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2021年1月12日火曜日

書評『内モンゴル紛争 ー 危機の民族地政学』(楊海英、ちくま新書、2021) ー日本と日本人は「旧宗主国」の責任を回避するな!


出版されたばかりの『内モンゴル紛争-危機の民族地政学』(楊海英、ちくま新書、2021)を読む。この本は、ぜひ読んでほしい本だ。なぜなら、「内モンゴル問題」の解決のためには、日本人がキチンと自国の歴史に向きあう必要があるからだ。 

「内モンゴル」は正式には「南モンゴル」である。現在は中国内にある。「外モンゴル」(=「北モンゴル」)は現在のモンゴル国。旧ソ連の衛星国となったが、かろうじて独立を維持することができた。

日本の相撲界で活躍するモンゴル人力士たちのほとんどは、北モンゴルであるモンゴル国出身者だ。 モンゴル人もまた「分断国家」なのである。南北で分断されているのである。この事実はきわめて重大だ。

満洲国の版図内にあった内モンゴル(=内蒙古)は、日本が無条件降伏する前に大国間の勝手な取り決めによって中国のものとなってしまったのだ。中国共産党の圧制下で少数民族として苦しんでいるのは、チベット人やウイグル人、そして香港人だけではない。 

昨年2020年、その内モンゴルで発生した抗議運動は、中国共産党がモンゴル人の母語であるモンゴル語を奪う政策を実行に移し始めたからだ。教育言語からモンゴル語を排除し、中国語に一本化するという政策は、チベットやウイグルでも実行されている。母語は民族を民族たらしめている、もっとも重要な要素だ。それを奪い取る中国の政策は、民族抹殺政策にほかならない。

内モンゴルのオルドス出身の著者(モンゴル名は、オーノス・チョクトという)によれば、現在、日本に暮らしているモンゴル人は、1万4千人もいるのだという。しかも、モンゴル国、内モンゴル自治区(中国)、ブリヤート共和国とカルムイク共和国(ともにロシア連邦)についで多いのだという。なぜなら、満洲国時代に日本の統治下にあった内モンゴルにとって、日本は旧宗主国だから当然なのだ、と。 

本書は、昨年2020年に顕在化して全世界の注目を浴びることになった「内モンゴル紛争」を理解するために、モンゴルをユーラシア全体の位置づけて、その地理と歴史について簡潔だが、事実に裏打ちされた情報を伝えてくれる本だ。

著者は、この立場を「民族地政学」としている。地政学に民族というファクターを加えて、問題の構造を立体的に理解するためのフレームワークとして使っている。 

日本人に向けてのメッセージは、「日本は宗主国として関与せよ」というものだ。「日本と日本人は旧宗主国の責任を回避するな」と言い換えてもいだろう。中国共産党に忖度することなく、言うべきことを主張し、この問題に関与することは旧宗主国としての責務なのである。 

日本人なら、すくなくとも事実関係だけでも知っておく必要がある。だからこそ、ぜひこの本は読んでほしいのだ。 




目 次
プロローグ 
第1章 民族地政学 
第2章 分断政治の人生 
第3章 諸民族と中国の紛争 
第4章 言語の民族問題 
第5章 民族の国際問題 
第6章 中央ユーラシア民族地政学の現在 
第7章 日本の幻想 
エピローグ 


著者プロフィール
楊海英(よう・かいえい)
1964年南モンゴル・オルドス高原生まれ。静岡大学人文社会科学部教授。北京第二外国語学院大学日本語学科卒業。専攻は文化人類学。博士(文学)。著書『墓標なき草原-内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録』(岩波書店・司馬遼太郎賞受賞)など多数。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)


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