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2010年12月3日金曜日

「就活生」はもっと中小企業に目を向けるべき-「就活生」と中小企業とのあいだに存在するパーセプション・ギャップを解消せよ!



大企業だけが職「場」じゃない!

 今年2010年の「就活」戦線は、かつてないほどの最悪の状況であるという。すでに20歳台前半の若年層の失業率は 9%台に達している。これは高卒だけでなく、大学卒業予定の男女ともに共通していることだ。

 このブログで書評を書いた『失われた場を探して』は、基本的に最終学歴が「普通科高校の男子」というカテゴリーが、現在もっとも就職できずに、ニートやフリーターとして、社会を浮遊していることを指摘している。

 若者を浮遊させずに、うまく仕事の「場」に軟着陸させること、これは日本社会を安定させるうえで、もっとも重要な政策課題になることはいうまでもない。

 「大学卒業の男女」も「普通科高校の男子」と同じような状態になりつつある。これはたいへんなことだ。


「就活生」と中小企業とのあいだに存在するパーセプション・ギャップを解消せよ!

 かつて、自らが中小企業の取締役経営企画室長として、人事管理全般と採用活動までかかわった経験から、中小企業と大企業の違いについて、いくつか指摘をしておきたい。

 「就活」活動がうまくいかない理由にはいくつかの理由があるが、労働市場における需給ギャップだけが原因ではない
 一言でいえば、就活生と企業のあいだに存在するパーセプション・ギャップ(=認識ギャップ)のほうがはるかに大きいと思われる。

 大企業イコール安全という「安心」意識が、時代の状況とはズレていることに、就活生本人だけでなく、保護者が気がついていないことが大きい。就活生が世の中を知らないのは仕方がないとしても、母親である専業主婦の認識が、自分が家庭に入る以前の20数年前のものであることに気づいていないことが、就活生の意志決定に悪しき影響を及ぼしている。1990年代の企業と職場の大変化についての実感がないのが問題である。

 また、大企業と中小企業は、量的な規模の違いもさることながら、質的にも大きな違いがあることを多くの人が知らないということも大きい。従業員一人一人に、経営者の目が届く範囲内の規模である中小企業と違って、大企業では個人の能力を発揮しにくいことは案外知られていないのではないか。

 私の個人的な知り合いにも、名前は出さないが、日本を代表する財閥系巨大メーカーの正社員として勤務している人がいるが、入社以来ずっとある工場に配属されて、ある製品の原価計算をずっと担当している。ものすごく狭い分野のエキスパートではあるが、会社からリストラされても「つぶし」がきかないから、まず転職はムリだろう。こんな人になってしまう可能性が大企業にはある。

 それに比べて、中小企業は規模も小さいのでブランド力は小さいが、かなり若いうちからいろいろ任されるので責任も重い反面、権限も与えられるのでやりがいははるかに大きい。しかも一人で何役もこなさなくてはならないので、もし会社に何かあったとしても、外の世界でやっていくことも不可能ではない。

 中小企業では、そもそも最初から優秀な人材が簡単に入社してくれるなどとは考えもしないから、縁あって入社した人間をなんとか使い物になるようにしつけて育てる、という姿勢がまだまだ強い。新卒入社の人間に、即戦力など求めるはずがないのだ。

 ただし、中小企業とベンチャーは区別して考えたほうがよい。ベンチャーでもしっかりした考えをもった経営者が率いるものであれば、たとえ人使いは荒くても、いずれ独立するための自己鍛錬の場として見なせば在籍する価値はある。しかし、必ずしもそうではないので、ベンチャーに勤務する際には、完全な自己責任が問われる。
 もちろん、中小企業も経営者次第であることはいうまでもない。


「汝自身を知れ」-自分をよく知ることで道は開ける

 就活生に求められるのは、自分が大企業向きなのか、中小企業向きなのか、ベンチャー向きなのかなど、自分自身の適性をよく知ることである。他人との比較ではない「自分」が分かっていれば、意味のない背伸びはする必要がないし、他人の意見に左右されて自分にウソをつく必要もなくなる。

 ある意味では、自分の「身の丈にあった」会社を選ぶことが、社会人になる際にいちばん重要なことではないだろうか。まず、どこでもいいから会社に入ってみること。そして3年間は頑張ってみること。それでも向いていなければ辞めたらいい。
 
 よりよい就職先をもとめて意志決定を先送りし、とりあえず大学院に進学するといったことは、やめておくべきだ。とりあえず、ギリギリまで頑張ってほしい。

 「捨てる神あれば拾う神あり」

 日本国内で仕事がみつからないのから、最初からアジアに出てしまう手もある。固定観念に縛られてはいけないのだ。

 これは体験をつうじて、私がココロの底から確信していることである。
 裏切られやすい「希望」などもたずに、「勇気」をもって道を切り開いていこうではないか!

 このように「就活生」には伝えてあげたいものである。



<ブログ内参考記事>

書評 『この国を出よ』(大前研一/柳井 正、小学館、2010)
・・こういう生き方もある。いったん国外に出て。それから国内に戻るという手もある。

書評 『失われた場を探して-ロストジェネレーションの社会学-』(メアリー・ブリントン、池村千秋訳、NTT出版、2008)
・・「普通高校卒男子」の苦境についての社会学的研究

自分のアタマで考え抜いて、自分のコトバで語るということ-『エリック・ホッファー自伝-構想された真実-』(中本義彦訳、作品社、2002)
・・重要なのは「勇気」。とかく裏切られやすい「希望」などいっさいもたないこと。