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2012年1月27日金曜日

書評『あんぽん 孫正義伝』(佐野眞一、小学館、2012) ― 孫正義という「異能の経営者」がどういう環境から出てきたのかに迫る大河ドラマ

■孫正義という「異能の経営者」がどういう環境から出てきたのかに迫る大河ドラマ

一気に読み終えた。

『あんぽん 孫正義伝』(小学館、2012)は、 まさに佐野眞一にしか書き得ない、中身が熱くて厚い、渾身の一冊だ。

孫正義という日本を代表する「異能の経営者」が、いったいどういう環境から出てきたのか、どのようにして経営者としての突出した個性が形成されたのかに迫った内容だ。だから、ビジネス・ノンフィクションというよりも人物伝と言ったほうがいい。

佐野眞一の人物伝がみなそうであるように、その人物を描くにあたっては「その人物が絶対に見ることのできない背中や内臓から描く」(あとがき)しかないというのが著者の信念である。

孫正義の場合は、日本による植民地支配のなか、朝鮮半島から100年前に日本に来た一族の三世代を描くことによって、はじめて孫正義という存在の意味がわかってくることを、本書を通読することで、読者も腹から納得することになる。

それはまさに、同じく在日韓国人作家の梁石日(ヤン・ソギル)の『血と骨』の世界を思わせる、きわめて「業」(ごう)の深いファミリーの大河ドラマである。

そして、豚の糞尿と密造酒の臭いが充満するような、そこまですさまじいまでの環境からのし上がった人物だからこそ、はげしい事業欲だけでなく、人間の痛みにたいする強い感受性が、同じ孫正義という人物のなかに存在していることも十分に納得されるのである。

本書の雑誌連載中に「3-11」の大地震と大津波、そして原発事故が発生したことは、犠牲者や被災者にとってはたいへん不幸な出来事であったことは言うまでもないが、孫正義という「異能の経営者」がどういう人間なのか、満天下に明らかになったという点においてはまたとない機会となったといえよう。エスタブリッシュメント世界に属する経営者たちの浅ましいまでの言動とは、まさに正反対の姿を示したのが孫正義である。

著者は、昨年56歳で死去したスティーブ・ジョブズの伝記より本書のほうが面白いはずだと豪語しているが、それとは別次元の面白さという意味に限定するべきだろう。

わたしはむしろ、かつてノンフィクション作家・野村進の『コリアン世界の旅』を読み上げたときのカタルシスに近い感情を思い出した。これもまた同じく「在日」の世界を人物中心に描いたノンフィクション作品である。

本書は、ある在日ファミリーを中心に描いた、玄界灘を挟んで対岸にある朝鮮半島と北九州との関係から描いたこの100年間の「日韓近代史」といってもよい。

生き地獄のようなフィリピン戦線から生還し、戦後大衆消費社会を実現させた実業家・中内功、戦後日本社会の実験場となった満洲、そして戦後日本のつけが集約されてきた沖縄。これまで佐野眞一が描いてきた戦後日本を扱ったノンフィクションを列挙してみると、ついに朝鮮半島についても書くことになったのかという感慨も抱く。

孫正義本人は言うまでもなく、孫正義以上に個性的なその父親にも、親族にも、関係者にも、日本国内だけではなく韓国にまで赴いて、執拗に、かつ徹底的に迫ったインタビューと調査から生まれたのがこの一冊だ。だまされたと思って、ぜひ手にとってほしいと思う。読み出したらやめられなくなるはずだ。



<初出情報>

■bk1書評「孫正義という「異能の経営者」がどういう環境から出てきたのかに迫る大河ドラマ」投稿掲載(2012年1月25日)
■amazon書評 「孫正義という「異能の経営者」がどういう環境から出てきたのかに迫る大河ドラマ」 投稿掲載(2012年1月26日)


 


目 次

孫家の家系図・孫正義略年表
第1章 孫家三代海峡物語
第2章 久留米から米西海岸への「青春疾走」
第3章 在日アンダーグラウンド
第4章 ソフトバンクの書かれざる一章
第5章 「脱原発」のルーツを追って
第6章 地の底が育てた李家の「血と骨」
第7章 この男から目が離せない
あとがき
主要参考文献

著者プロフィール

佐野眞一(さの・しんいち)

1947年、東京生まれ。早稲田大学文学部を卒業後、出版社勤務を経てノンフィクション作家に。1997年『旅する巨人宮本常一と渋沢敬三』で第28回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。2009年『甘粕正彦 乱心の曠野』で第31回講談社ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


PS 2014年9月に小学館文庫から文庫化

「文庫版では、本誌取材チームの一人であるノンフィクションライター・安田浩一氏の解説を収録。「取材舞台裏」と「佐野眞一論」が綴られる」、とのことだ。(2014年9月8日 記す)




<書評への付記>

孫正義が経営者としての能力だけで評価されないのは、日本社会におけるそのアイデンティティにある。そしてある種の日本人のパーセプションに起因するものである。

あえて日本国籍取得と同時に韓国人の姓である「孫」を名乗ることにしたという、過剰なまでの意思表示、強固なまでの意志のつよさが、ある種の日本人には挑発とうつり、冷静な評価を妨げている原因の一つともなっているのかもしれない。

そうでなくても、旺盛な事業欲とうらはらの綱渡り経営、ほら吹きすれすれの理想主義を説く「革命家」である。

1957年生まれで現在55歳の孫正義は、スティーブ・ジョブズ、ビル・ゲイツといったITで世界を変えてきた経営者たちと同世代である。

かつて「虚業家」とさえ批判されたことのある孫正義も、ライバルたちが次から次へと消えてゆくなか、ほとんど唯一といったカタチで生き残っている、その息の長さには驚くばかりである。

まだ老人ではないとはいえ、中国共産党の政治家・周恩来について言われた「不倒翁」というコトバを思い出す。まだまだ先頭をきって走り続けてもらいたいものだ。


■マイノリティとして生きることの意味

在日韓国・朝鮮人として生きるということは、ある意味ではキリスト教世界に生きるユダヤ人にもつうじるものがある。共通するのは社会におけるマイノリティ(=少数民族)であるということだ。

わたしがまっさきに思い出すのは、ユダヤ思想家レオ・ベックのコトバだ。以前、『ユダヤ教の本質』(レオ・ベック、南満州鉄道株式会社調査部特別調査班、大連、1943)-25年前に卒論を書いた際に発見した本から・・・と題して書いたブログ記事に引用しているが、あえてここに再録しておこう。

踏みひしがれた人や喧嘩に負けた犬は、自然自らを頼りとするに至る。さもなくば滅亡あるのみであろう。しかし、彼が世界の真中に立っている限り、自分自身をのみ知り、かつ眺めるために、閉込められた自己自身の観念にのみ生きるは不可能である。これができるのは権威の嗣子(しし)にのみ許された特権である。
更にユダヤ人は常に少数者であった。少数者はとかく思索に耽りがちであるが、これが彼等の不運が与えた賜物(たまもの)である。彼等は闘争と思索とによってしばしば真理の認識を新にさせられた。


『ユダヤ教の本質』(レオ・ベック)の「第1章 ユダヤ教の性格 第1節・統一と発展」から抜き書きしたものだ。やや古めかしい日本語なのは、戦前に南満州鉄道株式会社、いわゆる満鉄から満洲の大連で出版されたものだからだ。

ケンカが強くなければ、アタマで勝負するしかない。孫正義は、後者の道を選んだのであり、その父親がまた息子の特性をよくつかみ、ある種の英才教育をほどこしたことが本書には詳述されている。

民族性に還元する議論はあまり意味はない。人間は置かれている環境と生存条件によって、人間は徹底的に鍛えられるということを示した一つの事例として、孫正義のケースも考えるべきだろう。


■佐野眞一の「近代日本」関連著作

「生き地獄のようなフィリピンの戦地から生還し戦後大衆消費社会を実現させた実業家・中内功、戦後日本社会の実験場となった満洲、そして戦後日本のつけが集約されてきた沖縄」と書評に書いたが、「戦後日本」を描くには「戦前日本」を押さえた上でなければ意味はない。

その意味で、満洲について多数書いてきた佐野眞一がようやく朝鮮半島ものを書いたか、という感想をもつわけである。

『阿片王-満州の夜と霧-』 (佐野眞一、新潮社、2005 現在は、新潮文庫、2008)、『甘粕正彦-乱心の曠野-』(佐野眞一、新潮社、2008 現在は、新潮文庫、2010)といった作品がそれに該当する。

佐野眞一は、『あんぽん 孫正義伝』の取材で、30数年ぶりに韓国に渡航したと書いているが、満洲については深く突っ込んだ取材をしてきながら、朝鮮半島については書いてこなかったのはじつに不思議なことに思える。

佐野眞一には、今後さらに朝鮮半島について書いてほしいものである。そしてまだ台湾を主題にしたノンフィクションはないと思う。ぜひ、取り組んでいただきたいものと思う。


<関連サイト>

『血と骨』映画版トレーラー(YouTube) 2004年製作
・・原作:梁石日、監督:崔洋一、出演:北野武、鈴木京香、新井浩文、田畑智子、オダギリジョー


『コリアン世界の旅』(野村進、講談社、1997 現在は、講談社文庫 2009)
・・在日コリアンの世界を人物を中心に描いた傑作ノンフィクションである



「自殺しようかと思うぐらい悩んだ。それぐらい差別というのはつらい」 孫正義インタビュー(3) (大西孝弘、日経ビジネスオンライン、2015年7月17日)
・・ビジネス書 『孫正義の焦燥』(日経BP社、2015)には集録されなかったインタビュー



(2015年7月17日 情報追加)


<ブログ内関連記事>

■佐野眞一氏関連

書評 『私の体験的ノンフィクション術』(佐野眞一、集英社新書、2001)-著者自身による作品解説とノンフィクションのつくり方

「沖縄復帰」から40年-『沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史』(佐野眞一、集英社、2008)を読むべし!

書評 『津波と原発』(佐野眞一、講談社、2011)-「戦後」は完全に終わったのだ!
・・「3-11」で「戦後」は終わった。リセットされたのだと納得させられる本


■孫正義氏とエスニック・マイノリティ関連

「自然エネルギー財団」設立に際して示した、ソフトバンク孫正義氏の 「使命」、「ビジョン」、「バリュー」・・・

「龍馬精神」(ロンマー・チンシャン)
・・孫正義といえば『竜馬がゆく』(司馬遼太郎)。日本人離れした坂本龍馬に惹かれる気持ちはよく理解できる

ひさびさに宋文洲さんの話をライブで聞いてきた!-中国人の「個人主義」について考えてみる
・・在日中国人の宋文洲もまた、実績を出した経営者。ユニークな言動には耳を傾けたい

世の中には「雑学」なんて存在しない!-「雑学」の重要性について逆説的に考えてみる
・・ビジネスノンフィクションではない『あんぽん 孫正義伝』では一度も登場しないが、孫正義が米国に留学する前に「コンピュータが有望だ」と示唆したのが「銀座のユダヤ人」という異名をもっていた日本マクドナルド社長・藤田田(ふじた・でん)。彼が強調してやまなかった「雑学」について書いてみた

書評 『フェイスブック 若き天才の野望-5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた-』(デビッド・カークパトリック、滑川海彦 / 高橋信夫訳、日経BP社、2011)
・・フェイスブックで「世界を変える」ユダヤ系米国人のザッカーバーグもまた「革命家」の一人

書評 『グーグル秘録-完全なる破壊-』(ケン・オーレッタ、土方奈美訳、文藝春秋、2010)-単なる一企業の存在を超えて社会変革に向けて突き進むグーグルとはいったい何か?
・・スタンフォード大学の工学系大学院から生まれたグーグル
・・グーグルの二人の共同創業経営者のユダヤ系米国人たちもまた「革命家」

エスニシティからアメリカ社会を読み解く-フェイスブック創業者ザッカーバーグというユダヤ系米国人と中国系米国人のカップルが写った一枚の結婚写真から

(2014年2月14日、8月22日、12月27日 情報追加)


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2011年3月3日木曜日

「マイナスをプラスに変える方法」-『なぜか、人とお金がついてくる 50の習慣』(たかの友梨、フォレスト出版、2011) 「出版記念講演会」 に行ってきた



 「たかの友梨 出版記念講演会」『マイナスをプラスに変える方法』にいってきました。

 「たかの友梨」といえば、いうまでもなく「たかの友梨ビューティークリニック」の創業経営者です。
--------------------------------------------------------------
◆日時:2011年3月2日日(水)19:00~20:30
◆会場:六本木アカデミーヒルズ49 タワーホール
(六本木ヒルズ「森タワー」の49階)
◆フォレスト出版による説明

・逆境や挫折をどう乗り越えるか?
・うまくいく人、いかない人の違いとは?
・良好な人間関係、信頼関係の作り方
・今の時代を生きるために、必要な3要素 ……
--------------------------------------------------------------

 たかの友梨さんの新刊『マイナスをプラスに変える方法』購読者は参加無料という知らせをもらったので、さっそく講演会に申し込んでから、この本を取り寄せて読んでみました。



 このタイトルだけみると、なんだか「自己啓発本」系統のように見えますが、中身はいたってまじめ、むしろ、これだけの「習慣」を実行できる読者は果たしてどれだけいるのだろうか?、という気もします。

 講演会の会場にも持参して、講演が始まる前にもう一回ざっと読み直してみましたが、なかなか厳しい発言も多い。と同時に、すごくいいことを言ってくれているという気も強くしました。

 というのは、たかの友梨さんはエステ業界という、いっけん華やかに見える業界で長年にわたって活動してきた経営者ですが(・・テレビCMがけっこうそういうイメージを作り上げている。つい先日もお騒がせ女優の沢尻エリカを起用)、本人は文字通り「壮絶な人生経験」の持ち主としかいいようがありません。そういう人が語る「マイナスをプラスに変える方法」ですから、ぜひ聞きたいという気持ちになるのも不思議ではないでしょう。

 当日の講演会は、秘蔵写真をスクリーンに映しながら、この本には書かれていないさらに詳しい話を、出生から育ちの苦労、創業までの道のり、創業してから現在までの話を聞かせていただきました。

 私生児として生まれすぐに養子に出されたが、その家庭も崩壊して育ての母との母子家庭となり、その育ての母とも離れて親戚の家を転々。超極貧の、過酷な幼少時代を余儀なくされた人。
 貧しいので高校進学は断念して、中学卒業と同時に定時制高校に通いながら理容師として猛烈に働いていた。睡眠時間はわずか2~3時間。食事もろくに取れずに・・・。単なるハングリー精神とは違うものがそこにはあるようなのです。

 理容師として日本一を目指して働きすぎたその結果、ニキビにだらけになったことが、エステに開眼することに。人間万事塞翁が馬、ですね。そして新聞記事でフランスでエステが流行していることを知って、それまでにためた100万円をすべてつぎ込んで、単身フランスに渡航、理容師と美容師の資格がモノをいってフランスで修行を積んでから帰国。これが「オール・イン」の発想なんですね。ここぞというときに、掛け金をすべてつぎ込む発想と行動のこと。
 
 お化粧は足し算の発想だが、エステは「引き算の発想」というのが興味深く思いました。デトックスはカラダのなかから毒素を排出し、同時にココロからも毒素を排出することでもある。捨てること、なんですね。

 「たかの友梨ビューティクリニック」をはじめた当初は毎日が閑古鳥(かんこどり)、しかしあるとき「ニキビに悩んでいる人は無料で治す」ことを告知したらさばききれないほど来客があり、それをキッカケに「クチコミ」で事業が立ち上がったとのことです。女性の「クチコミ」のパワーはすごいものです。現在の「フリー経済」のはしりですね。

 かつてテレビの企画で回ったという、世界のエステを巡っての話は面白く聞きました。私自身、タイのバンコクにいたときは毎週一回はタイ古式マッサージ、月に一回はスパーに通っていましたので、アーユルヴェーダなど世界各地のマッサージやエステには非常に関心が強いからです。インドでもスリランカでも体験があります。 

 最後に質疑応答の時間、そのなかで「いつの時代も先行き暗いといわれてきた。バブル時代だってそうだった。現在だけが先行きが暗いわけではない」という解答が印象的でした。気持ちの持ち方一つということなわけですね。

 そのあとは、たかの友梨さんの指導で瞑想(メディテーション)を行ったのち終了。こんな90分でした。

 さすが63歳の現在でも、現役で第一線で陣頭指揮をとっている創業経営者ですね。なんといっても、コトバの重みが違う。 
 自分自身について語ることが、そのまま説得力をもった語りになる。だからこそ、印象的なのですね。そう強く感じた次第です。





目 次

第1章 優秀であるより面白くあれ-人間関係がうまくいく10の習慣
第2章 「オール・イン」せよ-お金に悩まない9の習慣
第3章 会社にしがみつかない働き方-仕事で稼ぐ13の習慣
第4章 一生、“初体験”し続ける-思考で現状を変える9つの習慣
第5章 苦しいときをどう生きるかで人生は変わる-挫折で人生を飛躍させる9の習慣


著者プロフィール

たかの友梨(たかのゆり)

株式会社不二ビューティ代表取締役。美容家。理容師・美容師免許を取得後、1972年フランスに渡りヨーロッパ各地でエステティックを学び独自のエステ理論を確立。1978年にエステティックサロン「たかの友梨ビューティクリニック」を設立。美容家としての活動を始める。また、エステティック技術者の育成機関として「たかの友梨エステティックアカデミー」の前身である「日本エステティック学院」を設立、学院長として育成と技術開発に務める。1979年に渡米し、カリフォルニア州脱毛ライセンスを取得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。



<関連サイト>

たかの友梨ビューティークリニック(公式サイト)



<ブログ内関連記事>

書評 『跡取り娘の経営学 (NB online books)』(白河桃子、日経BP社、2008)
・・二世経営者としての女性経営者

書評 『ホッピーで HAPPY ! -ヤンチャ娘が跡取り社長になるまで-』(石渡美奈、文春文庫、2010 単行本初版 2007)
・・二世経営者としての女性経営者

書評 『フリー-<無料>からお金を生み出す新戦略-』(クリス・アンダーソン、小林弘人=監修・解説、高橋則明訳、日本放送出版協会、2009)

世の中には「雑学」なんて存在しない!-「雑学」の重要性について逆説的に考えてみる
・・たかの友梨氏が愛読書だという『ユダヤの商法』(藤田田)についても触れている。本をパーソナル・コーチにするという生き方はすばらしい。

「三日・三月・三年」(みっか・みつき・さんねん)
・・たかの友梨さんも「3年は続けなくてはいけない」と体験から言っている。この世代の人に耳を傾けるべきこと。

どんな話であれ「自分」を全面的に出したほうが、人はその話に耳を傾けるものだ






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2011年2月2日水曜日

書評 『CoCo壱番屋 答えはすべてお客様の声にあり』(宗次徳二、日経ビジネス人文庫、2010 単行本初版1995に改題加筆)-お客様のクレーム情報を読み込んで得た数々の知恵が「生きた教科書」として結実


■お客様のクレーム情報を読み込んで得た数々の知恵が「生きた教科書」として結実■

 カレー専業のチェーン店 CoCo壱番屋(ココイチ)の創業者が自ら書いた「生きた経営書」である。

 15年前に出版された著書を、すでに経営の一線から退いた創業者があらためて読み直し、改題のうえ加筆修正したものである。15年前に出版したビジネス書が現在でもなお新鮮に映るのは、基本がしっかりしてブレがないからであろう。

 そういえばここのところココイチにいってないなあ、近所にないからなあ、などと思いながら読み始めたが、読んでいてものすごく勉強になる本であることがわかった。

 まさに飲食サービスの教科書なのだが、お客様の気持ちからすべてを考えるという姿勢がこれほど徹底している会社はないのではと思わされる。

 お客様の気持ちといっても、この本では抽象的な表現には終わっていない。

 アンケート葉書に書き込まれたお客様のナマの声が多数取り上げられ、たとえお店にとって不都合なクレーム情報であっても、著者によって具体的に紹介され、人間心理への深い洞察力に支えられたコメントがつけられているのだ。お客様から投函されたアンケート葉書を、毎朝5時に出勤してすべて読むことから仕事を始めていたという著者自らが目を通した成果なのである。

 私自身は飲食サービス業に従事しているわけではないが、多くの「気づき」をいただいた。この本で具体的に指摘されている、いっけん細かい点に注意することが、繁盛店になるためには重要なことなのだ。

 「こうすればよくなる」を書いた本は多いが、ここまでクレーム情報を取り上げて、クレームで指摘された点を、よく考えたうえで直していけばよいと書いてある本はめったに見ない。しかも、プラス思考が首尾一貫している。創業経営者が長年にわたって観察してきた知恵がエッセンスとして惜しみなく散りばめられた本なのである。

 身近なチェーン飲食店を題材にした本は、読者にとっても無縁の世界ではないので、アタマだけではなくココロもカラダも含めてすんなりと理解しやすい。お薦めである。

 ひさびさにココイチにいって、カツカレーでも食べに行ってくるかな。


<初出情報>

■bk1書評「お客様のクレーム情報を読み込んで得た数々の知恵が、経営者自らが書いた「生きた教科書」として結実」投稿掲載(2010年10月11日)
■amazon書評「お客様のクレーム情報を読み込んで得た数々の知恵が、経営者自らが書いた「生きた教科書」として結実」投稿掲載(2010年10月11日)





目 次

文庫化にあたって
はじめに

第1章 成功のカギとなったもの
 店をきれいにすればカレーの味が良くなる
 料理の提供が遅くても文句が出ない方法
 従業員のどんな行動にお客様は不快感を抱くのか
 「良いこと」でもしてはいけないことがある
 胸の痛くなるバナナジュースの話
 「マニュアル」は生かせなければただの本
 お客様はどんなことで傷ついているのか
 自分と他者の違いに気をつける
 「食いものの恨みはは恐ろしい」を肝に銘じよ
 仲間や常連客と仲良くすることのデメリット
 「一生懸命」が仇になることも
 繁盛と低迷の分岐点になるものとは
第2章 お客様の喜ぶ顔が見たい
 モットーは「ニコ・キビ・ハキ」
 お客様が究極に求めているものは何か
 「そうせずにはいられないからする」のが本当のサービス
 「申し訳ない」という気持ちが励みになる
 店は最初から繁盛しないほうが伸びる
 「悪い評価」で猛反省、「良い評価」でやる気
 お客様の意見は「生きた教科書」
 お客様の要望に応える努力は楽しい
 お客様を大切にすれば成功はあとからついてくる
 コピー店がいくら出現しても恐くないほんとうの理由
 お客様を増やさないのもサービスのうち
第3章 繁盛の秘訣となった「こだわり」
 評判が悪くてもらっきょうを有料にする理由
 二流立地が教えてくれた商売繁盛のコツ
 加盟店さんには儲けていただく
 単品メニューの商売で繁盛させる秘訣
 47都道府県すべてに出店したわけ
 のれん分け制度が CoCo壱番屋の柱
 細かいとこに「こだわり」がないと大きくならない
 こだわりつづければ「中身」はあとからついてくる
 中途採用で集めたやる気のある人材
 技術へのこだわりがこれからの課題
 地域一番店の待遇でやる気をうながす
第4章 アンケート葉書でお客様から学んだこと
 どんな経営指南書にもまさるお客様の声
 調理面で反省すべき諸点
 注文のとり方で店の品格がわかる
 笑顔の接待はお客様への最高のもてなし
 クチコミは繁盛の強力な武器になる
 子供によくするとお母さんは特に感動してくれる
 変化の時代は多様なメニューがウケる
 チームワークの良さがお客様の心を和ませる
 こんな点で気配りが欠けていないか
 気づかずにお客様に不快感を与える行動と態度
 ちょっとした心配りで喜ばれるお客様心理
 プラス発想が人を感動させ、お店を繁盛させる

おわりに


著者プロフィール

宗次徳二(むねつぐ・とくじ)

壱番屋創業者特別顧問。1948年石川県生まれ。愛知県立小牧高等学校卒。1978年カレーハウス CoCo壱番屋を創業。1982年株式会社壱番屋を設立し、代表取締役社長に就任。1998年代表取締役会長に就任。2002年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。



<書評への付記>

 独特の「喫茶店文化」の存在する名古屋で、喫茶店経営からカレー屋に転じたということが興味深い。名古屋はいまでもスタバ(スターバックス)よりも、モーニング(セット)を出す個人経営の喫茶店のほうが主流である。名古屋出身ではない私からみると非常に興味深い文化である。

 顧客最前線の最前線のパート、アルバイトにいたるまで、教育を徹底させないといけない。

 答えは「毎朝4時に起きて読む "アンケート葉書" だった!」というのがすごい。この人のすごいところはまさにこの一点につきる。

 問題は現場に転がっている。当事者が気づくものもあれば、そうではないものもある。自分の主観的な視点と、他社の主観的な視点、この両者があってこそ問題発見が可能となり、問題が発見されれば、自ずから問題解決の途が明確になる。

 「凡事徹底」というコトバを思い出す。



<関連サイト>

孤児院で育ち、極貧から220億円の資産家になるまで 「ココイチ創業者」直撃インタビュー!(現代ビジネス、2015年11月19日)
・・「ハウスさんとは、私たち夫婦が(ココイチの前身の)喫茶店をやっていた頃から約40年の付き合いです。店でカレーを出すため、いろんなメーカーのカレールーを試した結果、家内が一番おいしいと言ったルーがハウスさんの製品だった。会社を作ったあとは、微妙なスパイスの調合のリクエストにも応えてくれました。私たち夫婦が追い求めてきた『究極のカレー』を実現させるためには、欠くことのできない存在でした。長い歴史の中で培われた信頼関係があったから、今回もすんなり『うん』と言える」

CoCo壱番屋を作った男の独特な経営哲学 「私は凡才な“自称、三流経営者”ですから」 (日刊SPA、2016年3月12日)

(2015年11月20日 項目新設)
(2016年3月14日 情報追加)



<ブログ内関連記事>

講演会「原点回帰と変革の経営」で、松田公太氏とゾマホン氏の話を聞いてきた・・タリーズコーヒー創業者

「マイナスをプラスに変える方法」-『なぜか、人とお金がついてくる 50の習慣』(たかの友梨、フォレスト出版、2011) 「出版記念講演会」 に行ってきた
・・創業経営者

(2014年8月26日 情報追加)


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2009年12月17日木曜日

書評 『富の王国 ロスチャイルド』(池内 紀、東洋経済新報社、2008)-エッセイストでドイツ文学者による『物語 ロスチャイルド家の歴史』




■エッセイストでドイツ文学者、池内 紀(いけうち・おさむ)による『物語 ロスチャイルド家の歴史』■

 ロスチャイルド家をテーマにした本は、日本ではトンデモ本も含めて多数出版されているが、本書 『富の王国 ロスチャイルド』はその中では比較的まともな内容のものといえるだろう。

 文体も、池内紀らしく平易でしかも含蓄に富むものだし、なんといっても、カフカなどユダヤ系のドイツ語作家の作品を中心に日本語訳してきた実績と知識の蓄積が背景にある。

さすが、『池内紀の仕事場 2 <ユダヤ人>という存在』(みすず書房、2005)にまとめられたような文章を書いてきた人である。十数年あたためてきたテーマというのも頷ける話だ。

 小国分立していた統一以前の18世紀後半のドイツで、ヘッセン王国の首都フランクフルトの両替商から出発したファミリーが、7代目の現在に至るまで絶えることなく富を形成、蓄積し、繁栄し続けていう事実。

 「創業は易し、守成は難し」とはよくいわれるが、同時代の宮廷ユダヤ人"ユダヤ人ジュース" ことヨーゼフ・ズュース・オッペンハイマーが、ヴュルテンべルク大公の死後後ろ盾を失い、財産没収され処刑もされた事実を考えると、創業時の基礎作りがきわめて巧みであったことがわかる。創業者が5人の息子たちをヨーロッパ各地の主要都市に配置して、ビジネスチャンス拡大とともにリスク分散を図ったのはきわめて賢明であったといえよう。

 もちろんこの背景には、激動する19世紀ヨーロッパの市民社会でユダヤ人がゲットーから"解放"され、ビジネスが「情報」を中心に動くようになったという状況も大いに働いている。

 このような時代背景のなか、創業者のきめた基本原則に忠実に従って「守成」を行い、しかしながら時代の荒波を乗り越える際には大胆な「攻め」もいとわない姿勢には、「変わらないためには、変わらなければならない」という、ヴィスコンティ監督の名作『山猫』のセリフも思い出される。
 
 これだけだと、ありきたりのロスチャイルドもので終わってしまうが、この本が類書と違うのは、「富の形成」と「富の蓄積」だけでなく、「富の使い方」に多くのページを割いていることだ。

 ユダヤ人の伝統に従い、フィランソロピー(=慈善行為)にカネを惜しまない姿勢が、結果として、民族としては少数派であるユダヤ人である一族の繁栄を守ってきたことにもつながったことは重要だろう。もちろん事業経営上のパブリシティ目的もあるが、陰徳に徹した慈善行為も非常に多い。20世紀の激動を乗り切って、なお目立たず繁栄を続ける一族の秘密の一端がここにありそうだ。

 本当はすごいけど目立たないように生きる、という生き方。なんだか著者が、『二列目の人生-隠れた異才たち-』(集英社文庫、2008)で取り上げた日本人たちにも似ていなくもない。

 もちろんロスチャイルドの場合は、資産規模はケタ違いではあるが・・・・

 "愛と革命の詩人"ハイネとパリ・ロスチャイルド家とのかかわり、イスラエル(パレスチナ)へユダヤ人農民の入植支援とワイン作りへの貢献、ボルドーワインの「シャトー・ムートン・ロチルド」や「シャトー・ラフィット・ロチルド」から、カリフォリニア・ワインのロバート・モンダヴィとの合弁の成果である「オーパス・ワン」の話まで、ビジネス書では登場しにくいエピソードもふんだんにちりばめられている。
  
 池内 紀による「物語 ロスチャイルド家の歴史」と読むのも良し、あるいはビジネスパーソンのための教養本として読むも良し。

 マンガ家・しりあがり寿による表紙イラストが、かわいらしい。


■bk1書評「エッセイストでドイツ文学者、池内 紀(いけうち・おさむ)による『物語 ロスチャイルド家の歴史』』投稿掲載(2009年12月16日) 
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<書評への付記 (1)-ロスチャイルド家誕生の背景>

 『エッセイストでドイツ文学者、池内 紀(いけうち・おさむ)による『物語 ロスチャイルド家の歴史』というタイトルにしたのは、池内紀のエッセイを読んだことがある人なら、中身もおおよそ予想できるだろうという含みである。

 書評でも一言触れているが、日本ではあまりにもロスチャイルド関連の"トンデモ本"が多すぎる。一言でいえば、陰謀史観に基づいた、世界を支配する金融帝国、といった類の本である。

 世界を支配するのはロスチャイルドかロックフェラーか、このようなモチーフによる陰謀史観は、もちろん日本だけでなく、ナチス・ドイツの反ユダヤ宣伝以来のものであるが、日本語で流布している話は大半が英語圏で流通している話の焼き直しに過ぎない。

 広瀬隆の『赤い楯 上下-ロスチャイルドの謎-』(集英社、1991 現在は文庫版で4冊 1996)は系図をもとにしたロスチャイルド一族の金融支配をテーマにした大冊で、出版当時はベストセラーになったと記憶している。もちろん私も全ページ読破している。

 しかし、ロスチャイルドのドイツ語読みロート・シルト(Rot Schild)は、広瀬隆がいうような「赤い楯」ではなく、池内紀が正しく訳しているように、「赤い看板」あるいは「赤い標識」という意味である。

 ドイツ語の Schild には楯(英語だと Shield)という意味もあるが、当時の金貸し業者が掲げることを命じられていた「赤い看板」をさしていると考えるのが歴史的にみても穏当だろう。

 広瀬隆のライフワークである系図をもとにした陰謀史観は読めば面白いのだが、それをもってロスチャイルド一族が一糸乱れず歩調をあわせて支配力を行使していると考えるのは、少し妄想が過ぎるのではないかと思うのは私だけではないはずだ。

 株式の所有構造(Owenership Structure)ですべてを説明するのは、やや無理があるといわざるをえないし、何か究極的な最終的意志決定者である支配者を想定するのも無理があるのではないか。


■ロスチャイルド家誕生の歴史的背景

 書評を補足する意味で、ロスチャイルド家誕生の背景について少し書いておく。

 ロスチャイルド(ドイツ語ではロートシルト、フランス語読みではロチルド)家の実質上の出発点は、フランクフルトの両替商で金貸しのマイヤー・アムシェル・ロートシルト(Mayer Amschel Rothschild)である。1744年に生まれ、1812年に68歳で没したから、当時としてもかなり長命だったといえよう。

 フランクフルトでユダヤ人がゲットー(・・正確にいうとユダヤ人居住区)から解放され、居住地選択の自由が認められたのは1796年、フランス革命後のフランス国民軍によってフランクフルトが武力占領され、ゲットーが破壊された結果である。

 フランス革命精神である「自由・平等・兄弟愛」に基づくものというよりも、ユダヤ人に課税するのが目的だったようだ。金融業でためこんだカネを目当てにしたわけである。

 フランス革命当時のドイツは、ゲーテの時代であり、ベートーヴェンの時代であり、ヘーゲルの時代でもあったわけだが、ドイツは1872年にプロイセン王国によってドイツ帝国として統一されるまで、神聖ローマ帝国が分裂してできた小国が分立していたのである。フランクフルト出身のゲーテはワイマール公国の宰相であり、そのフランクフルトはヘッセン王国の首都であった。

 小国が分立していた当時のドイツには統一通貨がなく、両替商が儲かっていたわけだ。両替商が金貸しになり、さらには財務アドバイザー、そして近代的なマーチャント・バンクへと進化を遂げていくことになる。

 ほぼ同じ時代にヴュルテンベルク公国(・・南ドイツのバイエルン王国の隣国)で辣腕をふるったのが、いわゆる"ユダヤ人ジュス"(Jud Süß)である。本名は、ヨーゼフ・ジュース・オッペンハイマー(1698–1738)で、正確にはマイヤー・アムシェル・ロートシルトが生まれる前の人物だが、ヴュルテンべルク大公の絶大な信頼を得た、現代風にいえば政商で、大公の死後後ろ盾を失い、財産没収され処刑もされている。ユダヤ人に対する反感がまだまだ強かったわけである。こういう時代層があったことを知っておく必要がある。マイヤー・アムシェルは間違いなく他山の石としたはずである。

 "ユダヤ人ジュス"については、池内紀の『池内紀の仕事場 2 <ユダヤ人>という存在』(みすず書房、2005)に収録された「大公の私設顧問」で触れられている。なお、この人物を主人公にした、ナチスの「反ユダヤ主義」宣伝映画『ユダヤ人ジュス』(1940年ドイツ) は、10分割にて YouTube にアップされている(・・音声はドイツ語字幕なし)。ナチスの宣伝映画の1つとして参考になろう。

 ロスチャイルド家が、ナポレオン戦争を契機に一気に一族の事業を軌道に乗せたことはよく知られているので省略する。本書を読んでもらうのが急がば回れである。

 池内紀が本書の冒頭でふれている、フランクフルトの「ユダヤ博物館」は、もともと五代目で断絶したフランクフルト・ロスチャイルド家の邸宅を改造してミュージアムにしたものらしい。

 私も一度訪れたことがあるが、とくにヨーロッパのユダヤ人の歴史をしるためには実にすぐれたミュージアムであることを記しておく。フランクフルト駅前のいかがわしい喧噪を離れ、また大陸欧州の金融中心都市フランクフルトのビルディング街を離れたマイン川沿いにある美しい建築物である。

●映画 『ユダヤ人ジュス』(全編93分は YouTubeにて視聴可能 ドイツ語に英語字幕)
⇒ https://www.youtube.com/watch?v=cjmfMAPtj2c


<書評への付記 (2)-ロスチャイルドとワインの話->

 さて、ロスチャイルドといえばいまでは何といってもボルドー・ワインで著名である。ボルドー・ワインについては、このブログで『ボルドー・バブル崩壊-高騰する「液体資産」の行方-』 (山本明彦、講談社+α新書、2009)の書評を掲載しているので、ご興味があれば参照していただきたい。

 もっとも、私自身はムートンやラフィットなんか飲める身分ではないが、カリフォルニアのロバート・モンダヴィ(Robert Mondavi)とロスチャイルドの合弁である「オーパス・ワン」(Opus One)なら、ごくたまにだが飲めないこともない。カリフォリニア・ワインとは思えぬコクの深さ。値段は2万円台だが、間違いなく価格以上の価値のある、素晴らしい赤ワインである。

 ロスチャイルド家の実態は、外部の人間には正直いってよくわからないが、名前のもつブランド力に関しては実体以上の価値があるといっても間違いではないだろう。

 趣味で始めたワイナリー経営が、地道に腰を据えて取り組んだ結果、マーケティング戦略の巧みさとあいまって高級ワインとしての位置を揺るぐことなく維持し続けている、という事実。

 名前のもつチカラが、実体の裏付けをあわせもつからこそ、ワインの世界でも君臨しているわけだ。

 いずれにせよ7世代にわたって一族の繁栄が続いているという事実は、特筆に値するといわざるをえない。




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PS 改行を増やし読みやすくした。ただし文章にはいっさい手をいれていない。<ブログ内関連記事>をつけくわえた(2013年9月18日 記す)


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