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2021年3月28日日曜日

『スルタンガリエフの夢-イスラム世界とロシア革命(新しい世界史②)』(山内昌之、東京大学出版会、1986)-「積ん読」すること35年! ソ連崩壊後もいまだ「諸民族の監獄」が残っている現在、この本の価値は失われていない

 

ホコリとシミだらけで汚れてしまっているが、新刊本として購入したのだ。正確にいうと「積ん読」ではない。35年間もおなじ場所に積ん読してたわけではない。この間、なんども引っ越しをしている。 

大学学部で「歴史学」を専攻したものの、「歴史ではメシが喰えない!」ことが十分過ぎるほどわかっていたので、大学院という「レッドオーシャン」に飛び込むような愚は犯さず、さっさと就職してビジネスパーソンになったわけだが、逆にサラリーマンであるから多少のカネがある。 

カネがあると目に付いたものが欲しくなる。というわけで、「新しい世界史」というシリーズ名に引かれて、この本を買ったわけだ。 

私自身、高校2年のときに1979年の「イラン・イスラム革命」をリアルタイムで知る機会をもった世代でもあり、イスラムに対する関心が高かったこともある。現在でこそ歴史家の山内昌之氏は有名人だが、当時はぜんぜん知られていなかったと思う。 


■スルタンガリエフとは?

『スルタンガリエフの夢』のスルタンガリエフとは、ロシア革命(1917年)の際、権力を握ったボリシェヴィキ内部で、主導権を握ったロシア人に対して、被支配民族となって苦しむタタール人の立場から異を唱えた革命家のことだ。ロシア革命で実権を握ったボルシェヴィキのメンバーであった。

「民族問題」の責任者であったスターリン(*彼自身もロシア人ではなくグルジア人であった)との確執を経て、最終的に逮捕され処刑された。社会主義革命は「階級」の解放を唱えたが、「民族」は解放されなかったのである。 

この本がでた1986年は、まだソ連が存在していた時代である。「ソビエト帝国の崩壊」を主張する小室直樹のような人もいたが、まさかソ連が崩壊するなどとは誰もが考えもしなかった時代である。ソ連が崩壊したのは、それから5年後の1991年のことだ。激動の時代だったのだ。 

「諸民族の監獄」と呼ばれていたソ連が崩壊して、その時点ではじめて「民族解放」がなされたわけだが、山内氏がソ連崩壊を機に旺盛な執筆活動を展開したのは、ソ連(ロシア)における民族問題、とくにイスラムという宗教アイデンティティをもつタタール人の歴史を徹底的に研究していたことが背景にあったわけだ。 

35年にわたる「積ん読」の末、今回はじめて通読してみたのだが、正直いってわかりやすい内容ではなかった。社会主義・イスラム・タタール。この3点が交差する点にスルタンガリエフがいたからだ。 


1986年時点の資料的な制約のため、スルタンガリエフの人物そのものについては、ほとんど書かれていない。ソ連崩壊後に明らかになった事実は、その後に執筆された『イスラムとロシア-その後のスルタンガリエフ(中東イスラム世界①)』(東京大学出版会、1995)などに記されている。この本も、今回はじめて読んだ。

読み終えるのに3日もかかってしまった。1986年の時点なら、なおさら理解に困難を覚えたことだろう。当時の自分の理解をはるかに超える内容であるからだ。 


■ソ連は崩壊したが、いまだ「諸民族の監獄」が残っている

かつて「諸民族の監獄」と呼ばれていたソ連が崩壊して、諸民族の多くが「解放」されることになった。タタール人も、ロシア連邦の枠組みのなかだが「タタール共和国」として自治権を獲得することになった。 

だが、もう1つ「諸民族の監獄」が残っている強権的な権威主義国家・中国である。チベット人、ウイグル人、モンゴル人その他の諸民族に対する人権弾圧は、かつてのソ連よりも酷いというべきではないか。 

その意味では、山内昌之氏による『スルタンガリエフの夢』は、いまだに「未完のテーマ」なのである。このテーマを先駆的に取り上げた本として、35年経った現在でも意味をもっているといっていいのだろう。 





目 次 
序章 イスラム・社会主義・ナショナリズム 
第1章 タタールとロシア 
第2章 民族と革命 
第3章 「異端」の社会主義 
第4章 並行する権力 
第5章 スルタンガリエフ主義、神話と現実 
終章 預言者スルタンガリエフ
あとがき
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