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2018年7月19日木曜日

書評 『チベットに舞う日本刀-モンゴル騎兵の現代史-』(楊海英、文藝春秋、2014)-モンゴルは現在に至るまで「分断民族」となっているという事実を直視せよ!


『チベットに舞う日本刀-モンゴル騎兵の現代史-』(楊海英、文藝春秋、2014)を読んだ。長らく積ん読状態だったが、ようやく読むことにしたのだ。

読んでみて、じつに読み応えのある好著だと感じた。モンゴル現代史だけでなく、日本近現代史、中国現代史とチベット現代史に関心のある人にとっても読むべき本だと確信する。 

著者の楊海英(よう・かいえい)氏は、現在は中国領となっている南モンゴル(かつて内蒙古と呼ばれていた地域)出身のモンゴル人の人類学者。モンゴル名はオーノス・チョクト、日本名は大野旭。現在は日本国籍を取得、日本語で著作を旺盛に執筆、司馬遼太郎賞の受賞者でもある。 

この本は、そんな著者が描いたモンゴル現代史である。ビルマ(=ミャンマー)やベトナム、インドネシアなどの東南アジア諸国は、英国やフランス、オランダといった西欧諸国の植民地からの独立を戦ったが、モンゴルの場合は西欧ではなく中国からの独立を戦ったのである。民族の英雄チンギスハーンの時代から700年、かつての栄光ははるか遠く、モンゴル民族は少数民族として圧迫されていた。 

そんなモンゴル民族にとって「近代化」のモデルとなったのが、ユーラシア大陸の西からやってきたロシア(=ソ連)と、アジアではいち早く近代化を達成した日本(=大日本帝国)であった。圧迫された少数民族にとっての悲願は、「民族自決」による独立達成であった。 

ソ連の影響下で独立を達成したのが北モンゴル(=外蒙古)のモンゴル人民共和国で、ソ連についで世界で二番目の社会主義国となった。この件については、『草原の革命家たち』(田中克彦、中公新書、1973)という知られざる名著に活写されている。ソ連崩壊後にはモンゴル国となり、日本の大相撲の力士を多数輩出していることは周知のとおりだ。 

南モンゴル(=内蒙古)もまた北モンゴルにならって独立達成に向けて奮闘、将来のモンゴル民族統一を目指していた。

騎馬遊牧民族のモンゴル人は、日露戦争で大きな活躍を成し遂げた、秋山好古率いる日本陸軍の近代騎兵に着目し、陸軍士官学校への留学を通じて、近代化されたモンゴル騎兵が再生することになる。



その舞台となったのが帝国陸軍の習志野騎兵学校であり、第1部第1章のタイトルが「青春の習志野」となっているのはそのためだ。この点は、船橋市や八千代市を含めた「広域の習志野」の住民としてはうれしい限りだ。 現在の陸上自衛隊習志野駐屯地は、第一空挺団の本拠地であり、基地内には「日本騎兵之地」の石碑がある。

その後、日本の大陸進出によって創り出された満洲国で、モンゴル騎兵を育成するための興安軍官学校が設立され、日本の影響圏のなかで多くのモンゴル人騎兵が育成されることになる。日本の大陸進出の野心と、民族自決を目指すモンゴル人の意図が合致したのであった。しかしながら、それは同床異夢ではあったが・・。 

1939年のノモンハン戦争(=ハルハ河戦争)は、日本軍とソ連軍との激突であったが、日本側とソ連側の双方でモンゴル人将兵が対峙することになった。まことにもって「分断民族」の悲劇としかいいようがない。日蒙二世の青年を主人公とした安彦良和氏の傑作歴史冒険活劇マンガ『虹色のトロツキー』に活写されているとおりだ。

しかも、「五族協和」を謳った満洲国においては、モンゴル人だけが優遇されることはなく、不倶戴天の敵である中国人と対等の扱いを強いられた。日本人による統治方針とモンゴル人の願望とのズレが拡大していったのだ。民族自決を目指していたモンゴル人の日本への不満が高まっていく。 

日本の敗戦によって日本が大陸から撤退すると、南モンゴルは最終的に中国共産党の支配下に組み込まれる。大戦後の戦後構想を取り決めた「ヤルタ会談」(1945年)において、当事者であるモンゴル人不在のまま、大国間の密約によって南モンゴルは中国の勢力圏と決められたからである。 

そして、1949年の中華人民共和国成立後、モンゴル騎兵も人民解放軍に組み込まれることになる。毛沢東は、モンゴル騎兵の実力を熟知しており、最大限に利用しようと考えていた。 

モンゴル騎兵が実戦に投入され功績をあげたのは、1958年から1960年にかけて実行された「チベット侵攻」である。これが、本書のタイトルである『チベットに舞う日本刀』ということになる。モンゴル騎兵は、中国共産党の傭兵として利用されたのだ。 

抵抗勢力とみなされたチベット民族に振り下ろされたモンゴル騎兵の日本刀、おなじチベット仏教を信仰するチベット人に対する殺戮行為は、モンゴル人にとっては悔やんでも悔やみきれないものとなる。チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマのダライは、海(=大草原)を意味するモンゴル語なのである。 

毛沢東は、伝統的な中国人の異民族支配の手法である「夷(い)をもって夷(い)を制す」を実践したのである。自ら手を下すことなく、漢人にとっての異民族であるモンゴル人にチベット人制圧を行わせたのである。この事実は、この本を読むまで知らなかった。チベット侵攻自体が非難すべきだけでなく、モンゴル騎兵が絡んでいたとは・・。

中国共産党がなすことは、じつに極悪非道としかいいようがない。 

チベット侵攻においてモンゴル騎兵の実力を知り抜いた毛沢東は、諸刃の剣であることを認識しており、文化大革命時代には反乱の目をつむためにモンゴル騎兵を解体モンゴル民族の虐殺を開始する。一説によれば10万人規模のモンゴル人が殺されたのだという。まさにジェノサイドである。チベット人やウイグル人だけではない、モンゴル人もまた抹殺対象となり、土地を奪われていったのである。 

ソ連の影響下で辛酸をなめることになったとはいえ、北モンゴルは独立を獲得し、現在に至るまで独立を確保できているのに対し、南モンゴルは現在に至るまで中国共産党による圧政のもとに、民族固有の生活習慣や文化を否定され、苦しんでいる。 

日本人の認識においては、ドイツとベトナムが統一したあと、朝鮮民族が最後の「分断国家」と認識されているようだが、アジアではモンゴル民族がいまだに「分断民族」のままとなっていることを認識しなくてはならない。 



その意味では、モンゴル現代史やチベット現代史、中国現代史に関心のある人だけでなく、アジアの現状に関心のある人は、読むべき本であると思うのである。

本書の姉妹編である『日本陸軍とモンゴル-興安軍官学校の知られざる戦い-』(中公新書、2015)とともに読むことをすすめたい。










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■満蒙時代の南モンゴル(=内蒙古)

「赤羽末吉スケッチ写真 モンゴル・1943年」(JCIIフォトサロン 東京・半蔵門)に立ち寄ってきた(2016年6月18日)-絵本作家の赤羽末吉が撮影した戦前の内蒙古

『スーホの白い馬-モンゴル民話-(日本傑作絵本シリーズ)』(大塚勇三・再話、赤羽末吉・絵、福音館書店、1967)-「良質な絵本」もまた大事にしていくべき「昭和遺産」だ

書評 『回想のモンゴル』(梅棹忠夫、中公文庫、2011 初版 1991)-ウメサオタダオの原点はモンゴルにあった!

書評 『ノモンハン戦争-モンゴルと満洲国-』(田中克彦、岩波新書、2009)-もうひとつの「ノモンハン」-ソ連崩壊後明らかになってきたモンゴル現代史の真相

書評 『帝国陸軍 見果てぬ「防共回廊」-機密公電が明かす、戦前日本のユーラシア戦略-』(関岡英之、祥伝社、2010)-戦前の日本人が描いて実行したこの大構想が実現していれば・・


■チベット問題

「チベット・フェスティバル・トウキョウ 2013」(大本山 護国寺)にいってきた(2013年5月4日)

「チベット蜂起」 から 52年目にあたる本日(2011年3月10日)、ダライラマは政治代表から引退を表明。この意味について考えてみる
映画 『ルンタ』(日本、2015)を見てきた(2015年8月7日)-チベットで増え続ける「焼身」という抗議行動が真に意味するものとは


    ■習志野と馬・騎兵

陸上自衛隊「習志野駐屯地夏祭り」2009に足を運んでみた

「下野牧」の跡をたずねて(東葉健康ウォーク)に参加-習志野大地はかつて野馬の放牧地であった






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2018年7月17日火曜日

JBPress連載コラム第30回目は、「ベルギーは「トラピストビール」もストロングだった-「都会的でオシャレ」だけではないベルギーのビール文化」(2018年7月17日)


JBPress連載コラム第30回目は、「ベルギーは「トラピストビール」もストロングだった-「都会的でオシャレ」だけではないベルギーのビール文化」(2018年7月17日) ⇒ http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53554

1カ月に及んだ「2018年FIFAワールドカップ・ロシア大会」が7月15日に終了した。ベスト16に終わった日本は、4年後の2022年カタール大会に向けた取り組みを開始する。 

今大会の優勝国はフランス。日本が決勝トーナメントで惜敗した対戦相手のベルギーにはぜひ優勝してほしいと願っていたが、決勝進出はフランスに阻まれた。さすがフランスは強かった。ベルギーは最終的に3位となった。 

今回はそんなベルギーについて、ビールという食文化を中心に考えてみたいと思う。


(ブリュッセルのカフェにて筆者撮影)

日本で普及し始めてから20年近く経つのだろうか、ベルギービールはすっかり都会的でオシャレなイメージが定着した。だが深掘りすれば、いろいろと面白い側面が見えてくることだろう。(以下略) 

つづきは本文にて http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53554








<ブログ内関連記事>


『ベルギービール大全』(三輪一記 / 石黒謙吾、アートン、2006) を眺めて知る、ベルギービールの多様で豊穣な世界

in vino veritas (酒に真理あり)-酒にまつわるブログ記事 <総集編>

修道院から始まった「近代化」-ココ・シャネルの「ファッション革命」の原点はシトー会修道院にあった

コンラッド『闇の奥』(Heart of Darkness)より、「仕事」について・・・そして「地獄の黙示録」、旧「ベルギー領コンゴ」(ザイール)






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2018年7月9日月曜日

残りの人生であと何台のPCを使い倒すことになるのか?


先週のことだが、ノートPCが壊れた。ついにWindowsが立ち上がらなくなったのだ。HDDが死んだようだ。

幸いなことに、重要なデータは事前にバックアップを取っていたが、新しいPCを購入する羽目に。

スマホだけでは当然のことながら仕事に支障が出る。商売道具だからね。やはりPCでないと文書作成などもろもろの作業は面倒くさい。しかも、windows7のサポートがそう遠くないうちに終わると脅かされているしね。じゃあ、いっそのこと、この機会にwindows10の新品に買い換えるか、というわけで、日曜日に新品のPCを購入することにした。

今回も Toshiba の dynabook にした。前回はじめて使ってみて、大いに気に入ったからだ。企業としての東芝は大きな問題を抱えていたが、製品そのものとは別に考えるべきだろう。

こだわりは CPU、intel Core i7 搭載のモデルにした。前回はCore  i5 であったから、少なくとも同等以上のものにはしたい。画像編集や動画編集のことを考えると、CPUにはこだわりたいのだ。

いままでの人生で、いったい何台のPCを使い倒してきたことか。一つのモデルで3~5年は使うとすると、残りの人生であと何台のPCを使い倒すことになるのか? なんて考えてみたりもする。

人生は有限だ。だが、テクノロジーは進化していく。


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書評 『テヘランからきた男-西田厚聰と東芝壊滅-』(児玉博、小学館、2017)-研究者の道を断念してビジネス界に入った辣腕ビジネスマンの成功と失敗の軌跡

ハイテク界の巨人逝く(2016年3月21日)-インテル元会長のアンドリュー・グローヴ氏はハンガリー難民であった

「クラウド」のほうが便利で安全だ!-『クラウド「超」仕事法-スマートフォンを制する者が、未来を制する-』(野口悠紀雄、講談社、2011)のキモはそこにある

「人間五十年 化天のうちを比ぶれば 夢幻の如くなり」(織田信長)-五十年を生きることのなかった信長、そして敦盛と直実を思う

(2018年7月19日 情報追加)




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2018年7月5日木曜日

クラゲを英語で jellyfish というわけ-クラゲは円盤状で弾力性のある透明なゼラチン質のかたまり

(波打ち際に打ち上げられたクラゲ 筆者撮影)

本日、ひさびさに海を見たくて海を見に行ってきた。東京湾内の三番瀬。千葉県船橋市のビーチ。潮が引いて干潮の状態だ。

波打ち際に打ち上げられている物体X。直径25cmくらいの円盤状。靴先でひっくり返してみると、弾力的でけっこうな質感のある透明なゼラチン質のかたまり。 

クラゲだな! まだ7月なのに、もうはやクラゲか!


(船橋市の三番瀬は東京湾内 筆者撮影)

円盤状で、弾力性のあるゼラチン質のかたまりがクラゲ。英語で jellyfish というのは、なるほどと思う。透明なゼリーのようだからだ。

そもそもクラゲには骨がない。だからサカナではない。だが、英語の fish はサカナとは限らない。水生生物一般を指した表現だ。


(波打ち際に打ち上げられたクラゲ 筆者撮影)

クラゲは古事記にも登場する大和言葉の日本語。漂うことを示した表現として使われている。これに対して jellyfish は、まったく詩的ななニュアンスがない即物的な表現。

この違いが興味深い。



 



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Study nature, not books ! (ルイ・アガシー)

猛暑の夏の自然観察 (3) 身近な生物を観察する動物行動学-ユクスキュルの「環世界」(Umwelt)





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2018年7月3日火曜日

JBPress連載コラム第29回目は、「ロシアの「飛び地」に見る国境線のうつろいやすさ-Wカップの舞台となったカリーニングラードの歴史」 (2018年7月3日)


JBPress連載コラム第29回目は、「ロシアの「飛び地」に見る国境線のうつろいやすさ-Wカップの舞台となったカリーニングラードの歴史」 (2018年7月3日) ⇒ http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53449

2018年FIFAワールドカップ ロシア大会の「決勝トーナメント」で使用される会場は、ファイナルとセミファイナルで使用されるモスクワ、3位決定戦とセミファイナルで使用されるサンクトペテルブルクのほか、ニジニ・ノヴゴロド、カザン、ソチ、サマーラ、ロストフ・ナ・ドヌの7都市である。 

H組で2位となり決勝トーナメントに進出した日本がベルギーと対戦したのがロストフ・ナ・ドヌのスタジアムである。残念ながら、2-3で逆転負けしたため、悲願のベスト8進出は今回もかなわなかった。

前回のコラム(=「JBPress連載コラム第28回目は、「ワールドカップ日本代表はどんな都市で戦うのか? サランスク、エカテリンブルク、ヴォルゴラードの歴史を知る」 (2018年6月19日)では、日本代表チームが戦ったサランスクとエカテリンブルク、ヴォルゴグラードを取り上げたが、この3都市は予選リーグのみの使用である。じつは予選リーグでのみ使用されたスタジアムのある都市はもう1つある。それはカリーニングラードだ。

サッカーに限らずスポーツというものは、どうしても試合結果にのみ注目されがちだ。試合会場が立地する都市にまで関心が向かわないだろうが、前回に引き続き今回もあえて取り上げてみることにしたい。 

というのも、カリーニングラードは、日本ではあまり知られていないかもしれないが、欧州に取り残されたロシアの「飛び地」なのである。(以下略) 

つづきは本文にて http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53449






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JBPress連載コラム第28回目は、「ワールドカップ日本代表はどんな都市で戦うのか? サランスク、エカテリンブルク、ヴォルゴラードの歴史を知る」 (2018年6月19日 

TOKYO FM の「タイムライン」(2018年6月13日放送)の特集 「ロシアは19世紀に
戻るのか。プーチンにつながる専制政治」にゲストでナマ出演


JBPress連載コラム第22回目は、「日本は専制国家に戻るロシアを追い詰めてはいけない-「東洋的専制国家」の中国とロシア、その共通点と相違点」(2018年3月27日)






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2018年6月29日金曜日

書評 『帝国自滅-プーチン vs 新興財閥-』(石川陽平、日本経済新聞出版社、2016)-ロシアを政治や軍事だけで判断するなかれ。基本は経済であり財政だ


『帝国自滅-プーチンvs新興財閥-』(石川陽平、日本経済新聞出版社、2016)を読んだ。なかなかインパクトのあるタイトルであり、内容的にも読み応えもあった。 

ロシアというと、2024年まで四半世紀にわたって続くことになるプーチン大統領の強権体制や、ウクライナ問題やクリミア半島併合など軍事面だけが報道されがちだが、基本は経済であり財政だということをあらためて感じさせてくれる内容だ。 

日本経済新聞の記者としてモスクワ支局に2000年から4年間、2010年から5年間と合計約9年間駐在したロシア通の著者が、ソ連崩壊後に出現したオリガルヒ(=寡占資本家という財閥)による「略奪資本主義」から「国家資本主義」への移行を2つの大きな経済事件を中心に描いたものだ。 

ロシアにおいては経済は政治と直結している。したがって、経済事件は政治事件でもある。その意味で最大の経済事件は、石油財閥であったユーコスの総裁でオリガルヒ(=寡占資本家)のホドルコフスキー逮捕と収監、そしてユーコス解体とガス・石油業界の国家独占体制への移行であろう。 

ユーコス事件は、英米の英語メディアを中心に日本でも比較的大きく取り上げられていたので、おおよそのことは知っていたが、この本で初めて詳しく知ったのが石油会社バシネフチ事件だ。 

ユーコス事件とバシネフチ事件の背景には、ロシア経済の根幹をなす石油とガスという基幹産業(・・ソ連崩壊から30年近く経つのに、資源依存経済に改善のきざしがないどころか、まずます依存を強めている)がある。プーチンはオリガルヒ(=寡占資本家)たちを屈服させ、石油業界の国家管理という「国家資本主義」の道を突き進み、それに成功を収めたわけである。 

メディア報道では軍事が突出しているかに見えるロシアだが、経済や財政から見ると勢いがあるとはとても言えない状況だ。財政状況が悪化すれば軍事も維持はできない。ロシアが謀略やサイバー戦争に注力するのは、カネがないからと考えることもできなくはないのではないか? 

ちなみに、おなじく「国家資本主義」を採用しているのが中国だが、GDP規模からいっても、製造業やIT産業など産業の多様化からいっても、ロシアと中国を同列に論じることができない。一人あたりGDPではほぼ同じだが、GDPでは中国はロシアの9倍(!)に膨張している。ロシアのGDPは韓国とほぼ同じだ。 この本の出版後の2018年にプーチン大統領は再選されたが、クリミア問題やウクライナ問題が原因でロシアが自ら招いた経済制裁によって、ますます追い詰められる状況にある。 

我慢強いロシア人のことだからなんとか持ちこたえるだろうが、国際市場価格に左右されやすい石油とガスに依存した経済の脆弱性は、著者が指摘するとおりである。ロシアの浮沈は石油価格とガス価格にかかっているのである。 

2024年が近づくにつれて、「プーチン後」をにらんだ権力闘争が激化していくことも十分に予想される。ふたたびロシアが不安定化する可能性も少なくはない。長期投資には慎重になるべきだろう。 

本の内容にからめて個人的な感想を書いてみたが、1990年代の終わりに石油業界にかかわり、しかも1998年と1999年にはロシアに出張して、極東地域とモスクワの石油会社や投資会社、連邦政府など訪問したことのある私には、たいへん興味深い内容であった。 

ロシアに関わっている人、関わったことのある人でなければ、はっきりいって面白くもなんともない内容の本だろう。だが、経済を中心に見たロシア本が意外に少ないので、関心のある人にとっては読むに値する本だといえよう。






目 次 

まえがき 
序章 不毛な15年戦争  
第1章 皇帝プーチン vs 石油王  
 1 ロシア版メジャー計画   
 2 ユーコス社長逮捕   
 3 ユーコス解体   
 4 石油王の釈放と新たな闘い

第2章 石油支配の完成  
 1 バシネフチ事件   
 2 バシネフチ再国有化 
第3章 落日の寡占資本家  
 1 プーチン政権のエージェントかそれとも敵か   
 2 オリガルヒの苦しい胸中 
第4章 帝国の衰退  
 1 出口なき経済悪化 

 2 元凶は「国家資本主義」 
 
参考文献 
あとがき




著者プロフィール
石川陽平(いしかわ・ようへい)
1966年生まれ。92年早稲田大学大学院修士課程修了(露文専攻)、同年日本経済新聞社入社。経済部、国際部、モスクワ支局、消費産業部、モスクワ支局長を経て2015年より日経ヴェリタス編集部次長。その間、モスクワ国立国際関係大学留学。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)



<ブログ内関連記事>

JBPress連載コラム第28回目は、「ワールドカップ日本代表はどんな都市で戦うのか? サランスク、エカテリンブルク、ヴォルゴラードの歴史を知る」 (2018年6月19日)

JBPress連載コラム第22回目は、「日本は専制国家に戻るロシアを追い詰めてはいけない-「東洋的専制国家」の中国とロシア、その共通点と相違点」(2018年3月27日)

書評 『「東洋的専制主義」論の今日性-還ってきたウィットフォーゲル-』(湯浅赳男、新評論、2007)-奇しくも同じ1957年に梅棹忠夫とほぼ同じ結論に達したウィットフォーゲルの理論が重要だ

書評 『ならず者の経済学-世界を大恐慌にひきずり込んだのは誰か-』(ロレッタ・ナポレオーニ、田村源二訳、徳間書房、2008)-冷戦構造崩壊後のグローバリゼーションがもたらした「ならず者経済」は、「移行期」という「大転換期」特有の現象である

書評 『自由市場の終焉-国家資本主義とどう闘うか-』(イアン・ブレマー、有賀裕子訳、日本経済新聞出版社、2011)-権威主義政治体制維持のため市場を利用する国家資本主義の実態

書評 『世界史の中の資本主義-エネルギー、食料、国家はどうなるか-』(水野和夫+川島博之=編著、東洋経済新報社、2013)-「常識」を疑い、異端とされている著者たちの発言に耳を傾けることが重要だ





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