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2020年12月30日水曜日

書評『タルピオット-イスラエル式エリート養成プログラム』(石倉洋子/ナアマ・ルベンチック、トメル・シュスマン監修、日本経済新聞出版社、2020)-「スタートアップ・ネーション」の秘密

 

イスラエルが「スタートアップ・ネーション」であることは、いまや日本のビジネスパーソンにとっても「常識」となっていると思うが(・・まだその認識のない人は時代遅れですよ!)、なぜイスラエルがそうなったのか、そのイスラエルではどのような教育システムが行われているのか、手っ取り早く知るには好著である。 

そのカカギが本書のタイトルになっている「タルピオット」(Talpiot)にあるというのは、本書のテーマである。 

周囲を敵に囲まれているイスラエルが徴兵制の国で、しかも男女ともに兵役義務がある(男子は3年、女子は2年。さらに予備役も)ことも「常識」だと思うが(・・同様の環境にあるシンガポールも徴兵制だが、兵役義務は男子のみ)、国防軍(IDF)がハイテクベンチャーの起業家養成のゆりかごとなっている。サイバー諜報部隊の「8200部隊」が、イスラエルを世界最先端のセキュリティ技術国としている。 

じつは私もこの本をリアル書店でも見つけるまで「タルピオット」については知らなかった。

「タルピオット」とは、1979年に開始された、兵役期間中に実行される「エリート養成プログラム」である。高校卒業後の18歳から3年間訓練が行われる。 軍事訓練を行いながら徹底的な理工系の教育とリーダーシップ・トレーニングが行われる訓練コースだ。4人に1人が脱落する厳しさだという。

だが、そんな過酷な訓練をクリアした卒業生たちの連帯感が強いのは当然だろう。訓練終了後は6年間の兵役義務があるが、この人間関係が、つぎからつぎへとハイテク・ベンチャーを生み出す源泉となっているのだ。 

詳しくは本文を読むとわかるが、なるほどこれはすごい教育だなと思う。徹底的に自分のアタマで考えて考え抜き、しかも仲間と徹底的な議論をつうじ、協同して問題解決にあたる濃縮された環境どんな状況にあっても、未来を切り開いていくイノベーション力が培われるのは当然だ。 

日本も昔はそういう側面があったと思うのだが、甘ったれた「ゆとり教育」の普及でダメになってしまっているような気がしてならない。もちろん、日本とイスラエルとでは、おかれている条件も違うが、18歳という若くて可塑性の高い時期に、濃縮された教育訓練を行うことの意味は、強調しても強調しすぎることはない。 

とかく易きに流れがちな現在の日本社会だが、「コロナ後」の世界では、自分を律して、自分に厳しい態度で生き抜いていく必要があると思うのである。 


 



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2020年12月29日火曜日

映画『声優夫婦の甘くない生活』(2019年、イスラエル)を見てきた(2020年12月29日)-中高年になってからの移民は大変だ

 
第3波の「コロナ下」ではあるが、たまには外出もかねて外で映画を見る。

本日(2020年12月29日)見たのは『声優夫婦の甘くない生活』(2019年、イスラエル)。ヒューマントラストシネマ有楽町にて。イスラエル映画を見るのはひさびさだ。 

イスラエル映画だが、セリフのほとんどがロシア語。というのは、この映画はソ連崩壊後の1991年に旧ソ連(=ロシア)からイスラエルに移民してきた、ロシア系ユダヤ人の中高年カップルのストーリーだからだ。

かれらがイスラエルに来てから学んでいるヘブライ語は、まだまだ初歩の初歩段階。世俗的なユダヤ人なのだろう、ソ連ではイディッシュ語は使っていても、ヘブライ語は使っていなかったようだ。

中高年になってからの新天地移住が、いかに想像以上に大変なことであることか。ソ連時代にやっていた吹き替え映画の声優の仕事は、移民先で見つからないという現実。
(*基本的にヨーロッパでは映画は吹き替えが当たり前。日本みたいに字幕で上映するケースは少ない)。

移民先での定住と、経済的に落ち着くまでの苦労をコミカルに描いた作品だ。日本語タイトルはうまくつけてるな、と思う。
 (*たぶん映画で大きな意味をもつフェリーニがらみだろう。映画では直接言及されないが、フェリーニの代表作の1つが『甘い生活』)。

 映画の時代背景は、ちょうど「湾岸戦争」のまっただ中イスラエル国民全員にガスマスクが配布されていた時代だ。サッダーム・フセインのイラクから、イスラエルにスカッドミサイルが1発撃ち込まれている。このとき私は米国にいたので、このニュースのことは知っていた。日本に帰国後のことだが、放出品のイスラエル製ガスマスクを入手して現在も所有している。
(*米国では、イスラエル関連情報が日本よりはるかに多い)。

戦争が終わった翌年の1992年、私は米国からイスラエルに初めていってみた。大都市テルアビブのストリートでは、ロシア語を耳にしたものだ。当時はマルチチャンネル状態ではなかったので、ホテルで見た唯一の国営放送のニュース番組にはロシア語の字幕がついていた。それほど、旧ソ連からの移民が大量に入ってきた時代だ。 

そんな30年前のことを思い出しながら、この映画を楽しんだ88分。イスラエルのふつうの人たちが、どんな生活をしているのか知ることができる映画でもある。 もちろん、時代背景を知らなくても楽しめる、中高年夫婦のロマンティック・コメディだといえるでしょう。 
(*そういえば、イスラエルといえば、少年少女の恋愛事情を描いた青春映画『グローイング・アップ』シリーズが、ずいぶん昔だけどあったねえ)。 


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2020年12月12日土曜日

新著『世界史で読み解く「コロナ後」の現代』(ディスカヴァー携書、2020)が来る12月18日に発売されます!ー人生初の新書本

 
『世界史で読み解く「コロナ後」の現代』(ディスカヴァー携書、2020)が12月18日に発売されます。出版者は、ディスカヴァー・トゥエンティワン。私にとっては、初の新書本となります。これで、ソフトカバーとハードカバーの単行本、文庫本、新書本と、ほぼすべての判型の著作をもったことになります。

「グローバリゼーションが強制終了した「中世から近世の移行期」を振り返り激動の「新・鎖国時代」の乗り越え方を学ぶ」というコンセプトの世界史の本であり、また自己啓発書でもあります。ビジネス書のフォーマットによる歴史書です。

「目次」は以下のとおりです。

はじめに
第1章 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で「第3次グローバリゼーションが終わった」 
第2章 「第1次グローバリゼーション」がもたらした地球規模の大動乱(16世紀) 
第3章 「第1次グローバリゼーション」の終息(17世紀) 
終章 ビジネスパーソンはグローバリゼーションが終わった「17世紀の世界史」から何を学ぶべきか
終わりに


判型は異なりますが、もちろん『世界史で読み解く「コロナ後」の現代』は独立した書籍として製作されておりますが、前著『ビジネスパーソンのための近現代史の読み方』(2017年)の続編、あるいは姉妹書と考えていただいて問題ありません。

今年は、5月に『ガンディー 強く生きる言葉』、おなじく5月に『超訳 自省録』の中文繁体字版が『超譯 沉思錄』として台湾で発売されており、合計3冊新著が出たことになります。いずれも、新型コロナ感染症(COVID-19)のパンデミック状況を生き抜くために役に立つ内容の本になっているはずだと考えております。
  
『世界史で読み解く「コロナ後」の現代』は、ぜひ冬休みの読書計画に咥えていただきたく思います。



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2020年12月11日金曜日

かの有名な「加曽利貝塚」(千葉市若葉区桜木町)に初めて行ってきた(2020年12月11日)-貝塚として初めての「特別史跡」のは保存活動の長い歴史があった

 
かの有名な「加曽利貝塚」に初めて行ってきた(2020年12月11日)。

「加曽利貝塚」は、千葉県民ならもちろん、関東在住者なら一度は耳にしたことがあるのではないかと思う。加曽利といえば貝塚という連想ができあがっているはずだ。それほど有名な貝塚であり、縄文時代後期の縄文遺跡なのである。

そもそも「加曽利」という名称が珍しい。「加曽利」は当て字であろう。「かそり」というのがもともとどういう意味だか知らないが、他では聞いた事がない地名である。

千葉市若葉区に加曽利町という地名がある。たまたまその近くに用事があったので、ついでに加曽利貝塚までいってみた。

「加曽利って、もしかしてかの有名な加曽利貝塚の?」と自分のなかで自問自答してスマホで検索したら、やはりあの加曽利であった。そんな機会でもなければ、千葉市の住民ではないので行く機会はなかなかないだろう。

(貝塚のある縄文集落の全体像)

加曽利貝塚は、2017年に国の「特別史跡」に指定されている。貝塚としては初めてのことであるという。加曽利貝塚が最初に発見されたのは1907年のことであり、すでに100年以上も前のことになる。

加曽利貝塚は現在では整備された公園になっている。小高い丘の上にあるのは、その他の縄文遺跡とおなじだが、それはかつて「縄文海進」という状況があって、貝塚のある縄文集落の近くまで海が迫っていたからだ。

最終氷期の最寒冷期後(約19,000年前)から始まった海水面の上昇のため、縄文時代には海が陸地を浸食していたからである。現在の千葉湾は貝塚からだいぶ離れているが、それはかつて海だった場所が土砂の堆積によって陸地となっているためである。

(公園内の右奥に「復元集落」を望む)

残念なことに、現在は公園が改修工事中(・・2021年3月末まで)で公園内に入ることができなかった。時間がたっぷりあったわけでもないので、遠目で「復元集落」を見るにとどめた。「北貝塚」には、「竪穴住居跡群観察施設」と「貝層断面観覧施設」もあることはあとから知った。まあ、ここ以外でも多数見てきたのでよしとしよう。

(博物館の入り口)

公園内には、「千葉市立加曽利貝塚博物館」がある。入場無料である。この博物館の展示内容をざっと見て回った。縄文土器が中心だが、なかには「加曽利式」と命名されたタイプもある。このほか、土製品・土偶、貝製品・骨角歯牙製品、石器・石器製品、食料資源などのハ発掘物が展示されている。

(「加曽利式」を含む縄文土器)

加曽利貝塚について知っておくべきなのは、保存のための住民運動の長い歴史である。第2次大戦後の高度成長時代、あわや宅地開発されて破壊されてしまうという瀬戸際にあったのだ。高校教出会った一人の郷土史家が先頭に立って始まったこの運動についても、展示資料で知ることができる。

(石棒や土偶)

いまでこそ、サステイナブルがキーワードになるなど乱開発の時代は終わっているが、開発か保存かという問題は、とくに地価の高い都心部や市街地では、現在でも関係者が大いに苦慮する状況にある。その点、加曽利貝塚は、都心部からはずれているので保存に成功したとは言えるだろう。もちろん、保存活動に携わった方々の熱意には頭を下げなくてはならない。

日本列島の先住民が縄文人であったこともあり、日本列島のどこでも縄文遺跡があるのだが、有名な「大森貝塚」をはじめ、貝塚はとりわけ東京湾周辺に集中しているようだ。個人的には、船橋市海神にある「船橋市飛ノ台史跡公園博物館」のほうがコンパクトにまとまった縄文遺跡と博物館のセットとして好ましく感じているが、規模的には加曽利貝塚は、はるかに大きな集落が保存されている点は特筆すべき点だ。

機会があれば、一度は訪れる価値はあるといえよう。加曽利といえば、貝塚なのだから。だが、加曽利貝塚は千葉市若葉区加曽利町にはない。行政区域としては千葉市若葉区桜木町にある。そこらへんの事情については、どうなっているのだろうか?




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2020年12月7日月曜日

書評『本を売る技術』(矢部潤子、本の雑誌社、2020)-書店員さんは、そこまで考えて日々仕事に取り組んでいるのか!


『本を売る技術』(矢部潤子、本の雑誌社、2020)を読む。タイトルにある「本を売る技術」というのは、リアル書店の店頭という「現場」で本を売る「書店員の仕事」のことだ。

著者は、36年間現場で本を売り続けてきた超ベテラン。デスクワークに変わって時間的余裕ができた著者へのインタビューという形で、「現場」で「本を売る技術」を聞き出したものだ。 

書店員さんは、そこまで考えて日々仕事に取り組んでいるのか! そういう驚きに満ちた一冊だ。 

たとえば、帯にもあるように「なぜ売れる本を(エンド台の)左端に積むのか」というノウハウには、それなりの理由があるのだ。売り場の作り方も含めて、リアル書店の現場で確認したいことが多く語られている。リアル書店に行く際にはぜひ確認したいものだ。

POSデータだけではわからない、リアルの売れ行きを知っているのは書店員さんなのだ。 小売業である書店員さんの仕事は、じつに忙しい。あまりにも忙しい。そんな書店員さんの仕事のすべてを知ることができる仕事本でもある。 

書店員ではなくても、本好きな人にとっては必読書だね。





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2020年12月5日土曜日

映画『セデック・バレ 二部作』(2011年、台湾)をはじめて視聴-誇り高き戦士たちの最後の反乱を圧倒的な映像美で描いた大作

台湾映画『セデック・バレ 二部作』(2011年、台湾)を視聴した。amazon prime video で視聴。会員なら現在は視聴は無料なので、この機会を逃さずに視聴することに(・・気がつかないうちに無料視聴期間が終わったり、リストからはずれている事も多々あるのだ)。

日本による台湾統治が始まってから、なんと35年もたってから発生した先住民の反乱である「霧社事件」(1930年)は、朝鮮統治における「三一事件」(1919年)に匹敵する大事件であった。朝鮮と比較して日本びいきが多い台湾だが、それに甘えることなく、日本人は霧社事件のことはアタマのなかに入れておかねばならない。

『セデック・バレ 二部作』は、この「霧社事件」とそれに至る歴史を、先住民セデック族の視点から描いた作品だ。

内容は、amazon prime video から引用しておこう。

台湾中部の山岳地帯に住む誇り高き狩猟民族・セデック族。その一集落を統べる頭目の子モーナ・ルダオは村の内外に勇名を轟かせていた。1895年、日清戦争で清が敗れると、彼の暮らす山奥にも日本の統治が広がり、平穏な生活は奪われていく。それから35年、頭目となったモーナは依然として... 


誇り高き戦士たちの最後の反乱。滅亡することがわかっていながら、抵抗に踏み切った滅亡の美学。台湾高地に生きる先住民の生活を描いた圧倒的な映像美


俗に「首狩り族」とよばれた先住民たちは、敵対する勢力の首を切り落として持ち帰って、初めて戦士としての入れ墨を顔に入れる名誉を受けることができる。

第一部の冒頭は、主人公による首狩りのシーンであり、第二部の反乱では、日本人の首が次から次へとポンポンと切り落とされる。ある意味、圧巻である。


鎮圧にあたった武闘派の日本陸軍の司令官の、感慨深い日本語のセリフにすべて集約できるだろう。台湾先住民のセデック族は、まさに失われた過去の日本人そのものではないか!

日本のサムライそのもののような先住民セデック族。失った日本をそこに見いだしたのは、後世に生きる日本人だけでなく、同時代の日本人にとってもそうであったのだ。

台湾を知るために、日本人なら絶対に見るべき映画である。


 




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映画『戦狼 ウルフ・オブ・ウォー』(中国、2017年)-「中国版ランボー」が超人的活躍する「愛国エンターテインメント」


 映画『戦狼 ウルフ・オブ・ウォー』(中国、2017年)の日本語字幕版を amazon prime video で視聴。中国で爆発的ヒットした作品だという。 

この映画は、一言で要約してしまえば、「中国版ランボー」が超人的活躍する「愛国エンターテインメント」ということになろう。「ランボー」とは、もちろんシルベスター・スタローン主演映画の主人公のことだ。 

ここのところ、やたら「戦狼外交官」とか「戦狼」を枕詞にした中国共産党の好戦的態度が目につく。その「戦狼」とはいったいなにか? それは、映画『戦狼』からきたものだ。じゃあ、どんな映画か見ておくのも損ではあるまい。 

というわけで実際に視聴してみた。143分の映画は、まさにてんこ盛りで、これはカネかけてるなあ、という感想。ハリウッド映画のいいとこ取りではあるが、エンターテインメントとしては悪くない。最後までハラハラしながら楽しめる。最初から「愛国エンターテインメント」だと割り切って見ていれば、鼻しらむこともあるまい。まあ、そんなもんだろうな、と。 

内容は以下のとおり。amazonのサイトから引用しておこう。 

「アフリカ、マダガスカル海域。一人の男が、海賊に襲われた貨物船を救出した。男の名はレン。元特殊部隊「戦狼」の精鋭だ。とある事件から軍籍を剥奪されたレンは、反政府 勢力に殺害された恋人・ロンの敵を討つべく、この地に渡っていたのだ。しかし、その最中、反乱が勃発。命からがら護衛艦に避難したレンだが、戦闘地域に民間人が取り残されているという話を耳にし、単独、戦地に舞い戻る――。」 

中国企業がアフリカ進出しているということを知っていれば、アフリカが舞台になった映画も不思議ではない。「中国のランボー」がアフリカを救う内容であり、「中国人戦狼」vs「ヨーロッパ人傭兵」という枠組みは、「愛国エンターテインメント」という前提をはずしてしまえば、アジア人としては「戦狼」に肩入れしたくなるのも自然なことだ。 

まあ、いろいろな解釈や評価が可能だろうが、「中国版ランボー」が超人的活躍する「愛国エンターテインメント」がメガヒットになる現在の中国を知るためにも、見て損はない映画だ。 

かつてナチスの宣伝大臣ゲッベルスが喝破したように、大衆はプロパガンダ映画は歓迎しないのである。大衆教化のためにはエンターテインメントでなければならないのだ。感情移入しやすい主人公と分かりやすい内容は、ある意味、高等戦術だな、と。自分が中国人だったら、手放しで礼賛するだろう。そんな映画だ。

映画『戦狼 ウルフ・オブ・ウォー』は、エンターテインメントに徹した作品である。 だからこそ、日本人も中国研究の一環として視聴しておく必要があるといえる。





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