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2022年1月6日木曜日

書評『スターメイカー』(オラフ・ステイプルドン、浜口稔訳、ちくま文庫、2020)-宇宙全史を幻視したスピリチュアル系オデッセイ

 
『スターメイカー』(オラフ・ステープルドン、浜口稔訳、ちくま文庫、2020)という本を読んだ。宇宙全史を幻視した、宇宙意識によるスピリチュアル系オデッセイとでもいうのだろうか。原作は1937年、第二次世界大戦前夜である。  

夢野久作の『ドグラ・マグラ』のように、わずかな一瞬のあいだに起こった出来事を、日本語版で400ページ近くで語った濃密な内容だ。だが、扱った期間は、宇宙の始まりから終わりまでの、とてつもなく長い時間と空間である。そこで何度も繰り返される地球以外の知的生命体の文明の興亡。 

著者とおなじく英国の作家スウィフトの『ガリヴァー旅行記』のように、さまざまな異世界をめぐる物語であるが、異なるのは主人公の旅には肉体をともなっていないということだ。あるのは「視点」。つまり「幽体分離」した「幽体」、いいかえれば「意識」だけである。

主人公の「意識」は肉体を離れて飛翔し、地球から脱出し、太陽系の惑星群を越え、さらに銀河へ、さらに宇宙のはてまで訪れる。訪れる先々で「わたし」は集合的な意識へと進化していく。そこで見たもの、体験したもの、考察したことが語られる。 

正直いって話の筋を追うだけでも大変だから、ディテールへの理解がどれだけあるのかわからない。細部には目をつむって、とにかく最後まで通読すると決めて読み切るしかない。 


読んでみての感想としては、帯の両面に記された科学小説の瀬名秀明氏の感想(冒頭部の比類なき精神的昂揚感と飛翔感、ついに造物主と対面した際の絶叫するほどの衝撃、その後の内省から起ち上がる、あまりに静謐な瞑想的神話──このわずか一冊のなかには、宇宙のすべて、「わたし」のすべて、未来の光が詰まっている!)は、すこし誇張が過ぎるのではないかとも思うが、このような作品を書いたステイプルドンという作家の突き抜けたイマジネーションの力、哲学的考察には、素直に脱帽するしかない。 

宇宙神霊(=スピリット)である「スターメイカー」を求めての旅路で主人公である集合的意識の「わたし」が遭遇するものはなにか、「わたし」はなにを体験したのか、ことばで表現できたことだけがそこに記されている。 

啓示ともいうべき絶対的な神秘主義的体験は、著者がなんども繰り返し弁解しているように、ことばで記述することには限界がある。それは作家としての能力の限界というよりも、そのような体験は、禅仏教でいう「不立文字」の世界だからなのだ。

いや、宗教学者ルドルフ・オットーのいう「ヌミノーゼ」というべき体験は五感をつうじて感じ取るしかない。主人公である「わたし」は、いや作者であるステープルドンはそのことを十二分に自覚しているのだ。




目 次 
第1章 <地球>
第2章 星間を翔ける 
第3章 <別地球> 
第4章 ふたたび宇宙へ
第5章 数限りなき世界 
第6章 <スターメイカー>の兆し
第7章 さらに多くの世界
第8章 探索者たち
第9章 諸世界の共同体
第10章 銀河のヴィジョン
第11章 星と禍害世界
第12章 成長を阻まれた宇宙神霊
第13章 はじまりと終わり
第14章 創造の神話
第15章 創造主と諸作品
第16章 エピローグ--ふたたび地球へ
宇宙のスケール
タイムスケール ⅠⅡⅢ
オラフ・ステープルドン 生涯と作品
訳者あとがき


著者プロフィール
ステープルドン,オラフ(Stapledon, Olaf)
英国の作家、哲学者。1886年生まれ。初の著作『現代の倫理学』を発表した翌年、『最後にして最初の人類』(1930)で注目を集め、『スターメイカー』(1937)など、独自の哲学的思弁とヴィジョンに満ちた壮大な宇宙年代記は読書界に衝撃を与えた。1950年没

訳者プロフィール
浜口稔(はまぐち・みのる)
1953年沖縄県生まれ。明治大学理工学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)


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