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2012年7月24日火曜日

書評 『あっぱれ技術大国ドイツ』(熊谷徹=絵と文、新潮文庫、2011) -「技術大国」ドイツの秘密を解き明かす好著


ドイツは、「19世紀末から20世紀前半にかけて世界最高の技術大国・科学大国」であった。これは、アメリカの工科系大学では最高学府であるMIT(=マサチューセッツ工科大学)でも、当時はドイツ語が必修であったことからもわかる事実だ。

その地位は、いまやアメリカや日本に譲ってあまり目立たなくなっているような印象をうけるが、じつは現在でもドイツは、「消費者の目に見えにくい部分でイノベーション力を維持している」(著者)のである。

その最たる例として著者が取り上げているのが、第1章のベーヴェ・システック社。文書の自動封入の機械では、世界のトップメーカーであるという。いわゆるB2B(Business to Business)企業であり、一般消費者の知らない法人分野では、きわめて大きなで存在感を発揮しているメーカーである。

わたしも、もちろんこの会社のことは知らなかったが、戦後に起業していまでは大企業となっているこの会社も、ドイツを特徴づけている、いわゆるミッテルシュタント(Mittelstand:中規模企業)だという。日本でいえば中堅中小企業がこれに該当するといっっていいだろう。

ドイツ人経営コンサルタントのヘルマン・ジモン(Hermann Simon)のいう「隠れたチャンピオン」(hidden champions)の一つと考えてよいのだろう。ニッチ市場に特化して、世界シェアを占める無名のミッテルシュタント(中規模企業)が活躍しているのがドイツなのである。

ポルシェやディーゼル、ツェッペリンなどの綺羅星のような発明家は本書でも取り上げられているが、世界的な知名度は高くなくても、現在でも多くの起業家を輩出している国がドイツなのである。たとえ、アメリカのソリコンバレーほどの派手さはないとしても。

その意味では、いまでもドイツは職人魂をもった「ものづくり」の国であり、それによって生み出されたユニークな製品が外貨を稼ぐという経済構造で、現在では欧州ナンバーワンの地位を揺るぎないものにしているわけだ。

本書にでてくるキーワードは、ミッテルシュタント(中規模企業)のほかに、テュフトラー(Tüftler)というものがある。著者によれば、「細かい手作業や試行錯誤、実験、いろいろと考えることによって、なにかあたらしいモノを生み出したり、難しい課題についての解決方法を見つけようとしたりすること」、だという。

まさに、これがドイツ人のものづくり精神の根幹をなしているのである。この点にかんしていえば、日本人とドイツ時は似ている面があるようだ。

本書はまた、このテュフトラー精神をもっとも発揮している南ドイツのバーデン=ヴュルテンベルク州のシュヴァーベン人について大きく取り上げており、目を開かれるものがあった。

ドイツ統一以前のヴュルテンベルク王国のことであるが、資源もなにもないという、ないないづくしの農業国が、シュタインバイスという傑出した人物のリーダーシップのもと、巧みな産業政策と教育によって、インキュベーションをつうじてシュヴァーベン人の「起業家精神」が引き出したことが語られている。

ちなみにバーデン=ヴュルテンベルク州は、南ドイツだがプロテスタント地域であるという。この地域から、自動車関連を中心に綺羅星のようにものづくり起業家が輩出したのであった。

本書は、著者自身による軽妙なタッチのイラストとあいまって、知られざるドイツについての好読み物になっている文庫オリジナル作品である。






目 次

まえがき
第1章 世界を制覇したドイツ技術者魂-ベーヴェ・システック社
第2章 ドイツ経済を支える中規模企業
第3章 テュフトラーの国・ドイツ
第4章 歴史に名を残すテュフトラーたち
第5章 きっちりドイツ人の根源は?
第6章 社会保障もきっちり行うドイツ
第7章 「信頼の資本」とミッテルシュタント
あとがき
参考文献・参考ウェブサイト


著者プロフィール

熊谷 徹(くまがい・とおる)
1959年東京生れ。早稲田大学政経学部卒業後、NHKに入局。神戸放送局、報道局国際部、ワシントン特派員を経て、1990年からフリージャーナリストとしてドイツ在住。欧州の安全保障問題、EUの政治・経済統合、対テロ戦争、ドイツ経済などについて、取材、執筆を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。





<関連サイト>

Toru Kumagai Official Website (ジャーナリスト熊谷徹氏の公式ウェブサイト)

ドイツ製造業の強さのカギはどこにあるか  ローランド・ベルガー氏インタビュー(前編) (ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス、2014年5月8日)
・・「日本企業はドイツ企業に比べて、経営を多角化する傾向が強い・・(中略)・・ ドイツ企業、特に中小企業は、製品分野、技術、市場を絞り込み、一点集中で事業を行います。そのほうがグローバル展開しやすいからです。ある一分野に特化して世界中に事業を展開していくことは、市場拡大のみならず、技術力を高め、コストの一元化により経営の効率化を図ることができる。「規模の経済」「範囲の経済」の恩恵が受け、なおかつスキルも備わるというわけです」  ローランド・ベルガー氏は、ローランド・ベルガー創業者で名誉会長。日本訪問100回以上の日本通

日本企業の課題は、ホワイトカラーの生産性 ローランド・ベルガー氏インタビュー(後編) (ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス、2014年5月9日)

ドイツの教訓:世界が鑑とするミッテルシュタント (JBPress、2014年7月17日)
・・The Economist 翻訳記事 「世界がミッテルシュタント企業から学ぼうとしているのと同じように、ミッテルシュタントも世界から学ぶのに忙しい」

日本人の「大企業病」が起業を阻んでいる (ウリケ・シェーデ、2014年8月25日)
・・「ドイツは、日本と正反対です。多くのドイツ人は大企業を必要悪と見なしており、大企業の社長は、権力が強くお金持ち過ぎるため、かえってうさんくさく思われているはずです。ドイツ人が尊敬しているのは、「ミッテルシュタント」(中規模の会社)です。・・(中略)・・ ドイツ人は、ある程度社会的な地位を気にしますが、実力社会でもあるため、最終的には能力を基準に評価するのが一般的です。たとえ「必要悪」の大企業でも、本当に優秀な優良企業であるなら好きなのです。これにも歴史的な背景があるのでしょう。例えば1517年、マルティン・ルターは「95カ条の論題」を基にカトリック教会に挑戦し、この強大な相手と戦うにつれて多くの同士を集め、実力でプロテスタント教会を生み出しました。 このようなシチュエーションに憧れるからこそ、ミッテルスタントに参加できたスタート・アップを、ドイツ人は褒め称えるのです」  アメリカの大学院で日本的経営を教えるドイツ人教授の発言

(2014年5月8日、7月17日、8月25日、11月18日 項目追加)


<ブログ内関連記事>

書評 『なぜメルケルは「転向」したのか-ドイツ原子力40年戦争の真実-』(熊谷 徹、日経BP社、2012)-なぜドイツは「挙国一致」で「脱原発」になだれ込んだのか?
・・同じ熊谷徹氏による新刊

ドイツを「欧州の病人」から「欧州の優等生」に変身させた「シュレーダー改革」-「改革」は「成果」がでるまでに時間がかかる
・・同じ熊谷徹氏が記事多数執筆


ドイツの起業家

書評 『自動車と私-カール・ベンツ自伝-』(カール ベンツ、藤川芳朗訳、草思社文庫、2013 単行本初版 2005)-人類史に根本的な変革を引き起こしたイノベーターの自伝


ドイツ経済を支える「ミッテルシュタント」

ドイツ製文房具は機能的でかつデザインもよい-鉛筆に特化したシュテットラー社は「隠れたチャンピオン」

書評 『世界に冠たる中小企業』(黒崎誠、講談社現代新書、2015)-知られざる日本の「グローバルニッチトップ企業」の紹介
・・日本にも同様の中堅企業がある


ドイツが官民一体で強力に推進する「インダストリー4.0」

ドイツが官民一体で強力に推進する「インダストリー4.0」という「第4次産業革命」は、ビジネスパーソンだけでなく消費者としてのあり方にも変化をもたらす


ドイツ経済

書評 『ブーメラン-欧州から恐慌が返ってくる-』(マイケル・ルイス、東江一紀訳、文藝春秋社、2012)-欧州「メルトダウン・ツアー」で知る「欧州比較国民性論」とその教訓
・・ギリシアやその他の破綻経済国家と比較することで、ドイツ人の国民性が浮き彫りになる

書評 『ユーロ破綻-そしてドイツだけが残った-』(竹森俊平、日経プレミアシリーズ、2012)-ユーロ存続か崩壊か? すべてはドイツにかかっている

(2014年5月8日、2015年10月4日、2016年2月20日 情報追加)




(2012年7月3日発売の拙著です)





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