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2022年6月22日水曜日

書評『人生の経営』(小学館新書、2022)-生涯現役で「人生のCEO」となれ! ビジョナリー出井氏の最後のメッセージ

 
先日、元ソニーCEOの出井伸行氏がお亡くなりになった。2022年6月2日だという。享年84。まさに「生涯現役」を地でいく生涯であった。R.I.P. 

この人は、早すぎたのだと思う。ソニーのCEOだった当時、「インターネットは隕石」だと危機感をあおっていたことは記憶しているが、この言説は「ものづくり軽視」と世間では受け取られたのである。おそらくソニーの社内でもそうだったのだろう。 だから、わたしは出井氏は「ビジョナリー」だったというのが適切だと思う。 

そんな出井氏の遺著となったのが『人生の経営』(小学館新書、2022)。ことし4月の新刊。訃報を耳にしたことで、はじめて出版されていることを知った。  

この本の前半は、出井氏自身のサラリーマンとしての「越境人生」について語っている。部門の壁を越え、国内外の壁を越える「越境」が「引き出し」を増やす「左遷」もまたその1つだという達観に近い見解は、サラリーマンであれば肝に銘じるべきであろう。 

後半は、現代日本のビジネス社会に生きるビジネスパーソンへの提言であり、応援歌である。

出井氏がソニーのトップマネジメントとして改革の指揮をとったのは58歳からの10年間。その後は、69歳から大企業の変革支援やベンチャー育成に専念し、文字通り「生涯現役」を貫いた。 そんな出井氏のメッセージは、反論もあろうが現役ビジネスパーソンはしっかりと受け止めるべきだ。

「定年制」の廃止は賛成。その趣旨については、この本を読んで確認していただきたい。 

このフレーズは出井氏自身はつかっていないのであるが、 「生涯現役」こそ出井氏のメッセージだと元サラリーマンのわたしは受け止めた。84歳で亡くなるまで生涯現役を貫いたのであった。




目 次
はじめに 定年という考え方をやめよう
第1章 サラリーマンこそ冒険しよう
第2章 左遷だって自らの糧にできる
第3章 変化の兆しをつかまえよう
第4章 培ったキャリアを外で活かす
第5章 ものづくり神話から脱却しよう
第6章 定年延長も退職金も要らない
第7章 ソニーに学んだ新しい企業の形
第8章 国内と対外の並列的な二重戦略に活路
おわりに あなたの人生の CEO はあなた自身


著者プロフィール
出井伸之(いでい・のぶゆき)
1937年、東京都生まれ。2022年6月2日没。
1960年早稲田大学卒業後、ソニー入社。主に欧州での海外事業に従事。オーディオ事業部長、コンピュータ事業部長、ホームビデオ事業部長などを歴任した後、1995年に社長就任。2000年から2005年までは会長兼グループ CEO として、ソニーの変革を主導した。退任後、2006年9月にクオンタムリープを設立。大企業の変革支援やベンチャー企業の育成支援などの活動を行う。NPO法人アジア・イノベーターズ・イニシアティブ理事長。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものに補足)。


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2021年3月24日水曜日

書評『エマニュエル・トッドの思考地図』(大野舞訳、筑摩書房、2020)-「常識を逆なで」する「未来予測」を生み出すトッド氏の思考の秘密について本人が開示

 
フランスの歴史人口学者エマニュエル・トッド氏の本をまとめ読みした。いずれも日本側の企画編集による日本語オリジナル版で、つまりフランス語版は存在しない。 

この手の企画本はすでに何冊も刊行されているのだが、そのうち2冊をあげておこう。フランス在住の大野舞氏のインタビューにもとづいたもので、ともに2020年に出版されている。


ともに面白い内容だった。前者は、日本人読者が知りたいであろう、的確な「未来予測」を生み出すトッド氏の思考の秘密について本人が開示したもの、後者は現在の先進国が抱える問題を「反グローバリゼーション」の立場から述べた論争的な時事論集。
    
人口統計をもとに、自然科学者なアプローチで現状分析と未来予測を行うトッド氏の「常識を逆なでする主張」に対しては賛否両論があるだろうが、言いにくいことをずばり言ってのける勇気は賞賛すべきであろう。

どうやらトッド氏自身も、フランス語で出すより日本の読者向けに日本語で出す方が気が楽なようだ。 

本人がこれらの本のなかで吐露しているように、フランス人のエリート階層が聞きたくない話をするからだろう。「シャルリ・エブド事件」に際して書いた『シャルリとは誰か?』(文春新書、2016)は、フランス語の原本が出版された際にフランス国内でバッシングの嵐にさらされたらしい。  

1991年のソ連崩壊や、2016年の英国のEU離脱や米国大統領選でのトランプ氏の当選など、ことごとく「予見」し、的中させてきたため、日本では「予言者」扱いされているトッド氏だが、本国では好かれていない。


■トッド氏が日本で広く注目されるようになったのはここ5年の現象

日本では「予言者トッド」の話を聞きたがる人が少なくないようで、もっぱらその著作を出版してきた藤原書店だけでなく、文藝春秋や筑摩書房、朝日新聞社やPHPなどメジャーどころが「知の巨人」と持ち上げて食いつくようになってきた。

それが、ここ5年ほどの状況である。 


私はといえば、トッド氏の著作でいちばん最初に触れたのは、30年くらい前のことになる。『新ヨーロッパ大全』(石崎晴巳訳、藤原書店、1992)という単行本2冊本の専門書だ(上掲の画像)。東京駅八重洲口にある八重洲ブックセンターで、2冊同時に購入した記憶がある。

大学時代にはヨーロッパ中世史を専攻したが、いかんせん「近世」以降の西洋史につうじていなかったので、著者名ではなくタイトル名に吸引力を感じたためだ。

この本には大いに世話になってきた。世界史についての拙著2冊では、ともに「参考文献」としてあげている。

とくに最新刊の拙著『世界史から読み解く「コロナ後」の現代』(ディスカヴァー携書、2020)は、16世紀から18世紀までの「近世」(=初期近代)を扱っており、トッド氏の著書は大いに参考となった。関心のある人は参照していただきたい。 

トッド氏の著作によく親しむようになったのは、文春新書から出た『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる』(2015年)以降のことである。この本は、前著『ビジネスパーソンのために近現代史の読み方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2017)の執筆の際に大いにインスパイアされた。 


■トッド氏の「思考方法」は「ファクト重視の経験主義」

トッド氏の日本語版の帯には、「現代最高の知性」や「欧州最大の知性」などの美辞麗句の宣伝コピーが並んでいる。

現在の日本ではそう呼ばれている人が何人もいるだけでなく、フランス本国では好かれていないことを考えれば、割り引いて考えたほうがいいと思うが、その一人であることは間違いないだろう。 

『エマニュエル・トッドの思考地図』を読むと、「予見」を導くトッド氏の方法論がわかるだけでなく、なんら奇をてらったものではないことがわかる。とはいえ、そっくりそのまま真似するのは容易ではないだろうが、その一部でも取り入れることは可能だ。なぜなら「予言」ではなく、「予見」のための方法論だからだ。


面白いのは、トッド氏が現代フランスの知識人であるのにかかわらず、英国のケンブリッジ大学で博士号を取得していること、読む本の95%は英語のもの(!)であること、デカルトに代表される「理念」を強調するフランスの哲学教育を嫌っていたこと、などなどの点だ。 

ファクト重視の経験主義という、アングロサクソン系の思考方法になじんでいるからこそ、統計データの分析をベースに、アナール派仕込みの歴史学の知見を踏まえた的確な未来予測を可能としているということがわかる。この点は、日本人は大いに学ぶべきことであろう。経済指標にくらべて、人口統計はウソをつきにくいからだ。 

トッド氏の未来予測がすべて正しいかどうかはさておき(…時間がたてば検証可能だ)、その方法論に注目してみる価値はある。その意味では『思考地図』のほうだけでなく、『大分断』にも「絶対値による会話分析法」というヒントが紹介されているので参照しているといいだろう。

内容がポジティブであろうがネガティブであろうが関係なく、そのフレーズが言及されることの数量(の多さ)で判断ができるという思考法のことだ。「人びとが口にすることとまったく反対の内容が、しばしば真実である」と言う考え方にもとづいたものだ。

現在すでに70歳となり、本人も「老人」と自称するトッド氏であるが、「不確実性」が支配する社会を分析し、未来を「予見」する、その鋭い知見には期待したいものである。


『エマニュエル・トッドの思考地図』(大野舞訳、筑摩書房、2020)

目 次
日本の皆さんへ
序章 思考の出発点
1 入力-脳をデータバンク化せよ
2 対象-社会とは人間である
3 創造-着想は事実から生まれる
4 視点-ルーティンの外に出る
5 分析-現実をどう切り取るか
6 出力-書くことと話すこと
7 倫理-批判にどう対峙するか
8 未来-予測とは芸術的な行為である
ブックガイド

目 次 
はじめに
第1章 教育が格差をもたらした
第2章 「能力主義」という矛盾
第3章 教育の階層化と民主主義の崩壊
第4章 日本の課題と教育格差
第5章 グローバリゼーションの未来
第6章 ポスト民主主義に突入したヨーロッパ
第7章 アメリカ社会の変質と冷戦後の世界
訳者あとがき・解説
 
 




著者プロフィール
エマニュエル・トッド(Emmanuelle Todd)
1951年フランス生まれ。歴史人口学者。パリ政治学院修了、ケンブリッジ大学歴史学博士。家族制度や識字率、出生率などにもとづき、現代政治や国際社会を独自の視点から分析、ソ連崩壊やリーマン・ショック、イギリスのEU離脱などを予見したことで広く知られる。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)

日本語訳者プロフィール
大野舞(おおの・まい)
フランスのバカロレア(高校卒業国家資格)を取得後、慶應義塾大学総合政策学部入学。パリ政治学院への留学を経て同学部を卒業。一橋大学大学院社会学研究科を修了。日本の大手IT企業に勤めたのち、渡仏。パリの出版社でライセンスコーディネーターや通訳の仕事に携わる。その後、日仏のスタートアップ関連の仕事を経て、独立。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)


<関連サイト>

エマニュエル・トッド (著)「エマニュエル・トッドの思考地図 (筑摩書房) 」- 著者にインタビュー / シード・プランニング【Seed Planning, Inc.】(YouTube 音声フランス語 日本語字幕つき 48分強)



・・「トッド: 私にとって科学的な手順とは、多くの事実を前に仮説を立てて、その仮説がすべての事実についても正しいかどうかを一つひとつ確認することです。ここで最も重要な作業は、ファクトの収集で仕事のほとんどを占めています。それが終わったら、理解しやすいシンプルなモデルに組み込むための整理をします。これが私の研究の方法です。
また、私はフランス人ですが、家系は一部英国系の伝統を受け継いでいますし、英ケンブリッジ大で研究もしました。こうして、英国の経験主義とフランスの合理主義の対立を、身をもって体験しました。
(・・中略・・)
ブレークは直感めいたアイデアのことです。15秒あればできるのですが、そこに到達するまでには、何年もの知識の蓄積が必要です。本を読み続け、執拗なまでにデータや情報を収集して自分の頭の中に図書館やデータバンクをつくる。でも、膨大な情報をインプットするだけではだめで、情報を完全に咀嚼して、意識から無意識まで時間をかけて落とし込んでいく。するとある日、別々の情報同士が手を携えて、新たなアイデアとして飛び出してきます。
ブレークのためには、もしかしたらちょっと道から外れてみるべきなのかもしれません。日常のルーティンから出る。映画を観に行ったり、子供と田舎に行ったり、あるいは恋をしたり・・・。要するに自分のテーマばかりに注力していてはいけないということです。
(・・中略・・)
一度、誤解から解放されれば、データを見るだけで物事が明快になり、作業が簡単に進められるようになります。研究というのは90%が掃除で、残りの10%が構築だと思います。私は自分に騙された自分を発見するのが大好きです。
(・・中略・・)
アイデアを得てそれをアウトプットするためには、自分に自信を持つこと、ポジティブなイメージを持って自分に何ができるか把握することが大事です。そして同時に、どこかにかならず自分を評価してくれる人がいると信じることです。」

エマニュエル・トッド氏、エリートが分断を解消せよ(日経ビジネスオンライン 2021年1月22日)
・・「中国はソ連と似たようなところがあり、全体主義的な傾向を持ち、西洋や先進諸国の経済の後追いをしています。後追いが終わって1番になったときに、刷新とか改革をするような文化がない。そうすると結局そこで崩壊してしまうと言える。例えば米国は内部がどんどん衰退しても常に刷新し革新をしていく。イノベーティブな精神があることでインターネットも生まれましたよね」(トッド)

(2021年3月31日 情報追加)


PS ところが、「知の巨人」トッド氏には大いに失望させられることになった、というオチ

・・「それにしても、トッド氏の「反米主義」の復活ぶりには、鼻しらむ思いで興ざめだな。すでに70歳を過ぎた「知の巨人」は、ふたたび強烈な「反米主義」に戻ってしまったようだ。 フランス知識人の悪弊が丸出しだな。 アングロサクソン好きを公言していたトッド氏だが、今回の動きで英国にも失望したと吐露している。知識人は、どうしてそうもナイーブなのかねえ。だから、学者や知識人は一般大衆からバカにされるのだよ(笑) 本書をつうじて強烈な「反米主義」が展開されているので、おそらく旧サヨク系の思考傾向をもつ日本人読者からは大歓迎されるだろう。米国の左翼知識人ノーアム・チョムスキーと同様に(笑)」

(2023年11月1日 追記)


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2021年1月25日月曜日

書評『スクリプトドクターの脚本教室・初級編』(三宅隆太、新書館、2015)―「急がば回れ」のシナリオ教本。気づきの多い、深い内容の「セルフヘルプ」本

 

話題になっていた本を買ったが、そのまま「積ん読」と化す。けっしてよいことではないが、読むために買っている以上、いつかは読みたいと思っているのである。それが読書家の心情というものだ。 

読みたいと思いながらも読んでなかった本を読む。そして、大いに気づきを得る。結構なことではないか。昨年2020年の12月に読んだその本とは、『スクリプトドクターの脚本教室・初級編』(三宅隆太、新書館、2015)思うように脚本(=シナリオ)が書けない、シナリオライター志望者のために書かれた本だ。著者は、プロの脚本家で現役の映画監督でもある。 

私自身はシナリオライターになりたいと思ったことは一度もないが、映画やTVドラマの視聴者として、当然のことながらシナリオには関心が高い。俳優の演技もさることながら、シナリオの出来不出来が大きな意味をもつことは、十分に理解している。 

シナリオを作成するプロのシナリオライターですら、製作現場ではプロデューサーから何度も書き直しを迫られ、追い詰められてメンタルをやられ、なかには自殺してしまう者もいるという。そういう過酷な仕事なのである。そんな状態になったシナリオとシナリオライターを救う仕事がスクリプトドクターなのだ。 


■シナリオライターのための基本的マインドセット

この本は、シナリオライター志望者のためのノウハウ本ではない。基本的なマインドセットについて語った本だ。

なにがシナリオを面白くするのか、なにが視聴者の共感を得ることができるのか、そのために必要な心構えについて、カウンセリング手法で懇切丁寧に語られる。つまり、急がば回れのシナリオ教本といっていいだろう。シナリオを書く前にすべきことがあるのだ。 

葛藤がなければ、そもそもドラマにはなり得ない「内的葛藤」だけでは視聴者には伝わらない。「外的な事件」がからまないと、ドラマが進行しない。自分のアタマのなかでぐるぐる回しているだけではドラマにならないのである。「予定調和」の世界に逃げていたのでは、ドラマにはならないのである。 

視聴者の共感を得るために必要なことは、シナリオライターが自分自身の「世界観」をいかに引き出して見える化するかにある。自分をさらけ出さなくてはならないのだ。「未精算の過去」がさらけ出しを邪魔しないよう、「メンタルブロック」を解除しなくてはならない。ポジティブな感情であれ、ネガティブな感情であれ、自分自身を出さなければ、他者を共感させることなどできないのである。 

これはシナリオライティングだけでなく、作家を含めたクリエーターの作品全般に共通するものだろう。 


■事例のストックを増やしヨコ展開するメソッド

この本は、もちろんマインドセットについてのみの本ではない。自分のなかに、いかに事例のストックを増やすか、そのための方法論についても紹介されている。 

言い換えれば「アタマの引き出し」ということになるが、そのための著者独自の方法論が「逆バコ起こし」である。リバースエンジニアリングのことだ。映画をシーンごとに分解して、構成を把握する作業である。この作業をつうじて「抽象化」を行い、応用するためのヨコ展開できるようにするのである。基本は、どんな分野であれ、おなじことだということがよくわかる。 

基本的に、カウンセラーとしての著者の態度は「傾聴」を基本にして暖かいクライエント自身に問題を気づかせる漢方薬的療法である。認知行動療法にもとづいたものだ。

いろんな意味で、気づきの多い深い内容の本だ。シナリオライター志望者ではなくても、シナリオについて、ストーリーについて関心のある人は、読めばかならずなんらかの気づきのあることは間違いない。


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目 次
はじめに
第1章 あなたの世界観をさぐる 
第2章 性格の仕組みとクライマックスの関係性 
第3章 中心軌道を抜き出し、葛藤を簡略化する 
第4章 逆バコ起こしで構成力を身につける 
第5章 スクリプトドクターの仕事術 前半 
第6章 スクリプトドクターの仕事術 後半 
おわりに
謝辞
『ブルーサンダー』逆バコ起こし、解説
巻末綴じ込み 「分析評価シート」


著者プロフィール
三宅隆太(みやけ・りゅうた)
脚本家、映画監督、スクリプトドクター、心理カウンセラー。若松プロダクション助監督を経て、フリーの撮影・照明スタッフとなり、映画・テレビドラマ等の現場に多数参加。ミュージックビデオのディレクターを経由して脚本家・監督に。また、スクリプトドクター(脚本のお医者さん)としてハリウッド作品を含む国内外の映画企画に多く参加する傍ら、東京藝術大学大学院をはじめ各種大学やシナリオ学校等で教鞭も執っている。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)


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2018年1月14日日曜日

書評 『大村智-2億人を病魔から救った化学者-』(馬場錬成、中央公論新社、2012)-「旬」を過ぎた本にも価値はある


2015年度のノーベル医学・生理学賞を受賞した大村智博士の実録伝記を先週読んだが、じつに面白かった。読んで元気が出る内容だ。

タイトルは、『大村智-2億人を病魔から救った化学者-』(馬場錬成、中央公論新社、2012)。著者は、読売新聞社の科学記者だった人。知財や産学連携などに詳しいようだ。

出版年に注目してほしい。出版は2012年、ノーベル賞受賞は2015年。先読みをしたわけではない。独創的な研究を行い、世界のトップレベルの研究をリードし、日本ではいち早く知的財産の重要性に着目した研究者で、産学連携モデルと特許収入によって研究室の独立採算性を確立した人について、ぜひ世に知ってほしいという熱意から生まれた本なのである。

そんな本を、さらにノーベル賞受賞で世の中が湧いていた時から2年もたった後に読む。つまり出版から5年もたっている。だが、「旬」を過ぎた本にも価値はあることが読むとよくわかる。というのも、この本は、ノーベル賞受賞というニュースから生まれた便乗本ではないからだ。

ニュース報道されていたので、農家の長男で、そもそも大学に行く予定がなかったという大村博士の非エリートのジグザグ人生のあらましはだいたい知っていたが、それでも285ページの単行本でディテールまで知ると、人生の岐路でいかなる選択を行ったか、その動機や意志決定の中身も詳しくわかる。また、趣味や寄り道がいかに発想の幅を拡げてくれるかについても納得がいく。専門×雑学が「アタマの引き出し」の源泉になることをよく示している。

大村博士の専門である化学(ケミストリー)にかんする話は出てくるが、著者がかみくだいて説明してくれているので心配することない。ブユが媒介するオンコセルカ症という失明を招く眼病から、アフリカの2億人を救ったのがイベルメクチン。このように、どうしてもカタカナの化学物質名がたくさん登場するが、それは説明のために仕方ないことだ。

とにかく読んで元気の出る本。50歳を超えたこの歳で読んでも面白いのだから、若い人が読んだら、元気だけでなく勇気ももらえるはずだと思う。





目 次

プロローグ
第1章 自然と親しんだ小学生時代
第2章 スポーツに明け暮れた青春時代
第3章 高校教師から研究者に転身
第4章 北里研究所に入所して鍛えられる
第5章 アメリカの大学での研究生活
第6章 企業から研究費を導入して研究室を運営
第7章 エバーメクチンの発見
第8章 大村研究室の独立採算制
第9章 研究経営に取り組む
第10章 活発な研究活動と外国での評価
第11章 北里研究所メディカルセンター病院の建設
第12章 北里研究所とコッホ研究所
第13章 科学と芸術の共通性から女子美術大学の理事長へ
第14章 人材育成で社会貢献する大村研究室の活動
あとがき
大村智略歴

著者プロフィール
馬場錬成(ばば・れんせい)1940年東京都生まれ。東京理科大学理学部卒業後、読売新聞社入社。編集局社会部、科学部、解説部を経て1994年から論説委員。2000年11月に退職後、東京理科大学知財専門職大学院(MIP)教授、早稲田大学客員教授、特定非営利活動法人21世紀構想研究会理事長、文部科学省・科学技術政策研究所客員研究官、産学官連携戦略展開事業推進委員会委員、学佼給食における衛生管理の改善に関する調査研究協力者会議委員などを務める。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)





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書評 『「大発見」の思考法-iPS細胞 vs. 素粒子-』(山中伸弥 / 益川敏英、文春新書、2011)-人生には何一つムダなことなどない!

書評 『「科学者の楽園」をつくった男-大河内正敏と理化学研究所-』(宮田親平、河出文庫、2014)-理研はかつて「科学者の楽園」と呼ばれていたのだが・・

書評 『「できません」と云うな-オムロン創業者 立石一真-』(湯谷昇羊、新潮文庫、2011 単行本初版 2008)-技術によって社会を変革するということはどういうことか?

書評 『道なき道を行け』(藤田浩之、小学館、2013)-アメリカで「仁義と理念」で研究開発型製造業を経営する骨太の経営者からの熱いメッセージ

「史上空前規模の論文捏造事件」(2002年)に科学社会の構造的問題をさぐった 『論文捏造』(村松 秀、中公新書ラクレ、2006)は、「STAP細胞事件」(2014年)について考える手助けになる

書評 『人間にとって科学とはなにか』(湯川秀樹・梅棹忠夫、中公クラシック、2012 初版 1967)-「問い」そのものに意味がある骨太の科学論

世の中には「雑学」なんて存在しない!-「雑学」の重要性について逆説的に考えてみる



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2015年10月24日土曜日

フォルクスワーゲンとヒトラー、そしてポルシェの関係

(フォルクスワーゲン社の本社工場 筆者撮影)


物事というものは、その発端や出発点において、あらかたその先の方向性が決定されるものだ。その点にかんしては、人間も会社も似たようなものがある。

2015年9月に、ディーゼル排ガス規制で消費者を欺いていたことがアメリカのNGOの調査によって明らかになり、世界中で大問題となっているドイツを代表する世界的自動車メーカーのフォルクスワーゲン社だが、そもそもの創業の出発点が「戦前ドイツ」のナチス時代の国策にあったことは、「常識」としてもっておいたほうがいい。

失業対策として実行された公共事業の一つが、現在でもドイツが誇る高速道路アウトバーンの建設。そしてヒトラーによる「大衆車」構想がフォルクスワーゲン低価格で高性能の乗用車の提供によって国民による支持を確実なものとし、かつ需要創出を狙った政策だ。

フォルクスワーゲン(Volkswagen)は日本では「国民車」と訳されるが、「民衆車」とか「大衆車」といったほうが本来の意味に近い。ドイツ語の Volk(フォルク) は、英語の folk(フォーク)に該当するコトバだ。フランス革命以後の概念である Nation(=国民)とは似ているが「民族」というニュアンスが強い。Volkswagen であって Nationalwagen ではない。

そしてヒトラーからじきじきに要請があって、「大衆車」の開発に取り組んだのが天才エンジニアのフェルディナント・ポルシェ。実際には試作どまりで量産には至らなかったものの、スポーツカーの代名詞のようなポルシェの創業者一族が、なぜ現在でもフォルクスワーゲン社の大株主の一つであるのかは、そういうところに理由があるわけだ。


(シュトゥットガルトのポルシェ博物館のプレート 筆者撮影)


これらの重要な「事実」は、なぜか日本のマスコミ報道では言及されることがきわめて少ない。歴史にかんする不勉強によるものか、あるいはほかに理由があるのかもしれないが、じつに不思議なことだ。

日本を代表する製造業で、世界最大の自動車メーカーのトヨタもまた、国防上の理由から国産車開発を推進したい帝国陸軍の要請で軍用車の開発に着手したことが、自動車生産への取り組みの第一歩だったのである。フォルクスワーゲンは国策によって生まれたとはいえ、軍用車の開発は行っていない。

「戦前・戦中」と「戦後」では、いっけん歴史は「断絶」しているように見えながらも、じつは一貫して「連続」しているのは、日本でもドイツでも変わりないのである。

さらにいえば、「事実」にかんする事項については、その「事実」の評価が肯定であろうが否定であろうが関係ない。「事実」と「解釈」は区分することが重要だ。わたし自身、フォルクスワーゲンはコンパクトカーとしては好印象をもっている。


(アタマの引き出しはチカラになる!)


作家・武田知弘氏による『ヒトラーの経済政策-世界恐慌からの奇跡的な復興』(祥伝社新書、2009)『ナチスの発明』(彩図社、2011)は、上記のような「事実」が満載の本だ。

後者の第2章「ナチスが目指したユートピア」にフォルクスワーゲンの話があるが、それ以外にも日本人にとって「常識」となっていない話が多い。「事実」関係にかんする「雑学」な知識を「常識」にするためにはお奨めの本といえよう。

冒頭にアップした写真は、ドイツ北部のヴォルフスブルク(Wolfsburg)にあるフォルクスワーゲン(VW)の本社工場。ヴォルフスブルクはまさにフォルクスワーゲンの「企業城下町」である。
 
残念ながら工場内部に入ったことはないが、数年前にベルリンとハノーファーの中間にあるヴォルフスブルク駅に停車中の急行列車 ICE の社内から、運河をはさんで撮影したものだ。

心なし、VW のロゴが泣いているような気がしないでもない。



『ヒトラーの経済政策』 目次  

序章 ケインズも絶賛したヒトラーの経済政策とは
第1章 600万人の失業問題を解消
第2章 労働者の英雄
第3章 ヒトラーは経済の本質を知っていた
第4章 天才財政家シャハトの錬金術
第5章 ヒトラーの誤算



『ナチスの発明』 目次  

第1章 世界を変えたナチスの発明
第2章 ナチスがめざしたユートピア
第3章 だれがナチスを作ったのか?
第4章 夢の残骸




<関連サイト>

『オサムイズム-"小さな巨人"スズキの経営-』(中西孝樹、日本経済新聞出版社、2015年)「第1章 岐路に立つスズキ」から

・・日本の自動車メーカーのスズキから見た提携先のフォルクスワーゲン社の実態が明らかにされる。2009年の提携開始後、信頼を裏切って敵対的買収によって乗っ取りを図ったフォルクスワーゲン社に対抗するための国際仲裁裁判におけるスズキの4年間の苦闘の記録。

スズキの大誤算、「VWとの提携」を求めた理由(日経BIZゲート、2015年12月17日)

スズキと提携後、手のひらを返したVW(日経BIZゲート、2016年1月7日)

スズキの恐怖「VWによる敵対買収」 (日経BIZゲート、2016年1月14日)

スズキの強運、宿敵の失脚を経てVWに逆転勝訴 (日経BIZゲート、2016年1月21日)
・・「ピエヒがVWのCEOに就任したのが1993年。任期を理由に監査役会会長に昇格したのが2002年。通して22年間にわたり、VWの独裁者ともいえるリーダーに君臨した、カリスマ経営者であった。 (・・中略・・) 任期2年を残し、ピエヒがVWの経営を突然去るという事態は、誰の想定にもなかった。 ピエヒが去ったことで、VWは合理主義に基づくヴィンターコルンが経営を主導し、透明性の高い監査役会会長が監視するという体制に変わっていこうとしたのである。 スズキにとって、この政変は非常に重要な意味を持つものだ。」

(2016年1月15日 項目新設)
(2016年1月24日 情報追加)


PS 『ナチズムの時代(世界史リブレット)』(山本秀行、山川出版社、1998)は、「ナチズムの時代」を「大衆消費社会の幕開け」として描いている。表紙に使用されているのはフォルクスワーゲンの広告。あの時代の空気がよく理解できる。(2016年2月29日 記す)





<ブログ内関連記事>

書評 『自動車と私-カール・ベンツ自伝-』(カール ベンツ、藤川芳朗訳、草思社文庫、2013 単行本初版 2005)-人類史に根本的な変革を引き起こしたイノベーターの自伝

「ポルシェのトラクター」 を見たことがありますか?

書評 『あっぱれ技術大国ドイツ』(熊谷徹=絵と文、新潮文庫、2011) -「技術大国」ドイツの秘密を解き明かす好著

書評 『ヒトラーの秘密図書館』(ティモシー・ライバック、赤根洋子訳、文藝春秋、2010)-「独学者」ヒトラーの「多読術」

ベルリンの壁崩壊から20年-ドイツにとってこの20年は何であったのか?

映画 『バーダー・マインホフ-理想の果てに-』(ドイツ、2008年)を見て考えたこと

書評 『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる-日本人への警告-』(エマニュエル・トッド、堀茂樹訳、文春新書、2015)-歴史人口学者が大胆な表現と切り口で欧州情勢を斬る
・・近年のドイツは、なにかおかしなことになっている

「ログブック」をつける-「事実」と「感想」を区分する努力が日本人には必要だ
・・「戦前・戦中」と「戦後」を区分して考えたいのは人の性(さが)。だが、事実と解釈は区分して考えないと道を誤る

「是々非々」(ぜぜひひ)という態度は是(ぜ)か非(ひ)か?-「それとこれとは別問題だ」という冷静な態度をもつ「勇気」が必要だ

『王道楽土の戦争』(吉田司、NHKブックス、2005)二部作で、「戦前・戦中」と「戦後」を連続したものと捉える
・・敗戦国は「断絶史観」で捉えたいという欲望があるが、それは正しいものの見方ではない

皇紀2670年の「紀元節」に、暦(カレンダー)について考えてみる
・・「「紀元」(=はじまり)という意識と発想である。それは正統性の根拠として言明されることが多い。元外交官の法学者・色摩力夫(しかま・りきを)がよく使っていた「出生の秘密」(status nascens)というライプニッツのコトバがあるように、その紀元に何をもってくるか、その紀元の本質が何であるか、によってその後の「歴史」はすべて決定されてくるのである。色摩力夫は自衛隊の「出生の秘密」が自衛隊という軍事組織の性格を規定している、という文脈でこのコトバを使用している。」

(2015年11月13日 情報追加)


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2015年8月28日金曜日

書評『私は魔境に生きた ― 終戦も知らずニューギニアの山奥で原始生活十年』(島田覚夫、光人社NF文庫、2007 単行本初版 1986)ー 日本人のサバイバル本能が発揮された記録



かの有名な『ロビンソン・クルーソー』を筆頭とする漂流ものなど、サバイバルものに読ませる力があるのは、他者の体験を追体験してみたいという欲求が読者にあるからかもしれない。

日本人によるサバイバルものにも数々の名作があるが、『私は魔境に生きた』(島田覚夫、光人社NF文庫、2007 単行本初版 1986)という本もまた、読ませるものがある。文庫本で560ページをこす大著で、最初のうちはそうでもないが、サバイバル生活を開始してからの記述はじつに面白い

副題の「終戦も知らず東ニューギニアの山奥で原始生活十年」というのが刺さるのである。日本が敗戦したことも知らずに10年間、太平洋戦争で激戦地となった、当時はオランダ領であったニューギニア東部の山中で10年間のサバイバルした元日本兵たちがいたのである。そんな存在は、小野田さんや横井さんだけではなかったのだ。

「魔境」とはニューギニアの山奥のことである。本文を読むとわかるが、現地住民すら、そこに足を踏み入れるのを躊躇するという「魔境」だからこそ、10年もサバイバル生活を送ることができたのである。しかも、熱帯雨林という環境のなかでである。

しかしそれにしても10年というのは気が遠くなるような長さだ。日本がすでに敗戦していることも知らず、山中で自給自足の生活を送りながら友軍が迎えに来るのをひたすら待つという人生。当事者である彼らも、まさか10年も「原始生活」を送ることになるとは想像だにしなかったようだ。

サバイバルは、肉体の問題ではあるが、精神の問題でもあるのだ。耐える、ということだ。単身ではなく、最終的には4人のチームだったからこそ、最後まで生き抜くことができたのであろう。小野田さんのような、陸軍中野学校で特殊な教育を受けた強靭な精神の持ち主ではない、ごくふつうの日本人兵士たちにとっては。

そしてまた知恵の問題でもある。知識も知恵なくしては生かし切れない。そもそも知識そのものも、自分たちにとって既知のものが中心となる。

なければないで済ますという態度。ないものは、あるものを使って加工する創意工夫。まったくの原始人ではなく文明人であったからこそ、文明世界ですでに体験していた文明の利器を、ありあわせの道具と材料で再現しようと試みた。これもまた、サバイバルの重要な要件であった。

サバイバル生活では狩猟と農耕が行われる。缶詰類が尽きたあとは、狩猟で動物性たんぱく質を摂取し、農耕で主食を確保することになる。自給自足生活である。サバイバル生活の終盤近くで原住民との接触が始まってからは、物々交換という交易活動も始まる。経済の原初形態である。

いわば「サバイバル型エコライフ(?)」とでもいっていいような生活を10年送ったわけだが、読んでいて思ったのは、はたして現在の日本人に可能だろうか、ということである。原始生活を送ったのは70年前の日本人である。

知識はすでに脳内にあるもの、つまり「アタマの引き出し」を中心に、サバイバル生活で試行錯誤して身に着けた知識と体験しか頼るものはないのだ。ちょっとネット検索して、なんて安直なことは期待できないのである。本すらない環境なのだ。そんな個人の集まりの集団生活では、個人の知恵と知識を持ち寄ったリアルな「集合知」が生きてくる。

著者は「あとがき」のなかで、「原文に忠実なまま」で出版を希望したと記しているが、あまりにも文章がなめらかで読みやすいので、じっさいには編集の手が入っているのではないかと思う。シークエンシャルに配列しなおすには、なかなか大変だったのではないかと思われる。 

とはいえ、内容そのものを創作するのは困難だろう。描写があまりにも具体的だからだ。おそらく手記として執筆した原稿に編集が行われているのであろう。内容にかんしては、だれかニューギニアに詳しい人類学者などが、検証をしてくれるといいいのだが・・・。

サバイバルものが好きな人は、読んでみる価値は間違いなくある。大東亜戦争の戦記ものが中心の光人社NF文庫からの出版だが、戦記にかんする記述は全体の1割以下。その他の文庫からでていてもおかしくない内容だ。

関心のある人は、読んでみるといいだろう。


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目 次  
はじめに
流転(昭和17年12月~19年6月)
籠城(昭和19年6月~20年8月)
原始生活(昭和20年8月~23年1月)
石器時代(昭和23年2月~24年10月)
鉄器時代(昭和25年1月~26年12月)
隠棲発覚(昭和27年1月~28年2月)
原住民の風習・知恵(昭和28年2月~28年12月)
現地官憲に漏れて(昭和29年1月~29年9月)
生きて祖国へ(昭和29年9月~30年3月)
あとがき



著者プロフィール

島田覚夫(しまだ・かくお)
大正10年(1921年)5月、岡山県に生まれる。昭和10年(1925年)、尋常高等小学校卒業、所沢陸軍飛行学校に入校。昭和30年(1955年)3月、復員。郷里で桐箱製造会社に勤務、平成6年(1994年)工場長で退職。平成7年(1995年)1月歿 (本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)


<ブログ内関連記事>

Where there's a Will, there's a Way. 意思あるところ道あり


日本人のサバイバルもの

書評 『江戸時代のロビンソン-七つの漂流譚-』(岩尾龍太郎、新潮文庫、2009)-日本人がほんらいもっていた、驚くべきサバイバル能力に大興奮!!
・・「無人島・鳥島(とりしま)に漂着して20年間生き抜いた男たち・・(中略)・・鳥島はかつてアホウドリの宝庫であった。漂流民たちはアホウドリを捕獲して、食いつないで生き抜いたのだ。渡り鳥アホウドリの肉は干し肉にして保存し、雨水で渇きを癒し、アホウドリの羽衣を身にまとって・・・」


電気に頼らない文明

電気をつかわないシンプルな機械(マシン)は美しい-手動式ポンプをひさびさに発見して思うこと

「アタマの引き出しは生きるチカラ」だ!-多事多難な2011年を振り返り「引き出し」の意味について考える
・・「アタマの引き出し」がすぐにつかえる状況にあれば、電気をつかう情報機器がなくてもサバイバル可能!

動物は野生に近ければ近いほど本来は臆病である。「細心かつ大胆」であることが生き残るためのカギだ


ニューギニア戦線

水木しげるの「戦記物マンガ」を読む(2010年8月15日)
・・ニューギニア・ラバウル線線で視線をさまよった経験をもつマンガ家の水木しげる。爆撃で左腕を失った水木氏は、原住民と深いレベルでの交流をもった人でもある


オランダと東インド植民地

書評 『西欧の植民地喪失と日本-オランダ領東インドの消滅と日本軍抑留所-』(ルディ・カウスブルック、近藤紀子訳、草思社、1998)-オランダ人にとって東インド(=インドネシア)喪失とは何であったのか

書評 『五十年ぶりの日本軍抑留所-バンドンへの旅-』(F・スプリンガー、近藤紀子訳、草思社、2000 原著出版 1993)-現代オランダ人にとってのインドネシア、そして植民地時代のオランダ領東インド

『戦場のメリークリスマス』(1983年)の原作は 『影の獄にて』(ローレンス・ヴァン・デル・ポスト)という小説-追悼 大島渚監督 
・・日本占領時代のジャワ島の捕虜収容所が舞台

書評 『学問の春-<知と遊び>の10講義-』(山口昌男、平凡社新書、2009)-最後の著作は若い学生たちに直接語りかけた名講義
・・文化人類学者の山口昌男は、アフリカのつぎにインドネシアの島々で本格的なフィールドワークを行っている

(2015年9月3日、6日 情報追加)


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