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2023年4月16日日曜日

まがたま(曲玉・勾玉)ー さがしものは、むりに見つけようとしないほうがいいようだ。突然、思いもしなかったところから出てくることがある。

 
いったいどこにいってしまったのか、長きにわたってわからなかった「まがたま」が、突然姿をあらわした。先週のことだ。 

さがしものは、むりに見つけようとしないほうがいいようだ。突然、思いもしなかったところから出てくることがある。なんだ、こんなとこにあったのか、と。 

「まがたま」は漢字で書けば「曲玉」となる。曲がった玉だから「曲玉」。あるいは「勾玉」と書くほうが多いかもしれない。 

「まがたま」の「たま」は、おそらく「たましひ」(魂)の「たま」でもあるだろう。そもそも漢字表記する以前の日本語は、きわめて多義的である。 

「まがたま」は、日本列島独特のものらしい。「まがたま」は石を磨いてつくられる。 

はじめて「まがたま」の存在を知ったのは中学生の頃だが、そのとき直観的に、これは胎児だなと思った。「系統発生と個体発生の図」にでてくるヒトの胎児の初期段階によく似ているからだ。  

もちろん、そう思ったからといって、想像の範囲を超えないのだが、もしそうだとしたら、古代日本人は「たましひ」のかたちを、かならずしも球体とは考えていなかったことになる。 

目に見えない「たましひ」を、目に見えるかたちで表現するとどうなるのか? 古代日本人は、うまれることのなかった胎児のかたちから、それを「たましひ」とみなしたのではないか。

 

胎児の目のようなものは、もちろんひもをとおすための穴である。穴にひもをとおして首飾りとする。装身具であるが、どうじに呪術的な意味ももっていたのだろう。 

自分も「まがたま」にひもをとおして首飾りとしてみた。「まがたま」は1つだけだとさびしい。すこしずつ増やしてきたい。


 


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2013年1月12日土曜日

大神神社(おおみわ・じんじゃ)の「巳(み)さん」信仰 ー 蛇はいまでも信仰の対象である!



日本最古の神社といわれる奈良の大神神社。大神と書いて「おおみわ」と読ませます。

独特なつくりの鳥居をもつ大神神社には本殿がなく、三輪山そのものがご神体とされています。そしてまた、蛇もまた信仰の対象になっていることは比較的よく知られているのではないでしょうか。

ことし2013年は巳年、すなわち蛇の年なのですが、どうも積極的に話題にされることがないような気がするのはわたしだけでしょうか。蛇は現代人からはあまり好かれていないような印象を受けます。

しかし、蛇は日本人にとって神であったのです。古代日本人は蛇の神秘性に感じ入って、蛇を自分たちの祖先神と考えていたのです。このことは、このブログで 蛇は古代日本人にとって神であった!-独創的な民俗学者であった吉野裕子の名著 『蛇』 を読んでみよう に書いておきました。

『大神神社(改訂新版)』(中山和敬、学生社、1999 初版 1971)によれば、「大神神社の主たる御祭神は大物主大神(おおものぬしのかみ)である・・(中略)・・大物主大神が鎮まられたのは、『古事記』、『日本書紀』にでているように、遠い神代のことであり、日本国中で一番古いお社とされている」、とあります。大物主大神は国作りにつくされた神です。

大神神社と蛇がなぜ関係あるのでしょうか? 

おそらく、大神神社のご神体である三輪山が、神奈備(かんなび)信仰の対象そのものであったことが大きいのでしょう。

神奈備とは、神霊(神や御霊)が宿る御霊代(みたましろ)や依り代(よりしろ)を擁した領域のことですが、民俗学者の吉野裕子氏が説かれたように、三輪山のような形態の低山が、とぐろを巻いた蛇と見立てられたものだと考えられます。

大神神社の宮司をながく務められた中山和敬氏のような人は、そういうことは述べていませんが、三輪信仰と蛇との関係については、『大神神社(改訂新版)』の11章「蛇と杉」で触れておられます。

拝殿前、斎庭の右側に、玉垣でかこまれた二股の老杉を、巳(み)の神杉とよんでいる。燈籠が一対、お賽銭箱までが設けられていて、その上には、いつもお供えの卵がのっているのが目につく。・・(中略)・・この「雨降りの杉」の大木の根方にポッコり穴があいており、いつの頃からか棲みついた蛇が、御祭神の化身とまで畏敬されるようになったものである。・・(中略)・・長さ2㍍を越える青大将4、5匹だが、とにかくきれいな体である。太陽の光線によって時には全身黄金に輝き、ときには真っ青にも変わる。

この蛇たちが神の化身の「巳(み)さん」として、信仰の対象になっているようですね。

巳(み)さんの信仰者にはとくに芸能人・飲食業の人が多い。願いの向きは心願成就ときいている。さらにくわしく説明をきくと、これとねらえばそれに向かって直進する。尻尾をつかんで引っぱっても後へは退らないこととか、何でも呑みこんでしまう姿が縁起が良いとか、穴から出たときの形で吉凶をうらなう人、つまり真っ直ぐにじっとこっちを見つめているのが吉であるとか、人それぞれの見方、考えようがある(*太字ゴチックは引用者=わたし)。

なるほど! 蛇のように、狙った獲物はぜったいに逃がさないという姿勢に共感を感じているわけですね。わたしも蛇にはあやかりたいものです。

ところで、この巳(み)さんは絶対に写真を撮ってはいけないそうです。家庭不和、家族に病人や死人が出るそうですので、心しておいたほうがいいでしょう。

これはけっして迷信とは片づけられないようで、中山和敬氏によれば、賽銭箱には白紙に包まれた巳(み)さんの写真やフィルムが還納さえてきることも多く、その理由には上記のような家庭不和などがあったためらしいのです。

スマホで撮影してツイッターやフェイスブックに投稿、なんてことは考えないほうがよさそうですね。そうでなくても蛇ですから、しつこく、ねちこい。なんといっても神様であるわけですから。

わたし自身は大神神社には一度だけいったことがありますが、巳(み)さんはまだ拝んだことがないのは残念です。拝む機会に恵まれた際には写真撮影はしないよう心したいと思います。

それだけ蛇のもつパワーはすごいということなのでもありますね。


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蛇は古代日本人にとって神であった!-独創的な民俗学者であった吉野裕子の名著 『蛇』 を読んでみよう

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ヘルメスの杖にからまる二匹の蛇-知恵の象徴としての蛇は西洋世界に生き続けている

『蛇儀礼』 (アビ・ヴァールブルク、三島憲一訳、岩波文庫、2008)-北米大陸の原住民が伝える蛇儀礼に歴史の古層をさぐるヒントをつかむ

(2014年8月26日、2016年6月21日 情報追加)


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蛇は古代日本人にとって神であった! ― 独創的な民俗学者であった吉野裕子の名著 『蛇』 を読んでみよう


ことし2013年の年賀状に、以下のように書きました。
2012年は「昇龍」の年。2013年は「蛇」の年。
昨年の「ホップ」を「ステップ」へ、さらには
「ジャンプ」へと「脱皮」してまいります。

辰年は「昇龍の年」ということで話題になりますが、どうも巳年の蛇は積極的に話題にされることがないような気がするのはわたしだけでしょうか。

巳年は蛇の年ですから、しぶとく、ねちこく、といきたいのですが、どうも蛇は現代人からはあまり好かれていないような印象を受けます。

しかし、蛇は日本人にとって神であったのです。

このことは無意識のなかにはあるかもしれませんが、古代日本人は蛇の神秘性に感じ入って、蛇を自分たちの祖先神と考えていたのです。

その痕跡は、さまざまなものに見出すことができるということを、独創的な民俗学者であった吉野裕子氏が名著 『蛇 ― 日本の蛇信仰』(吉野裕子、講談社学術文庫、1999)に事細かに書いています。



この本は、もともと法政大学出版局から 1979年に出版されたものですから、最初の出版からすでに35年近くたっていますが、現在まで読み継がれてきた名著であるといってよいでしょう。

日本人に限らず、古代人は蛇を観察して、さまざまな意味で蛇にあやかりたいと考えていたようです。

とぐろを巻いた蛇は何かの形に似ていませんか?

はい、古代日本人は山をとぐろを巻いた蛇になぞらえて信仰の対象としていたようなのです。じっさいに、日本最古の神社といわれる奈良の大神神社(おおみわじんじゃ)には本殿がなく、山そのものがご神体とされているだけでなく、蛇もまた信仰の対象になっています。

蛇は脱皮する生き物です。哲学者ニーチェに「脱皮できない蛇は滅びる」という名文句がありますが、まさに蛇は脱皮を繰り返して成長していく生き物です。これはカニやエビなどと同じですね。脱皮に失敗すると、蛇は死んでしまいます。

古代日本人は、この脱皮するということに、生命力が更新されることの象徴を見出したようなのです。そのため、脱皮する蛇のように、年のあらたまりごとに生命の更新を祝ったのがお正月だったのですね。イセエビがめでたいのも脱皮と関係があるはずです。

そして、いまでもお正月といえば「鏡餅」が定番ですが、この鏡餅も形がとぐろを巻いた蛇に似ているといわれたらそう思いませんか? 吉野説にしたがえば、それは当たり前だということになるのですね。

また蛇にはまぶたがないので、まばたきをしません。蛇の目と書いて「じゃのめ」と呼んでいますが、日本人はまた蛇の目(じゃのめ)をこのんで意匠として愛してきました。蛇の目傘の蛇の目です。

鏡餅を上から見ると、まんなかのみかんのしたに小さい丸もち、そのしたに大きな丸もちがあって、蛇の目のようになっています。言われたらなるほど!と思わざるをえません。

こんな話題が書かれている 『蛇 - 日本の蛇信仰』(吉野裕子、講談社学術文庫、1999)は、ぜひお読みすることをおすすめします。やや強引な感じがなくもないですが、大胆な謎解きを行う推理小説のような展開の読み物にもなっています。




また、山にとぐろを巻いた蛇の形を見たてた古代日本人の信仰は、縄文時代から稲をもたらした渡来人である弥生人の信仰とも習合して、大陸の高度な陰陽五行説と融合していくことが 『山の神 ー 易・五行と日本の原始蛇信仰』(吉野裕子、講談社学術文庫、2008 単行本初版 1989)です。

ぜひあわせてお読みいただければと思います。





そして最後に、『山の霊力 ー 日本人はそこに何を見たか』(町田宗鳳、講談社選書メチエ、2003)をいっしょに紹介しておきます。

吉野説をベースにして山に対する日本人の信仰を説き起こし、修験道にまで発展した日本の山岳信仰について宗教学者がわかりやすく説いた好著です。

なぜ日本人が山に対してさまざまなものを感じるのか、その秘密はすべて蛇信仰から始まっているわけです。蛇に対する畏敬の念と恐怖の念。これは裏表の関係にあるものです。

蛇というと現代では嫌われがちな生き物ですが、古代日本人が見出した蛇信仰は、日本人であればかならずDNAのなかに流れ続けているはずといっていいのです。

そもそも日本人に限らず、進化論の観点からいって、脳の旧皮質には爬虫類時代の痕跡が残っているわけですから、蛇は人間のなかにも住んでいるわけです。

ぜひ今回の巳年(2013年)を機会に、原始蛇信仰についても考えてみたいものです。




目 次 『蛇-日本の蛇信仰』

講談社学術文庫収録にあたって
序
第1章 蛇の生態と古代日本人
第2章 蛇の古語「カカ」
第3章 神鏡考
第4章 鏡餅考
第5章 蛇を着る思想
第6章 蛇巫の存在
第7章 日本の古代哲学
あとがき


著者プロフィール

吉野裕子(よしの・ひろこ)
1916年東京生まれ。旧姓赤池。女子学習院、津田塾大各卒。学習院女子短期大学講師。1977年、東京教育大学より文学博士の学位を授与される。著者多数。2008年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


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大神神社(おおみわ・じんじゃ)の「巳(み)さん」信仰-蛇はいまでも信仰の対象である!

『水木しげるの古代出雲(怪BOOKS)』(水木しげる、角川書店、2012)は、待ちに待っていたマンガだ!
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『蛇儀礼』 (アビ・ヴァールブルク、三島憲一訳、岩波文庫、2008)-北米大陸の原住民が伝える蛇儀礼に歴史の古層をさぐるヒントをつかむ

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