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2018年6月29日金曜日

書評 『帝国自滅-プーチン vs 新興財閥-』(石川陽平、日本経済新聞出版社、2016)-ロシアを政治や軍事だけで判断するなかれ。基本は経済であり財政だ


『帝国自滅-プーチンvs新興財閥-』(石川陽平、日本経済新聞出版社、2016)を読んだ。なかなかインパクトのあるタイトルであり、内容的にも読み応えもあった。 

ロシアというと、2024年まで四半世紀にわたって続くことになるプーチン大統領の強権体制や、ウクライナ問題やクリミア半島併合など軍事面だけが報道されがちだが、基本は経済であり財政だということをあらためて感じさせてくれる内容だ。 

日本経済新聞の記者としてモスクワ支局に2000年から4年間、2010年から5年間と合計約9年間駐在したロシア通の著者が、ソ連崩壊後に出現したオリガルヒ(=寡占資本家という財閥)による「略奪資本主義」から「国家資本主義」への移行を2つの大きな経済事件を中心に描いたものだ。 

ロシアにおいては経済は政治と直結している。したがって、経済事件は政治事件でもある。その意味で最大の経済事件は、石油財閥であったユーコスの総裁でオリガルヒ(=寡占資本家)のホドルコフスキー逮捕と収監、そしてユーコス解体とガス・石油業界の国家独占体制への移行であろう。 

ユーコス事件は、英米の英語メディアを中心に日本でも比較的大きく取り上げられていたので、おおよそのことは知っていたが、この本で初めて詳しく知ったのが石油会社バシネフチ事件だ。 

ユーコス事件とバシネフチ事件の背景には、ロシア経済の根幹をなす石油とガスという基幹産業(・・ソ連崩壊から30年近く経つのに、資源依存経済に改善のきざしがないどころか、まずます依存を強めている)がある。プーチンはオリガルヒ(=寡占資本家)たちを屈服させ、石油業界の国家管理という「国家資本主義」の道を突き進み、それに成功を収めたわけである。 

メディア報道では軍事が突出しているかに見えるロシアだが、経済や財政から見ると勢いがあるとはとても言えない状況だ。財政状況が悪化すれば軍事も維持はできない。ロシアが謀略やサイバー戦争に注力するのは、カネがないからと考えることもできなくはないのではないか? 

ちなみに、おなじく「国家資本主義」を採用しているのが中国だが、GDP規模からいっても、製造業やIT産業など産業の多様化からいっても、ロシアと中国を同列に論じることができない。一人あたりGDPではほぼ同じだが、GDPでは中国はロシアの9倍(!)に膨張している。ロシアのGDPは韓国とほぼ同じだ。 この本の出版後の2018年にプーチン大統領は再選されたが、クリミア問題やウクライナ問題が原因でロシアが自ら招いた経済制裁によって、ますます追い詰められる状況にある。 

我慢強いロシア人のことだからなんとか持ちこたえるだろうが、国際市場価格に左右されやすい石油とガスに依存した経済の脆弱性は、著者が指摘するとおりである。ロシアの浮沈は石油価格とガス価格にかかっているのである。 

2024年が近づくにつれて、「プーチン後」をにらんだ権力闘争が激化していくことも十分に予想される。ふたたびロシアが不安定化する可能性も少なくはない。長期投資には慎重になるべきだろう。 

本の内容にからめて個人的な感想を書いてみたが、1990年代の終わりに石油業界にかかわり、しかも1998年と1999年にはロシアに出張して、極東地域とモスクワの石油会社や投資会社、連邦政府など訪問したことのある私には、たいへん興味深い内容であった。 

ロシアに関わっている人、関わったことのある人でなければ、はっきりいって面白くもなんともない内容の本だろう。だが、経済を中心に見たロシア本が意外に少ないので、関心のある人にとっては読むに値する本だといえよう。






目 次 

まえがき 
序章 不毛な15年戦争  
第1章 皇帝プーチン vs 石油王  
 1 ロシア版メジャー計画   
 2 ユーコス社長逮捕   
 3 ユーコス解体   
 4 石油王の釈放と新たな闘い

第2章 石油支配の完成  
 1 バシネフチ事件   
 2 バシネフチ再国有化 
第3章 落日の寡占資本家  
 1 プーチン政権のエージェントかそれとも敵か   
 2 オリガルヒの苦しい胸中 
第4章 帝国の衰退  
 1 出口なき経済悪化 

 2 元凶は「国家資本主義」 
 
参考文献 
あとがき




著者プロフィール
石川陽平(いしかわ・ようへい)
1966年生まれ。92年早稲田大学大学院修士課程修了(露文専攻)、同年日本経済新聞社入社。経済部、国際部、モスクワ支局、消費産業部、モスクワ支局長を経て2015年より日経ヴェリタス編集部次長。その間、モスクワ国立国際関係大学留学。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)



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JBPress連載コラム第28回目は、「ワールドカップ日本代表はどんな都市で戦うのか? サランスク、エカテリンブルク、ヴォルゴラードの歴史を知る」 (2018年6月19日)

JBPress連載コラム第22回目は、「日本は専制国家に戻るロシアを追い詰めてはいけない-「東洋的専制国家」の中国とロシア、その共通点と相違点」(2018年3月27日)

書評 『「東洋的専制主義」論の今日性-還ってきたウィットフォーゲル-』(湯浅赳男、新評論、2007)-奇しくも同じ1957年に梅棹忠夫とほぼ同じ結論に達したウィットフォーゲルの理論が重要だ

書評 『ならず者の経済学-世界を大恐慌にひきずり込んだのは誰か-』(ロレッタ・ナポレオーニ、田村源二訳、徳間書房、2008)-冷戦構造崩壊後のグローバリゼーションがもたらした「ならず者経済」は、「移行期」という「大転換期」特有の現象である

書評 『自由市場の終焉-国家資本主義とどう闘うか-』(イアン・ブレマー、有賀裕子訳、日本経済新聞出版社、2011)-権威主義政治体制維持のため市場を利用する国家資本主義の実態

書評 『世界史の中の資本主義-エネルギー、食料、国家はどうなるか-』(水野和夫+川島博之=編著、東洋経済新報社、2013)-「常識」を疑い、異端とされている著者たちの発言に耳を傾けることが重要だ





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2018年6月19日火曜日

JBPress連載コラム第28回目は、「ワールドカップ日本代表はどんな都市で戦うのか? サランスク、エカテリンブルク、ヴォルゴラードの歴史を知る」 (2018年6月19日)


JBPress連載コラム第28回目は、ワールドカップ日本代表はどんな都市で戦うのか? サランスク、エカテリンブルク、ヴォルゴラードの歴史を知る(2018年6月19日) ⇒ http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53326

6月14日からロシアで「2018 FIFAワールドカップ」が開幕した。4年に一度のワールドカップは、オリンピック以上に盛り上がるのが世界の常識だ。というのも、サッカー(=フットボール)は、英語以上に“世界の共通語”となっているからだ。サッカーが普及していない国や地域は、地球上にはほとんどないといっていい。

 いよいよ本日(6月19日)の日本時間21時(現地のモスクワ時間15時)に、予選リーグのH組に所属している日本代表チームの初戦がスタートする。 

対戦相手は南米のコロンビア、FIFA世界ランキング第16位の強豪である。現在第61位の日本とは大きな実力差があるが、日本代表チームの健闘を祈りたい。 

今年2018年は、「日本におけるロシア年」であり、かつ「ロシアにおける日本年」でもある。日本とロシアの関係は、ロシア側の日本への片思いが強いのだが、日本人もワールドカップの開催を機にロシアのことをもっとよく知っておきたいものだ。 

つづきは本文にて http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53326


PS 日本代表が初戦を制した!


初戦のコロンビア戦は、2対1で日本の勝利。苦戦が予想されたが、予想を覆しての勝利の勝ちは大きい。今回のワールドカップは、いきなりドイツが初戦で敗れたりと番狂わせが多いが、日本の勝利もまた番狂わせだ。日本にはツキがあるといっていい。この勢いで予選リーグを突破して欲しい。(2018年6月19日 記す)






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TOKYO FM の「タイムライン」(2018年6月13日放送)の特集 「ロシアは19世紀に戻るのか。プーチンにつながる専制政治」にゲストでナマ出演


JBPress連載コラム第22回目は、「日本は専制国家に戻るロシアを追い詰めてはいけない-「東洋的専制国家」の中国とロシア、その共通点と相違点」(2018年3月27日)





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2018年6月13日水曜日

TOKYO FM の「タイムライン」(2018年6月13日放送)の特集 「ロシアは19世紀に戻るのか。プーチンにつながる専制政治」にゲストでナマ出演

(麹町のTOKYO FM 本社ビル前)

TOKYO FMの報道番組『タイムライン』の2018年6月13日の放送に、ゲストで生出演しました。生放送(LIVE)です。 

ストーリー(特集)のテーマは 「ロシアは19世紀に戻るのか。プーチンにつながる専制政治」ウェブサイトから内容説明を引用しておきましょう。



★19:25頃~ STORY『専制政治とテロが繰り返されるロシア』 2024年まで政権トップの座が確定したプーチン氏。 四半世紀を一人のリーダーに委ねる新専制の時代に。 一方、ソビエト時代の長期専制の最後はクーデターという形で終わりを告げた。 今回の大統領選の対抗馬の逮捕や、イギリスに亡命したスパイの暗殺未遂など、あちこちにその片鱗をみせるロシアの伝統的強権政治が生成された背景を、コンサルタントの佐藤けんいち氏と考察する。

当日のホスト役のパーソナリティ飯田泰之氏(明治大学経済学部准教授)とは話がうまくかみあって楽しい時間を過ごせました。時間の制約があるので突っ込んだ話はできませんが、リスナーの皆さまのお役にはたてたと思います。


当日のテーマに関連する文章は、JBPressの連載コラムに執筆した「日本は専制国家に戻るロシアを追い詰めてはいけない-「東洋的専制国家」の中国とロシア、その共通点と相違点」書いてますので、ご参照願います。


「タイムライン」は、東京圏(一都六県)でFM放送が受信できる方はラジオあるいはインターネットで、そうでない方はインターネットでご視聴可能です。ご参考まで。






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JBPress連載コラム第22回目は、「日本は専制国家に戻るロシアを追い詰めてはいけない-「東洋的専制国家」の中国とロシア、その共通点と相違点」(2018年3月27日)


書評 『ろくでなしのロシア-プーチンとロシア正教-』(中村逸郎、講談社、2013)-「聖なるロシア」と「ろくでなしのロシア」は表裏一体の存在である

書評 『ソ連史』(松戸清裕、ちくま新書、2011)-ソ連崩壊から20年! なぜ実験国家ソ連は失敗したのか?

『ソビエト帝国の崩壊』の登場から30年、1991年のソ連崩壊から20年目の本日、この場を借りて今年逝去された小室直樹氏の死をあらためて悼む(2010年12月26日)

映画 「百合子、ダスヴィダーニヤ」(ユーロスペース)をみてきた-ロシア文学者・湯浅芳子という生き方

書評 『ゼロから学ぶ経済政策-日本を幸福にする経済政策のつくり方-』(飯田泰之、角川ONEテーマ21、2010)-「成長」「安定」「再分配」-「3つの政策」でわかりやすくまとめた経済政策入門書






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2018年6月11日月曜日

コーヒーは漉茶(こしちゃ)である!

(ドリップ式コーヒーを淹れたあとに残るコーヒー粉)

たまたまのことだが、特別の意図もなく岩波文庫から復刊された『東潜夫論』という本を拾い読みしていたら面白い記述にぶつかった。


『東潜夫論』(とうせんぷろん)は、江戸時代後期の19世紀の前半に生きた帆足万里(ほあし・ばんり)の著作。1844年頃の成立とされる。帆足万里は、豊後国(現在の大分県)の儒者で経世家だ。おなじく豊後国の三浦梅園、広瀬淡窓と並ぶ存在である。

『東潜夫論』については岩波書店のウェブサイトに解説が掲載されているので引用しておこう。


潜夫とは世に名を顕さない者の意.江戸時代後期の儒学者にして蘭学者の帆足万里(1778‐1852)が,後漢末の王符による潜夫論に触発されて,当時の弊政を批判した経世論.王室・覇府・諸侯の3編からなる.王室は文教を,幕府は武備を担当すべきであるとし,文教の振興と国防の充実を主張,さらに日本の将来のために南方経略策を唱えた

とくに「南方経略策」にかんしては吉田松陰に影響を与えているようだ。英国と米国の捕鯨船がやたら近海に出現していることに危機感をつのらせ警告を発し、フィリピンを占領せよなどと物騒なことも書かれている。

そういった攘夷や南方進出論はさておき、面白い記述とは西洋の文物にかんするものだ。「コツヒイ」と「ビイル」なるものが取り上げられている。原文を引用しておこう。


西人、古(いにしへ)は「コツヒイ」と云ふ木の実を●り(いり)て、漉茶(こしちや)にして用いひ、又「ビイル」とて麦にて渋酸き酒の如きものを造て茶の代りとす。されど一たび茶を飲みては、是二者は味あしくて飲れずと蘭書にいへり。同書、日本茶の風味よきをほむ。(岩波文庫版 1992年第2刷、p.79)



「ビイル」は言うまでもなく「ビール」、「コツヒイ」とは「コーヒー」のことだとわかる。

「コーヒー」とは、「木の実を炒った漉茶(こしちゃ)」。木の実を焙煎して、それを粉末にして漉して飲み物とするという本質は、まさにその通り! うーん、まさにいいえて妙。

本人がじっさいにコーヒーを飲んだのかどうかはわからない。というよりも、オランダ語の本には、日本茶に比べたらコーヒーもビールもまずいと記しているだけなので、おそらく飲んだのではないのだろう。帆足万里はオランダ語を学び、西洋の科学を摂取している。

現在の日本人は、「コーヒー豆」となんの疑問もなくクチにするわけだが、コーヒー豆はほんとうは豆ではなく「コーヒーノキ」の種子のことだから、江戸時代の帆足万里のほうがただしいわけだ。そもそもコーヒーノキは、アカネ科コーヒーノキ属(コーヒー属、コフィア属)に属する植物の総称であり、マメ科の植物ではありません!


コーヒーは漉茶(こしちゃ)であるとは、だから本質的な表現というべきなのだ。


現代でも、お茶はかならずしも葉っぱによるだけではない。麦茶やカモミール茶など、さまざなまな種類の「お茶」がある。コーヒーも「お茶」と考えたほうが本質的かもしれない。


「ビールとは、麦からつくった酒で渋くて酸っぱい」というのも、その当時の人々の味覚を考えるうえで面白い。


本というものは、かならずしも目的をもって読まなくてもいい。思わぬ発見に遭遇することもあるということだ。









<ブログ内関連記事>


タイのあれこれ (14) タイのコーヒーとロイヤル・プロジェクト


書評 『砂糖の世界史』(川北 稔、岩波ジュニア新書、1996)-紅茶と砂糖が出会ったとき、「近代世界システム」が形成された!


書評 『紅茶スパイ-英国人プラントハンター中国をゆく-』(サラ・ローズ、築地誠子訳、原書房、2011)-お茶の原木を探し求めた英国人の執念のアドベンチャー


講演会「原点回帰と変革の経営」で、松田公太氏とゾマホン氏の話を聞いてきた

・・この当時は松田氏はまだタリーズの経営者であった

仕事で人間の尊厳を取り戻すライフストーリーを描いた "How Starbucks Saved My Life" という「スタバ本」は、「働く意味」について考えさせてくれる

・・アメリカ発のスターバックス

  


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2018年6月5日火曜日

JBPress連載コラム第27回目は、「150年前、日本は「東洋の英国」になりたかった-「第2次グローバリゼーション」の中、世界一周した岩倉使節団」 (2018年6月5日)


JBPress連載コラム第27回目は、「150年前、日本は「東洋の英国」になりたかった-「第2次グローバリゼーション」の中、世界一周した岩倉使節団」 (2018年6月5日) ⇒ http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53223

今年(2018年)は「明治150年」にあたる。明治150年の関連イベントが日本各地で行われており、つい先日の5月26日には鹿児島県鹿児島市で記念式典が行われた。今年のNHK大河ドラマは西郷隆盛を主人公とした『西郷(せご)どん』である。鹿児島で式典が開催されるのは当然というべきだろう。

明治150年の関連イベントに関しては、インターネット上に「明治150年」ポータルサイトが開設されている。このサイトを見ると、各地で開催されるイベントのスケジュールやデジタルアーカイブなどを閲覧できる。ところが、政府主催の記念式典は現時点では予定されていないようだ。50年前の1968年には政府主導で「明治百年記念式典」が開催されているが、近年は明治維新に対して否定的な見解も増えてきていることが背景にあるのだろう。 

明治維新の評価をめぐってはさまざまな意見がある。だが、「近代日本」の出発点となったことは否定できない事実である。


「岩倉大使欧米派遣」山口蓬春画、聖徳記念絵画館蔵 wikipediaより)

薩長藩閥政治主導による「近代化」路線の結末が、第2次世界大戦における壊滅的敗戦であったという見解がある。これは、「戦前・戦中」と「戦後」を区分する発想法だ。その一方、日本近現代史は「先の大戦」によっては断絶しておらず、明治維新以降の歴史が一貫して現在まで続いているという考えもある。歴史的事実をめぐる評価はさまざまだ。

前回のコラム「『明治150年』だから聖徳記念絵画館に行ってみよう」では、明治150年の最初の50年について振り返ってみた。 前々回のコラム「近代日本の原点『五箇条の御誓文』が素晴らしい」では、明治150年の原点である「五箇条の御誓文」について考えてみた。 

ともに日本近現代史に即したものだが、今回は明治政府が派遣した「岩倉使節団」を通して、英国が主導した「第2次グローバリゼーション」のなかでの「明治150年」の原点について考えてみたい。

つづきは本文にて http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53223



(岩倉使節団。左から木戸孝允、山口尚芳、岩倉具視、伊藤博文、大久保利通 wikipediaより)

おかげさまで、JBPressに執筆しているコラムが、連載開始から1周年となりました。 引き続きよろしくお願いします。







<ブログ内関連記事>

JBPress連載コラム第25回目は、「近代日本の原点「五箇条の」が素晴らしい-憲法改正議論が活発な今こそ、改めて読み直そう」(2018年5月8日)

JBPress連載コラム第26回目は、「明治150年」だから聖徳記念絵画館に行ってみよう 一級の絵画作品で味わう日本近代化の「最初の50年」 (2018年5月22日)

書評 『岩倉具視-言葉の皮を剝きながら-』(永井路子、文藝春秋、2008)-政治というものの本質、政治的人間の本質を描き尽くした「一級の書」

日本が「近代化」に邁進した明治時代初期、アメリカで教育を受けた元祖「帰国子女」たちが日本帰国後に体験した苦悩と苦闘-津田梅子と大山捨松について
・・日本初の「女子留学生」たちは、使節団とは米国で分かれることになる


■明治維新前後の日本

書評 『明治維新 1858 - 1881』(坂野潤治/大野健一、講談社現代新書、2010)-近代日本史だけでなく、発展途上国問題に関心のある人もぜひ何度も読み返したい本

司馬遼太郎の『翔ぶが如く』(文春文庫)全10巻をついに読了!

「脱亜論」(福澤諭吉)が発表から130年(2015年3月16日)-東アジアの国際環境の厳しさが「脱亜論」を甦らせた

書評 『新 脱亜論』(渡辺利夫、文春新書、2008)-福澤諭吉の「脱亜論」から130年、いま東アジア情勢は「先祖返り」している

  


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2018年6月3日日曜日

書評 『朝鮮開国と日清戦争-アメリカはなぜ日本を支持し、朝鮮を見限ったか-』(渡辺惣樹、草思社文庫、2016)-19世紀後半まで中国の属国であった朝鮮は自力で近代化できなかった

  
『朝鮮開国と日清戦争-アメリカはなぜ日本を支持し、朝鮮を見限ったか-』(渡辺惣樹、草思社文庫、2016)という本を読んだ。500ページ近くもあるが、米国のアジア外交という視点から描いたこの本は、新鮮な面白さがあった。
   
「日清戦争」(1894年)とは、「朝鮮独立」をめぐる日本(および日本を後押しした米国)と、中国(当時は清朝)との衝突であった。
   
当時の複雑な国際情勢のなか、英国はロシア帝国を牽制する役割を期待していた清朝を見限って日本を重視するようになり、その後の「日英同盟」へと進展していく。そして大陸国家のロシアとフランス、ドイツが「三国干渉」という形で日本を圧迫した。これが日露戦争へとつながっていくことになる。
  
当時の朝鮮は「冊封体制」による中国の「属国」であり、中国中心の覇権システムである「華夷秩序」のなかにあった。朝鮮は自分で自分の運命を決められない従属的な状態に甘んじていたのである。
    
したがって、朝鮮問題に深入りすることは、中国と衝突することを意味する。日本と中国が朝鮮をめぐって全面衝突したのは論理的必然であった。
   
そして日清戦争における日本の勝利は、中国中心の東アジア世界の覇権システムを破壊することにつながった。それが日清戦争がもたらした最大の成果である。
   
「独立朝鮮」を西欧中心の「近代世界システム」のなかに取り込むために「近代化」を支援すること、これがアジアで最初に近代化した日本にとっての課題となったのだが、それでも朝鮮は自力で近代化できなかった。その結末が「韓国併合」(1910年)となったことは、日韓双方にとって歴史の不幸というべきだろう。
      
朝鮮半島情勢が流動化し、朝鮮半島が「再統一」の方向向かおうとしている現在、19世紀後半後、すなわち「朝鮮開国」前後の朝鮮半島がいかなる状態にあったのかを知ることは、今後の展開を考えるに当たって重要だ。
   
なぜなら、いかなる形であれ、もし「統一朝鮮」が実現するとしたら、それは日本による「韓国併合」(1910年)以前の世界、つまり百年ぶり(!)のことになるからだ。分断状態を見慣れてきた日本人の目には、統一朝鮮を想像するのは容易ではない。そのためにも過去の世界を知る必要がある。
    
繰り返しになるが、当時の朝鮮半島は中国の「属国」であった。そして2020年にむかう現在の朝鮮半島もまたそうなる可能性が高い。歴史はそのままでは繰り返すことはないが、地政学的条件が変わらない以上、似たようなパタンが再現される可能性がある。
    
19世紀後半の時点では、日本は過剰に「朝鮮半島問題」に関与したが、21世紀前半の時点では関わらないほうが身のためだろう。朝鮮半島の命運を握っているのは、やはり中国なのである。そして米国だ。今回は前回の日清戦争とは逆に、米国をオモテに立てて、日本はバックアップする側に回ればいい。 
    
最近マスコミでよく言われるのが、日本は朝鮮問題で「蚊帳の外」になっているという言説。だが、で構わないじゃないか!何事であれ、最重要マターは水面下で進められているものだ。日本もまた、かならずしもオモテにでる必要はない。

上記の感想は、あくまでも私個人のものであって、著者はそこまで述べているわけではない。とはいえ、読後感としては、古田博司教授による「対韓三原則」(=助けるな、教えるな、関わるな)想起してしまうのだ。おそらくそういった読後感は、わたしだけではないのではあるまいか。

朝鮮半島の専門家ではない視点が、逆に新鮮かもしれない。関心のある人には、ぜひ読むように薦めたい。






目 次

プロローグ 朝鮮併合にいたる歴史の不思議
第1章 アメリカと朝鮮王朝
第2章 朝鮮使節の訪米と日朝修好条規
第3章 李鴻章の策謀:朝鮮の「楽浪郡」化
第4章 日清戦争前夜
第5章 日清戦争エピローグ ホーレス・アレンの更迭と朝鮮王朝への惜別



著者プロフィール   

渡辺惣樹(わたなべ・そうき) 
 1954年、静岡県下田市出身。日本近現代史研究家。東京大学経済学部卒。北米在住。米英史料を広く渉猟し、日本開国以来の日米関係を米国はじめ国外からの視点で捉え直した著書を数多く上梓。著書に『アメリカの対日政策を読み解く』『日米衝突の根源』『日米衝突の萌芽』(山本七平賞奨励賞受賞作)『朝鮮開国と日清戦争』ほか、訳書に『日米開戦の人種的側面 アメリカの反省1944』『アメリカはいかにして日本を追い詰めたか』『ルーズベルトの開戦責任』ほか。 (本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)






<ブログ内関連記事>

書評 『戦争を始めるのは誰か-歴史修正主義の真実-』(渡辺惣樹、文春新書、2017)-サブタイトルから受ける印象で敬遠せずにぜひ読むべき真っ当な内容の現代史

書評 『朝鮮半島201Z年』(鈴置高史、日本経済新聞出版社、2010)-朝鮮半島問題とはつまるところ中国問題なのである!この近未来シミュレーション小説はファクトベースの「思考実験」

日清戦争が勃発してから120年(2014年7月25日)-「忘れられた戦争」についてはファクトベースの「情報武装」を!

書評 『醜いが、目をそらすな、隣国・韓国!』(古田博司、WAC、2014)-フツーの日本人が感じている「実感」を韓国研究40年の著者が明快に裏付ける

書評 『なぜ中国は覇権の妄想をやめられないのか-中華秩序の本質を知れば「歴史の法則」がわかる-』(石平、PHP新書、2015)-首尾一貫した論旨を理路整然と明快に説く
・・「「中華秩序」を破壊したのが近代日本であったという事実。これはしっかりとアタマのなかに入れておかねばならない。琉球処分と日清戦争における日本の勝利によって、「中華秩序」は破壊された。だからこそ、中国の指導者は絶対に日本を許せないのである」

(2018年6月4日 情報追加)

  


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