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2023年9月26日火曜日

書評『米国とイランはなぜ戦うのか? ー 繰り返される40年の対立』(菅原出、並木書房、2020)- 1979年の「イラン・イスラーム革命」からはじまる相互不信。お互いに被害者意識をもつ両国の敵対関係はいまだに解消の見通しがない


 
この本が「緊急出版」されたとき、マジで一触即発の危機が迫っていたのだ。

2020年1月13日、米国による革命防衛隊のコッズ部隊のソレイマニ司令官殺害。それに対するイラン国民の怒りはピークに達する。だが、かろうじてイランは軍事衝突を回避した。イランだけでなく、米国のトランプ大統領もそれを欲していなかったのだ。

『米国とイランはなぜ戦うのか? ー 繰り返される40年の対立』(菅原出、並木書房、2020)という本の存在を知ったのは、米国とイランの軍事衝突が回避されてから3年後の最近のことだ。

だが、2023年9月の現時点でも読む価値はある。なぜなら対立関係が解消されていなからだけではない。実際に通読してみてそう思った。

そもそも、意外なことに類書があまりないという状態であること。2019年末から始まった「新型コロナ感染症」(COVID-19)の世界的蔓延で、およそありとあらゆる国際紛争そのものが凍結状態になっていたことがある。均衡を破ったのは、ロシアによるウクライナ侵攻である。

なによりも、1979年の「イラン・イスラーム革命」に端を発した「米国とイランの敵対関係」を時系列でよく整理していることに本書の特徴がある。

そもそもをたどれば、イランのモサデク政権が産業ナショナリズムの観点から石油産業を国有化し、それに反発する米英の石油資本をバックにした米英政府が、情報機関のCIAを中心にモサデク政権を転覆した1953年にさかのぼる。

クーデタ成功後、米国は親米のパーレヴィ国王を全面的にバックアップする体制を四半世紀にわたって継続してきたのである。

その親米政権が革命によって転覆され、学生たちによってテヘランの米国大使館が444日間にわたって占拠されるという、前代未聞の事態とつながっていく。

長年にわたるパーレヴィ国王のよる政府は反対派を弾圧、貧富の差が拡大して民衆の不満が増大と、イラン人の被害者意識が高まっていっただけでなく、米国サイドも大使館占拠と救出作戦が失敗とい屈辱による被害者意識が増大し、お互いに被害者意識をもつ両国の関係は相互不信と憎悪以外のなにものでもなくなっていった。

米国とイランは1980年に外交関係を断交して以来、40年以上にわたって敵対関係がつづいているのである。米国による経済制裁によってイラン経済は疲弊しながらも、イラン国民は耐えがたきを耐え、現在にいたる。

米国とイランの対立関係は、いまだに解決の見通しもない。イスラエルとイランの対立関係がそれにからんでおり、状況はきわめて複雑なのだ。

1979年移行のイランと米国の関係について、時系列で記述された本書は、あたまの整理になるだけでなく、随所に挿入された明解な地図とともに、参考資料としての有用性を失っていない。

 



目 次
プロローグ
米国とイラン対立の経緯
第1章 米・イラン相互不信の歴史 
第2章 オバマ「核合意」の失敗 
第3章 トランプ政権の対イラン戦略 
第4章 限界近づくイランの「戦略的忍耐」 
第5章 イランを締め上げるトランプ 
第6章 イランの「最大限の抵抗」戦略 
第7章 軍事衝突に向かう米国とイラン 
エピローグ
主要参考文献

著者プロフィール
菅原出(すがわら・いずる)
国際政治アナリスト・危機管理コンサルタント。1969年生まれ、東京都出身。中央大学法学部政治学科卒業後、オランダ・アムステルダム大学に留学、国際関係学修士課程卒。東京財団リサーチフェロー、英危機管理会社役員などを経て現職。合同会社グローバルリスク・アドバイザリー代表、NPO法人「海外安全・危機管理の会(OSCMA)代表理事」も務める。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)


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■菅原出氏の著書



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