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2021年1月15日金曜日

書評『宿無し弘文 ー スティーブ・ジョブズの禅僧』(柳田由紀子、集英社インターナショナル、2020)ー "イン・サーチ・オブ・乙川弘文" ともいうべき8年間の旅

 
昨年(2020年)12月のことになるが、多忙のため読めなかったが気になっていた本を読了した。『宿無し弘文-スティーブ・ジョブズの禅僧』(柳田由紀子、集英社インターナショナル、2020)。  

縁あって、アメコミの『ゼン・オブ・スティーブ・ジョブズ』を日本語訳したカリフォルニア在住の著者が、ジョブズが「生涯の師」とあおいで文字通り全面的に信頼しきっていた日本人禅僧・乙川弘文(おとがわ・こうぶん)を求めての8年間の旅。著者だけでなく、私もまた、このマンガの英語版で乙川弘文のことをはじめて知った。 

2011年にジョブズが死してすでに9年、その師であった弘文老師は、すでに2002年に亡くなっている。直接本人に取材することがかなわないため、関係者を訪ねて米国・日本・欧州と話を聞くために著者は旅を続ける。

その長い旅をつうじて、弘文老師の像があきらかになってくるとともに、著者自身の仏教理解も深まっていく。まさに「わかる」ということは「かわる」ということなのだ。 英語なら、タイトルは In Search of Otogawa Kobun Roshi (乙川弘文老師をもとめて)とでもなろう。そんな内容の一冊だ。 

曹洞宗の禅僧であった弘文老師が29歳で渡米した1967年前後は、まさに「カウンターカルチャー」(=対抗文化)時代のまっただなかだった。そしてジョブズもまた、その時代の申し子であった。この二人は出会うべくして出会ったというか、その出会いは必然であったのかもしれない。まさに「仏縁」である。 

エゴの塊のようだったジョブズがなぜ、禅仏教と出会って生涯にわたって多大な影響を受けることになったのか、その意味もあきらかになっていく。 

永平寺で修行もしているが、渡米後には破戒僧ともいうべき存在となっていた弘文老師。だが京大大学院で学んだ弘文師には、仏教を西洋哲学の文脈で語ることのできた素地があった。だから、米国でも欧州でも受け入れられたわけだ。人柄だけがその理由だったわけではない。 

キーワードは、弘文老師が京都大学大学院時代の修士論文で取り上げた「転依」(てんね)という仏教概念にある。「転依」とは、覚醒して人格が根本的に転換することを意味している。 

自分が創業したアップルから追放された失意のなかにいたジョブズが、絶大な信頼を寄せていた弘文老師のもとで、再び長い時間を過ごすようになった時代に「転依」したのではないか、というのが著者の見立てだ。エゴの塊のようだったジョブズの変身。その秘密がそこにありそうだ。 ただし、ジョブズの独占欲が最後まで強かったようである。

私自身も、サンフランシスコ郊外のバークレーにいたこともあり、読んでいて懐かしい思いもした。滞米中にはそれほど仏教に深い関心があったわけではないので、カリフォルニア各地の禅堂を訪れることもなかったが、カリフォルニア、とくに北部にはしっかり仏教が根付いており、独自の発展をしているのである。 

ジョブズに関心のある人だけでなく、米国や欧州の仏教事情にかんして関心のある人も、読むと面白いと思うし、乙川弘文という破戒僧の一生をつうじて、逆説的に仏教理解も深まることだろう。 


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目 次 

プロローグ 
第1章 激賞と酷評と 
第2章 生い立ちから渡米まで 
第3章 アメリカで、ジョブズと出逢う 
第4章 追うジョブズ、追われる弘文 
第5章 ジョブズと離れヨーロッパへ 
第6章 最後の日々 
第7章 乙川弘文の地獄と手放しの禅 
エピローグ


著者プロフィール
柳田由紀子(やなぎだ・ゆきこ)
1963年、東京生まれ。作家、ジャーナリスト。1985年、早稲田大学第一文学部演劇専攻卒業後、新潮社入社。月刊「03」「SINRA」「芸術新潮」の編集に携わる。1998年、スタンフォード大学他でジャーナリズムを学ぶ。2001年、渡米。現在、アメリカ人の夫とロサンゼルス郊外に暮らす。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)



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