこる事象のすべては、「地球が自転しており、かつ 23.4度 地軸が傾いているから」という疑いようのない真実に尽きる。
いますぐに春を待ちわびているわけではないが、そう思うだけで、なんだか気分がラクになるのは不思議なようであって、けっして不思議ではないわけだ。
冬は堪え忍ぶだけでなく、夏の疲れを癒し、チカラを蓄える季節でもある。とくに今年2010年の夏は猛暑に苦しんだので、心身ともに回復する機会として活用したいものだ。
春に全面的に開花すすための「溜め」の時期でもある。朝から活動するために夜は休息のために睡眠を取るのもまた同じ意味だ。自然界と同様、人間もメリハリが大切だ。
冬の活動はけっして派手ではないが、実は大きな意味をもっている。
夜中寝ていても、脳の活動が完全に止まらないのも同じことだ。
受験生だけでなく、北半球に住む全ての人は冬をどう過ごしたかで、その後一年間のパフォーマンスが決まってくるのである。大いに心したいものである。
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書評 『冬眠の謎を解く』(近藤宣昭、岩波新書、2010)
