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2022年1月5日水曜日

書評『地球星人』(村田沙耶香、新潮文庫、2020)は、「宇宙人視点」で日本社会の「世間」の構造をあぶりだす哲学小説

 
『地球星人』(村田沙耶香、新潮文庫、2020 初版2018)は、「宇宙人視点」で「地球星人」、そのなかでもとくに「日本人」を支配する見えない人間関係としての「世間」の構造を暴き出した快作だ。 

「宇宙人視点」からみたら、「地球星人」の「常識」はけっして「常識」ではない。「価値観」もいまた同様だ。 この小説の主人公は「地球星人」ではあるが、少女時代に自分のことを「宇宙人」と思っていたという設定である。

『現代思想としてのギリシア哲学』(ちくま学芸文庫、2005) で哲学者の古東哲明氏がいうこよを要約すれば、「異邦人として、エイリアンとして地球上の事物を視るのが哲学者のものの見方であり、立ち位置である。一般人が当たり前だと見なして考えもしないことを、驚きの目でもって凝視し、考え抜くのが「哲学者」という存在であり、「哲学」という知の営みだ」ということになる。

そうであるなら、小説家の村田沙耶香氏がやっていることは、まさに原初的な意味で「哲学者」の仕事であるというべきだろう。だから、その作品は「哲学小説」だとわたしは捉えている。 

地球星人の「常識」は、じつは「常識」ではない。暴き出されるのは「世間」という目に見えない存在の蜘蛛の巣。「洗脳」されて「世間」と一体化し、思考停止状態になるのがマジョリティの幸福。同調意識と善意の押しつけ・・・

主人公といっしょに「世間の縛り」という「うっとおしさ」に「いらだち」を感じている読者は、ある種の開放感を味わうことになるのではないだろうか。あるいはカタルシスといっていいかもしれない。カタルシスもまた、古代ギリシアの哲学者アリストテレスが、ギリシア悲劇の効果にについて抽出した概念だ。

現実に強い違和感を感じている人すべてに薦めたい。とはいえ、この小説の衝撃的な結末を受け入れるかどうかはまた別の話だ。「世間」を否定した小集団のあいだにも、すでに「世間」が発生していることを「地球星人」である読者は観察せざるをえなくなるからだ。 

『コンビニ人間』で芥川賞を受賞した村田沙耶香氏の小説を読むのは2年ぶり、これで4冊目だが、読むたびに、作家自身が抱いている「違和感」を突き詰める執拗なまでの姿勢、そしてイマジネーションのあり方の常人との違いに驚かされるばかりだ。 





著者プロフィール
村田沙耶香(むらた・さやか)
1979年千葉県生まれ。小説家。玉川大学文学部芸術学科芸術文化コース卒業。2003年、「授乳」で第46回群像新人文学賞優秀作受賞。09年、『ギンイロノウタ』で第31回野間文芸新人賞受賞。13年、『しろいろの街の、その骨の体温の』で第26回三島由紀夫賞受賞。16年、「コンビニ人間」で第155回芥川賞受賞。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)


<ブログ内関連記事>

・・「異邦人として、エイリアンとして地球上の事物を視るのが哲学者のものの見方であり、立ち位置である。一般人が当たり前だと見なして考えもしないことを、驚きの目でもって凝視し、考え抜くのが「哲学者」という存在であり、「哲学」という知の営みだ。タレスをはじめとして、古代ギリシアの哲学者たちの多くがフェニキア出身のセム系の人びとであり、文字通りの異邦人であった。著者によるこの指摘は、じつに重要だ。ソクラテスとプラトンはギリシア人ではあったが、「内なる異邦人」といっていい。」




・・「出家」とは「出・世間」のことだ。世界を終わらせて、世界から離脱せよ


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