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2019年7月30日火曜日

JBPressの連載コラム第57回は、「英国の民衆弾圧、ピータールーの虐殺を知っているか-200年前の英国の民主化運動から現在の香港を見る」(2019年7月30日)

「香港のデモ」が8週連続で続いてます。香港で自由に意見表明ができる最後のチャンスだという悲壮感と覚悟が、香港人たちをデモにかき立てているのです。 

とはいえ、このままエスカレートしていくと、中国共産党による武力弾圧が行われてしまうのではないかという一抹の不安を感じないわけにいきません。なぜなら、30年前の1989年6月4日の「天安門事件」を想起してしまうからです。 

末尾に「9」のつく年には動乱が起きるというジンクスがあります。200年前のことですが、1819年8月16日にも民主化運動が武力弾圧された事件が発生しています。 

それが「ピータールーの虐殺」(Peterloo's Massacre)中国ではなく、民主主義の先進国である英国で起こった事件です。イングランド北西部の工業都市マンチェスターで起こった事件です。 

今回は、この「ピータールーの虐殺」の映画化である『ピータールー マンチェスターの悲劇』(英国、2018年)を取り上げながら、200年のスパンで民主化運動について考えてみたいと思います。

200年前の事件が、過ぎ去った過去の話ではないことに気づくことになるでしょう。 


つづきは本文で ⇒ https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/57130


PS 映画『ピータールー マンチェスターの悲劇』は、来週8月9日(金)より全国公開されます。 公式サイト:https://gaga.ne.jp/peterloo/



<ブログ内関連記事>

映画『未来を花束にして』(原題:Suffragette、2012年、英国)-英国でも女性参政権は闘い取られたものであった

映画 『ターナー、光に愛を求めて』(英国・ドイツ・フランス、2014)を見てきた(2015年7月1日)-英国が生んだ風景画家の巨匠ターナーの知られざる後半生を描いた「動く絵画」
・・『ピータールー マンチェスターの悲劇』の監督マイク・リーの前作

天安門事件(1989年)から20年か・・

書評 『香港バリケード-若者はなぜ立ち上がったのか-』(遠藤誉、深尾葉子・安冨歩、明石書房、2015)-79日間の「雨傘革命」は東アジア情勢に決定的な影響を及ぼしつづける

書評 『スノーデンファイル-地球上で最も追われている男の真実-』(ルーク・ハーディング、三木俊哉訳、日経BP社、2014)-国家による「監視社会」化をめぐる米英アングロサクソンの共通点と相違点に注目
・・「2001年の「9-11」テロ後に肥大した米国政府の通信監視活動の実態を暴き、2014年度のピュリッツァー賞を受賞した英国の『ガーディアン』紙記者が描いた「事件」の舞台裏のドキュメントである」

書評 『国際メディア情報戦』(高木 徹、講談社現代新書、2014)-「現代の総力戦」は「情報発信力」で自らの倫理的優位性を世界に納得させることにある



 
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2019年7月28日日曜日

書評 『評伝 小室直樹 上下』(村上篤直、ミネルヴァ書房、2018)-かつて小室直樹という桁外れの知的巨人がいた


小室直樹という桁外れのスケールの学者の「評伝」を読了した。『評伝 小室直樹 上-学問と酒と猫を愛した過激な天才』『評伝 小室直樹 下-現実はやがて私に追いつくであろう』の2巻本である。

著者は村上篤直氏。出版社は京都のミネルヴァ書房。 活字は大きく、文体も行替えの多い小室直樹の一般向け書籍風であるとはいえ、注を除いた総ページ数が上下2巻で1200ページ超という大著である。これまた桁外れだ。よくこんな本が出版できたものだ。 

小室直樹氏は、2010年に78歳で亡くなっている。それからすでに9年たつ。真っ当だが、やや過激な内容であった一般向け書籍の多くが絶版となっているが、晩年に出版された「原論もの」の単行本は、現在でもロングセラーであり続けている。 

高校時代に『ソビエト帝国の崩壊』(カッパビジネス、1980)を読んで以来、数学を基礎にして社会科学の全分野を網羅した、小室直樹という桁外れの学者の大きな影響を受けてきた。社会科学のすべての分野を自家薬籠中のもとして、快刀乱麻の如く現実を斬ってみせる、その鮮やかさはわかりやすく、しかもきわめて痛快だ。 

そして小室直樹氏自身、この1冊で運命が大転換してしまったようだ。学問と酒とネコ以外関心がないという奇人変人が、48歳を期にマスコミの寵児となってしまったからだ。それについては、本書の下巻の内容となる。 

『危機の構造』(ダイヤモンド社、1976)こそ、「アノミー論」に代表される、小室直樹氏の方法論について書かれた代表作ともいうべき本(*)なのだが、学者や研究者に注目されたこの本は、その世界を超えて一般に受け入れられることはなかった。

(*注:この投稿の<付録> これこそ名著! ぜひ復刊を望みたい を参照)

とはいえ、大学でのポストを獲得することはできなかった。規格外の怪物は、制度のなかに安住する大学人からは嫌われていたからだ。 

だが、ベストセラー作家となったことで、社会科学の分野でノーベル賞をとる!という誇大妄想気味な最初の志は全うできなかった。 

悔いなき人生だったのかどうかは、外部からは伺い知るよしもない。内面の葛藤が、心身をむしばんでいったのかもしれない。

貧乏だが意気軒昂の上巻とくらべて、下巻の内容は、なんだか痛々しいという印象を感ぜざるを得ない。『ソビエト帝国の崩壊』以降の一般読者にとっては、知りたい内容が満載で、その点では大いに満足することになる内容ではあるのだが。 

上下2巻のこの大著は労作である。よくぞここまで資料を収集し、関係をたずね回って調べ上げたものだなあ、と。その成果が惜しみなく投入されている大著。著者自身の人生にとって、一度も直接会ったことのない小室直樹という存在が、いかに大きなものになっていたのである。 


■小室直樹の方法論は「帰納法」ではなく徹底した「演繹法」

だが、ふつうこれくらいボリュームのある本を読了したときは、読みごたえありという感想をもつのだが、どうもそういう感じがわいてこない。それはなぜかについて考えていた。 

結論というわけではないが、一つは小室直樹氏の弟子筋にあたる人たちとは、自分があまりにもテイストが違いすぎるということにある。正直いって生理的に合わないということである。この人たちが祭り上げる存在としての小室直樹には距離を取りたくなる。 

もっと本質的なことは、小室直樹という大学者が、理論にしか関心をもっておたらず、実証にはまったく関心がなかったという点が確認できたことにある。事実から出発する方法論ではないのだ。 

比較するのもおこがましいが、私自身とはまったく資質が違う。高校時代に「演繹法」と「帰納法」の違いについて知ったが、森羅万象すべてに関心のあった自分は、「帰納法」だなと確信した。現実から理論を引き出す方向性。 

ビジネスパーソンには人気のあった小室直樹氏だが、現実世界そのものであるビジネスの世界に、どっぷりと浸かっていた私のような人間とは資質が違いすぎることを感じてしまう。 小室直樹氏の業績が独創的かと言われれば、かならずしもそうでないと言わざるを得ないのは、方法論の性格に起因している。

小室直樹氏の方法論とは、理論を徹底的に鍛え上げて、その理論によるフレームワークで現実を解析するという絵に描いたような演繹法だ。 だから、「原論」的な書籍での切れ味はきわめて良いスパっと切れるのは、雑多な現実を捨象してしまうからである。

社会変動の理論を打ち出そうと奮闘した小室直樹氏の生涯だが、演繹法には限界があることが明らかになっているのが、21世紀の現在の状況である。前提そのものが崩れつつある現状では、小室直樹氏の方法論にはムリがあると、感じないわけないわけにはいかないのである。合理的思考法の限界か。小室直樹の「亜流」が精彩を欠くのはそのためだ。

だが、繰り返しになるが、憲法や宗教、数学など『日本人のための~』がタイトルがついた「原論もの」は、まだしばらくは生命を保ち続けるだろう。これほど明解に「原理」そのものを説明してくれる解説書は、ほかに例がないからだ。演繹の強みである。

フレームワークで理解することの意味がそこにある。こういった形の書籍を残せた理由は下巻で語られている。配偶者となった元編集者の貢献は大きい。


■合理主義を支えた非合理な熱情

個人的には、本書の最大の貢献は、京大から阪大にかけての学問形成期の小室直樹氏の、学問とは別の天皇主義者としての側面についての解明だと思う。敗戦後にいっさい転向しなかった人生である。生き方である。 

それは、数理経済学者の市村真一氏の門下として、経済学という学問だけでなく、皇国史観の平泉澄(ひらいずみ・きよし)が主催する寮生として過ごした年月のことだ。この側面を理解することによって、合理を貫いた姿勢の背後にある非合理な熱情がなにであったかを知ることができるのである。 

『日本教の社会学』(1981年)の共著者となったのは山本七平だが、2人のあいだで共通の認識の核となっている、江戸時代の儒者で思想家の山崎闇斎(やまざき・あんさい)に始まる「崎門(きもん)の学」、その系譜にある浅見絅斎(あさみ・けいさい)という存在。 

「日本こそ中華(=世界の中心)である」という天皇中心の神国思想が生まれ、下級武士を中心とした倒幕勢力の原動力の核心となったこと、しかし明治維新後はほとんど顧みられなくなったという事実。なぜ、崎門の学であり、浅見絅斎なのか、これは、小室直樹氏の前半生について知らなければわからないことなのである。 

合理を貫き、理論を徹底的に鍛え上げることを基本方針とした小室直樹氏だが、数日にわたる断食によってアタマをクリアにし、直観が降りてくるのを待つという方法論もまた、エピソードとして本書の随所にでてくる。過度の断食と過度の飲酒が、命を縮めたことは否定しようない。 

書き出していくときりがないが、この大著は、資料集として大いに価値がある。充実した索引、年譜と著作目録、これが本書のキモだ。 小室直樹に惚れ込んで、小室直樹にかんするものすべてを収集してしまいたいという情熱とライフワークの一里塚である。

著者のような人がいたことは、故人にとっては幸せなことであったと言うべきであろう。


上巻 目次 

はしがき 
第1章 柳津国民学校-征夷大将軍になりたい 
第2章 会津中学校-敗戦、ケンカ三昧の日々 
第3章 会津高校-俺はノーベル賞をとる 
第4章 京都大学 -燃える“ファシスト "小室と“反戦・平和"弁論部 
第5章 軍事科学研究会と平泉学派-烈々たる憂国の真情 
第6章 大阪大学大学院経済学研究科-日本伏龍 小室直樹 
第7章 米国留学、栄光と挫折-サムエルソンを成敗する!  
第8章 東京大学大学院法学政治学研究科-社会科学の方法論的統合をめざして 
第9章 田無寮-学問と酒と猫と 
第10章 社会指標の研究-福祉水準をどう測定するか 
第11章 小室ゼミの誕生と発展-君は頭がいいなぁ、素晴らしい! 
第12章 一般評論へ-日本一の頭脳、44歳、独身、6畳1間暮らし 
第13章 小室ゼミの拡大-橋爪大三郎の奮闘 
第14章 瀕死の小室-すべては良い論文を書くために 
第15章 出生の謎-父はマルクス、母はフロイト 
 
あとがき 
小室直樹試論-なぜ小室直樹はソ連崩壊を預言できたか 
小室直樹著作目録 
人名・事項・猫名索引 





下巻 目次  
はしがき 
第16章 おそるべし,カッパ・ビジネス-俺はマスコミに殺される 
第17章 ‟旧約" の時代と ‟新約" の時代-奔走する担当編集者たち 
第18章 田中角栄-検事を殺せッ!  
第19章 対話-危惧、矜持、疑問、痴態、怒号、憧れ、感動 
第20章 小室ゼミの終焉-最高のティーチャー 
第21章 スナック・ドン-野良でも、血統書つきでも、猫は猫 
第22章 日本近代化と天皇-方法論学者(メソドロジスト)の本領発揮 
第23章 誰も書けなかった韓国-‟新約" 編集者たちの活躍 
第24章 昭和天皇-神であり、英雄である 
第25章 結婚-おれの嫁、覚えててくれ 
第26章 死、訣別、そして再会-寄る年波に抗えず 
第27章 『原論』の時代-いい本は、最低限10回は読みなさい 
第28章 晩年-人生は短い 
第29章 会津彷徨-ある会津藩士の記録 
第30章 没後-学恩に報いる道 
 
あとがきにかえて-私にとっての小室直樹とは 
小室直樹略年譜 
人名・事項・猫名索引







<付録> これこそ名著! ぜひ復刊を望みたい

 『危機の構造ー日本社会崩壊のモデル-』(小室直樹、ダイヤモンド社、1976)が、取り上げられている。このたび上下2巻の評伝を出版した村上篤直氏へのインタビュー記事。 この記事を読んでFBに投稿した内容(2018年11月3日)を、ブログに転載する。

(以下引用) 

坪井賢一(以下、坪井) 
 村上さんが小室先生の著作や理論のなかで最も重要だと思うものは何ですか? 
村上篤直(以下、村上) 
 著書としては、ダイヤモンド社から1976年に出た初の単著『危機の構造』ですね。これはダイヤモンド社に気を遣って言っているわけではなく(笑)、日本の名著100冊に必ず入れるべき作品だと本当に思っています。その後の小室先生の著作は、ある意味では『危機の構造』で語ったことの繰り返しとさえ言えると思います。日本の社会というのは戦前と戦後で変わっていない。機能集団である会社が共同体化してしまい、その矛盾が日本社会の危機の構造である、と実に見事に納得のいく説明をされている。そこで用いられ、日本の構造的無規範、無連帯を分析した「アノミー」の理論は今でも十分に通用するものです。 



まさに村上氏が言うように、『危機の構造』は小室直樹の原点でありエッセンスである。私が読み込んだのは1982年の「増補」版だが(写真)、本当に何度も何度も繰り返し読み込んだ本だ。「増補」されたのは「第8章 私の新戦争論ー合理的、論理的側面」。 

小室直樹自身は、「増補 あとがき」(1982年)でこう述べている。「私が力説したかったのは、日本人の社会科学的な思考の致命的な欠落である」これが、小室直樹が一生かけて主張し続けたことであったのだが、はたして日本人は社会科学的思考が身についたといえるのだろうか??? 

内容的にはやや難しい点もあるが(・・なんといっても、数学から経済学、法学、社会学までずべて制覇した天才学者だ)、ダイヤモンド社には、ぜひ新装復刊を望みたい。 


目  次 
第1章 戦後デモクラシーの認識 
第2章 日本型行動原理の系譜 
第3章 歴史と日本人思考―ジャーナリズム批判 
第4章 「経済」と「経済学」 
第5章 危機の構造 
第6章 ツケを回す思想 
第7章 社会科学の解体 
第8章 私の新戦争論





<ブログ内関連記事>

『ソビエト帝国の崩壊』の登場から30年、1991年のソ連崩壊から20年目の本日、この場を借りて今年逝去された小室直樹氏の死をあらためて悼む

書評 『日本教の社会学』(山本七平/小室直樹、ビジネス社、2016 単行本初版 1981)-「日本教」というキーワードで日本社会をあざやかに分析した濃密かつ濃厚で骨太な議論

最近ふたたび復活した世界的大数学者・岡潔(おか・きよし)を文庫本で読んで、数学について考えてみる

書評 『異端力のススメ-破天荒でセクシーな凄いこいつら-』(島地勝彦、光文社文庫、2012)-「常識に染まらず、己の道を行く」怪物たちの生き様

"粘菌" 生活-南方熊楠について読む-

『生誕150年企画展 南方熊楠 100年早かった智の人』(国立科学博物館 東京・上野)に行ってきた(2017年12月22日)-「グローカル」で「智の巨人」であった南方熊楠の全体像を知る企画展



 
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2019年7月21日日曜日

映画『未来を花束にして』(原題:Suffragette、2012年、英国)-英国でも女性参政権は闘い取られたものであった


本日(2019年7月21日)は参院選の投票日だが、一部の熱狂的な動きを別にしたら、残念ながらいまいち盛り上がりに欠けるようだ。

日本では1945年(昭和20年)に「普通選挙権」が男女ともに認められてからすでに74年。「権利」というものは、それがあって当たり前のものになってしまうと、そのありがたみを感じることもなくなってしまう。

民主主義の先進国といえば英国だが、その英国においてすら女性参政権が実現したのは1928年である。おなじ年に、日本では、成年男子の普通選挙権が認められている。



英国における女性参政権運動の闘士たちを描いた映画『未来を花束にして』(原題:Suffragette、2012年、104分)を Prime Video にで初めて視聴した。歴史物のヒューマン・ドラマである。日本では2017年に公開されたようだが、つい最近までその存在を知らなかった。

映画の背景は、ロイド=ジョージ首相時代の1912年の英国映画は、その100年を記念して製作されたものだ。

ミドルクラスの知識階層からワーキングクラスの労働者まで、階層横断的に運動に参加していたのが、戦闘的な女性参政権獲得運動「サフラジェット」(Suffragette*)。目的実現のためにはメディアで取り上げられることが重要であり、そのためには暴力も辞さないというのが特徴


(右が運動の中心にいたパンクハースト Wikipediaより)

この映画を見ていると、つくづく「権利」というものは闘い取るものだと思うのである。「サフラジェット」たちのように暴力に訴えるのはどうかと思うのではあるが、運動の犠牲者(=殉教者)がでたことで、歴史が動いたことは否定しようのない事実なのである。

関心のある人には、見ることを勧めたい。 

(*注)suffrage とは、参政権のこと。「普通選挙権」は universal suffrage となる。







<ブログ内関連記事>

「2012年総選挙」結果について-この3年間はいったい何であったのか? 「一票の格差」の大きな「千葉4区」で考える

JBPress連載第2回目のタイトルは、「怒れる若者たち」の反乱-選挙敗北でメイ首相が苦境に、目を離せない英国の動向」(2017年6月20日)

「主権在民」!-日本国憲法発布から64年目にあたる本日(2011年5月3日)に思うこと


 
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2019年7月16日火曜日

JBPressの連載コラム第56回は、「ヘレン・ケラーが涙した全盲の学者、塙保己一の偉業-完成から200年、生涯を懸けた「群書類従」プロジェクト」(2019年7月16日公開)


JBPress連載コラム第56回目は、ヘレン・ケラーが涙した全盲の学者、塙保己一の偉業-完成から200年、生涯を懸けた「群書類従」プロジェクト(2019年7月16日公開)

⇒ https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56995

今回は、いまから200年前に日本で達成された "知られざる偉業" について、あえて取り上げたいと思う。


それは「群書類従」(ぐんしょるいじゅう)の完成である。知る人はあまり多くないかもしれないが、「群書類従」と、そのプロジェクトを生涯かけて推進した人物については、この機会にぜひ知ってほしいと思う。

「群書類従」とは、古代から江戸時代初期までに成立した国文学と国書に関する書籍を集成し、書籍として刊行した一大ライブラリーである。



(塙保己一史料館に保管されている「群書類従」の版木 筆者撮影)

1273種類、全666巻(+目録が1巻)からなる。1778年に編纂作業が始まり、200年前の1819年(文政2年)に完成した。なんと41年かかって完成した民間主導の半官半民プロジェクトであった。


現代風にいえば、日本における「パブリックドメイン」化の最初の事業ということになろう。その意義は計り知れない。


プロジェクトの中心にいたのは、塙保己一(はなわ・ほきいち)だ。7才で全盲になった天才学者。



(ヘレン・ケラーがなでまわして涙した塙保己一のミニ銅像 筆者撮影)

ぜ全盲の学者が、それほど大きなプロジェクトを構想し、企画を実行することができたのか?


つづきは本文で  ⇒  https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56995








<ブログ内関連記事>


「塙保己一史料館・温故学会」(東京・渋谷)を初めて訪問してきた(2019年7月3日)-ことし2019年は「群書類従」(全666巻)の刊行が完成してから200年!

書評 『まだ夜は明けぬか』(梅棹忠夫、講談社文庫、1994)-「困難は克服するためにある」と説いた科学者の体験と観察の記録


自分のアタマで考え抜いて、自分のコトバで語るということ-『エリック・ホッファー自伝-構想された真実-』(中本義彦訳、作品社、2002) 

・・「7歳で完全失明、15歳で突然視力を回復、自殺未遂、人生40年と見定めての10年間の放浪生活と思索の日々」を送った "沖仲仕の哲学者" ホッファー

コロンビア大学ビジネススクールの心理学者シーナ・アイエンガー教授の「白熱教室」(NHK・Eテレ)が始まりました 

・・高校時代に病気によって視力を失った心理学者による授業。この授業を TV で見る限り、授業内容がこまかい事実や数字まで含めてすべて教授のアタマのなかに入っており驚かされる

書評 『まっくらな中での対話』(茂木健一郎 with ダイアログ・イン・ザ・ダーク、講談社文庫、2011)

・・人為的に視覚が効かない世界で、聴覚と触覚をフルに使用する世界を体験

書評 『山本覚馬伝』(青山霞村、住谷悦治=校閲、田村敬男=編集、宮帯出版社、2013)-この人がいなければ維新後の「京都復興」はなかったであろう 

・・成人になってから全盲になった人の長い後半生

JBPress連載コラム第44回目は、「耳で学ぶ!格調高い英語が身につくとっておきの教材-語学学習と教養のオールインワン型学習のススメ」(2019年1月29日)
・・記憶と聴覚の重要性

「新・北斎展」(六本木ヒルズ・森アーツギャラリー)に行ってきた(2019年1月26日)-「画狂老人卍」を名乗っていた最晩年88歳の肉筆浮世絵が必見!

・・浮世絵「版画」の刷りの工程について


 
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