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2021年5月16日日曜日

書評『土偶を読む ー 130年間解かれなかった縄文神話の謎』(竹倉史人、晶文社、2021)ー ついに謎が解けた土偶の秘密。その解明プロセスが面白い!


 
言われてみれば当然だなと思うが、はじめてそれを言い出すのは勇気がいることだ。 

そして、それをそうだと納得がいくように立証するのは、さらに大きな困難が待ち構えている。 

「常識」をくつがえす研究というものは、自然科学に限らずみなそんなものだ。

 『土偶を読む-130年間解かれなかった縄文神話の謎』(竹倉史人、晶文社、2021)「独立研究者」の竹倉史人氏がなしとげたのも、その1つであるといっていい。 

縄文時代の土偶(どぐう)は、いったいなにを意味しているのか? 

神話研究を行う人類学者の著者は、文字化された記紀神話以前の、無文字社会であった縄文時代の神話を解明するために、まずは土偶を読む必要を感じたのである。そこからすべてが始まった。 

いままで130年にもわたって「常識」とされてきた「妊娠女性説」や「地母神」とは違うのではないか? 

考古学を専門としない著者の違和感は、ただしかったのである。シトウトゆえの強みが発揮されたわけである。

結論から先に言ってしまおう。帯にも書いてあるように、「土偶とは、日本最古の神話を刻み込んだ<植物像>だった!」のである。土偶は、大地からのいただきものに感謝するための呪術として使用されていたのである。 

表紙カバーにあるように、土偶の頭部とクリの実の形がきわめて酷似している。先端のトンガリ部分も含めてだ。日本に自生しているシバグリの実なのである。 

(カバー表紙の裏)

帯の裏には、ハート型の土偶の顔とオニグルミを割った形、そして宇宙人のような土偶の頭部とハマグリ

ハマグリは貝類だが、クリと同様に落下している実を拾って、殻を割って食用とすることはおなじである。しかも、海浜で採取するハマグリとは「浜」の「栗」、すなわち「浜栗」ではないか!

縄文人は、現代人と違って、植物と動物の区別はしていなかったのであろう。現代人の「常識」をそっくりそのままあてはめても、縄文人の精神世界はわかるはずがないのである。 

土偶は、海のものとも山のものともつかぬではない。土偶は、海のものであり、山のものであったのだ。



こんな結論だけ書き出せば、「たしかにそう言われてみれば、そうとしか言いようがないよなあ。ほかにどう見ろというのだろう」と思うことだろう。

ここまでは、形の類似性に着目したイコノロジー(図像解釈学)によるものだ。

だが、ひらめきで思いつくだけでもたいしたものだが、そこで終わりにはならないのは、考古学の専門外であるとはいえ、著者が「研究者」であるからだ。形が似ているのは偶然ではない(!)ことの立証責任を果たさなくてはならないのだ。 

研究者としての著者は、「縄文脳インストール」と称して五感をフルに活用したフィールドワークを山で海で行い、さらに考古学の研究蓄積を中心に、環境文化史や民族植物学など、関連するあらゆる学問で得られた実証データをフルに活用する。 

それが、本書で述べられている研究を貫くイコノロジー × 考古学」という方法論である。直観と推論。感性と論理。その相反する知性の組み合わせだ。この方法論は、土偶研究だけでなく、幅広く汎用性のあるものだといえよう。いくらでも応用可能だ。 

この本の存在は、じつはネット上のコラム記事で知った。その記事にも結論は書かれているが、結論そのものもさることながら、結論にいたるプロセスが、またさらに面白いのだ。130年間におよぶ「常識」をくつがえす研究など、めったにないことだからだ。 

しかも、竹倉史人氏の前著が『輪廻転生-<私>をつなぐ生まれ変わりの物語-』(講談社現代新書、2015)であることを途中で知った。なんだ、そうだったのか、と。土偶研究と輪廻転生の研究は、じつはおなじ著者によるものなのだ。『輪廻転生』もすばらしい内容の本だ。 

「脱魔術化」をはかった「近代主義」がすでに破綻しているのにもかかわらず、いまだに狭い実証主義に凝り固まったアカデミズムの世界

推論と論理だけではダメなのだ。五感をフルに解放して、直観と感性を活かすことが大事なのだ。 

著者は、すでに縄文人の精神世界の研究に着手しているという。今後の展開が大いに楽しみだ。 




<関連サイト>

竹倉土偶研究所(著者のウェブサイト)





トチノミ(google検索による画像集)

(2021年7月9日 情報追加)


<ブログ内関連記事>

・・著者の前著




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