「アタマの引き出し」は「雑学」ときわめて近い・・日本マクドナルド創業者・藤田田(ふじた・でん)に学ぶものとは?

◆「アタマの引き出し」つくりは "掛け算" だ : 「引き出し」 = Σ 「仕事」 × 「遊び」
◆酒は飲んでも飲まれるな! 本は読んでも読まれるな!◆ 
◆一に体験、二に読書、その体験を書いてみる、しゃべってみる!◆
◆「好きこそものの上手なれ!」◆

<旅先や出張先で本を読む。人を読む、モノを読む、自然を読む>
トについてのブログ
●「内向きバンザイ!」-「この国」日本こそ、もっとよく知ろう!●

■■ 「むかし富士山八号目の山小屋で働いていた」全5回 ■■
 総目次はここをクリック!
■■ 「成田山新勝寺 断食参籠(さんろう)修行(三泊四日)体験記 」全7回 ■■ 
 総目次はここをクリック!
■■ 「庄内平野と出羽三山への旅」 全12回+α - 「山伏修行体験塾」(二泊三日)を中心に ■■
 総目次はここをクリック!


「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!

「個」と「組織」のよい関係が元気をつくる!
ビジネス寄りでマネジメント関連の記事はこちら。その他の活動報告も。最新投稿は画像をクリック!



ご意見・ご感想・ご質問は ken@kensatoken.com にどうぞ。
お手数ですが、コピー&ペーストでお願いします。

© 2009~2026 禁無断転載!



ラベル タネ の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル タネ の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2020年6月9日火曜日

6月はビワの季節-ビワはなぜ庭木として嫌われるのか?


通りがかりの道筋で、ビワの実がなっているのを見た。庭木として植えられているビワの大木だ。そうだな、6月はビワの実がなる季節でもあるな、と。 

ビワのタネは大きい。だが、タネを蒔いてから実がなるまでには時間がかかる。「桃栗三年柿八年」というが、ビワはもっとかかるようだ。 

子どもの頃、ビワの実を食べたあとタネを庭に埋めておいたら、芽が出てきたので育てていた。だが、ある程度成長してきてから、親から「縁起が悪いから捨てろ」と命じられて、泣く泣く掘り捨てたことがある。

「いつ実がなるかわからないから、実がなる前に誰か死んでしまう。だから縁起が悪いのだ」というのが、その意味するところのようだ。 両親ともに戦中派であった。現代でもこのようなことが言われているかどうかは知らない。

とはいえ、実際に何年かかるか実験して観察できなかったことは、現在に至るまで残念に思っていることの一つだ。子どもの頃、家庭菜園でいろいろ野菜や草花を育てていたので、ビワやミカンなどタネから育てた経験がある。ミカンは、アゲハチョウの幼虫に葉っぱを食い尽くされて全滅してしまったが。

その意味では、庭木でこんな大きなビワの木が植えられているのは、じつに珍しい。こんな大きくなってしまうと、実がたくさんできるのはいいいが、全部収穫はできないだろう。大木になっているということは、この家の住人もけっして若くないはずだろうから。

ちばみにビワの原産は中国南西部。日本では四国、九州に自生しているという。果樹として栽培がさかんなのは、関東では房総半島が有名だ。







<ブログ内関連記事>

秋の夏みかん

「植物学者 牧野富太郎の足跡と今(日本の科学者技術者シリーズ第10回)」(国立科学博物館 東京・上野)にいってきた

「世界遺産キュー王立植物園所蔵 イングリッシュ・ガーデン 英国に集う花々展」(パナソニック汐留ミュージアム(2016年1月22日)-現在の英国を英国たらしめている植物愛を体現している植物園とその世界を紹介した展示会

書評 『紅茶スパイ-英国人プラントハンター中国をゆく-』(サラ・ローズ、築地誠子訳、原書房、2011)-お茶の原木を探し求めた英国人の執念のアドベンチャー


 
 (2020年12月18日発売の拙著です)


(2020年5月28日発売の拙著です)


 
(2019年4月27日発売の拙著です)



(2017年5月18日発売の拙著です)


   
(2012年7月3日発売の拙著です)

 





Clip to Evernote 


ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!







end

2017年9月24日日曜日

熟れつつあるゴーヤは三色に変化 ― 外皮が緑から黄色に変化するだけでなく中身のタネが深紅な物体に!

(まさに「色の三原色」そのものの熟れたゴーヤ 筆者撮影)


近在の農家の野菜直売所で買ってから2~3日そのまま常温で放置していたゴーヤ(=苦瓜)が、あれよあれよというまに黄色くなっていった。

先端が黄色くなったのを見て、早く食べないと思っていた翌日、気がついたら全体的に黄緑色に変色。やばいなあと思って、ビニール袋に入れてあったゴーヤを手で持ち上げたら、先端がポロリと崩れ落ちた。

しかも驚いたことに、中から出てきたのは鮮やかな深紅に変色した物体。なんだ、これは!ギョっとするほどのオドロキだ。気持ち悪い、というのがそのときの正直な感想だった。

タネがこんなにぬるぬるで深紅に変化してしまうとは! 食用のためのゴーヤの「劣化」は、じつに速い! 


(上掲の写真のゴーヤの全体 筆者撮影)


食用としては、緑色で固い状態のゴーヤを輪切りにして、なかのワタとタネを取り除いてから調理するのだが、白くて固いタネが、深紅でゼリー状の物質にくるまれたタネに変化してしまうとは!

見慣れぬものを見ると、人間はまずは驚くというのが最初の反応だ。宗教学でいう「ヌミノーゼ」感覚に近いものがあうといっても過言ではないだろう。畏怖と魅惑の両義的な感覚のことだ。


(調理前に輪切りにしてワタとタネを取り除いたゴーヤ 筆者撮影)


あらためて、wikipedia で「ゴーヤ」を検索すると、そのまま「ツルレイシ」の項目に飛ぶ。ツルレイシを漢字で書けば蔓茘枝。ウリ科の植物である。項目には以下のような記述がある。


熟すと黄変軟化し裂開する(収穫しても、常温で放置しておくと同じ状態となる)。完熟した種子の表面を覆う仮種皮は赤いゼリー状となり甘味を呈する。腐敗しているわけではなく食すこともできるが、歯ごたえのある食感は失われる。元来野生状態では、この黄色い果皮と赤くて甘い仮種皮によって、果実食の鳥を誘引し、さらに糞便によって種子散布が行われる。


なるほど、さらにこのまま放置したら、裂けて果実が開くわけか。

黄色くなったゴーヤも食べることはできるようだが、歯ごたえはないようだ。しかも、深紅のタネの仮種皮もまた食べることができるようだ。

考えてみればパパイヤみたいな感じでもある。パパイヤはパパイア科目の常緑樹木であって、一年草のウリ科の植物ではないし、タネも小粒で真っ黒。黄色いパパイアはデザートになるが、緑のパパイアはサラダにする。ゴーヤにかんする wikiの記述を先に読んでいれば、黄色いゴーヤと深紅のゼリーも食べてみたかもしれない。

ゴーヤの立場から見れば、生命をつなぐために必要不可欠なことではあるのだが、もっぱら食用として利用している人間にとっては「迷惑」な話ではある。

とはいえ、緑と黄色と深紅の三色という、なんだか「色の三原色」を見せられたような感じで、自然界の不思議さをまた大いに感じさせられたのでもあった。


(農家の野菜直売所で購入した秋の味覚 なすはおまけ 筆者撮影)






<ブログ内関連記事>

ゴーヤ棚はすでに日本の夏の風物詩

万病に効く!-パパイヤ健康法のススメ

「世界のヒョウタン展-人類の原器-」(国立科学博物館)にいってきた(2015年12月2日)-アフリカが起源のヒョウタンは人類の移動とともに世界に拡がった


(2025年1月24日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!)

 (2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2020年5月28日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2019年4月27日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2017年5月19日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!)


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどう
ぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!







end

2014年8月26日火曜日

「実るほど こうべを垂れる ヒマワリかな」― ヒマワリの原産地は北米だった!



ことしも8月が終わりに近づいてきた。ことしの8月は全国各地で季節はずれの台風や豪雨の被害があいついでいるが、その一方で、「年々歳々、花相(あい)似たり。歳々年々、人同じからず」でもある。

この時期になると、ヒマワリの花も盛りを過ぎて、タネがぎっしり詰まったヒマワリは、ガクンと頭(こうべ)を垂れている。


実るほど 頭(こうべ)を垂れる ヒマワリかな


おそらく多くの人が、花の盛りを過ぎたヒマワリをみて、ふとクチにしてみたくなるのではないだろうか。ヒマワリは夏の季語なので、俳句の要件は満たしている。字余りだが(笑)

だが、オリジナルはこれだ。


実ほど 頭(こうべ)を垂れる 稲穂かな


この17文字は誰の作かは知らないが、まさにその通りとしかいいようがない。

文字通りの意味は、収穫の秋が近づいた稲穂は米粒がギッシリと詰まって重そうである。まるで人間が頭を垂れているように、ということになる。転じて、偉い人ほど謙虚であるということを意味した表現として引用されることも多い。

英語にも、The more noble, the more humble.(偉い人ほど偉ぶらない)という対句表現で韻を踏んだ慣用句がある。洋の東西を問わず、ホンモノはみなそうだ、ということだろう。


話題にしたいのは、稲穂ではない。ヒマワリである。

ヒマワリは、お日様に向かって花が回るという意味から「日回り」と名付けられたようだ。漢字で向日葵と書くのはそのためだ。英語ではサンフラワー(sunflower)という。発想は同じである。

ヒマワリというと、まずはイタリア映画の『ひまわり』を想起してしまう。1970年公開の映画だから、もう44年も前の作品だ。マストロヤンニとソフィア・ローレンが主演。

第二次世界大戦末期、枢軸国のイタリアはソ連戦線への出兵を余儀なくされ、主人公は新婚の妻を残して出征。そしてその後の長い月日ののち・・・という、戦争の悲劇を描いた映画だが、スクリーン一面に拡がるヒマワリ畑のシーンが印象的な映画だ。




イタリア映画『ひまわり』は、欧州の穀倉地帯ウクライナで撮影
されたらしい(・・上記のチラシを参照)。映画を見たのはもうずいぶん昔のことだが、『ひまわり』はソ連というイメージが往年の映画ファンにはできあがっているのではないだろうか。

ヒマワリというと、狂気の天才画家ゴッホの『ひまわり』を想起する。ゴッホはオランダ人である。日本の浮世絵にベタ惚れしていたことは有名だが、ゴッホの『ひまわり』7点のうち1点が、当時50億円超という高額で日本の安田生命保険が落札したときは大きなニュースになった。現在は損保ジャパンとなっているが、東京・新宿の損保ジャパン東郷青児美術館の目玉となっている特別展示品である。


(損保ジャパン東郷青児美術館所蔵の「ひまわり」 wikipediaより)


日本とのからみでいうと、美輪明宏が絶賛しているデザイナーの中原淳一は、『それいゆ』や『ひまわり』といった少女向けのスタイルブックを出していた人として有名だ。中原淳一については、「生誕100周年記念 中原淳一展」(横浜そごう)にいってきた(2013年6月15日)-「装う、暮らす、生きる。すべてに "美" を求めた芸術家」に書いているのでご参照いただきたい。中原淳一作品を販売するショップは、「ひまわり屋」という。




ファッションといえば、奇抜なファッションで人の目を驚かせていた世紀末英国の耽美主義の作家オスカー・ワイルドは、スーツの襟にヒマワリの花を挿して社交界に出入りしていたという。ワイルドもまた日本美術だけでなく日本に惚れこんでいた人だが、残念ながら一度も来日することなく世を去った。


(英国の雑誌『パンチ』に掲載されたワイルドの風刺画 wikipediaより)


ファッションからいきなり話題を転じるが、ヒマワリはそもそも鑑賞用として栽培されているわけではない。タネを取るために栽培されているのである。ある意味では穀物のたぐいである。

ヒマワリのタネは、日本ではもっぱらオウムの餌とされているが、中国人のスナックでもある。彼らは、ナマのままヒマワリのタネをかじっている。ヒマワリのタネには油分が多く、ナッツでもあるわけだ。ヒマワリ油(Sunflower Oil)はコレステロール増加防止としててんぷら油として使用されているので、日本人にもなじみ深い。


(ヒマワリのタネ wikipedia ロシア語版より)


以上、旧ソ連のウクライナ、オランダ、日本、中国と、ヒマワリ関連の話題を見てきたが、原産地はぞのいずれでもないのである。

原産地はなんと北米である。高さは3メートルにもなるらしい。花をみればわかるようにキク科の植物である。wikipedia日本語版には以下の記述がある。


ヒマワリの原産地は北アメリカ大陸西部であると考えられている。既に紀元前からインディアンの食用作物として重要な位置を占めていた。1510年、スペイン人がヒマワリの種を持ち帰り、マドリード植物園で栽培を開始した。マドリード植物園はダリアやコスモスが最初に栽培されたことでも有名である。ヒマワリがスペイン国外に持ち出されるまで100年近くを要し、ようやく17世紀に至りフランス、次にロシアに伝わった。ロシアに到達してはじめて、その種子に大きな価値が認められた。正教会は大斎の40日間は食物品目の制限による斎(ものいみ)を行う。19世紀の初期にはほとんど全ての油脂食品が禁止食品のリストに載っていた。しかしヒマワリは教会の法学者に知られていなかったのか、そのリストにはなかったのである。こうした事情から、正教徒の多いロシア人たちは教会法と矛盾なく食用可能なヒマワリ種子を常食としたのであった。そして、19世紀半ばには民衆に普及し、ロシアが食用ヒマワリ生産の世界の先進国となったのであった。日本には17世紀に伝来している。


なるほど、北米 ⇒ スペイン ⇒ フランス ⇒ ロシアというルートで広まったのであったか! なるほど、これでロシアないしはウクライナがヒマワリの一大栽培地帯になっている理由がよく理解できるわけだ。

日本にもそんな早い時期に伝来されていたとは知らなかったが、まさに「大航海時代」という第一次グローバリゼーションのなせるわざであったことがわかる。

ナスやトマトが南米アンデス原産であることは、比較的よく知られていると思うが、ヒマワリは北米原産だったのだ。いずれもヨーロッパ経由の右回りで極東の日本までやってきたことになる。

そんなことを考えながらヒマワリを見ると、なんだか不思議な感じもするのは、わたしだけではないだろう。

そしてまた冒頭の一句をクチにしてみる。

実るほど 頭(こうべ)を垂れる ヒマワリかな

字余りでしタネ。





<ブログ内関連記事>

猛暑の季節こそ「とうがらし」!
・・とうがらしの原産地は中南米

カンボジアのかぼちゃ

タチアオイは、トルコ原産の夏の花

朱色になる前の「ほおずき」はピーマンみたいだ!?-身の回りの「観察」から「直観 ⇒ 仮説 ⇒ 検証」のサイクルを回す生活習慣を身につけよう!

葛の花 踏みしだかれて 色あたらし。 この山道をゆきし人あり (釋迢空)

キンモクセイの匂いが心地よい秋の一日

秋が深まり「どんぐり」の季節に

冬のたんぽぽ 冬のライオン

春を告げるスイセンの花とナルキッソスの神話

秋が深まり「どんぐり」の季節に

書評 『チューリップ・バブル-人間を狂わせた花の物語』(マイク・ダッシュ、明石三世訳、文春文庫、2000)-バブルは過ぎ去った過去の物語ではない! 

「コンパニオン・プランツ」のすすめ-『Soil Mates』 という家庭園芸書の絵本を紹介
・・ヒマワリとカボチャは一緒に育てるとよいのだそうだ

書評 『思想としての動物と植物』(山下正男、八坂書房、1994 原著 1974・1976)-具体的な動植物イメージに即して「西欧文明」と「西欧文化」の違いに注目する「教養」読み物
・・「人間は逆立ちした植物だ」(プラトン)と「植物は逆立ちした人間だ」(アリストテレス)という命題、とくにあてはまるのがヒマワリであるような気もする


(2026年7月14日 情報追加)


(2025年1月24日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2023年11月25日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2022年12月23日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2022年6月24日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2021年11月19日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2021年10月22日発売の拙著です 画像をクリック!)

 (2020年12月18日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2020年5月28日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2019年4月27日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2017年5月19日発売の拙著です 画像をクリック!)

(2012年7月3日発売の拙著です 画像をクリック!)


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!








end

2010年11月15日月曜日

秋が深まり「どんぐり」の季節に





 秋が深まり、どんぐりの季節に。

♪どんぐり ころころ どんぶりこ・・・お池にはまって さあたいへん

 「どんぐりの背比べ」という表現があるように、規格品のように同じ形で同じ大きさのどんぐりは堅い殻をもったナッツである。英語では acorn という。エイコーンと発音する。
 この季節には、まさに「どんぐりの雨」ともいう表現が適切なほど、大量のどんぐりが落下して、地面にばらまかれている。

 はじめて米国にいって、とにかく驚いて、うれしく思ったのは、いたるところにリスがいることだった。公園でもキャンパスでもリスは実にありふれた存在だ。だが、米国と違って、日本では野生リスを目にすることがほとんどない。どんぐりを両手でもって食べているリスを目にすることがないのは残念だ。

 どんぐりを食べるのはリスだけではない。クマもどんぐりが大好物だ。リスもクマも秋にどんぐりをたっぷり食べてから冬眠に入る。今年2010年はどんぐりが不作なので、クマがなかなか冬眠に入らず人里に現れては問題を起こしているといわれている。どんぐりの不作だけが原因ではないようだが。



 温帯に属する日本や米国、それに欧州と、熱帯や亜熱帯に属する東南アジアとは植生(フローラ)が違うから当然といえば当然だともう。だが一方、コーヒーやカシューナッツ、マカデミアナッツなどのナッツ類は、ベトナムやラオス、またタイやミャンマーなど東南アジアでも、高地では栽培されているから、私が気づいていないだけで、どんぐりは存在するのだろう。

 子どもの頃は、よくどんぐりを大量に拾ってきて保管していたものだが、しばらく時間がたつとかならず固い殻を破ってなにかの幼虫(・・うじ虫?)が這い出てくる。日本にはどんぐりを食べるリスはいなくても、どんぐりに卵を産み付ける虫がいて幼虫が中身を食べるから、どんぐりは生態系の食物連鎖のなかでは、けっしてムダな存在ではないのだろう。


 そういえば、『ドングリと文明』という本があったなと思いだして本棚から取り出してみた。正式なタイトルは、『ドングリと文明-偉大な木が創った1万5000年の人類史-』(ウィリアム・ブライアント・ローガン、岸 由二=監修、山下篤子訳、日経BP、2008)である。

 この本は、食糧としてのどんぐりと、木材としてのオーク材(oak)について、これが人類史においていかに大きな意味をもってきたかを、主に西洋を中心に描いたものである。

 木材としてのオーク材は、バイキング船やウィスキーやワインの樽製造に使用されてきた。

 この本によれば、「どんぐり文化」(balanoculture)という表現で、小麦栽培以前はどんぐりが主食として、人類の生存を支えてきたことを仮説として提示している。実際に、どんぐりは現在でも韓国や地中海の北アフリカでは粉にひいたものを食糧として利用しているようだ。

 あく抜きしてから粉に引いたものは、味は無味乾燥だが、著者が実際に食べてみたところ、ものすごく腹持ちがいいようだ。リスだけでなく、人間もまたこのどんぐりのおかげで餓えを免れていたのである。

 ところで、どんぐりがなるのはオーク(oak)であるが、大きく分けて二種類ある。落葉樹のほうは楢(なら)、常緑樹のほうは樫(かし)と区分している。ちなみにここにあげた写真のどんぐりは、常緑樹の樫(かし)のものである。

 この本に収められた「オーク分布図」をみると、インドは入っていないが、タイからシンガポール、インドネシアまで入っているので、やはり、どんぐりは東南アジアでもあるのだろう。

 残念なことに、この本はケルト以来の西洋文明を中心に語っており、どんぐりを食べていた縄文時代の日本人(・・というより日本という国はなかった頃だから縄文人)の話がちょとしか出てこない。

 西洋文明における小麦に該当するものとしてのコメがあるが、縄文時代の遺跡からどんぐりが出土する話はよく耳にする。弥生人が大陸や半島から稲作をもたらす以前には、日本もまた「どんぐり文化」であったのだ。
 
 「五穀断ち」という修行があるが、基本的に木の実や草の根だけを食べると修行である。ミイラ仏になるための前段階として、米や麦などの五穀を断って、木食(もくじき)に徹する修行である。カラダの内部から脂肪分を抜いていくために、木の実を中心にした食生活であるが、、ミイラ仏が多数作られた東北地方は、縄文文化が濃厚に残っている地域なので、ある意味では不思議ではないのかもしれない。

 一方、スペインには、どんぐりだけを食べさせて育てたイベリコ豚がある。この本を読むと、どんぐりが腹持ちのする栄養ある食物であることを知ることができるので、なるほどと納得させられるのであった。どんぐりを主食としないわれわれも、イベリコ豚をつうじて、間接的にどんぐりを食べていることになる。

 どんぐりの一粒一粒じたいは、何の変哲もない木の実であるが、そこに秘められたパワーと歴史を知ると、穀物栽培以前の人類史について、さらに知りたいという気持ちにさせられるのである。






<ブログ内関連記事>

庄内平野と出羽三山への旅 (12) 庄内平野の湯殿山系「即身仏」(ミイラ仏)を見て回る・・ミイラ仏と木の実を中心の「五穀断ち」について

マロニエはマロン(栗)にあらず

銀杏と書いて「イチョウ」と読むか、「ギンナン」と読むか-強烈な匂いで知る日本の秋の風物詩

(2015年10月23日 情報追加)


(2022年6月24日発売の拙著です)

(2021年11月19日発売の拙著です)


(2021年10月22日発売の拙著です)

 
 (2020年12月18日発売の拙著です)


(2020年5月28日発売の拙著です)


 
(2019年4月27日発売の拙著です)



(2017年5月18日発売の拙著です)

(2012年7月3日発売の拙著です)


 



ケン・マネジメントのウェブサイトは

ご意見・ご感想・ご質問は  ken@kensatoken.com   にどうぞ。
お手数ですが、クリック&ペーストでお願いします。

禁無断転載!







end