Bloomberg BusinessWeekって・・・えっ、知らないうちに BusinessWeek は Bloomberg の傘下に入っていた。これは驚きだ。
米国のメディア界では活字メディアの再編が大規模に進んでいるなあ。そういえば、Wall Street Journal も メディア王ルパート・マードック(Rupert Murdoch)がオーナーになっている。
私は、米国でM.B.A.取得してからずっと BusinessWeek を読んできたが(ここ数年は The Economist しか読んでないが・・)、メルマガのサービスだけは利用している。紙媒体は読んでいないが、ウェブ版は時折みているのだが、ある日気がついたら、Bloomberg BusinessWeek となっていたわけなのだ。
最初は、ん?と思ったがとくに気にとめずやり過ごしていたが、3週目だろうか、気になってネットで調べてみたら、やはり BusinessWeek誌は、Bloomberg に買収されていたのである。
BusinessWeek のサイトにこういう記事が掲載されている。
Bloomberg Wins Bidding For BusinessWeek
Posted by: Tom Lowry on October 13
Bloomberg LP, the global financial data and news empire created by New York City Mayor Michael R. Bloomberg, is the winning bidder for BusinessWeek.(以下省略)
興味があれば全文読んでみたらいいいと思う。
Bloomberg LP の LP とは、Limited Partnership のこと。英米法において、2名以上の自然人または法人が営利を目的に共同して事業を営む事業体をいいい、日本法でいう匿名組合に近い。
紙媒体(プリントメディア)はどこも厳しい状況にある。日本でも先日、愛読してきた「フォーサイト」が休刊宣言したばかりだ。
ビジネス専門誌と金融情報専門通信社が合体すれば、同じくビジネス情報を扱っているので、間違いなくシナジー効果は大きいと考えられる。
ブルームバーグ(Bloomberg)といえば、そのむかし金融機関系コンサル会社にいたとき、金融専門の通信社ブルームバーグの金融データをリアルタイムで見ることのできる専用モニターが入ったのを覚えているが、その頃はまだブルームバーグの日本進出が始まったばかりであった。
現在ではブルームバーグ・ニュースは、ウェブでも情報配信しているのでご存じの方も多いだろう。
創業社長のマイケル・ブルームバーグはニューヨーク市長になって一般社会での知名度も上がったいる。起業が大成功し、巨万の富を稼いだ結果である。
ところで、ブルームバーグ(Bloomberg)というのは、アシュケナジームのユダヤ系なんだが、この名字は実に面白い。Bloom(または Blum あるいは Blumen) はドイツ語で花、Berg は同じくドイツ語で山、つまり二つ合わせて「花の山」ということになる。
「花の山」ってなんか聞いたことあるよね。
そう、「人のゆく 裏に道あり 花の山」。有名な相場の格言だ。
人と同じことをやっていたのでは成功しないという意味。逆張りのすすめ、である。だから、ブルームバーグ(=花の山)というのは、まさに証券業界にうってつけの名前なわけなんだな。
マイケル・ブルームバーグはユダヤ系の投資銀行ソロモン・ブラザーズでパートナー(共同経営者)まで上り詰めた人なんだが、ブルームバーグの自伝によれば、ある日突然クビをいいわたされるという屈辱を味わっている。
その悔しさをバネに自分で起業し、大成功を収めたというサクセス・ストーリーなわけだ。
『メディア界に旋風を起こす男-ブルームバーグ-』(マイケル・ブルームバーグ、荒木則之監訳、東洋経済新報社、1997)として、ブルームバーグ社の日本進出にあわせて、日本語版が出版されていた。現在は絶版のようだが。私もすでに処分してしまったので手元にはない。
ユダヤ人の人名については、Kaganoff, Benzion C. A Dictionary of Jewish Names and Their History, Jason Aronson Inc., 1996 という本が面白くて役に立つ。
ブルームバーグの両親はポーランド出身とのことだから、ドイツ語というよりもイディッシュ語なんだろう。イディッシュ語はドイツ語にヘブライ語などまぜたものだから、同じようなものと考えていいだろう。
またまた話は変わるが、マンガ家・西原理恵子の『西原理恵子の太腕繁盛記-FXでガチンコ勝負!編-』(西原 理恵子、新潮社、2009)というマンガは、FXの成功&失敗をリアルタイムで描いたマンガだ。
全編カラーでサイバラ節が炸裂しているが、FXとは「外国為替証拠金取引」のこと。FX は Foreign Exchange(外国為替、略して外為(がいため))のことで、リーマンショックの直前まで、素人が主婦も含めて大量に、海外通貨取引に手を染めていたわけだ。
このマンガは、そのリアルタイムの体験記だが、終わりのほうでは「わけいっても わけいっても 青い山」という句を引用したマンガがでてくる。
これはいわずもがな、山頭火だね。種田山頭火(たねだ・さんとうか)、放浪の俳人。FX会社の社長・青山ポンタ浩に引っかけているギャグだ。
青い山とは、「人間(じんかん)至る所青山(せいざん)あり」の青山。つまり墓場ということ。どこにでも骨を埋めることができる、という男の心構えである。 東京に青山墓地というのがあるが、その意味において、この青山墓地というのはトートロジー(同語反復)である。
まあ、「青い山」より「花の山」のほうが、証券業界がらみなら、間違いなく儲かりそうだな。
社長が青山、というのはサイバラの敗因の一つかも知れないな。これはもちろん冗談だが。青山さんすみません。
コーヒーの銘柄なら、ブルー・マウンテン(=青い山)はたいへん美味いのだが・・(笑)
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書評 『この世でいちばん大事な「カネ」の話』(西原理恵子著・装画・挿画、理論社、2008)-カネについて考えることはすごく大事なことだ!
書評 『マネーの公理-スイスの銀行家に学ぶ儲けのルール-』(マックス・ギュンター、マックス・ギュンター、林 康史=監訳、石川由美子訳、日経BP社、2005)
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