「アタマの引き出し」は「雑学」ときわめて近い・・日本マクドナルド創業者・藤田田(ふじた・でん)に学ぶものとは?

◆「アタマの引き出し」つくりは "掛け算" だ : 「引き出し」 = Σ 「仕事」 × 「遊び」
◆酒は飲んでも飲まれるな! 本は読んでも読まれるな!◆ 
◆一に体験、二に読書、その体験を書いてみる、しゃべってみる!◆
◆「好きこそものの上手なれ!」◆

<旅先や出張先で本を読む。人を読む、モノを読む、自然を読む>
トについてのブログ
●「内向きバンザイ!」-「この国」日本こそ、もっとよく知ろう!●

■■ 「むかし富士山八号目の山小屋で働いていた」全5回 ■■
 総目次はここをクリック!
■■ 「成田山新勝寺 断食参籠(さんろう)修行(三泊四日)体験記 」全7回 ■■ 
 総目次はここをクリック!
■■ 「庄内平野と出羽三山への旅」 全12回+α - 「山伏修行体験塾」(二泊三日)を中心に ■■
 総目次はここをクリック!


「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!

「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!
ビジネス寄りでマネジメント関連の記事はこちら。その他の活動報告も。最新投稿は画像をクリック!



ご意見・ご感想・ご質問 ken@kensatoken.com にどうぞ。
お手数ですが、コピー&ペーストでお願いします。

© 2009~2024 禁無断転載!



2021年3月11日木曜日

書評『首都直下地震と南海トラフ』(鎌田浩毅、MdN新書、2021)-地球科学は歴史学とおなじ構造。過去をよく知ることが明日につながる

 
2011年の「3・11」から10年になった。津波と原発事故を引き起こした「東日本大震災」から10年である。 

自然界というものはよくできたもので、先月2月13日には「余震」(?)という形で警告を発してくれた。福島県沖の深海で発生したマグニチュード7.3の地震である。

けっして自分が健忘症というわけではないのだが、震源地から離れた関東地方でも比較的大きな揺れ(震度5弱)となったので、さすがに「覚醒」せざるを得なくなった。積み上げていた本の山が崩れて散乱したからだ。 

そんななか、久しぶりに地球科学の鎌田さんの新刊本を読んだ。『首都直下地震と南海トラフ』(鎌田浩毅、MdN新書、2021)である。タイトルに引かれたことは言うまでもない。  

「千年に一度」というほどの大規模な地震であった「3・11」以降、日本列島は「大地変動の時代」に突入したのである。海では「余震」、陸では「直下型地震」が誘発されるようになったのである。 

最初の3章までがタイトルとおりの地震にかんする話、そして第4章で富士山噴火を含めた火山噴火の話である。地震と噴火は地下で連動しているのだ。

地球の表面を覆うプレートがぶつかりあう日本列島に住んでいる限り、地震と火山は切っても切れない関係にある。「揺れる大地」に生きてきた宿命である。 

第5章から終章までは、タイトルとは直接関係ないが、地球科学(=地学)を中心にした科学全般の話科学の効用と限界について、幅広い教養に支えられた啓蒙的な話と、日本列島に生きる人にとっての生き方についての話。 

たとえば、「地球温暖化」についても、地球科学の観点からすれば、現在は「寒冷化」に向かっていることは「常識」だとする。地質学者のかなり大勢は、そう考えているようだ。著者のいう「長尺の目」で、長いスパンでものを考えることも必要なのである。 

わが意を得たりと思ったのは、鎌田氏が「地球惑星システム」の形成には、生命の誕生や進化とおなじ「歴史科学」の構造があると指摘していること。地震や噴火も、過去の事例を研究することが何よりも重要なのもその一環だ。 

「地球史」もまた「進化」で語られてきたのである。誕生から現在まで46億年に及ぶ「地球史」という視点が重要なのだ。 

なるほど、自分もまた高校時代に「地学」が好きだったのはそのためだな、と大いに納得する。大学入試に際しては、理科は物理と地学で受験したくらいだ。 

そんな個人的な話はさておき、一般向けに書かれたことの本は、鎌田氏の「科学の伝道師」としてのコミュニケーション能力がフルに発揮されていていて読みやすい。女優の室井滋との対談も息があっている。 

学校教育で「地学」が軽視されているような印象をもっているが、「揺れる大地」の住民にとって「地学は常識」だとしたいものだ。





目 次
序章 東日本大震災から10年、いつ来てもおかしくない大災害 
第1章 地震の活動期に入った日本列島 
第2章 首都直下地震という新しいリスク 
第3章 M9レベルになる「西日本大震災」と南海トラフ 
第4章 富士山噴火の可能性も高まった 
第5章 なぜ世界で自然災害が増えているのか 
第6章 「長尺の目」で世界を見る 
第7章 科学にできること、自分にしかできないこと 
第8章 地球や自然とどうつきあうか 
終章 私たちはどう生きるべきか 


著者プロフィール
鎌田浩毅(かまた・ひろき) 
1955年東京生まれ。東京大学理学部地学科卒業。通産省(現・経済産業省)を経て、1997年より京都大学大学院人間・環境学研究科教授。理学博士。専門は火山学、地球科学、科学コミュニケーション。京大の講義「地球科学入門」は毎年数百人を集める人気で教養科目1位の評価。火山研究のほか、科学をわかりやすく伝える「科学の伝道師」。1996年に日本地質学会論文賞受賞。『火山噴火』(岩波新書)、『富士山噴火と南海トラフ』『地学ノススメ』(いずれもブルーバックス)、『地球の歴史』(中公新書)、『京大人気講義 生き抜くための地震学』(ちくま新書)など著書多数。


<ブログ内関連記事>







・・「読んでいてひじょうにうれしく思ったのは、知的自伝を語りながら、レヴィストロースの少年時代からの、地質学と考古学への深い関心が歴史学的思考の基礎にあることを知ったことだ。」


(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!

 (2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!

(2020年5月28日発売の拙著です 画像をクリック!

(2019年4月27日発売の拙著です 画像をクリック!

(2017年5月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!








end