「アタマの引き出し」は「雑学」ときわめて近い・・日本マクドナルド創業者・藤田田(ふじた・でん)に学ぶものとは?

◆「アタマの引き出し」つくりは "掛け算" だ : 「引き出し」 = Σ 「仕事」 × 「遊び」
◆酒は飲んでも飲まれるな! 本は読んでも読まれるな!◆ 
◆一に体験、二に読書、その体験を書いてみる、しゃべってみる!◆
◆「好きこそものの上手なれ!」◆

<旅先や出張先で本を読む。人を読む、モノを読む、自然を読む>
トについてのブログ
●「内向きバンザイ!」-「この国」日本こそ、もっとよく知ろう!●

■■ 「むかし富士山八号目の山小屋で働いていた」全5回 ■■
 総目次はここをクリック!
■■ 「成田山新勝寺 断食参籠(さんろう)修行(三泊四日)体験記 」全7回 ■■ 
 総目次はここをクリック!
■■ 「庄内平野と出羽三山への旅」 全12回+α - 「山伏修行体験塾」(二泊三日)を中心に ■■
 総目次はここをクリック!


「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!

「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!
ビジネス寄りでマネジメント関連の記事はこちら。その他の活動報告も。最新投稿は画像をクリック!



ご意見・ご感想・ご質問 ken@kensatoken.com にどうぞ。
お手数ですが、コピー&ペーストでお願いします。

© 2009~2026 禁無断転載!



ラベル 回顧録 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 回顧録 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2024年9月2日月曜日

『私はこうして受付からCEOになった』(カーリー・フィオリーナ、村井章子訳、ダイヤモンド社、2007)は、ビジネスキャリアものであり、HPの企業変革のインサイドストーリーでもある

 

調べ物のため一部だけ読むつもりだったのだが、読み始めたらあまりにも面白くて引き込まれてしまい、最後まで読んでしまった。 


著者は、HP(=ヒューレット・パッカード)の「企業変革」を実行した人だ。

内部昇進ではなく、通信系企業のルーセント・テクノロジーからスカウトされた外部人材で、しかも HP 初の女性CEOだった。シリコンバレーを象徴するような会社だったが、著者が改革にあたった当時は、大企業化して低迷していた。

すでに18年も前の2006年の話であり旬のテーマではないが、この件については記憶にとどめている人もいることだろう。

著者がHPで行った改革は、いわゆるカンパニー制の壁を壊し、技術志向の企業文化に営業マインドを植え付けたことにある。

しかしながら、CEO兼取締役会長でありながら、その他の取締役会メンバーと対立、改革が成就する一歩手前だった HP の CEO を電撃的に解雇された著者。本書は、その経緯をはじめて公にしたものだ。 

その意味では、HPという大企業の「企業変革のインサイドストーリー」でもある。

著者は「いちばん難しかったのは、何を書かないかを決めること」だと述べているが、それでも著者の目をとおして書かれた内情は具体的でナマナマしい。 




■あえてチャレンジングな選択をして全身全霊で目の前の仕事に取り組む

原題は、Tough Choices  ー A Memoir  なので、あえて直訳すれば『タフな選択の数々 ー ある回顧録』ということになろう。 

子ども時代の両親との関係から始まり、大学学部時代を経てロースクールを1ヶ月で中退、ようやく見つけたのがローカルの不動産会社の受付の仕事。そこから始まったキャリア人生が回顧される。 

人生はまさに選択の連続である。チャンスの選択肢が複数あるときは、あえてチャレンジングでエキサイティングなものを選び、目の前の仕事に全身全霊で取り組んで結果をだす

その繰り返しの先に、あくまでも結果として現れてきたのが HP の CEO職だったのだ。その意味では、本書はまずビジネスキャリアものとして読むべき回顧録である。



■ビジネスとは直接関係のない専攻が意味をもつ 

スタンフォード大学の学部生時代の専攻が哲学と歴史学であり、その後ビジネススクールでMBAを取得しているだけでなく、学部時代の卒論を「中世の裁判制度と神判」というテーマで書いたこと(*)が、わたしには大いに刺さった。なぜなら、わたしも学部時代の専攻がヨーロッパ中世史で、その後MBAを取得しているから。 

*ただし、この箇所にかんしては、kindle版で原文と対照すると、日本語版の訳文には誤読がある。中世史を専攻した人なら trial by ordeal が「神判」すなわち「神明裁判」であることがすぐにわかるはずだが、訳者にはその素養がないのだろう。神判とは日本でも中世には行われていた「盟神探湯」(くがたち)などのことである。翻訳者と担当編集者に求められるのは、教養というよりも幅広い雑学である


だが、そんなビジネスとは直接関係のない異色のバックグラウンドをもっていたからこそ、人間の幅と深みが培われたのであろう。スティーブ・ジョブズの「リベラルーアーツ」発言を想起させるものがある。 

HP の CEO 時代には、インタビュアーの質問に対して、愛読書をヘーゲル(!)と答えたり、究極のリーダーシップのあり方を老子(!)に求めている。

前者のヘーゲルは、対立する両極をいかに前向きな方向に向かわせるかの正反合の弁証法、後者の老子は、リーダーの存在が感じられなくなるような環境づくりを目指すことを意味している。 

技術志向の強いHPと営業志向の強い Compaq(コンパック)の企業統合にあたって、「企業文化」のすりあわせに時間をかけたことも、またそんな経歴があったからだろう。

企業経営は最終的に数字で判断されるが、数字はあくまでも結果である。ヒトこそがなによりも大事なのだ。 

ただし、歴史ある企業だからといって、その歴史にしがみつくことは、かえって創業者理念の原点を阻害することになるという認識を示している。歴史だけでなく、哲学も専攻していたことが活きている。


■男性ビジネスパーソンも読めば大いに得るものがあるはず

日本語タイトル『私はこうして受付からCEOになった』と、書籍カバーのデザインは、ビジネスウーマンをターゲットに設定したためだろう。

だが、男性読者を遠ざけてしまう結果になってしまう可能性があるとすれば、もったいない話だ。 

創業者一族に生まれたわけでもなく、起業家として立ち上げたのでもない。父親が法学部の大学教授だが、母親は専業主婦という、当時はごく普通の中流家庭に生まれ育った女性が、いかにタフなアメリカのビジネス世界を生き抜いて、しかも技術系ではないのにハイテク業界のトップまでのぼりつめたか、プライベートライフや感情も含めて語ったライフストーリーである。 

だからこそ、女性だけでなく男性も、読んで得るものは多いはずだ。もっと早くその存在を知って、読んでおけばよかったと思う。 


画像をクリック!



<ブログ内関連記事>


・・中世いおこなわれた「決闘裁判」もまた、ある種の「神明裁判」のひとつである



(2025年1月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!

 (2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!

(2020年5月28日発売の拙著です 画像をクリック!

(2019年4月27日発売の拙著です 画像をクリック!

(2017年5月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!








end

2023年2月27日月曜日

書評『安倍晋三回顧録』(安倍晋三、聞き手:橋本五郎、聞き手・構成:尾山宏、監修:北村滋、中央公論新社、2023)― 「いま現在」にそのままつながる「近過去」を振り返る

 


それはそうだろう。非業の死をとげた安倍晋三氏本人にとっても、読者の大半を占めるであろう日本国民にとっても、それは遠い過去の話ではないからだ。現在進行形の歴史にそのままつながっている、つい最近の過去の話だからだ。 

首相という、政治権力においては最終責任者の重圧と孤独大局を見据えながらの日々の意思決定、そしてその背景となった事象や、かかわった内外の人物について、聞かれるままに答えている。よくここまで語っているなという印象だ。けっして声高な主張は行っていない。 

もちろん、自己正当化もあるだろう。だが、聞き手の人たちは、そうとう聞きにくい質問もあえてぶつけている。それらに安倍氏がどう答えているか、それも読みどころであろう。判断は読者が自分で下すべきだ。 

第1次政権が2006年捲土重来を期して復活した2013年から2020年までについて語られている。基本的に時系列に沿って質問が行われている。語り手に記憶を想起させるためには都合がいいのだろうが、テーマが細切れに記述されているので、やや読みにくいのは正直な感想だ。 

3188日という、近代日本の憲政史上最長の在職日数の記録となったが、本人も語っているように、それが目標だったわけではない

いい意味でも、悪い意味でも、厳しい時期を乗り切った日々の積み重ねの結果である。 大記録を打ち立てたスポーツ選手の発言に通じるものがある。

まだまだ記憶のあたらしい日々であり、歴史の審判が下されたという時期ではない。政治学者による聞き書きではないが、ジャーナリストによってオーラルヒストリーとしての「回顧録」(メモワール)が残されたことは不幸中の幸いであったいうべきだろう。 

安倍晋三という首相が好きであれ嫌いであれ、あるいはそのどちらではなくても、じつに興味深い内容の回顧録というべきだろう。 

現時点でこの本を読む人は、おそらくリアルタイムでおなじ空気を吸っていた人たちであろう。だから、自分自身の過去をそれに重ね合わせて読むことができるどういう時代に自分は生きていたのか、という再確認にもなる。 

遠い未来にこれを読む人にとっては、「2000年代最初の20年の日本」を知るための、またとない重要な資料となることであろう。 


画像をクリック!


目 次 
なぜ『安倍晋三回顧録』なのか ー「歴史の法廷」への 陳述書 
第1章 2020 コロナ蔓延 ― ダイヤモンド・プリンセスから辞任まで 
第2章 2003~2012 総理大臣へ!― 第1次内閣発足から退陣、再登板まで 
第3章 2013 第2次内閣発足 ― TPP、アベノミクス、靖国参拝 
第4章 2014 官邸一強 ― 集団的自衛権行使容認へ、国家安全保障局、内閣人事局発足 
第5章 2015 歴史認識 ― 戦後70年談話と安全保障関連法 
第6章 海外首脳たちのこと ― オバマ、トランプ、メルケル、習近平、プーチン 
第7章 2016 戦後外交の総決算 ― 北方領土交渉、天皇退位 
第8章 2017 ゆらぐ一強 ― トランプ大統領誕生、森友・加計問題、小池新党の脅威 
第9章 2018 揺れる外交 ― 米朝首脳会談、中国「一帯一路」構想、北方領土交渉 
第10章 2019 新元号「令和」へ ― トランプ来日、ハメネイ師との会談、韓国、GSOMIA破棄へ 
終章 憲政史上最長の長期政権が実現できた理由 
謝辞 
資料: 安倍政権の歩み 外国訪問先一覧 安倍内閣支持率の推移 選挙結果 
スピーチ: 安倍晋三 施政方針演説/安倍晋三 首相辞任会見 
弔辞: 岸田文雄首相/菅義偉前首相/麻生太郎本首相 
人名索引


著者プロフィール
安倍晋三(あべ・しんぞう)
1954年~2022年。第90代内閣総理大臣、第96代内閣総理大臣。

聞き手
橋本五郎(はしもと・ごろう)
1946年生まれ。読売新聞特別編集委員。読売新聞論説委員、政治部長、編集局次長を歴任。

聞き手・構成
尾山宏(おやま・ひろし)
1966年生まれ。読売新聞論説副委員長。政治部次長、論説委員、編集委員を歴任。

監修
北村滋(きたむら・しげる)
1956年生まれ。読売国際経済懇話会理事長。内閣総理大臣秘書官、内閣情報官、国家安全保障局長・内閣特別顧問を歴任。


<参考サイト>



<ブログ内関連記事>







(2023年8月28日 情報追加)


(2025年1月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!

(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!

 (2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!

(2020年5月28日発売の拙著です 画像をクリック!

(2019年4月27日発売の拙著です 画像をクリック!

(2017年5月19日発売の拙著です 画像をクリック!

(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどう
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!







end